著者
米井 力也 平田 由美
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

(1)本年度は、昨年度に引き続き、『紅の豚』『ハウルの動く城』等の宮崎駿監督作品における〈女性表象〉について、日本語版と英語吹替版を対照させながら考察した結果、英語吹替版では〈自立した強い女性〉として描かれる傾向が強いことが判明した。ここには日本語から英語への翻訳の問題だけではなく、二つの文化におけるジェンダー表象の差異が反映していることを認識する必要があるだろう。(2)また、『もののけ姫』をはじめとする日本の中世を舞台に描かれた作品をとりあげ、「〈侍〉の表象」というテーマで、時代劇アニメーションで用いられる日本語の特性を分析したうえで、映像翻訳を介する〈侍〉のイメージの受容の問題についても考察した。〈侍〉の表象をとりあげたのは、時代劇の言葉を〈役割語〉と捉え、〈侍〉とその周辺の諸階層が用いる日本語が実際にその時代に話されたものではなく、「時代劇」というジャンルで形成されたものとして再検討することが必要だろうと考えたからである。(3)『もののけ姫』以外には、源頼光の四天王の一人、坂田公時が女性主人公という設定である『怪童丸』を分析対象にとりあげた。近年の時代劇アニメーションのいくつかに登場する女性と同様、この坂田公時も『風の谷のナウシカ』のナウシカに通じる〈戦士〉の側面を持っているため、〈戦う女性ヒーロー〉の一例として〈女性表象〉の変遷のなかに位置づけることも可能である。
著者
北原 恵 香川 檀 小勝 禮子 金 惠信 平田 由美 ジェニスン レベッカ 児島 薫 坂上 香 水野 僚子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2013-05-15)

このプロジェクトでは周縁化されてきた女性アーティストに焦点を絞り、ジェンダーの視点から、戦時中の女性画家の移動や、移民として国外に出た女性美術家について、包括的な調査研究を行った。研究は次の3本の柱から成る。①戦争・植民地体験と女性アーティストの実証的調査(長谷川春子、赤松俊子、谷口富美枝ら)、②東アジア圏の美術をめぐるネットワーク的移動の解明(朝鮮美術展・台湾美術展・満州国美術展など)、③現代美術における女性美術家の調査。これらの研究の成果は、「アジアをつなぐ 境界を生きる女たち 1984-2012」展や「官展に見る近代美術」展などにも生かされた。
著者
平田 由美 成田 龍一
出版者
大阪外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

研究の目的:本研究は、「毒婦物」と呼ばれる、1880年代前後の日本に出現した、実在あるいは架空の女性犯罪者を主人公にした実録風読み物の一群を近代国民国家成立期の規範的な女性像からの逸脱に対する抑圧的言説、否定的規定による女性のカテゴリー化とみなしてその表象行為じたいを分析対象として、近代におけるジェンダー編成を歴史的に考察することを目的として行われた。研究の経過:研究の基礎となる対象資料を文学テクストに限定することなく、新聞・雑誌などのジャーナリズムや錦絵、演劇脚本などの視角的メディアにまで及ぶ広範囲の資料調査を国内外で精力的に行った。この基礎調査をもとに具体的なテクスト分析の対象となる資料となる近世戯作・明治戯作、近代小説・近代戯曲、芝居絵・錦絵・錦絵新聞などを絞り込み、カード形式による整理を完了した(デジタル形式によるデータベース化は技術的、財政的困難のために将来の課題として残った)。テクスト分析の作業じたいは対象全体の7割程度まで進んだ。19世紀についていえばそのほとんどをカバーすることができており、報告書執筆におおむね差支えがないだけの作業が完了している。研究の成果:以上の作業結果として、歴史研究と文学研究、文化研究の如何を問わず、従来の「毒婦」に関する言説の多くが、二次資料や典拠不明の記述に依拠していたこと、そしてそのことによってステレオタイプ的な毒婦イメージが再生産されてきたことが実証的に明らかにされたと考える。研究成果の一部はすでに論文等として発表されているが、代表者による論考をさらに増補して、女性表象に関与するジェンダー力学の政治性に関する総括的論集として刊行する予定である。
著者
横山 俊夫 濱田 正美 平田 由美 麥谷 邦夫
巻号頁・発行日
1984 (Released:1987-03-31)

1)節用集は、15世紀の日本に生まれた和漢対照辞書であるが、このジャンルは、17世紀末の出版文化の興隆を経て、日用百科事典にまで拡充発展する。この種の大冊の節用集を「大全型節用集」として一括し、その体制安定化・文明化機能について初の学際研究が試みられた。2)大全型節用集の記述内容は、漢語指南、天文・歴史・地理指南、各種人占、命名法、方位・日柄禁忌指南など多岐にわたるが、いずれも文明化の基本としての礼法の構成要素であることを分析し、前近代日本社会の理解には、未開拓ながら必須の研究分野であることが発見された。3)その文明化機能の実態を明らかにするため、畿内を中心に所蔵家訪問調査を行ない、その結果、【○!1】この出版物が各戸で準聖典扱いをうけていたこと、【○!2】その影響力の分析には、各冊の地(けした)の奥より部分に出る条痕のパターンに注目すべきことが発見された。4)この地奥条痕の計量化分析法として、ドラムスキャナとコンピューターを駆使する技術が開発されるに至った。5)大全型節用集の使用態様データの分析は、まだ緒についたばかりであるが、18、19世紀の日本社会の都市部、農村部、街道筋に存在した、陰陽道とのかかわりの深い幾種類かの生活形態が明らかにされようとしている。6)本研究が開発した方法論は、他国の同種出版物の研究にも汎用可能であることが、各種学会発表を通じて明らかにされた。
著者
平田 由美子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.147-155, 2002-12-25 (Released:2011-01-31)

Now, the electrical rice cooker is very popular and is owned by over 90% of all the Japanese families.It has stable 6 million sales every year. It has been developed to the household necessity for 47 years since its release. I introduce some of recent technologies and the history of the rice cooker.
著者
伊豫谷 登士翁 平田 由美 西川 裕子 成田 龍一 坪井 秀人 美馬 達哉 イ ヨンスク 姫岡 とし子 坂元 ひろ子 足立 真理子
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

プロジェクトの目的は、ジェンダー研究の提起してきた課題をグローバリゼーション研究がどのように受け止めることができるのか、二つのG研究(ジェンダー研究とグローバリゼーション研究)の接点から現代という時代を読み解く課題をいかに発見するか、という点にあった。こうした課題への接近方法として、プロジェクトでは、移動する女性に焦点を当ててきた。それは、1)人の移動にかかわる研究領域が二つの研究領域を連接する接点に位置すること、2)二つのG研究が、国家の領域性と一体化してきた近代的な知の枠組に対する挑戦でもあり、定住あるいは居場所と対比した移動はそのことを明らかにするテーマのひとつであること、にある。プロジェクトでは、これまでの移民研究の方法的な再検討の作業から始め、民博地域企画交流センターとの共催で開催したシンポジウム「移動から場所を問う」は、その研究成果である。ここでは、人の移動にかかわる隣接領域の研究者を中心として、移動から場所を捉え返すという問題提起に対して、海外からの報告者9名を含めた11名の参加者を得た。移民研究の再検討を手がかりとして、移動のジェンダー化という課題を理論的に明らかにするとともに、人文科学と社会科学との対話を通じて、二つのG研究が提起する問題を模索することにした。<女性、移動、かたり>を掲げたワークショップは、韓国の世宗大学の朴裕河、アメリカのコーネル大学のブレット・ド・バリー両氏の参加によって、海外研究者との交流を進め、その成果の一部をオーストラリア国立大学、コーネル大学において報告した。これらワークショップを通じて、1)グローバリゼーション研究が新しい局面に入っており、2)再生産のグローバル化におけるジェンダーの課題として、ジェンダー研究の成果を踏まえた女性移民研究が要請されており、3)二つのG研究を含めた研究領域の間での対話の必要性が再認識された。
著者
坂本 薫 岩城 啓子 岸田 恵津 池田 ひろ 入江 一恵 平田 由美子 三崎 勝 太田 初子 岡本 佳子 安藤 孝雄 口羽 章子 金谷 昭子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.399-406, 2001-11-20
被引用文献数
1 or 0

今後の炊飯方法や炊飯意義を探る研究の一環として,無菌包装米飯に焦点を当て,無菌包装米の利用状況や意識などに関するアンケート調査と代表的な3社の製品に対する食味評価を行なった。アンケート調査では,持ち帰り米飯に対する回答と比較し、以下の結果を得た。1.無菌包装米飯を知っている者は77.2%,そのうち,使用したことがある者は50.8%であった。中高年男性群に無菌包装米飯を知らない者が多い傾向が見られ,若年女性群との間に有意差(p<0.05)が認められた。2.無菌包装米飯と持ち帰り米飯を利用する理由は,両者とも「すぐ食べられるから」を挙げていたのに加え,無菌包装米飯には「保存できるから」が特徴的な理由として挙げられていた。無菌包装米飯の利用後の感想は,「満足」と「まあまあ」をあわせると84.4%となり,8割以上の者がほぼ満足していると考えられた。3.無菌包装米飯を今後利用したいか否かに対しては,「積極的に利用したい」あるいは「ときに利用したい」とした者は40.1%,「できれば利用したくない」は53.9%であった。利用したくない理由としては,「ご飯は家で炊くべきだから」,「おいしくないから」が多かった。4.3社の製品の食味評価は,普段食べている米飯とほとんど差がないと評価された製品もあったが,製品により評価に著しい差が見られた。また,香りに対する評価が,総合評価に影響を及ぼしている可能性が示された。5.テクスチャーについては,B,C社製品はコシヒカリに比較的近いかたさと付着性を示す結果となった。以上,白飯の無菌包装米飯は,製品によりテクスチャーや食味評価に差があり,香りが総合評価に影響を及ぼす要因であると示唆された。よい評価を得た製品は,普段食べている米飯と食味上遜色はなく,常温保存できるという特徴から,今後さらに需要が伸びる可能性があるものと思われる。