著者
荒瀬 輝夫 鈴木 綾子 丸山 純孝
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.84-90, 2002-03-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
7

地下結実性の食用マメ類であるヤブマメの圃場栽培を試み,生育や収量を検討した.実験1の栽培法は株間30cm,畝幅45cmで3種類の支柱を設けた畝立て栽培とし,野外で発芽した地下種子由来個体を移植した.つるの回旋の始まる出芽約30日後を境に,支柱の有無によって主茎葉数の増加率に有意な差が生じた.ヤブマメの収量は地下子実で約20gm-2,地上子実も含めた総子実収量は約40gm-2であった.総葉数と総子実収量との間には高い正の相関があったが,120枚m-2を越えると地下部よりも地上部の子実の生産が増大する傾向が認められた.実験2では地上種子由来個体(A区)と地下種子由来個体(S区)の生長を比較した.2系統を用い,栽植密度は均平な圃場にm2あたり1個体(1×1m)とした.その結果,栄養生長期間を通じて主茎葉数の増加率がA区=S区,総葉数の比成長率がS区>A区であった.地下子実収量を増大させる方策として,播種期,栽植密度,およびつるの仕立て方の改善による総葉数の増大と,栽培環境の改善や育種技術によって子実生産を地下部に集中させることが挙げられる.
著者
中野 良三 美濃 羊輔 丸山 純孝
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 第1部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.p611-622, 1975-10

同伸性と相似生長性の有無を検討するために,オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)の3品種,早生(チヌーク),中生(フロード)および晩生(ペンレート)を用い,1974年6月中旬から7月中旬まで,野外条件下で出葉位の調査および葉身長と葉幅の測定を行った。1)3品種ともに子葉鞘からの分げつは認められなかった。また前出葉からの分げつは生育の旺盛な個体の低節位分げつに認められた。2)3品種ともに主稈と第1次分げつの間に同伸性は認められたが,第2次分げつは対応する主稈葉位より遅れる傾向がみられた。3)3品種ともに第1次分げつ延葉長と主稈相対延葉長との間に相関が認められたが,生長時期を通じて両者の延葉長の割合は一定でなく,相似生長性のないことが明らかになった。
著者
丸山 純一 桶 隆太郎 村社 智宏 石井 正宏 檜山 郁夫 加藤 剛久 梅澤 康昭 佐藤 達弥 高橋 通 山下 紘正 谷岡 健吉 千葉 敏雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.J136-J141, 2018 (Released:2018-09-26)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

3D偏光フィルタ方式を採用した8K-3D IPS液晶ディスプレイを開発した.近年,医療分野では,カメラとディスプレイにより医師の目をサポートする技術の開発が進んでいる.今回われわれは,立体視による奥行感の把握が可能な,内視鏡/顕微鏡手術向け「3D対応8K手術システム」の実現を目的に,3D偏光フィルタ方式8K-3D液晶ディスプレイの開発に取り組んだ.55インチ8K IPS液晶パネルの採用により,高精細,高画質な立体視を可能とした.手術室のレイアウトを考慮し,視距離1.0~1.5 mの範囲で使用することを目標に3D偏光フィルタを設計した結果,3D視野角8.6゜の範囲で3Dクロストークのない立体視を可能とした.本論文では,同ディスプレイの開発におけるポイントについて報告する.
著者
丸山 純
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.342, pp.122-131, 1984-08-30

Andreae, a priest in the dukedom of Wurttemberg, Germany, wrote a Utopia "Christianopolis" (Strassburg, 1619). It is said that this story, as one of the traditional European utopias since ancient times, shows a new concept of the Christian communities and has many factors of modern city planning. In this essay, I pointed out Andreae's intention and analyzed the city form, the distribution of urban-functions, the systems of scale and city life. Finally I compared these features of Christianopolis with those of contemporary cities in Europe.
著者
丸山 純
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.350, pp.86-94, 1985

J. V. Andreae is known as a priest whose thought played an important role for the construction of the modern educational and the social systems. He described his thought clearly in his utopia "Christianopolis". The relation between the shapes of the ideal city, Christianopolis, and his thought is pointed out in this essay. The essay consists of the following parts : Preface 1. Andreae's life and thought. 2. The relation to the ideal cities in the Italian Renaissance. 3. The relation to the new conception of astronomy. 4. The relation to the images of the "Heavenly Jerusalem". 5. The relation to Andreae's Rosicrucian ideas. Conclusion
著者
田崎 冬記 折戸 由里子 斎藤 新一郎 丸山 純孝 野嶽 秀夫 越後 貞
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.277-280, 2014 (Released:2015-09-18)
参考文献数
9

ケショウヤナギの水系毎の特性を把握するため,渚滑川水系 (渚滑川) および十勝川水系 (札内川) のケショウヤナギの結実および種子散布時期の比較を行った。その結果,渚滑川水系のケショウヤナギは,札内川より 3倍程度,種子散布期間が長く,9月下旬まで種子散布を行うことが明らかとなった。また,渚滑川において種子散布時期の初期~終期にケショウヤナギ種子を採取し,発芽試験を行ったところ,種子散布時期によって発芽能力に差異は見られず,7~9月まで発芽能力の高い種子を散布させることが明らかとなった。種子散布期間等から渚滑川のケショウヤナギは札内川のものとは異なる特性を有する可能性が示唆された。
著者
丸山 純人 室井 健三 飯沼 一浩
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.405-413, 2013-12-31 (Released:2015-01-05)
参考文献数
13

fMRI による言語優位半球同定法として単語生成課題を心内発話で行う方法があるが, 心内発話では課題遂行中の被検者の情報が得られず, また, 運動前野の賦活が認められるため, 側性指標 (LI) の算出に影響を与える可能性がある。本研究では task として語想起発話, control として無意味語発話を行う新しい fMRI 撮像法を考案し, 課題遂行中の被検者の情報を得つつ, 運動野の賦活を画像上相殺し, LI を算出できるか検討した。本手法では従来の心内発話法に比べ賦活範囲は狭くなったが, ブローカ野, および補足運動野に賦活が認められ, 運動前野や一次運動野の賦活は賦活マップ上では認められなかった。また心内発話法で算出した LI と有意な差はなかった。本手法を用いれば fMRI 撮像中の被検者の課題遂行の情報を把握することができるため, より信頼性の高い言語優位半球同定法として利用できる見通しが得られた。
著者
長島 裕二 丸山 純一 野口 玉雄 橋本 周久
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.819-823, 1987
被引用文献数
28 98

An ion-pairing high performance liquid chromatographic method using a silica ODS columnwas developed for analysis of paralytic shellfish poison (PSP) and tetrodotoxi (TTX). As mobile phase is used a mixture of 0.05<sub>M</sub> phosphate buffer (pH 7.0) containing 2 m<sub>M</sub> heptanesulfonicacid/methanol (99:1) for separation of gonyautoxins and TTXs, and the one (75:25) for separa-tion of saxitoxins. PSP and TTX members thus separated were detected as fluorogenic sub-stances, by heating with a periodate reagent (for PSP), or with 3<sub>N</sub> NaOH (for TTX).
著者
丸山 純一
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.28, no.330, pp.383-388, 1962-07-05 (Released:2009-06-30)

鋸は人間に知られた最も古い道具の一つであるが,その起源と発達に就いての資料は非常に乏しい。もとより大書すべきものではないが,日常鋸刃にたずさわる因果的な境遇から,浅学非才をかえりみず本小史をこころみた次第である。
著者
武田 和夫 石黒 寛 田中 里恵 丸山 純一 笠松 隆志 大川 真 堀 伸二郎
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.280-288, 2002-10-25
参考文献数
7
被引用文献数
2 11

残留農薬の一斉分析に,GC/MS/MSを使用したときの感度及び精度を明らかにし,その有用性を検証することを目的として検討を行った.4種の農産物(ほうれんそう,にんじん,たまねぎ及び玄米)をそれぞれアセトン抽出し,GPCカラム及びグラファイトカーボンカートリッジで精製したものをマトリックス試料とし,35種類の農薬を添加して分析精度の検討を行った.その結果,検出限界はGC/MS (SIM)と比較してほぼ同等であった.各種マトリックスを添加した農薬標準溶液の測定再現性は,0.1 μg/mL及び0.05 μg/mLの濃度においてそれぞれ良好であったが,0.02 μg/mLでは35農薬中20農薬において変動係数が 10% 以上となった.SIM測定では避けられないマトリックス成分による妨害ピークも,GC/MS/MSを使用することによって影響を排除できる例が複数確認された.
著者
楊 中〓 菅原 和夫 伊藤 厳 丸山 純孝 福永 和男
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.102-108, 1987-07-31

待機利用条件下におけるオーチャードグラスの種子登熟歩合と自然落下率の変化および春の刈取りが種子生産に及ぼす影響を検討するため,帯広と川渡において実験を行った.主要な結果は以下のとおりである.1)出穂開始の約70日後に約50%の種子が自然落下し,この時点ではすでに種子の大部分が発芽能力を有していた.したがって,利用の待機期間をこの時期までとしれば,確実に自然落下種子量を確保することができるものと考えられる.2)5月28日から6月10日(出穂開始日)までに帯広で行った刈取り実験では,早い時期の低刈りおよびやや遅い時期の高刈り処理によって,出穂茎の形成がある程度促進され,出穂1週間前までの刈取り処理のほとんどが種子の生産に大きな影響を及ぼさないことが認められた.しかし,出穂の3日前以降の刈取り処理におけるオーチャードグラスの出穂率,種子の千粒重および発芽率は著しく低下した.3)オーチャードグラスの春の刈取りによる地上部除去量と幼穂の被害率との間にS字曲線を示す関係が認められた.地上部除去量が40cm以上になると,幼穂の被害率が急激に増加した.したがって,春の利用量がこれ以下であれば,種子生産に及ぼす影響がほとんどないものと考えられる.4)帯広と川渡のいずれにおいても出穂の10日前までの刈取り処理では,オーチャードグラスの出穂に及ぼす被害はほとんど認められなかった.以上の結果から,オーチャードグラスの春における利用は,適切であれば,種子生産に及ぼす影響がほとんどないことが明らかになった.自然下種による植生回復を効率よく行うための種子量を確保するためには,出穂の10日前から70日後までの休牧期間が必要である.
著者
丸山 純一 長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.151, pp.31-36, 2006-07-06

本稿では,悪意あるユーザによって不正に改造され,利己的な挙動をするTCP(tampered-TCPと呼ぶ)がネットワークに与える影響を評価する.具体的には,tampered-TCPの中でもウィンドウサイズの上げ幅と下げ幅を変更したものを対象とし,数学的解析手法を用いて,TCP Renoコネクションとtampered-TCPコネクションが共存する環境における,tampered-TCPコネクションの平均スループットを導出する.さらに,シミュレーション評価によって数学的解析手法の妥当性を検証するとともに,以下の3点を明らかにする.(1)上げ幅が3以上の場合,再送タイムアウトが増加することによってスループットが低下すること,(2)下げ幅を小さくすることでスループットが増大すること,(3)下げ幅を小さくすることの効果より,上げ幅の増加によるスループットの低下の影響の方が強いこと.これらの結果を通じて,tampered-TCPの有効範囲がごく狭い領域に限られることを示す.