著者
森 英樹 原 正之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

コラーゲンゲル上に紫外線を照射することによって、コラーゲン分子間に架橋を施し、ゲルの粘弾性を変化させることができた。コラーゲンゲル表面を短冊状にマスキングした状態で紫外線照射を施すことによって、紫外線照射部の短冊状パターンを作製、その上で脳毛細血管内皮細胞株(bEnd.3)を培養した。bEnd.3細胞はコラーゲンゲル上の紫外線照射部に接着し、増殖した。更に、ニューロスフェアを形成したマウス神経幹細胞/前駆細胞を播種し、分化誘導培地で培養することによりbEnd.3細胞と神経幹細胞/前駆細胞からの分化細胞とのパターンを作製することができた。
著者
森 英樹 上條 隆志 正木 隆
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第127回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.244, 2016-07-08 (Released:2016-07-19)

木本性ツル植物は樹木に取り付くことで、その生育を阻害し、結果的に森林の構造や動態に影響を及ぼすと考えられている。しかし、このような知見の多くは熱帯や亜熱帯地域に集中していて、温帯林ではごくわずかである。そこで本研究では、冷温帯林における木本性ツル植物の空間分布を明らかにし、ホスト樹木、地形および自然攪乱の影響の大きさを検証した。調査地は北茨城市に位置する小川試験地(6ha)である。樹木(DBH1cm以上・全18664本)に取り付くツル植物の種、DBH、位置を記録した。ツル植物は計1408本、計10種記録された。このうち個体数が最も多かった5種(フジ、ツルマサキ、イワガラミ、ツルアジサイ、ツタウルシ)を解析対象とした。本研究の結果からは、温帯林におけるツル植物はホスト樹木の選択性が強く、熱帯林とは対照的に、自然攪乱がツル植物の分布に及ぼす役割は小さいことが示唆された。また、種によって地形の選好性が異なり、種ごとの分布に反映されていると考えられた。
著者
種子田 春彦 鈴木 牧 井上 みずき 森 英樹
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.63-70, 2019 (Released:2019-08-08)
参考文献数
31

つる植物は、直立した植物に寄りかかって伸長成長を行う生活形を持つ。力学的支持のために茎や根への投資するエネルギーが少ないために、速い茎の伸長と旺盛な成長が可能となる。そして、マント群落として知られるように直立した植物に覆いかぶさるような勢いで繁茂する。このようなつる植物を、次の二つの理由から特集で取り上げた。一つ目の理由は、森林動態への重要性である。熱帯を中心とした研究から、つる植物の存在が森林の遷移や種組成にあきらかに負の影響があることが分かってきた。しかし、日本を含む温帯域での研究は少ない。もう一つの理由は、つる植物の生態の多様性にある。旺盛な成長を可能にした「つる性」は、一方で植物の生態にさまざまな制約を課す。これを克服するために発達させた生態学的または生理学的な性質が、つる植物にみられる多様な生態を作り出したと言えるだろう。本稿では、つる植物について簡単に説明した後、特集に掲載された4報の論文について概説する。
著者
本 秀紀 愛敬 浩二 森 英樹 小澤 隆一 植松 健一 村田 尚紀 木下 智史 中里見 博 小林 武 上脇 博之 奥野 恒久 近藤 真 植村 勝慶 倉持 孝司 小松 浩 岡田 章宏 足立 英郎 塚田 哲之 大河内 美紀 岡本 篤尚 前原 清隆 中富 公一 彼谷 環 清田 雄治 丹羽 徹 伊藤 雅康 高橋 利安 川畑 博昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

比較憲法研究・憲法理論研究を通じて、(1)先進諸国が「ポスト・デモクラシー」という問題状況の中でさまざまな問題を抱えていること、(2)各国の政治状況・憲法制度の差異等が原因となって、その問題の現れ方には多様性があること、の2点が確認された。そして、「ポスト・デモクラシー」の状況の下で国内・国際の両面で進行する「格差社会」化の問題は、今日の憲法制度・憲法理論において有力な地位を占める「法的立憲主義Liberal Democracy」の考え方では、適切・正当な対応をすることが困難であることを明らかにした。以上の検討を踏まえて、民主主義をシリアスに受け止める憲法理論の構築の必要性が確認された一方、「政治的公共圏」論を抽象論としてではなく、(日本を含めた)実証的な比較憲法研究との関連において、その意義と問題点を検討するための理論的条件を整備した。
著者
佐々木 敏弘 崎山 一幸 弘田 泉生 藤田 篤志 山下 秀和 大森 英樹
出版者
パワーエレクトロニクス学会
雑誌
パワーエレクトロニクス研究会論文誌 (ISSN:09167269)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.27-34, 1998-10-01 (Released:2010-03-16)
参考文献数
2

Simulation technique is quite effective for the most optimized design of an induction-heated(IH) cooking appliance in which both electromagnetic field and thermal flow require to be controled. We developed the system of nonliner analysis for electromagnetic field and thermalfluid by finite element method. By this system it is possible to simulate the behavior of electromagnetic field which causes induced currents and the behavior of thermal fluid simultaneously. This paper presents the results of performance evaluation for the new IH rice cooker as one of the applications of this system.
著者
北村 晃寿 矢永 誠人 岡嵜 颯太 片桐 悟 中西 利典 森 英樹
出版者
国立大学法人 静岡大学理学部地球科学教室
雑誌
静岡大学地球科学研究報告 (ISSN:03886298)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.87-95, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)

On July 3, 2021, a debris flow caused by a landslide from an embankment occurred along the Aizome River in the Izusan area of Atami City, Shizuoka Prefecture, central Japan, and buried sabo dam which was located approximately 450 m downstream of the embankment. Shizuoka Prefectural Government sampled one 13.1-m long core of deposits buried in the sabo dam in late August 2021. In this paper, radiocesium concentration was measured and grain compositions was investigated for this core sample. As a result, 134Cs and 137Cs released from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant in mid-March 2011 were detected, and these markers specified the depositional surface at mid-March 2011 at 3.95-3.85 m core depth. In addition, the occurrence of fragments of both mudstone and chert in the overlying sediments indicates that the 3.74 m-thick portion was definitely the debris flow deposit.
著者
山口 麻里 山本 彩乃 安富 陽平 長尾 洋 大野 貴司 森 英樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.245-249, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
17

症例は70歳代,男性。眼の違和感に対し市販の点眼薬を使用開始したところ,眼囲に瘙痒を伴う紅斑,腫脹が出現した。点眼薬の使用を中止の上,ステロイド軟膏の外用を行い,数日間で症状は軽快した。パッチテストでは,点眼薬で陽性。成分パッチテストではアミノカプロン酸で陽性だった。アミノカプロン酸はかつては止血剤として使用されていた抗プラスミン剤だが,現在医療用剤は販売終了している。しかし,止血,抗アレルギー,抗炎症作用と様々な作用を有するため,現在でも医薬品や医薬部外品の成分・添加物として汎用されている。日常生活品にも多岐にわたって使用されており,アミノカプロン酸に対しアレルギーを有する患者は注意が必要である。 (皮膚の科学,17 : 245-249, 2018)
著者
大森 英樹
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.12-28, 1998-01-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
17
著者
森 英樹 石橋 真実 渡邊 謙太郎 牧田 文子 宮下 雄博
出版者
岡山赤十字病院
雑誌
岡山赤十字病院医学雑誌 (ISSN:09158073)
巻号頁・発行日
no.29, pp.58-62, 2018-11

近年、残薬やポリファーマシーが社会問題になっている。患者の服薬アドヒアランス向上の対策として錠剤の一包化や服薬カレンダーの利用、可能な場合には配合剤に変更し薬剤の種類を減らすこと等が考えられる。そこで当院糖尿病外来通院中で経口糖尿病を使用中の患者314名に配合剤に対するアンケートを行った。また、同じ内容のアンケートを当院薬剤師と近隣の保険薬局薬剤師、合計69名に行った。なお、薬剤師へのアンケートは薬剤師が思う患者(患者の立場)の意見とした。結果として患者の配合剤への変更の希望が64.6%に対して薬剤師の思う患者の意見は46.4%であった。変更に対する意見として「少しでも内服する薬の数が減ると有り難い」が患者は68.2%に対して薬剤師は45.7%、「変更しないで今までと同じ薬を継続する方が安心できる」が患者は11.5%に対して薬剤師は40.0%と大きな乖離がみられた。薬剤師だけに質問をした項目のうち現在処方している薬剤の服薬錠数や服薬回数を減らしたいと思いますか」という設問に対して「はい」と回答した薬剤師は89.5%と高い値であったにもかかわらず「薬剤変更の提案を行ったことはありますか」の回答では「たまにする」「よくする」と答えた薬剤師は20%であり、大きく半数を下回っていた。このアンケート結果より薬剤師は配合剤を医師に処方提案し、少しでもアドヒアランス向上に寄与したいと考える。(著者抄録)
著者
森實 俊充 木村 紀之 大森 英樹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.134, no.10, pp.NL10_3, 2014 (Released:2014-10-01)

Our research focuses on the power conversion system and the electrical machinery system based on the powerelectronics technology. Our research group consists of three laboratories. Three faculty members, 38 students are with the research group.
著者
前田 吉昭 森吉 仁志 佐古 彰史 栗原 将人 井関 裕康 小谷 元子 綿村 哲 大森 英樹 池田 薫 勝良 健史 亀谷 幸生 坂内 健一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

数論、代数幾何学、微分幾何学、トポロジー、それに数理物理、素粒子論を中心として、非可換な対象物を扱い、新しい幾何学の流れを構築することを目標に置いている。本研究の特徴は、基軸となる研究である変形量子化問題と非可換幾何学を推進し、これによる微分幾何学の非可換化(量子化)手法を確立させ、それを発展させるというまったく新しい立場からの研究を行うことにある。特に、Non-formal deformation quantizationの手法を用いて、数学および素粒子物理学との融合研究を進め、この分野の国際的なネットワークを構築することを目的としている。
著者
森 英樹
出版者
福井県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、意味変化を分析する際に語彙的視点と構文的視点という2つの視点を想定することによって、同一構文の意味変化であっても、視点の違いによって文法化と見なせたり語彙化と見なせたりすることを示した。日本語と英語等の他言語における命令形表現を中心に、共時的・通時的データを収集・分析し、ケーススタディとして国内外での学会発表や論文を通して本分析の妥当性を検証した。本研究の成果は、今後、構文の概念を重視する認知言語学、構文化を扱う最新の意味変化理論といった関連分野における研究として発展させることができる。
著者
戸田 登志也 小阪 英樹 寺井 雅一 森 英樹 辨野 義己 家森 幸男
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.243-250, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
24
被引用文献数
4 13

L. lactis subsp. cremoris FC (1.5×109CFU/g以上) とS. salivarius subsp. thermophilus 510 (3.1×107CFU/g以上) および豆乳を20%含むドリンクタイプの発酵乳を試験食として健常な高齢者70名 (平均年齢67.1±4.8歳) を対象に飲用試験を行った. 被験者を2群に分け, 1カ月間の休止期間をはさんで試験食および対照食 (L. lactis subsp. cremoris FCを含まない発酵乳) 各々150gを毎日1カ月間ずつ摂取させるクロスオーバー試験とした. 排便量は, 摂取後2週間で試験食群, 対照食群とも非摂取期に対して有意に増加した. しかし, 排便回数と排便日数は, 試験食群では有意に増加したのに対して対照食群では増加傾向は示したものの有意ではなかった. また, 試験食群, 対照食群ともに便形状, 色, 排便後のスッキリ感が改善され, 特に便秘傾向者でその傾向が大きかった. 試験食群では菌叢に対するBifidobacterium の占有率が増加し, Clostridium perfringens の検出率は減少する傾向を示したが, 対照食群においては変化がみられなかった. さらに, 試験食群では糞便アンモニア量が減少する傾向がみられた. これらの結果から, 試験食発酵乳は対照食発酵乳と比較して整腸効果が高いと考えられた.
著者
森 英樹
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-34, 2003-03

1フランス文学と漢文学との出会い(その八)クロ.___デルと "タオ"森英樹第一章 フランスのカトリック詩人・劇作家ポール・クローデル(1868-1955)は、その26歳から41歳にかけて外交官として赴任した中国に前後三度にわたって滞在した。一度目の滞在は1895年7月から1899年10月にかけて(上海領事代理、福州及び漢口副領事館事務代理、福州副領事)、二度目は1900年末から1905年2月にかけて(福州及び天津領事など)、そして三度目は1906年5月から1909年8月にかけてであった(北京公使館一等書記官、天津領事)。 かれはその随想集『接触と環境』(《Contacts et circonstances》)中のエッセー(→「中国のこと」)においてみずから言う。わたしはその生涯の15年間を中国で過ごした。老いた西太后や光緒帝に謁見したこともある。行進する袁世凱の姿を見かけたこともある。また孫文は知己のひとりであった。わたしは中国と中国の人々とをこよなく愛した。ここにおいて見聞し身近に接触し体験するさまざまの事象がほとんど自分の嗜好に乖くものではない。あらゆる種族や風習や臭気が活気に満ちて渦巻き、沸騰し、共生しているこの国のなかにあって、わたしはみずから水中の魚のごとくに感じていた。中国の人々はわたしにとっていわば"異郷にある同じ神の子ら"(nOSfrére séparés)のように思われた、と(1926年,OEv.en prose.P.1020sqq.)。2 クローデルが中国と初めて接触したのは、かれが21歳のおり1889年のパリ万博において安南の芝居を見たのがそれであったという。文学的方面について言えば、エルヴェ・ド・サン・ドニの仏訳『唐代詩集』(→拙稿NO29et NO30)の存在は無論知っていた。知ってはいたがこれを読み通したらしい明瞭な痕跡は見出せないから、実は披読しなかったのかも知れない。『クローデルと中国的世界』の著者G・ガドッフルもまたクローデルはデルヴェを読んでいないと断定している。 ジュディット・ゴーチェの可憐な『白玉詩書』(一拙稿N・34et 35)は、クローデルはこれを福州時代に携帯しておりみずからその幾首かを翻案した(→《Autres poëmes d'aprés le chinois》)。その2年後に出た翻案詩集(一《Petit poëmes d'aprés le chinois》)は、 Tsen Tsong-mingなる中国人が出版した《唐代絶句百選》なるいささか怪しげな仏訳詩集を種本にしたもので、英訳と仏訳が並記されている。この英訳はクローデル自身のものなのか、それとも余人のものなるか判明でない。アーサー・ウエリーの『中国詩百七十首』は1918年に出ているが、クローデルはこの英訳をも読んでいないとガドッフルは言っている 魅惑的な形象と構成の哲学をもつ漢字については、レオン・ヴィジェルの著書に啓発されながら、『西洋の表意文字』を書いている。これはS.マラルメの『英語の単語』に比較されるべき、単語をめぐる詩的想像と類推を展開させたエッセーである。 ちなみに『史記』を翻訳し、「T'oung Pao」の主幹となり、当時のヨーロッパのシノロジーに君臨して名声の高かったE・シャバンヌ(→拙稿N・29.p.87)はクローデルとはルイ・ル・グラン校の仲間であったが、そうした一連のシノロジストの著作のいずれかをクローデルがとくに精読したという形跡も明らかではない。 クローデルと中国との関わりにおいて顕著な事件は、文学的方面よりは
著者
森 英樹 右崎 正博 大久保 史郎 森 正 大川 睦夫 小林 武
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

平成4年度は、3年間にわたる本研究の最終年度であったため、2年間の成果をふまえ総括的な検討をおこなった。すなわち、日本を含む先進資本主義国の従来の憲法学における議会制民主主義と政党制の理論史的枠組みを検討し(1年目)、各国の集中的検討による普遍性と固有性を析出し、あわせて日本の現状分析をおこなう(2年目)という研究成果にもとづき、日本の政治文化状況のもとで政党への国庫補助の妥当性にかんして一定の結論をみちびき出した。具体的には、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、イタリア、ニュージランドの各国における政党国庫補助の現状分析と、それを支え、あるいは批判する理論状況を検討したが、その結果みえてきたのは、各国における大衆社会の進行による議会制民主主義の形骸化、それにともなう選挙戦の変容などの共通点とともに、その背景にある各国の議会制民主主義の歴史の偏差であった。これらの成果をふまえ、日本で進行中の「政治改革」による選挙制度改革と政党国庫補助導入の動きを批判的に分析した。かくして、日本の「政治改革」を、先進資本主義諸国で共通に進行する新たな統治戦略としての政治改革との連動性のなかに位置づけることができ、日本固有の政治風土のなかで、いかに国民主権と民主主義を実現することが可能かについての共通の認識をうることができた。