著者
山下 倫明 今村 伸太朗 山下 由美子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.807-817, 2012-11-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
46
被引用文献数
2

マグロ類やカジキ類,ハクジラ類などの海洋の高次捕食者には,食物連鎖によって生物濃縮されたメチル水銀が,筋肉に含まれることから,魚食からのメチル水銀の摂取による毒性を明らかにする必要がある.水俣病のように,メチル水銀の中毒事例から予想すると,低濃度のメチル水銀の長期曝露によって,脳神経系や心臓・血管系の分化・発達異常が生じる可能性がありうるが,実際には魚食によって微量なメチル水銀を摂取し続けても,メチル水銀中毒は生じない.その理由は,魚から高度不飽和脂肪酸やセレンなどを多量に摂取するので,これらの成分がメチル水銀の蓄積や毒性発現の機序に作用して,毒性を軽減することがわかってきた.魚食由来のメチル水銀の健康リスクは過大に評価されているのではないか.なぜ,魚食ではメチル水銀の毒性が打ち消されるのか.水産物のメチル水銀とセレンによる解毒に関する最近の知見を紹介する.
著者
辻田 有紀 村田 美空 山下 由美 遊川 知久
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.1906, (Released:2019-10-15)
参考文献数
47

近年、果実に寄生するハエ類の被害が全国の野生ランで報告され、問題となっている。ハエ類の幼虫は子房や果実の内部を摂食し、種子が正常に生産されない。しかし、被害を及ぼすハエ類の種や寄生を受ける時期や部位が、ランの種によって異なることが指摘されており、適切に防除するためには、ランの種ごとに被害パターンを明らかにする必要がある。そこで、国内に自生する 4種のランについてハエ類の被害状況を調査した。その結果、 4種すべてにおいて、ランミモグリバエの寄生を確認した。また、本調査で被害を確認した地域は、福島県、茨城県、千葉県、高知県と広域に及んでいた。調査した 4種のうち、コクランとガンゼキランでは、果実内部が食害を受けていたが、ナツエビネとミヤマウズラでは、主に花序が幼虫による摂食を受け、開花・結実に至る前に花茎上部が枯死しており、ランの種によって食害を受ける部位が異なった。ミヤマウズラでは福島県産の株に寄生を確認したが、北海道産の株にはハエ類の寄生が見られず、地域により被害状況が異なる可能性が明らかになった。本調査より、絶滅に瀕した多くのラン科植物がハエ類の脅威にさらされている現状が改めて浮き彫りとなり、ランミモグリバエの防除はラン科植物を保全する上で喫緊の課題である。
著者
山下 由美子
巻号頁・発行日
2012-02-29

報告番号: 乙17625 ; 学位授与年月日: 2012-02-29 ; 学位の種別: 論文博士 ; 学位の種類: 博士(農学) ; 学位記番号: 第17625号 ; 研究科・専攻: 農学生命科学研究科
著者
辻田 有紀 村田 美空 山下 由美 遊川 知久
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.1906, 2019 (Released:2020-01-13)
参考文献数
47

近年、果実に寄生するハエ類の被害が全国の野生ランで報告され、問題となっている。ハエ類の幼虫は子房や果実の内部を摂食し、種子が正常に生産されない。しかし、被害を及ぼすハエ類の種や寄生を受ける時期や部位が、ランの種によって異なることが指摘されており、適切に防除するためには、ランの種ごとに被害パターンを明らかにする必要がある。そこで、国内に自生する 4種のランについてハエ類の被害状況を調査した。その結果、 4種すべてにおいて、ランミモグリバエの寄生を確認した。また、本調査で被害を確認した地域は、福島県、茨城県、千葉県、高知県と広域に及んでいた。調査した 4種のうち、コクランとガンゼキランでは、果実内部が食害を受けていたが、ナツエビネとミヤマウズラでは、主に花序が幼虫による摂食を受け、開花・結実に至る前に花茎上部が枯死しており、ランの種によって食害を受ける部位が異なった。ミヤマウズラでは福島県産の株に寄生を確認したが、北海道産の株にはハエ類の寄生が見られず、地域により被害状況が異なる可能性が明らかになった。本調査より、絶滅に瀕した多くのラン科植物がハエ類の脅威にさらされている現状が改めて浮き彫りとなり、ランミモグリバエの防除はラン科植物を保全する上で喫緊の課題である。
著者
山下 倫明 今村 伸太朗 藪 健史 石原 賢司 山下 由美子
出版者
日本微量元素学会
雑誌
Biomedical Research on Trace Elements (ISSN:0916717X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.176-184, 2013 (Released:2014-01-22)
参考文献数
51

Selenium is an essential micronutrient for humans, and seafood is one of the major selenium source in Japan. Recent studies show that the tissues of tuna and other predatory fish contain high levels of the selenium-containing imidazole compound, 2-selenyl-Nα, Nα, Nα-trimethyl-L-histidine (selenoneine). A substantial proportion of the total amount of selenium is present as selenoneine in the muscles of ocean fish. Selenoneine contains an imidazole ring with a unique selenoketone group and has an antioxidant activity in vitro and in vivo. The dietary intake of selenoneine through fish consumption is thought to be important for enhancing selenium redox functions in tissues and cells. In addition, selenoneine accelerated the excretion and demethylation of methylmercury through the formation of secretory extracellular lysosomal vesicles via the specific organic cation/carnitine transporter-1 (OCTN1). Dietary intake of selenoneine might decrease the formation of hydroxyl and other radicals and accelerate the excretion of heavy metals, and thereby inhibit carcinogenesis, lifestyle chronic diseases, and aging.
著者
山下 由美子 赤田 望
出版者
広島文化学園大学
雑誌
広島文化短期大学紀要 (ISSN:13483587)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.15-22, 2004-08-05
被引用文献数
4

特別養護老人ホームの協力のもと,施設で提供される食事について,食事形態(常食,刻み食,ミキサー食)別に栄養量を調査し,比較検討した。調査の結果,常食については,ほぼ献立表どおりの栄養量が提供されていたが,刻み食とミキサー食ではともに提供される栄養量が減少していた。特にエネルギーは,刻み食で予定量の70%,ミキサー食で予定量の66%しか提供されていなかった。刻み食やミキサー食の喫食者は,常食を喫食する高齢者と異なり,日常の活動量はかなり少ないと考えられることから,個別にみると今回提供されていた栄養量で必要量が満たされている可能性がある。これらのことから,施設では少なくとも食事形態別に栄養基準を設定するなどの工夫が必要である。さらに今後は,個人に合った栄養基準を定め,食形態による栄養量の減少も考慮しながら,よりきめ細かな個別栄養管理をしていくことが重要である。
著者
松尾 彰久 清水 一 山崎 郁雄 山下 由美 久野 真矢
出版者
広島大学保健学出版会
雑誌
広島大学保健学ジャーナル (ISSN:13477323)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.10-19, 2004-03

「新聞の記事の中で出現する障害者とインターネットのかかわりは,作業療法における作業の概念でとらえるとどのような特性があるのか」という研究疑問を設定し,障害者のインターネット利用状況に関する枠組み作りを試みた.今回の研究では,全国紙の新聞1紙を対象とし,データとして検出した記事の類似した内容をまとめ,KJ法の考え方を用いて,共通した概念を抽出する方法で行った.この手順は,KJ法を基に開発されたコンピュータープログラムであるISOP-KJ法を補助的に使用した.その分析の結果,6つの大きなカテゴリーを抽出した.インターネットの活用は,作業療法でいう,作業療法として追及していく「作業」を強力に実現していく手段であり,目的にもなり得るという仮説を形成できた.インターネットを利用しての「自己維持活動」,「仕事」,「遊び」,「社会参加」は,「コンピュータによって形成される身体的な接触のない状態で情報伝達が生じる環境」の結果生じる作業といえるので,「バーチャル作業(virtual occupation)」と定義できると考えた. ""The internet can be very helpful if it is fully made use of by the disabled person."This statementmay be true, but the questions arise in what ways, in what fields and to what extent it can be useful.Inorder to obtain answers to those questions, we undertook research through a technique similar to the KJ-method, by collecting related articles from a certain nationally-circulated newspaper as data. Finally, thisdata verified that the internet makes it possible for the disabled to take part in social activities more easilyand willingly and to improve their activities in daily life, both their productive activities and their leisureactivities. We believe that we can define the activities produced by utilizing the internet as a virtualoccupation.
著者
菅 みゆき 福島 成樹 山下 由美 遊川 知久 徳田 誠 辻田 有紀
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.167-174, 2018-09-25 (Released:2019-10-10)
参考文献数
18

千葉県山武市の調査地においてラン科植物を食害するハエ類の調査を行った.まず,植物の種によって加害するハエの種が異なるかどうかを検証するため,6種のランより果実や花茎を採集し,内部に寄生するハエ類を比較した.次に,季節によってハエの種が異なる可能性を検証するため,ランの開花時期である春(5月)から夏(7月)にかけて採集されたハエ類の比較を行った.クマガイソウより得られた成虫標本は,ランミモグリバエと同定された.また,ミトコンドリアDNAのCOI遺伝子領域の配列を用いた分子同定の結果,様々なランより5~7月にかけて採集されたハモグリバエサンプルの配列は,ランミモグリバエの配列とほぼ一致した.このことから,本調査地ではランミモグリバエが様々なランを食害しており,季節によりハエの種に変化はないと考えられた.また,本研究では3種のランについて果実内に見られたハエの発育段階を約2週間おきに観察し,幼虫および囲蛹期間の推移状況を明らかにした.キンランとクマガイソウ果実の被害が大きく,個体群維持のため,ランミモグリバエの防除が必要であると考えられた.
著者
山下 由美子 Yumiko YAMASHITA
出版者
創価大学日本語日本文学会
雑誌
日本語日本文学 = Studies in Japanese Language and Japanese Literature (ISSN:09171762)
巻号頁・発行日
no.28, pp.57-71, 2018-03-18

学生のレポートにおける話し言葉の出現傾向を探るため,レポートの書き方に関する書籍で扱われる話し言葉を一覧表にまとめ,「学術文章作法Ⅰ」で課したレポートから出現数を調査した。最も多く出現したのは,接続表現の「そして」である。理由として,それを話し言葉と断定し,対応する書き言葉を明確に示しにくいことから,学生達は書き言葉であると認識し使用していると思われる。「じゃあ」「超」「~ちゃった」など口語としての話し言葉は全く出現していないため,ある程度は話し言葉と書き言葉の区別は身についていると言える。また,「ほとんど」「~と~」等,話し言葉と書き言葉の境界線があいまいなものも調査から明らかとなった。
著者
加藤 沙織 藤井 伸二 山下 由美 根本 秀一 葛西 英明 黒沢 高秀
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.211-216, 2016

A population of <i>Polygala tatarinowii </i>Regel, an endangered annual herb in Japan, was found near Abukuma Limestone Cave, Tamura City, Fukushima Prefecture, Japan. It could be one of the largest population of the species in Japan, where more than a thousand plants grew on dry meadows beneath limestone bluff or on the flower garden surrounding the Limestone Cave.
著者
加藤 沙織 藤井 伸二 山下 由美 根本 秀一 葛西 英明 黒沢 高秀
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.211-216, 2016 (Released:2017-01-16)

A population of Polygala tatarinowii Regel, an endangered annual herb in Japan, was found near Abukuma Limestone Cave, Tamura City, Fukushima Prefecture, Japan. It could be one of the largest population of the species in Japan, where more than a thousand plants grew on dry meadows beneath limestone bluff or on the flower garden surrounding the Limestone Cave.
著者
山下 由美
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (医学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6596号)