著者
江崎 雄治 栗田 邦明 松島 功 木津 暢彦 中嶋 哲二 金戸 進
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.125-204, 2000-07
被引用文献数
1

この報告は第38次南極地域観測隊気象部門が, 1997年2月1日から1998年1月31日まで昭和基地において, および, 1997年1月25日から1998年1月20日までドームふじ観測拠点において行った気象観測結果をまとめたものである。観測方法, 測器, 統計方法等は第37次観測隊とほぼ同様である。越冬期間中特記される気象現象として, 次のものがあげられる。1) 昭和基地での年平均気温はほぼ平年並みであった。9月の月平均気温は-23.6℃であり歴代1位の低さであった。2) 昭和基地において, 9年連続で大規模なオゾンホールを観測し, オゾン全量の最低月平均値は10月の164m atm-cmであった。これは観測開始以来2番目に低い記録であった。3) 昭和基地において, 1年を通して地上オゾン濃度観測を行った。8月28日から29日にかけて地上オゾン濃度急減現象を観測した。4) 昭和基地において, エアロゾルゾンデにより成層圏エアロゾルの観測を行った。年間を通して6台のエアロゾルゾンデを飛揚した。5) ドームふじ観測拠点における1997年の年平均気温は-54.4℃, 最低気温は7月8日に観測した-79.7℃であった。
著者
木津 暢彦 金濱 晋 鎌田 浩嗣 上野 圭介 長井 勝栄
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.35-94, 2007-03-28

この報告は,第43次南極地域観測隊気象部門が,2002年2月1日から2003年1月31日まで,昭和基地を中心に行った気象観測結果をまとめたものである.観測方法,測器,統計方法等は,第42次隊とほぼ同様である. 越冬期間中,特記される気象現象として,次のものが挙げられる.1) 地上気象観測では,5月から10月にかけて気温が平年より高く,月平均気温の高い方,日最高気温の月平均の高い方,日最低気温の月平均の高い方の極値の更新があった.また9月中旬にあったA級ブリザードは,最大瞬間風速57.9m/s, 最大10分間平均風速45.4m/sであった.これは9月として1位,通年の統計でも3位の強風であった.2) 高層気象観測では,成層圏突然昇温が例年より早く発現(7月上旬)し,9月末には,南半球では初めて観測された極渦の2分離を伴う成層圏大突然昇温が起こった.3) オゾン全量観測においては,8月上旬から10月中旬にかけてオゾンホールを観測したが,10月下旬以降はこの20年間の平均よりも多い値で推移した.