- 著者
-
鈴木 久美
大畑 美里
林 直子
府川 晃子
大坂 和可子
池口 佳子
小松 浩子
- 出版者
- 一般社団法人 日本がん看護学会
- 雑誌
- 日本がん看護学会誌 (ISSN:09146423)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, pp.32_suzuki_20171120, 2018-01-01 (Released:2018-02-09)
- 参考文献数
- 23
要 旨 目的:本研究の目的は,乳がんおよび乳房自己検診,マンモグラフィ検診に対する健康信念を高めて行動変容を促進するために,乳がん早期発見のための乳房セルフケアを促す教育プログラムを実施し,その効果を明らかにすることとした.方法:対照群を置かない前後比較の介入研究デザインを用いた.20 歳以上で乳がん既往のない女性42 名を対象に,教育プログラムを乳がん体験者と協働のもと実施した.介入効果の検討は,定期的乳房自己検診およびマンモグラフィ検診の実施状況,日本版Champion Health Belief Model Scale(CHBMS)を用いて,介入前後で評価した.結果:対象は,平均年齢50.6 歳(SD=11.5)で,有職者が59.5%,乳腺疾患のある者が16.7%だった.定期的乳房自己検診実施率は,介入前21.4%に比べ介入後1 年で54.8%(χ2 値=9.389, p=0.002,効果量w=0.602)と有意に高かった.マンモグラフィ検診受診率でも,介入前23.8%に比べ介入後1 年で47.6%(χ2 値=8.100, p=0.004,効果量w=0.569)と有意に高かった.日本版CHBMS の「乳房自己検診の自己効力感」は,介入前後で有意差が認められ(F 値=34.080, p<0.001,効果量f=0.586),介入前よりも介入後1 カ月,6 カ月,1 年で得点が有意に高かった.また,90%以上の者が,プログラムを満足かつ有用と評価し,内容や方法も適切であると回答した.結論:本プログラムは,対象者の「乳房自己検診の自己効力感」を高め,乳房自己検診,マンモグラフィ検診への動機づけを強化し,定期的乳房自己検診実施率およびマンモグラフィ検診受診率を高める効果があることが示された.