著者
岩田 康之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.105-110, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

日本の教員養成系単科の四大学(北海道・愛知・東京・大阪。頭文字を取って「HATO」)では,協働して教員養成の機能強化の取り組みを2012年度より行っているが,その一環として,IR(Institutional Research)の手法を用いた教学改善に着手している。これは主に,入学時から卒業時に至る学生たちの意識に関する調査を協働で行い,データを収集・分析することとともに,それを各大学の内部データと関連づけて,教学改善を進めていく取り組みである。これまでのところ,学生の意識の実態解明などで一定の成果を挙げつつあり,今後は他のタイプの大学も含めて展開させていくことが計画されている。
著者
中司 敦子 神崎 資子 高木 章乃夫 岩田 康義 池田 弘 福島 正樹
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.163-168, 2004-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

慢性腎不全患者の意識障害として尿毒症性脳症が知られているが, 透析療法が普及した昨今ではこの病態を経験することはまれである. 今回われわれは緩下剤の連用中に高マグネシウム (Mg) 血症による意識障害をきたした慢性腎不全の2症例を経験したので報告する.症例1は77歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全で加療中, 食欲不振と意識混濁が出現し入院. 血清Cr 4.31mg/dL, BUN 64mg/dL, 血清Mg 7.3mg/dLと上昇. 血清カルシウム値は5.8mg/dLと低下. 皮膚の潮紅, 肺炎および呼吸抑制による呼吸不全を認めた. 血液透析で血清Mg値は低下したが, 翌日再分布によると考えられる再上昇をきたしたため血液透析を再度行い軽快した.症例2は78歳, 女性. 慢性関節リウマチ, 腎機能低下で加療中に尿路感染症により腎機能が増悪し, 全身倦怠感, 見当識障害が出現したため入院. 血清Cr 6.56mg/dL, BUN 96mg/dL, 血清Mg 7.1mg/dLと上昇. 血液透析を3日間連続して行い軽快した.いずれの症例もMg製剤の服用歴を有し, 高度な高窒素血症が存在しないにもかかわらず意識障害を呈した. 当院で2年間に血液透析導入時に血清Mgを測定した78例中, 中毒域の高Mg血症をきたしたのは今回提示した2例のみであった. その他に, 意識障害をきたした症例は低血糖の1例のみで, 尿毒症性脳症による意識障害はなかった. 今回の症例では緩下剤の連用および感染による慢性腎不全の急性増悪が重篤な高Mg血症の原因と考えられた. 治療として血液透析が有効であったが, 再分布による血清Mg値の再上昇に注意が必要である.
著者
岩田 康男 立石 博臣 楊 鴻生 厚井 薫 福西 成男 今村 史明
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.37-41, 2010-03-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
9

目的:外来通院中の関節リウマチ(以下RA)患者の喫煙状況を調査した. 対象・方法:RA患者115名,変形性関節症(膝)(以下OA)患者59名で,調査項目はRA罹患前や罹患時の喫煙歴,現在の喫煙習慣,喫煙量,その期間や検査データ(リウマトイド因子(RF),CRP,ESR,WBC,Hb)などである.喫煙者の定義はSmokers(以下S群)は罹患時に1日に少なくとも1本以上喫煙していた患者,Never smoked(以下NS群)は過去,現在を含めて全く喫煙をしていない患者,Ex-smokers(以下ES群)は罹患時に6ケ月以上喫煙を中止していた患者とした. 結果:RA患者は女性92例,男性23例,OA患者は女性50例,男性9例であった.性別に見てみるとRAではS群は女性で92例中11例,12.0%,ES群は5例,5.4%であり,男性でS群は23例中15例,65.2%,ES群は13.0%であり,男性ではS群とES群を合わせると78.2%を占めていた.リウマトイド因子は男性RA患者のS群で平均210.0U/ml,NS群で21.5U/mlと有意にS群において高値であった. 結論:男性RA患者の65.2%は罹患時に喫煙者であり,国民栄養調査結果と比較して高率であった.男性RA患者では喫煙者で有意にRFが高値を示した.男性喫煙者ではRAに罹患するリスクが高まっている可能性がある.
著者
中司 敦子 神崎 資子 高木 章乃夫 岩田 康義 池田 弘 福島 正樹
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.163-168, 2004
被引用文献数
2

慢性腎不全患者の意識障害として尿毒症性脳症が知られているが, 透析療法が普及した昨今ではこの病態を経験することはまれである. 今回われわれは緩下剤の連用中に高マグネシウム (Mg) 血症による意識障害をきたした慢性腎不全の2症例を経験したので報告する.<br>症例1は77歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全で加療中, 食欲不振と意識混濁が出現し入院. 血清Cr 4.31mg/dL, BUN 64mg/dL, 血清Mg 7.3mg/dLと上昇. 血清カルシウム値は5.8mg/dLと低下. 皮膚の潮紅, 肺炎および呼吸抑制による呼吸不全を認めた. 血液透析で血清Mg値は低下したが, 翌日再分布によると考えられる再上昇をきたしたため血液透析を再度行い軽快した.<br>症例2は78歳, 女性. 慢性関節リウマチ, 腎機能低下で加療中に尿路感染症により腎機能が増悪し, 全身倦怠感, 見当識障害が出現したため入院. 血清Cr 6.56mg/dL, BUN 96mg/dL, 血清Mg 7.1mg/dLと上昇. 血液透析を3日間連続して行い軽快した.<br>いずれの症例もMg製剤の服用歴を有し, 高度な高窒素血症が存在しないにもかかわらず意識障害を呈した. 当院で2年間に血液透析導入時に血清Mgを測定した78例中, 中毒域の高Mg血症をきたしたのは今回提示した2例のみであった. その他に, 意識障害をきたした症例は低血糖の1例のみで, 尿毒症性脳症による意識障害はなかった. 今回の症例では緩下剤の連用および感染による慢性腎不全の急性増悪が重篤な高Mg血症の原因と考えられた. 治療として血液透析が有効であったが, 再分布による血清Mg値の再上昇に注意が必要である.
著者
近藤 美緒 岩田 康弘 飯田 有輝 古閑 寛 高橋 徹至
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11091, (Released:2016-11-22)
参考文献数
38

【目的】本研究の目的は,軽症から中等症までのPD 患者のバランス障害の関連因子を検討すること。【方法】対象は修正版Hoehn&Yahr 重症度分類1 -3 のPD 患者32 名。評価項目はBerg Balance Scale(以下,BBS),MMSE,UPDRS 合計点,UPDRS part Ⅱ13–15,Ⅲ27–30(振戦,固縮,動作緩慢,軸症状),BMI,握力,等尺性膝伸展筋力,過去1 ヵ月転倒頻度,レボドパ一日換算量とし,重回帰分析にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,BBS の得点と握力,UPDRS part Ⅲ–28(姿勢異常)との関連を認めた(R2 =0.30,p <0.05)。【結論】軽症から中等症までのPD のBBS には全身筋量を表す握力と姿勢異常の関与が示唆された。この結果は早期から予防的に運動介入することでPD のバランス障害を予防できる可能性があることを示しているのかもしれない。
著者
生田 久美子 吉國 陽一 尾崎 博美 畠山 大 岩田 康之 八木 美保子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、「教える」専門家としての教員養成の根幹が問われる中で、学問としての「教育学」が果たすべき役割を明らかにすることを目的とする。具体的には、以下の2点の解明を目指す。①「教える」専門家がもつ「高度な専門性」の特徴を明らかにする。②「教育学」と「教える」専門家の養成との間の歴史的・制度的な関係性を明らかにし、「教育学」に基づく「教える」専門家養成システムの在り方を提示する。以上の2つの目的の達成を、教育哲学・教育思想、教育史、教育制度・教育行政、教育実践の4つの専門領域から検討することを通して、「教える」専門家の養成を学問として構築する「教育学」のあり方(モデル)の提示を目指す。
著者
岩田康宏 浦正広 中貴俊 遠藤守 山田雅之 宮崎慎也 田村浩一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.667-669, 2012-03-06

動画の評価基準の1つとして,物語の展開が挙げられる.しかしこれは一般に視聴後に抱く印象であり,既存の動画検索やレコメンドにおいては考慮されていない.そこで本研究では,視聴者が気に入った物語の展開と類似した展開の動画をレコメンドするサービスを提案する.タイムラインでコメント投稿が可能な動画共有サイトを対象として,動画に対して寄せられたコメントを解析する事で,動画の盛り上がりと感情の推移を抽出する.これにより物語の展開を導出する.これを様々な動画に適用する事で,同じ特徴を持つ動画同士を結びつけ,視聴者が指定した動画に類似する展開の動画をレコメンドする.
著者
真喜屋 清 塚本 増久 真鍋 英夫 浅野 茂利 岩田 康
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.227-232, 1987-06-01
被引用文献数
1

北九州市に住む50才の男性が集団検診で胸部の異常陰影を指摘され, 気管支鏡・x線などによる精査の結果肺癌の疑いで入院した. 開胸手術により摘出ざれた病巣は10.6×95mmの楕円形で境界が鮮明な肺組織の壊死と異物による肉芽腫であっで, 血管腔内に虫体の断面が確認された. 2個の線虫断端の径は216-240×296μmで角皮は少なくとも3層から成り, 角皮の外側には縦走隆起がなく, 内側に縦走隆起の横断像が認められた. 側索は筋層の高さに達し, 多数の筋細胞(1 quadrant 当り30個以上)が見られた. このような虫体断端の大きさと形態的特徴から大糸状虫Dirofilaria immitisの未成熟虫と判走され, 0uchterlony法と免疫電気泳動法を用いた免疫学的診断でもこの結果と一致したため, 本症は大糸状虫による肺肉芽腫と診断された. 患者の自宅周辺で媒介蚊の調査を行ったところヒトスジシマカが多く, この蚊の大糸状虫媒介の可能性について考察した.(1987年2月16日 受付)
著者
岩田 康宏 浦 正広 中 貴俊 後藤 昌人 遠藤 守 山田 雅之 宮崎 慎也 田村 浩一郎
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.13, pp.1-2, 2011-05-06

動画コンテンツ投稿者は,投稿コンテンツが視聴者に与えた印象等の情報を必要としているが,それが得られるかは視聴者の自発性に依存するところが大きい.そこで本研究では,動画共有コミュニティにおけるユーザのアクテイピティに着目し,ユーザ間のコミュニケーションを活用する事で自発性を促す手法を提案する.In video-sharing sites, video content contributors need information such as influence that gave to viewers. However, whether that information is obtained depends on viewers' initiative. In this study, we present a method for urging unprompted evaluation using communications between users based on users' activities in video-sharing community.
著者
真喜屋 清 塚本 増久 真鍋 英夫 岩田 康
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.325-330, 1988-09-01

最近大糸状虫人体寄生例の報告が増加の傾向を示しているが, 昨年報告した北九州市で最初の肺大糸状虫症に引き続いて同市内で再び大糸状虫の肺寄生例を経験した. 患者は市内八幡西区に住む56才の女性. 昭和62年6月に胸部の異常陰影を指摘され, 重症筋無力症を伴う縦隔腫瘍の診断で胸腺摘出術を受けた際, 偶然左肺下葉に小結節を発見・切除されたが, 肺組織の懐死層を含むこの肉芽腫瘤内に寄生虫の断端像を認めた. 断端の径は400×310μmで, 角皮最外層には縦走隆起がなく最内層内側に隆起がある. 側索は狭小で筋層の高さに達し, 筋細胞はpolymyarian typeである. 以上の形態的特徴から, 大糸状虫Diofilaria immitis未成熟虫と同定された. 本症例は開胸手術中に偶然発見されたもので, 無症状の大糸状虫症は報告された例数よりも実際にはさらに多いということをうかがわせる(1988年5月16日 受付)
著者
岩田 康之
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.368-380, 2008-12

近年の日本の教員養成改革は「教員養成系大学・学部」と「一般大学・学部」といった二項対立が、新自由主義の潮流に全て飲み込まれる形で政治的に進められている。日本の教員養成は旧来「公」性と「私」性の均衡の上に成り立ってきていたが、近年それが崩れ、公教育システムの維持が懸念される状況になっている。こうした中、日本の公教育と教員養成の現実を見据え、確かなグランド・デザインを描くことは教育学の重要な課題である。