著者
佐藤 誠 平田 幸広 河原田 弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J74-D2, no.7, pp.887-894, 1991-07-25

計算機上での3次元形状モデリングを効率よく行うためのヒューマンインタフェースを実現するには,実際の3次元物体と同じように形状モデルを直接に操作できるような環境を構成することが必要である.このような環境を仮想作業空間と呼ぶ.人間が手を用いて物体を操作する場合,視覚や触覚・力覚などの感覚を無意識のうちに用いている.仮想作業空間を構成するためには,これらの感覚情報を人間に対して統合的に与えることが重要である.そしてこれらはすべて計算機処理により人工的に生成する必要がある.以上のことに基づき,本論文では,仮想作業空間を構成するために必要な入出力装置として,空間インタフェース装置SPIDARを新たに提案する.この装置は,指先の位置情報を得ることができると共に,指先に力覚情報を与えることができる.このSPIDARを用いて3次元形状の生成・加工のための仮想作業空間を構成する.そして,この仮想作業空間での3次元形状の直接操作性に対する力覚情報の効果を調べる実験を行い,その有効性を確認する.
著者
竹川 英宏 塚原 由佳 平田 幸一
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.199-203, 2017 (Released:2017-10-14)
参考文献数
20

Ischemic stroke, accounting for approximately 60% of all strokes, is classified into lacunar infarction, atherothrombotic brain infarction, cardiogenic cerebral embolism and others. Lacunar infarction and atherothrombotic brain infarction are mainly caused by arterial thrombus and cardiogenic cerebral embolism results from venous clot formation. In patients with acute ischemic stroke, neurological symptoms should be frequently assessed by NIH stroke scale (NIHSS) in order to perform thrombolytic therapy with recombinant tissue–type plasminogen activator (rt–PA). NIHSS is a simple scale for assessing neurological symptoms, which can be reliably performed by nursing staff. Blood pressure lowering therapy is basically not required in acute ischemic stroke ; however, blood pressure should be kept below 180/105mmHg and repeated blood pressure monitoring is needed, when intravenous rt–PA is considered.Because recurrence and complicating diseases are not rare in acute ischemic stroke, in addition to vital sign monitoring, careful attention should be given to Cushing phenomenon, worsening of neurological signs, infection such as pneumonia, deep vein thrombosis, fall, convulsion and abnormal respiration. Assessment of swallowing function, including repetitive saliva swallowing test and modified water swallow test, and oral care are effective in preventing pneumonia. To achieve a favorable outcome of patients with acute ischemic stroke, the cooperation of all the medical staff involved in stroke medicine is needed. Particularly, appropriate nursing care is essential in detailed observation and management of patients with acute ischemic stroke.
著者
瀧口 徹 カンダウダヘワ ギターニ ギニゲ サミタ 宮原 勇治 平田 幸夫 深井 穫博
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.524-533, 2008-10-30
参考文献数
13
被引用文献数
2

本研究の目的はスリランカの12歳児DMFTの多寡に有意な歯科保健行動要因と社会経済的要因を確定し,重要な少数の予測要因に絞ることである.データはスリランカ国の西プロビンスの949名の学童からなる.3名の歯科医師がWHOの基準によって歯科健康診査を行った.DMFTを0と1以上の2区分にした指標を多重ロジスティック回帰分析(MLRA)の従属変数として用いた.MLRAの独立変数は4種類の歯科保健行動(4-DHBs),すなわちショ糖含有の食品もしくは飲料,歯磨き習慣,フッ化物歯磨剤使用,定期的歯科医療機関受診等,10種類の社会経済的要因からなっている.その結果,変数減少法によるMLRAで最終モデルと各変数のオッズ比が得られた.DMFTの分布は指数関数的な減少傾向を示した.男女間および3民族間のDMFTの違いは有意でなかった.フッ化物歯磨剤がDMFTに関連した最も影響力の強い保健行動であり,一方,最も重要な社会経済的要因は民族の違いであった.4-DHBsの組合せの違いは伝統的な宗教的な慣習や嗜好に由来するように思われ,う蝕に対して時に相加的効果,時に相殺的効果を及ぼすと考えられる.対象プロビンスとスリランカ全体の経済的発展に伴って将来のう蝕が増加する可能性は関連データの不足のため否定できない.それゆえ,今回明らかになったう蝕の要因をモニタリングし,西プロビンスの非常に低いDMFTの原因を解明するための疫学的研究が必要である.
著者
平田 幸夫 瀧口 徹 カンダウダヘワ ギターニ 深井 穫博 山本 龍生
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.152-162, 2010-04-30

スリランカでは内戦が終わり,飛躍的な経済的発展が期待されている.しかし,この発展は歯科疾患を含む生活習慣病をもたらすかもしれない.それゆえ,ハザードの兆候をとらえ,避けるために歯科保健行動に関連した社会経済的研究が不可欠である.本研究の目的は学童の歯科保健行動の決定因子になりやすい社会経済状態および地域発展の両方を評価する単純な指標を見いだすことである.スリランカにおいて949名の12歳児学童が対象者として無作為に選ばれた.人種,父母の学歴,職業,月収が社会経済状態の指標として調査された.地域開発の指標として,主として耐久消費材からなる24項目の家庭関連項目の所持率も合わせて調査された.これらの指標と甘味食/飲料,歯磨き習慣,フッ化物含有歯磨剤,定期的歯科医療機関受診の4つの歯科保健行動指標との関係が調査された.社会経済状態と家庭関連項目は複雑に歯科保健行動に影響している.家庭関連項目は「贅沢品」,「生活必需品」,および「使用人」の3つの因子に集約された.これら3つの因子は社会経済状態と4つの歯科保健行動の指標に異なった関わりがあることが明らかになった.さらに,3つの因子の因子負荷量の2値反応の単純合計が各因子の代用指標に使うことができることが判明した.これら3つの代用指標は調査項目を限定しなければならない条件下で月収,学歴のような関連項目に対する回答拒否率が高い場合に有用と考えられる.
著者
内潟 安子 平田 幸正
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1391-1391, 1989-12-25

第9回学内免疫談話会プログラム 平成元年7月1日 東京女子医科大学中央校舎1階会議室
著者
佐久間 正泰 正守 晋 原田 哲也 平田 幸広 佐藤 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.363, pp.27-32, 1999-10-18
被引用文献数
13

VR技術の応用例の1つとして教育支援がある。例えば、書道などのように筆の動きやその速度が重要である場合に、お手本を見て学ぶだけではなく、力覚を用いた教示をおこなうことは非常に有効な手段であると考えられる。著者らは、インターネットを介して遠隔で書道教示のできるシステムを開発した。本システムは、SPIDARを用いて力覚を生成し、その力により書道を教示、習得するシステムである。著者らは、実際に日本-ドイツ間で遠隔教示の実験をおこなった。その結果、教示前には日本の文字を知らなかった生徒は、お手本どおりの美しい文字を書けるまでには至らなかったが、筆運びの速度が、より先生のものに近づいたなどの教示効果が見られた。
著者
吉野 博子 米満 春美 荷見 澄子 雨宮 禎子 平田 幸正
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1001-1006, 1991-11-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

症例は糖尿病の既往のない50歳のインドネシア人男性で, 断食 (ラマダーン) 開始後11日目に傾眠傾向に陥った.来院時, 著明な脱水を認め, 著しい高血糖 (734mg/dl) と高ナトリウム血症 (151mEq/l) により血清浸透圧の上昇 (363mOsm/kg) を来たしていた.動脈血ガス分析では, pH7.321, PaO2 80.3mmHg, PaCO2 41.4mmHg, HCO-320.9mEq/lであった.高浸透圧性非ケトン性昏睡と診断後, ただちに0.45%食塩液の補液と速効型インスリンの持続静脈内注入 (CVII) を行ない, 脱水の改善と血糖の低下と共に意識状態も回復した, 高浸透圧性非ケトン性昏睡の誘因の多くは, 医原性であり注意を必要とすることはよく知られているが, 本例のような断食中に発症した症例の報告は見られず, 糖尿病者のラマダーン中における脱水に対しては十分な配慮が必要であることを示した1例である.