著者
本 秀紀 愛敬 浩二 森 英樹 小澤 隆一 植松 健一 村田 尚紀 木下 智史 中里見 博 小林 武 上脇 博之 奥野 恒久 近藤 真 植村 勝慶 倉持 孝司 小松 浩 岡田 章宏 足立 英郎 塚田 哲之 大河内 美紀 岡本 篤尚 前原 清隆 中富 公一 彼谷 環 清田 雄治 丹羽 徹 伊藤 雅康 高橋 利安 川畑 博昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

比較憲法研究・憲法理論研究を通じて、(1)先進諸国が「ポスト・デモクラシー」という問題状況の中でさまざまな問題を抱えていること、(2)各国の政治状況・憲法制度の差異等が原因となって、その問題の現れ方には多様性があること、の2点が確認された。そして、「ポスト・デモクラシー」の状況の下で国内・国際の両面で進行する「格差社会」化の問題は、今日の憲法制度・憲法理論において有力な地位を占める「法的立憲主義Liberal Democracy」の考え方では、適切・正当な対応をすることが困難であることを明らかにした。以上の検討を踏まえて、民主主義をシリアスに受け止める憲法理論の構築の必要性が確認された一方、「政治的公共圏」論を抽象論としてではなく、(日本を含めた)実証的な比較憲法研究との関連において、その意義と問題点を検討するための理論的条件を整備した。
著者
巽 好幸 谷 健一郎 川畑 博
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.Supplement, pp.S15-S20, 2009 (Released:2012-01-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

小豆島には,瀬戸内火山帯の一部をなす中新世の火山岩類(瀬戸内火山岩類)が分布する.これらは,他地域の瀬戸内火山岩類と比べて以下の特徴を有する:(1)比較的規模の大きい複成火山体をなす.(2)水中火山活動の証拠が顕著に認められる.(3)玄武岩から流紋岩までの広い化学組成を有する.(4)斑状火山岩と比較的無斑晶質な火山岩(サヌキトイド)まで,岩相変化に富む.(5)サヌキトイドの複合溶岩流が存在する.(6)初生的な安山岩(高Mg安山岩),玄武岩が産する.ここでは,主にこれらの特徴を簡略に説明する.
著者
市山 祐司 相馬 伸介 華房 康憲 田村 芳彦 川畑 博 布川 章子
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.106, 2010

海洋研究開発機構(以下JAMSTEC)では、平成19年にデータ・サンプルの取り扱い方針を定めて、JAMSTECの船舶で採取されたデータ・サンプルを一元的に保管・管理し、一定の公開猶予期限を経たのち公開を行っている。岩石サンプルについては、深海底岩石サンプルデータベース「GANSEKI」<SUP>*</SUP>において岩石サンプル情報の公開を行っている。本大会では、岡別府ほか(2006)によってGANSEKIの構築の前段階における概要が紹介されていたが、その後2006年10月の外部公開より本格運用が開始され、幾度かの機能改修を経てデータベースとして軌道に乗りつつある。本発表では、GANSEKIの現状と今後の展望についての紹介を行う。<BR> JAMSTECは四半世紀にわたり、島弧周辺域(伊豆・小笠原など)、中央海嶺(太平洋、大西洋、インド洋)、海洋島(ハワイ諸島など)といった様々なテクトニックセッティングから火成岩や堆積岩、チムニー、マンガン酸化物などを船舶・潜水船を用いて採取してきた。現在GANSEKIでは、これらのサンプルのメタデータ18700件、分析データ11200件、アーカイブサンプル7300試料を公開している。<B>アーカイブサンプルについては、研究・教育・展示目的であれば随時無償提供を行っている<SUP>§</SUP></B>。<BR> GANSEKIでは、サンプルを採取した航海名、船舶(潜水船)、緯度・経度・水深、海域、岩石名などのメタデータによる検索や地図上にプロットした潜航またはドレッジ地点からの検索が可能である。検索結果にはサンプルのメタデータが表記され、分析データとアーカイブサンプルの有無が確認できる。アーカイブサンプルがあるものは、サンプル写真やサイズ・重量を閲覧することができる。分析データは、「JAMSTEC深海研究」や一般学術誌の掲載データや研究者の未公表データなどから収集した全岩組成と鉱物組成が登録されており、CSVファイルでダウンロードが可能である。<BR> 昨年度からは、国際的岩石化学ポータルサイト「EarthChem」<SUP>**</SUP>との連携を開始した。これにより、GANSEKIに登録されている分析データを持つサンプルをEarthChem上で検索することが可能となった。今後は海外の研究者からのアクセスやサンプルリクエストの増加が期待される。また、今後は薄片写真や記載情報の公開、分析データの収集、堆積物コアサンプルデータや地球物理データとの統合などを視野に入れ、データベースのさらなる質の向上を目指していく。<BR><SUP>*</SUP> http://www.godac.jamstec.go.jp/ganseki/index_jp.html<BR><SUP>**</SUP> http://www.earthchem.org/<BR><SUP>§</SUP>問い合わせ先:dmo@jamstec.go.jp<BR>
著者
川畑 博昭
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、ペルーの憲法裁判所が2000年代半ばから積極的に権利保障機能を果たした事実を、憲法裁判所自身の広報活動と憲法訴訟手続法の制定から捉えた。1990年代後半とは異なる政治社会環境がそれを可能とした。ペルーの憲法学はこの現象から、社会問題の解決を憲法裁判所に求める傾向(法の憲法化)や従来とは異なる憲法をめぐる政治の可能性(新たな立憲主義)を見出していることがわかる。最終年度は、ペルー先住民文化と憲法裁判所に焦点を当て、比較の観点から、アメリカ石油パイプライン建設先住民反対運動の研究に着手した。