著者
方 暁 小野 廣紀 久保田 朱里 井上 吉教 浦部 貴美子 灘本 知憲
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.775-781, 2010-12-15 (Released:2013-07-16)
参考文献数
14

The deodorizing activity against methanethiol (CH3SH) of compounds from Houttuynia cordata Thunb, “dokudami" in Japanese, were identified. The main deodorizing compound was isolated from the methanol extract of the dried aerial parts of H. cordata as caffeic acid. This is the first report to identify caffeic acid as the deodorant against CH3SH in H. cordata, although caffeic acid is an established compound. The reaction products of caffeic acid and CH3SNa were chromatographed, and three peaks were separated as the conjugates. Their structures were determined by MS and NMR methods to be those of 2-methylthiocaffeic acid, 5-methylthiocaffeic acid and 2, 5-dimethylthiocaffeic acid.
著者
有地 亨 三島 とみ子 緒方 直人 南方 暁 清山 洋子 生野 正剛 大原 長和 金山 直樹 久塚 純一 小野 義美 川田 昇 丸山 茂 松川 正毅 河内 宏 二宮 孝富 伊藤 昌司 UEKI Tomiko MISHIMA Tomi HISATSHUKA Junichi
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

われわれは、1990年秋と91年秋の2度に分けて、第1年目には英国第2年目には仏国および独国において、離婚、児童福祉、老人の3領域における各種相談・援助機関に関する実態調査を行なった。離婚の領域では、英国において、公私2つの研究機関と12の各種相談・援助機関のスタッフに対する面接調査を行い、質問票配布の方法による補足的調査をも行った。仏国では3つの公的機関と22の民間機関のスタッフならびに7人の研究者との面接調査を行い、同様の補足調査を併用した。独国では、民間機関である結婚生活相談所スタッフを調査対象に選んだ。英国では、離婚問題を抱えた当事者への相談・援助活動は、民間機関中心に行われており、夫婦関係の和合調整より、クリ-ン・ブレイクを目指す傾向が顕著であったが、仏国でも民間機関が中心であって、その活動にも同様の傾向が見られ、ここでの合意形成援助活動を司法手続の前段階として制度化する動きも確認できる。独国の上記相談機関は、法的問題と心理的問題を区別し、活動分野を後者に限定しているのが特徴であり、これが独国の一般的傾向を代表する。児童福祉の領域では、英国の公的機関13と民間機関4、仏国の政府機関をはじめとする公的機関8および民間機関11の、それぞれのスタッフと面接調査し、独国においては民間機関1および少年係検事1人を対象に調査した。英仏両国ともに民間機関に活動が顕著であり、各個に特色ある諸機関がその特色を活かしてキメ細かな援助を行なっていることが分かったが、特に、英国においては、公的機関と民間機関との連携が良く、総合的機関の確立も追求されている。独国でも、民間の青少年援助機関が、広義の社会的不適応者に対する社会化のための援助を行っているのが注目される。老人の領域では、英国では、研究者3、地方行政における福祉担当官や公的機関のスタッフや民間の営利・非営利の老人施設のスタッフに面接調査した他に、施設利用者15人に対しても面接調査し、さらに、質問票による補足調査からも多くの情報を得た。同様に、仏国でも高齡者施策に関与する諸機関を訪問してスタッフの面接調査をした(30件)後、福祉諸施設の現場を訪問した。独国では民間の老人ホ-ム経営体を訪問したにとどまる。この領域でも、英仏両国では、やはり民間機関が高齡者個々のニ-ドに応じた多様な援助を広範に提供しており、公的機関の役割はむしろ限定的であるが、両者の連携が重視されている。仏国でも、民間機関による援助が、質・量ともに顕著である。英国では、高齡者は総じて家族とは独立した生活を送っており、相談・援助は、家族との人間関係調整よりも実際的(経済的)援助中心であるが、仏国では、高齡者の自己決定の尊重を眼目としつつ、家族による精神的サポ-トのための民間機関の活動も重視されている。独国調査でも家族によるサポ-トのための民間機関の活動が重視されている。総じて、これらの海外調査の結果は、日本調査の結論としての「家族問題総合センタ-」の構想において、ともすれば公的機関中心に考える日本的発想への反省を迫るものがある。つまり、今回われわれが調査した国々では、家族問題への公的機関の関与は抑制的であり、その役割は財政的支援の範囲に限定されているようである。主導的な役割は、むしろ多様な民間機関が果たしているが、それを可能にしている背景には、その活動の担い手であるソ-シャル・ワ-カ-の専門性の高さとその社会的認知が存在することを見失ってはならない。多様な機関に所属しつつも、活動の担い手相互間には専門性という共通項があって、それが、わが国には見られないような機関相互間の良好な連携を生み出しているという点も、特記すべきことである。
著者
有地 亨 森下 伸也 三島 とみ子 丸山 茂 南方 暁 久塚 純一 緒方 直人 小野 義美 森田 三郎 二宮 孝富 生野 正剛 畑 穣 江守 五夫 黒木 三郎
雑誌
海外学術研究
巻号頁・発行日
1987

本研究は昭和59〜61年度科研費補助大研究「現代家族の機能障害の実態と紛争処理の総合的研究・・・法・政策のための基礎的調査研究」の続編にあたり, その成果を, 深化, 発展させるものである. 当該研究においてわれわれは, 家族機能を活性化させるためには「家族問題総合センター」の設立が必要であることを提唱した(この件に関しては62年1月に文部省公開シンポジウム「大学と科学」で報告). 本研究はこの構想を具体化するために英・仏での実態を明らかにすることを目的とする.我が国は昭和35年以降急激な家族変動に見舞われたため, このことから生じた家族問題に適切に対処する手段を, これまで持たなかった. 翻って英・仏などの先進欧米諸国では, 家族の変動は比較的穏やかに進行し, その過程で生じてきた家族問題に対しても, 様々の有効な処置が講じられてきたと考えられる. そこでこれら一連のファミリー・エージェンシーのシステムを研究し, さらに現在なお存続する家族問題の実態を調査し, これと比較研究すれば, 我が国での今後の対策の在り方をより具体的に提言できるはずである. 予備調査では, 英国における当該援助機関の概要を専門家の協力を得て把握した. ここで, 諸機関の歴史的発展状況, その構造, 運用の実態, 諸機関相互の関連に関して, 一定の理解が得られた.われわれの今回の英国訪問は, 旅行期間を併せて2週間という非常に限られた日程のものではあったが, SocialーLegalーCenterのメンバーの全面的な協力を得られ, 4に掲載した内容の調査研究を速やかに実施することができた. その詳細は『英国の家族援助機関に関する予備調査報告』にまとめているので, ぜひ御高覧戴きたい(本報告書にその写しを添付している).この海外学術研究は, 過去3年間の日本国内における調査研究の成果から, われわれが提唱した「家族問題総合センター」の具体的なイメージを作り上げるためのものである. そこで予備調査では, まずこれまでのわれわれの家族問題に関する研究の枠組みが彼の国においてそのまま使用できるのかという点と, 具体的にどのような機関を調査対象とするのが有益であるのかという点に, 目標を絞った.前者においては, 英国の家族研究者は一般的に, 現代の家族変動自体は問題を有する事柄であるとは見ておらず, そのことに伴って生じる様々な問題をいかにケアしていくかに, 研究の重点を置いているということが理解できた. しかし彼らのこの態度の背景には, 家族の機能障害に関してはすでに私的な援助機関が広汎に活動をしているので, 公的には問題性が薄れてきているのではないかということも, またある程度推測できた. この意味では, やはり私的な援助機関およびその利用者をわれわれの手で直接に調査し, 家族問題の実態をより詳細に把握する必要を強く感じる.そこで後者ともつながるのであるが, 今後の計画としては, 今回訪問し職員から事情を聴取してきたもののうち, われわれの問題関心に非常に隣接した機関と思われる, マリッジ・ガイダンス・カウンシル, プロベイション・サービス, 高齢者のためのエイジ・コンサーンなどに調査対象を限定し, 問題を抱えている家族の実態調査, 家族援助機関の利用状況などの実態調査を進めていきたいと考えている.
著者
樫村 志郎 山崎 敬一 南方 暁 棚瀬 孝雄 米田 憲市
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

紛争処理は広く合意型と裁定型に分けることができる.合意型の紛争処理においては,紛争処理過程の開始,進行とその結果が紛争当事者による承認ないし規範受容に結合されている(ただし,裁定型の紛争処理でも,紛争解決の最終結果の規範的妥当性が,制度的規範により構築されるにとどまり,その過程や結果の解釈等は,かなり紛争当事者の規範受容によって構築されたり影響されたりする).本研究では,合意型の処理において当事者の間のどのようなコミュニケーションがなりたっているのかを知ることを主眼として,エスノメソドロジーの知見を参考にしながら,複数の研究を行った.(1)まず,法社会学の研究と理論における,非公式紛争紛争研究のレビューを行った.(2)その上で,理論的分析としては,法的コミュニケーションを単なる相互了解としてではなく,法的場面を存立させるための根源的かつ基盤的作用をもつものとしてとらえる社会学的視角の総合と洗練を行った.(3)以上の理論的分析の上にたつ,経験的分析としては,まず,紛争当事者と法的専門家が公式・非公式の紛争処理の準備のために事件の分析を行う法律相談場面.紛争当事者と紛争解決者が合意にもとづく紛争解決を達成するために事件の分析を行う調停場面(シミュレーション)をとりあげて,詳しい分析を行った.(4)この経験的知見を確かめるために,人が日常的場面を理解しようとする際に規範へと言及する場面を半実験的に構成し,法制度的場面と比較した.これらの結果として,本研究は,理論的ならびに経験的分析を組み合わせて,合意型の紛争処理過程が,独特の制度的規範構造のもとで起こるコミュニケーションとして,日常的なコミュニケーションと区別されることを示すことに成功した.
著者
立木 実 森田 英一 山田 健二 方 暁東 小林 猛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.333, pp.25-30, 1996-10-30

Pulsed Laser Deposition(PLD)法に特有の, 液滴状粒子を排除するのに大変有効である一方, 活性成長種が基板に到達しにくい, 低圧での薄膜堆積速度が小さいという, 従来のエクリプスPLD法の弱点を克服することを目的として, 複数のリング状により遮蔽マスクが構成されるエクリプス・エンジェルPLD法を新たに提案し, シミュレーシヨン及び実験の両面から特性を評価した. その結果, YBa_2Cu_3O_xの成膜において雰囲気酸素圧0.1Torr以下の低圧域での堆積速度が向上し, フレーミングストリークカメラによるプルーム像の高速観察の結果, マスク構造の中心部を通ってくる発光粒子群が基板に到達できることを確認した.