著者
岡崎 善弘 井邑 智哉 高村 真広 徳永 智子
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-7, 2018 (Released:2019-05-01)

夏休みの宿題は短期間で終えることができないため,児童は夏休み前に取り組み方を計画する。本研究は,小学生 (小学4年生~6年生) を対象として,計画した通りに宿題に取り組むことができたのか調査した。宿題に取り組む計画を事前に調査し,長期休暇が明けた後に実際の取り組み方を調べた結果,長期休暇の前半で宿題を終える計画 (前半集中型) は破綻している割合が他の計画タイプよりも高かった。さらに,宿題の取り組み方と夏休み明けのストレスの関連を調べた結果,夏休みの後半から宿題に取り組んだ児童は他の児童よりストレスは高いことが示唆された。
著者
井邑 智哉 髙村 真広 岡崎 善弘 徳永 智子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.374-383, 2016 (Released:2016-10-25)
参考文献数
29
被引用文献数
3 5

We developed a scale to measure time management and assessed its reliability and validity. We then used this scale to examine the impact of time management on psychological stress response. In Study 1-1, we developed the scale and assessed its internal consistency and criterion-related validity. Findings from a factor analysis revealed three elements of time management, “time estimation,” “time utilization,” and “taking each moment as it comes.” In Study 1-2, we assessed the scale’s test-retest reliability. In Study 1-3, we assessed the validity of the constructed scale. The results indicate that the time management scale has good reliability and validity. In Study 2, we performed a covariance structural analysis to verify our model that hypothesized that time management influences perceived control of time and psychological stress response, and perceived control of time influences psychological stress response. The results showed that time estimation increases the perceived control of time, which in turn decreases stress response. However, we also found that taking each moment as it comes reduces perceived control of time, which in turn increases stress response.
著者
岡崎 善弘 大角 茂之 倉住 友恵 三島 知剛 阿部 和広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.41047, (Released:2017-07-26)
参考文献数
13

プログラミングの体験形式が小学生のプログラミング学習の動機づけに与える効果について検討した.体験形式として,(1) ゲームの作成方法を逐次的に教わりながら作成する講義型,(2) 2名1組で1冊のテキストを共有し,相互に教え合いながらゲームを作成する協同型,(3) 手渡されたテキストを見ながら単独でゲームを作成する個別型,の3タイプ間で動機づけを比較した.本研究の結果から,講義型または協同型でプログラミングを学習すると,プログラミング学習に対する動機づけは有意に上昇する一方で,個別型では上昇しないことが示唆された.
著者
岡崎 善弘 大角 茂之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.485-491, 2022-09-10 (Released:2022-09-15)
参考文献数
20

本研究では,設計図の利用がプログラミング的思考の「分解」の理解に与える効果を検討した.小学4年生から小学6年生の児童が2日間のプログラミング体験講座に参加した.プログラミング体験講座は,設計図を示しながらプログラミングを教える設計図あり群と単にプログラミングを教える設計図なし群で実施された.プログラミングを終えた後,ゲームに必要な構成要素を考えさせた.構成要素の数を2群間で比較した結果,構成要素の数は設計図あり群の方が多かった.本研究の結果から,設計図の利用はプログラミング的思考の「分解」の理解を促進することが示唆された.
著者
岡崎 善弘
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.45-53, 2012 (Released:2017-02-28)

これまでに行われた時間管理の研究を概観し,今後の展望について述べた。時間管理の研究は, 時間管理効果の研究と時間管理能力の研究の2つのパラダイムに分けることができる。時間管理効果の研究は,(a) 時間管理とその他の指標の相関関係を調べた研究,(b) 時間管理のプロセスモデルの研究,(c) 時間管理トレーニングの研究,の3タイプに分類される。時間管理能力の研究では,時間見積もりの研究を紹介した。今後の展望として,(a) プロセスモデルの拡張,(b) 時間管理と時間見積もりの研究,(c) 実践研究,の3つの必要性について述べた。
著者
井邑 智哉 髙村 真広 岡崎 善弘 徳永 智子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15212, (Released:2016-07-09)
参考文献数
29
被引用文献数
5

We developed a scale to measure time management and assessed its reliability and validity. We then used this scale to examine the impact of time management on psychological stress response. In Study 1-1, we developed the scale and assessed its internal consistency and criterion-related validity. Findings from a factor analysis revealed three elements of time management, “time estimation,” “time utilization,” and “taking each moment as it comes.” In Study 1-2, we assessed the scale’s test-retest reliability. In Study 1-3, we assessed the validity of the constructed scale. The results indicate that the time management scale has good reliability and validity. In Study 2, we performed a covariance structural analysis to verify our model that hypothesized that time management influences perceived control of time and psychological stress response, and perceived control of time influences psychological stress response. The results showed that time estimation increases the perceived control of time, which in turn decreases stress response. However, we also found that taking each moment as it comes reduces perceived control of time, which in turn increases stress response.
著者
井邑 智哉 岡崎 善弘 高村 真広 徳永 智子
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.53-60, 2021 (Released:2022-07-01)

本研究の目的は,児童の時間管理が長期休暇中の学習時間や長期休暇後の学習意欲に影響を及ぼすのかを検討することであった。長期休暇前に児童の時間管理(生活リズムの確立,目標設定・優先順位)と学習計画,長期休暇中には毎日の学習時間,そして長期休暇後には自己効力感と学習意欲を測定した。分析の結果,生活リズムの確立得点の高い児童ほど,宿題の予定と実際の取り組みが一致しており,学習時間も長いことが明らかとなった。また生活リズムの確立は,学習意欲,自己効力感に対して正の影響を及ぼし,目標設定・優先順位は自己効力感に対して正の影響を及ぼしていた。
著者
井邑 智哉 岡崎 善弘 高村 真広 徳永 智子
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.57-64, 2020 (Released:2021-06-14)

本研究の目的は,児童用時間管理尺度を作成し,尺度の信頼性と妥当性を検討することであった。児童285名に対して調査を行い,尺度の内的整合性と基準関連妥当性を検討した。因子分析の結果,児童の時間管理は,「生活リズムの確立」と「目標設定・優先順位」という2種類から構成されることが明らかとなった。そして,時間管理に関する2種類の下位尺度は根気強さと正の関連を示し,無気力,不機嫌・怒りと負の関連を示していた。これらの結果から,児童用時間管理尺度は一定の信頼性と妥当性を有していることが示された。今後は今回作成した児童用時間管理尺度を用いて,児童の時間管理が学校生活など様々な場面でどのような影響を及ぼすかを検討することが可能となった。
著者
岡崎 善弘 大角 茂之 倉住 友恵 三島 知剛 阿部 和広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.169-175, 2017-09-10 (Released:2017-09-29)
参考文献数
13
被引用文献数
3

プログラミングの体験形式が小学生のプログラミング学習の動機づけに与える効果について検討した.体験形式として,(1) ゲームの作成方法を逐次的に教わりながら作成する講義型,(2) 2名1組で1冊のテキストを共有し,相互に教え合いながらゲームを作成する協同型,(3) 手渡されたテキストを見ながら単独でゲームを作成する個別型,の3タイプ間で動機づけを比較した.本研究の結果から,講義型または協同型でプログラミングを学習すると,プログラミング学習に対する動機づけは有意に上昇する一方で,個別型では上昇しないことが示唆された.
著者
三宅 幹子 岡崎 善弘
出版者
岡山大学教師教育開発センター
雑誌
岡山大学教師教育開発センター紀要 (ISSN:21861323)
巻号頁・発行日
no.9, pp.229-242, 2019-03-20

本研究では,学校ぐるみで協同学習の取り組みを進めている小学校の3年生児童を対象として,協同学習の下地づくりを行うことをめざしたピア・サポートトレーニングを実施し,聞き方スキル,援助要請行動,サポート入手可能性,サポート提供可能性,攻撃性の観点からその効果を検討することを目的としていた。トレーニングの前後とフォローアップの3時点での効果測定について分析を行った結果,サポート入手可能性においてはトレーニングの効果を示唆する変化がみられた。一方,攻撃性においては,トレーニングによって攻撃性が上昇していることが示され,トレーニングに参加した児童について,イライラ感情や攻撃性への気づきを高めることはできたものの,対処方法の習得,活用,定着までには至らなかったと解釈された。トレーニングの回数,実施期間,およびトレーニング内容の般化に関して改善することで,より明確な効果が得られると考えられる。
著者
井邑 智哉 岡崎 善弘 徳永 智子 高村 真広
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.263-267, 2012

長期休暇中に様々な宿題を行わなければならない児童は,計画を立てた上で宿題をしているのだろうか。本研究では,計画を立てた小学生と立てなかった小学生それぞれの宿題の取り組み方について調査した。小学生の宿題の取り組み方は4 タイプに分類された:(a)ほぼ毎日していた"安定型",(b)冬休みの前半で集中的に宿題をするが,後半からペースが落ちる"前半集中型",(c)冬休みの前半では宿題をあまりしないが,後半からペースを上げる"後半集中型",(d)ほとんど宿題をしなかった"逃避型"。計画作成の有無でそれぞれのタイプを分類した結果,計画を立てていなかった小学生には逃避型が多く,計画を立てた小学生には安定型,前半集中型,後半集中型が多いことが示された。