著者
竹上 健 後藤 敏行 大山 玄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J84-D2, no.8, pp.1580-1588, 2001-08-01

赤外線眼球運動観測装置などで観測した頭部とカメラの相対位置が変化しない眼球画像を対象として,被験者に特定の指標を固視させるキャリブレーションを回避し,入力の時系列画像だけを用いて自動的にキャリブレーションを進める簡便かつ高精度な視線方向検出法を提案する.カメラとの相対位置が変化しない眼球画像には,瞳孔の中心座標と扁平率という視線方向を推定するための二つのキューがある.本手法は,絶対方向の推定が可能であるが検出精度や安定性に問題がある扁平率の情報を複数の画像フレームにわたって観測することにより,眼球の回転半径や回転中心などの眼球パラメータを校正することで,安定な視線方向検出を可能にするものである.実際の眼球画像を用いて評価実験を行った結果,偏平率に基づく視線方向の推定と比較して高精度な計測が可能になり,本手法の有効性を確認した.
著者
後藤敏行著
出版者
樹村房
巻号頁・発行日
2016
著者
蕪山 典子 立野 玲子 後藤 敏行 影井 清一郎 富樫 卓志 菅野 純夫 恒川 隆洋 野村 信夫
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.27-37, 2004 (Released:2004-07-15)
参考文献数
9

ヒト遺伝子の機能解明の手かがりとして、その産物であるタンパク質が細胞のどの小器官に局在するかに注目している。産生タンパク質をEYFPとの融合タンパク質として発現させると、タンパク質局在は蛍光顕微鏡下で各小器官に対応した蛍光像として観察される。約3万2千個と判明したヒト遺伝子の完全長cDNAクローンに対して網羅的に客観的な尺度によって局在する小器官を高速に判定するシステムを開発している。顕微鏡像を画像として記録し、パターン認識手法によって画像を小器官のカテゴリに分類するシステムである。ある遺伝子を導入しても細胞によって、現れる局在の像は多様である。本論文では、この多様性に適合する画像の分類を提案する。各小器官を標識する局在ベクターを用いた試行実験で97.9%の認識率が得られ、提案手法の有効性が検証された。今後は対象を完全長cDNAクローンによる局在へと拡張する予定である。
著者
佐々木 繁 佐藤 龍哉 岩瀬 洋道 後藤 敏行
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.26, pp.1-8, 1985-07-18

We developed a high-speed image processing system called IDATEN which can continuously process time-varying images at video speed. The basic design concept was the improvement of overall performance of the image processor system by adopting a new architecture. This paper proposes a "variable- structure pipeline" architecture which uses a network to allow communication among any of the processing modules. We expanded the Benes multi-stage switching network to produce a flexible high-speed pipeline processor. The experiments show the ease of programming and the effectiveness of this system.We developed a high-speed image processing system called IDATEN, which can continuously process time-varying images at video speed. The basic design concept was the improvement of overall performance of the image processor system by adopting a new architecture. This paper proposes a "variable- structure pipeline" architecture, which uses a network to allow communication among any of the processing modules. We expanded the Benes multi-stage switching network to produce a flexible, high-speed pipeline processor. The experiments show the ease of programming and the effectiveness of this system.
著者
後藤 敏行
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.74-86, 2007-05 (Released:2013-12-18)
被引用文献数
2

保存メタデータはデジタル保存の過程を支援,記録する情報である。その種類には,ファイルフォーマットに関する情報,重要属性に関する情報,利用環境に関する情報,固定性に関する情報,技術特性に関する情報,来歴に関する情報,等がある。研究開発の現時点での到達点はPREMISの最終報告書であり,保存メタデータ要素のコアセットを詳細に定義,記述している。相互運用性確保のために,メタデータのエンコードと通信の標準であるMETSでそれらを実装することが望ましい。効率的・効果的な保存メタデータ付与の課題として,保存メタデータの自動生成ツールの開発,リポジトリ間での保存メタデータ共有,デジタル情報作成者側の協力,がある。
著者
竹上 健 後藤 敏行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理
巻号頁・発行日
vol.97, no.509, pp.15-22, 1998-01-23

本論文では, 1台のカメラで入力した画像を処理することにより, 被験者に非接触でかつ頭部の固定や眼鏡等の装着なしに高精度な視線検出が可能なアルゴリズムについて述べる. 本手法は, 視線方向の変化に伴って角膜における光源の反射像の位置が虹彩領域 (黒目部分) 内で変化することに着目したもので, 虹彩領域内の角膜反射像の相対位置と視線方向との関係式に基づき, 画像処理により視線方向を推定するものである. 従来の瞳孔像と角膜反射像を利用する方法や頭部の方向を基準として視線方向を推定する方法と比較して, 照明系の光学条件が緩和でき, また安定な特徴として得られる角膜反射像や虹彩領域を利用することにより, 頭部に固定や指標等を装着することなく高精度な計測が可能になる. 評価実験の結果, 頭部が±30mm程度揺らいだ場合でも±15deg.の範囲で±0.5deg.の精度で視線方向の検出が可能であり, 本手法の有効性が検証できた.
著者
後藤 敏行
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.74-86, 2007-05
被引用文献数
2

保存メタデータはデジタル保存の過程を支援,記録する情報である。その種類には,ファイルフォーマットに関する情報,重要属性に関する情報,利用環境に関する情報,固定性に関する情報,技術特性に関する情報,来歴に関する情報,等がある。研究開発の現時点での到達点はPREMISの最終報告書であり,保存メタデータ要素のコアセットを詳細に定義,記述している。相互運用性確保のために,メタデータのエンコードと通信の標準であるMETSでそれらを実装することが望ましい。効率的・効果的な保存メタデータ付与の課題として,保存メタデータの自動生成ツールの開発,リポジトリ間での保存メタデータ共有,デジタル情報作成者側の協力,がある。
著者
後藤 敏行
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.256-267, 2012-11-01

本稿は,長尾真・前国立国会図書館長の「長尾構想」を検討する。長尾構想を推進する際,予算の制約上,できる範囲で資料の一部を対象にしていくやり方と,民間企業と連携してより多くの資料を対象にするやり方の2つがあると予測する。また,パブリックドメインと推定される資料,非市販または権利者不明と判断される資料を電子化して図書館内での閲覧,利用者への有償貸出に供する場合はオプトアウトを,市販中の資料を国立国会図書館のデータベースから出版社が販売するという仕組みについてはオプトインの規定を設けるべきと提言する。
著者
後藤 敏行
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.320-331, 2007-03

標題の事柄を,文献および事例に基づき整理・分析した。論点には,誰がアーカイビングを担うのか,どの段階のファイルがアーカイビングの対象になるのか,いつ誰がアーカイブにアクセスできるのか,アーカイブの財源をどこから調達するか,がある。既存のアーカイブには,Portico,オランダ国立図書館, LOCKSS,その他の第三者アーカイブや,法定納本制による対応があり,あり方は多様であるといえる。既存のアーカイブのあり方は多様である。今後は,それらの連携協力や,途上国の電子ジャーナルをアーカイビングの対象にすること,個々の機関による貢献,等が求められると考えられる。
著者
後藤 敏 大附 辰夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J57-A, no.11, pp.810-817, 1974-11-25

グラフの特定の2節点間のパスの長さ,あるいはカットセットの値の最大・最小を求めることは,それ自体でも意味ある問題であるが,各種の問題の部分問題として現れるので極めて重要である.従来,解法としてラベリング法に基づくグラフ的手法と線形計画法で代表される代数的手法がよく用いられているが,二つの手法が全く独立な立場から論ぜられており,両者のギャップを縮めるための研究はあまりなされていない.本文ではこれらの問題をグラフの基本カットセット行列あるいは基本閉路行列によって表されるキルヒホッフの法則を用いて線形計画法で定式化し,シンプレックス法による解法と1対1に対応した新しいグラフ的手法を導き,これらの問題が統一的に扱えることを示した.更に,シンプレックス法における基底・枢軸変換・双対性・退化などの概念がすべてグラフ理論と対応づけられることが明らかになった.又,本文で提案した方法はパス,カットセットの最大・最小問題の一般解を求めることができるため,実用的価値が高いと思われる.
著者
後藤 敏行
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.190-203, 2012-09-01

RFID (Radio Frequency Identification)を用いた図書館システムがわが国の図書館に普及しつつある。本稿は,図書館RFIDの導入館を対象に自由記述の質問紙調査を実施することによって,貸出・返却業務,蔵書点検業務,および不正帯出防止機能という,図書館RFIDの代表的な3機能について,現状における課題を考察する。44館からの回答を分析した結果,読み取り性能がより良く,関連機器がより使いやすく,壊れにくく,現状にはない新しい機能を備えたRFIDを,より安い価格で図書館が求めていることが明らかとなる。
著者
後藤 敏行 田村 直良 立野 玲子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.10, pp.1947-1957, 2010-10-01

電子楽譜の普及によりインターネットを経由して楽譜情報にアクセスできる環境が整ってきた.これに対して,視覚障害者が用いる点字楽譜はいまだ入手が困難である.筆者らは,電子楽譜( MusicXML )から点字楽譜を生成する自動翻訳システムを研究開発し,ホームページで公開するとともに,システムの評価と拡張を進めてきた.本研究では,交響曲などを含めた多様な楽譜に対応し,点字楽譜における短縮表現などの多様な表現形式を取捨選択できるように自動翻訳手法の機能拡張を行うとともに,インターネット上の電子楽譜を翻訳して提供する機能を開発した.本論文では,これらの機能と利用状況から示されたシステムの有用性について報告する.
著者
森野 比佐夫 後藤 敏行 田村 直良
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J85-D1, no.5, pp.402-410, 2002-05-01

点字楽譜は一般には五線譜として2次元的に表記される音楽情報を,点字を用いて表現するものである.本研究では,点字楽譜から五線譜を生成するための機能実現の第1段階として,点字楽譜の自動解析手法について検討を行った.点字楽譜を言語として見る場合,音符や曲想記号他の楽譜上の音楽情報を単語とする文と見ることができる.点字楽譜を計算機で解析するにあたって,単語(終端記号)が区切り記号のない不定長であり,単語に多義性があること,複数の修飾状態が交差することなど言語的な煩雑さを含むという問題がある.本論文では,点字楽譜のもつ問題や特殊性について議論するとともに,点字楽譜を文脈自由文法に基づく人工言語としてとらえ,言語処理の枠組みを用いた解析手法を提案する.更に,実際の点字楽譜を用いた評価実験の結果について報告する.
著者
阿部 亮介 後藤 敏行 田村 直良
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.90, pp.123-128, 2006-08-08

点字楽譜は,視覚障害者が楽譜を理解するために考案された記譜法である.近年,計算機の普及に伴い視覚障害者が従来以上に音楽に親しむ環境が整備されたことから,本格的な音楽知識獲得のために点字楽譜を学ぶ機会と人口は増加している.我々はこれまで,五線譜を点字楽譜に変換する自動点訳システムと,点字楽譜を解析し五線譜に変換する校正支援システムを構築し,特に校正支援システムにおいては,点字楽譜特有の曖昧性を解決し一意に特定の音楽記号として出力することは困難であることを確認した.また,現在点字楽譜の統合的なデータベースの構築が進められているが,印刷のためのデータ形式である既存の点字楽譜データフォーマットでは,蓄積や検索,再利用などの面で制限が多く,より柔軟に保存できる保存形式が必要であると考えられる.本稿では,従来の研究より得られた点字楽譜特有の曖昧性について議論し,次に点字楽譜の保存に適したXMLによる表現を提案する.最後に,既存の楽譜保存形式との比較を行い,曖昧性への対応について議論する.Braille music (Braille Musical Notation) is a musical notation designed so that a visually handicapped person may understand music. Recently, it is expected to increase the opportunity in which braille music is used as so that a visually handicapped person may learn music in earnest from the environment where a visually handicapped person was familiar with music beyond before having been prepared caused by the diffusion of the computer. By the usual research, we have built an automatic transcription system which can change 5-line music into braille music and the proofreading support system which can analyzed braille music and produce 5-line music. However, as for the proofreading support system, it was difficult to solve ambiguity of braille music and output it as a music sign in one meaning. And, though it proceeds with building of the integrative database of braille music at present, we think that the preservation form which can be preserved more flexibly is necessary, because an existent braille music data format is for the printing, and there are many limitations by accumulation, reference, reuse, and so on. In this paper, we discuss the ambiguity which is characteristic of the braille music which could get it more than usual research. Next, we propose an expression by the XML which is suitable for the preservation of braille music, and we compare it with an existent music preservation form, and discuss correspondence to the ambiguity.