著者
黒田 輝 国領 大介 熊本 悦子 ロハス ジョナタン 岡田 篤哉 村上 卓道
出版者
Japanese Society for Thermal Medicine
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 = Japanese journal of hyperthermic oncology (ISSN:18822576)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.181-193, 2007-12-20
被引用文献数
3

本研究の狙いは, 呼吸性の移動・変形をする肝臓内に設定した治療目標部位に対して, 治療用超音波の焦点をガイドするための磁気共鳴技術の開発である. ここに提案する我々の方法では血管を肝組織の追尾に使うこととした. 自由呼吸下における肝の矢状面におけるシネ画像をフィルタリングすることによって血管断面の重心を求め, それを解析することにより肝組織の並進距離と伸縮距離を解析した. 超音波焦点を置くべき治療目標点を, 血管の瞬時位置に基づいて推定した. 2名の健常ボランティアに対する実験において血管輪郭を描くためには, 空間マトリクスの大きさとして128×128が必要であった. 肝の並進距離は頭尾方向において19.6±3.6 mm, 腹背方向において3.1±1.4 mmであった. 伸縮距離は頭尾方向において3.7±1.1 mm, 腹背方向において3.0±1.2 mmであった. 検討に用いた血管の組み合わせでは, 目標点の実測位置と推定位置のずれが, 頭尾方向で0.7±0.5 mm, 腹背方向で0.6±0.4, 直線距離にして1.0±0.5 mmであった. 生体熱伝導方程式によって温度上昇をシミュレートした結果, 完全に息止めをした場合に較べて, 焦点周囲における肝組織の温度上昇のロスは20%程度であった. これらの結果は, 血管重心位置の実測に基づく提案法が臓器内の特定部位の動的な捕捉と, 加温領域をカバーする温度分布撮像面の追尾に, 十分な能力を有することを示した.
著者
西 千秋 高瀬 力男 村上 卓男 小藤田 久義 松原 和衛 出口 善隆
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.135-142, 2012

近年,我が国では列車と野生動物との衝突事故が発生している。特に大型哺乳動物との列車事故は,野生動物保護の面から問題があるばかりか,鉄道会社にとっても列車の遅延などの経済的損失をまねくとともに,安全輸送への信頼を損ないかねない。そこで大型哺乳動物と列車との衝突事故の実態を調査し,対象種の生活史との関係を考察した。1999年から2003年に発生した哺乳動物と列車との衝突事故を調査対象とし,JR東日本盛岡支社から情報を得た。衝突事故動物種毎に,1999年から2003年までの発生件数を月ごとに集計した。衝突事故動物種は,シカ,カモシカ,クマに分類した。その結果,シカとカモシカを合わせた割合が,事故発生件数の約80%を占めた。クマと列車の事故件数は,どの年も10件未満であった。シカと列車との事故は6月と10月に多く,二峰型を示し,カモシカとの事故は7月に多く,一峰型を示した。クマでは初夏から9月にかけて事故件数が増加し,その後減少した。事故の発生時期は,シカ,カモシカ,クマの3種とともに,繁殖期,分散期などの生活史と深く関わっている事が示唆された。また,自己発生時間帯は夜間が中心である事がわかった。
著者
村上 卓 塩野 淳子 石橋 奈保子 石川 伸行 阿部 正一 野間 美緒 坂 有希子 堀米 仁志
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【目的】心房中隔欠損症の多くは思春期まで無症状である。心房中隔欠損症が小児期の身体発育に及ぼす影響について検討した。【対象と方法】2005年1月~2014年12月に15歳以下の心房中隔欠損症103例に延べ106件の心臓カテーテル検査を施行し、他の病態が身体発育に関与しうる25例(染色体異常、左右短絡疾患(心室中隔欠損, 動脈管開存)合併、超低出生体重児、側彎合併、肺動脈弁狭窄治療後、成長ホルモン分泌不全、経管栄養、精神運動発達遅滞)を除外した。1)カテーテル検査時の身長SD、体重SDにQp/Qs、Pp/Ps、Rpが及ぼす影響について検討した。2)心房中隔欠損閉鎖術を施行された症例における術前身長SD、体重SD(カテーテル検査時)と術後身長SD、体重SD(術後6~18か月時)を比較検討した。また、Δ体重SD、Δ身長SD(術前と術後の差)に手術時年齢、術前身長SD、術前体重SD、Qp/Qs、Pp/Ps、Rpが及ぼす影響について検討した。【結果】1)81件(80例)(男35:女46、年齢中央値5y3m(範囲5m~14y1m))の体重SD -0.25±1.09、身長SD -0.16±1.18(平均±SD)と身体発育の低下を認めた。体重SDとQp/Qs、身長SD とPp/Psに負の相関(r=-0.26, p=0.02、r=-0.29, p=0.01)を認めた。2)49例(男27:女22、手術時年齢平均5y5m(範囲9m~13y10m))に心房中隔欠損閉鎖術が施行された。術前体重SD -0.30±1.12 vs 術後体重SD 0.06±0.96(p<0.01)、術前身長SD -0.20±1.12 vs 術後身長SD 0.06±1.01(p<0.01)(平均±SD)と術後に体重と身長の増加を認めた。Δ体重SDは術前体重SD(r=-0.48, p<0.01)や手術時年齢(r=-0.40, p<0.01)と、Δ身長SDも術前身長SD(r=-0.43, p<0.01)や手術年齢(r=-0.58, p<0.01)と負の相関を認めた。【結論】心房中隔欠損症は短絡量や肺動脈圧が身体発育障害に影響している可能性があり、低年齢で身体発育障害が強い症例では閉鎖術により身体発育の改善が期待される。
著者
三上 恒治 村上 卓道 岡田 篤哉 丸川 太朗 中村 仁信
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.129-137, 2005
被引用文献数
1

集束超音波療法 (Focused Ultrasound Surgery;FUS) は, 焦点域の組織のみを壊死させる低侵襲性熱凝固治療である.50年前より超音波ガイドによるFUS治療の臨床応用が報告されてきたが, 不正確な位置情報, 温度測定法の欠如, 治療効果の評価法の欠如により十分な治療成績が得られていなかった.しかしながら, MRIガイドによる正確な位置情報の取得と治療中の温度計測により安全で正確な治療が可能になった.また造影MRIにより治療直後に治療効果を評価することが可能となった.本稿ではMRIガイド下FUS治療の原理, 治療方法と最近の臨床応用について述べる.
著者
松沢 純平 村上 卓弥 小林 一穂 関口 将弘 大崎 馨
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2020-0026-CHO, (Released:2021-09-10)
参考文献数
10

防衛装備庁先進技術推進センターでは,平成27年度から令和2年度にかけて、自衛隊員による災害派遣等の任務における救助活動や物資搬送をはじめとする作業の迅速化・効率化を目的とし,隊員の負担を軽減しつつ野外・不整地での迅速機敏な行動を可能とする高機動パワードスーツの研究を実施した.高機動パワードスーツは,人が装着した状態で災害派遣等の任務を実施することが必要となるため,装着者の安全性確保が重要となる.したがって、本研究においては,高機動パワードスーツの使用場面や仕様を決定していく段階から,研究者・製造者・運用者といった多数のステークホルダーの意見を取り入れたリスクコミュニケーションを踏まえつつ,ロボット介護機器の安全設計の支援のためのリスクアセスメントひな形シートに準拠したリスクアセスメントを行うことにより安全設計を実施した.また,野外での装着試験では,標準性能試験法の考え方を用いた模擬不整地や模擬災害環境等を活用することで試験の再現性と装着者の安全性を確保し,より効果的で安全な試験評価手法を検討した.本稿では、高機動パワードスーツの研究における、一連の安全性確保の取組みの結果について紹介する.
著者
村上 卓也
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
no.353, pp.105-125, 2017-02

平成23(2011)年3月11日,午後2時46分頃,三陸沖を震源とする我が国災害史上最大級Mw(モーメントマグニチュード)9.0の巨大地震が発生した。余震を含め震源域は,三陸沖から茨城沖にかけて全長約450km,幅約150kmの範囲に集中し,この地震で発生した断層面のすべり量は最大20m以上と,かつて経験したことのない大規模な地殻変動を伴うものであった。この地震に伴い,大規模な津波が発生し,震源に近い東北地方太平洋沿岸部では巨大津波が甚大な被害をもたらした。仙台湾沿岸では,集落を中心に仙台塩竃港・仙台空港・仙台東部道路及び県・市道,工業地帯,農地等が壊滅的な被害を受けたほか,海岸保全区域の防潮堤はほぼ全壊・消失,海岸防災林もその多くが消失するなどの甚大な被害を受けた。海岸防災林は,潮害の防備,飛砂・風害の防備等の災害防止機能を有している。また,農地や集落を守るなど生活環境の保全に重要な役割を果たしており,津波に対しては,津波エネルギーの減衰効果,漂流物の捕捉効果及び内陸部への津波到達時間の遅延効果を有し,その早期復旧が求められている。仙台湾地区の海岸防災林の復旧については,国直轄事業による民有保安林の復旧要望を宮城県知事から受け,民有林直轄治山事業により林野庁が国有林と一体的に直接,その復旧を進めており,他所管事業と施工時期等について調整を図りながら,林帯地盤の復旧が完了した箇所から順次,植栽を実施し,平成23(2011)年から概ね10ヶ年での完了を目指しているところである。
著者
塩野 淳子 石川 伸行 村上 卓 河野 達夫 堀米 仁志
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1423-1424, 2016-12-15 (Released:2017-12-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
西 千秋 高瀬 力男 村上 卓男 小藤田 久義 松原 和衛 出口 善隆
出版者
Japanese Soceity of Livestock Management
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.135-142, 2012-12-25 (Released:2017-02-06)
参考文献数
18

近年,我が国では列車と野生動物との衝突事故が発生している。特に大型哺乳動物との列車事故は,野生動物保護の面から問題があるばかりか,鉄道会社にとっても列車の遅延などの経済的損失をまねくとともに,安全輸送への信頼を損ないかねない。そこで大型哺乳動物と列車との衝突事故の実態を調査し,対象種の生活史との関係を考察した。1999年から2003年に発生した哺乳動物と列車との衝突事故を調査対象とし,JR東日本盛岡支社から情報を得た。衝突事故動物種毎に,1999年から2003年までの発生件数を月ごとに集計した。衝突事故動物種は,シカ,カモシカ,クマに分類した。その結果,シカとカモシカを合わせた割合が,事故発生件数の約80%を占めた。クマと列車の事故件数は,どの年も10件未満であった。シカと列車との事故は6月と10月に多く,二峰型を示し,カモシカとの事故は7月に多く,一峰型を示した。クマでは初夏から9月にかけて事故件数が増加し,その後減少した。事故の発生時期は,シカ,カモシカ,クマの3種とともに,繁殖期,分散期などの生活史と深く関わっている事が示唆された。また,自己発生時間帯は夜間が中心である事がわかった。
著者
山川 賢次 守谷 敏之 村上 卓也 早崎 清志 鯖江 敏彦 岡畑 成樹 井上 新也 神戸 良三
出版者
海上技術安全研究所
雑誌
海上技術安全研究所報告 (ISSN:13465066)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.287-367, 2003

A wire rope used in a marine environment has a great degradation due to corrosion. An accurate inspection is necessary to ensure the safety of wire ropes. However, technical background data of wire rope is quite few at present, and is not sufficient for wire rope inspection. Gathering the technical data is important to establish and ensure the offshore structure's maintenance technology including wire rope inspection. A laboratory test of wire rope degradation was carried out with seawater tanks for 5 years from 1994 to 1999. 14 types of ropes were used for the experiment. Further, an exposure test in real sea area was also carried out for 11 months in 1997 to acquire degradation data in dry zone above sea level, in ebb zone, and in the seawater zone. 8 types of ropes and 3 types of wires were used for the exposure test. During the test period, we examined the ropes for several times on the following characteristics, (1)appearance of ropes and strands, (2)cross section of each wire layers, (3)mechanical properties of ropes- rope diameter, breaking strength, elongation, (4)mechanical properties of wire: diameter, tensile strength, number of torsion (5)mass of coating. The changes of characteristic values are curve fitted with a line to eliminate fluctuation errors. We calculated most suitable characteristics values when the experiment is over and converted into normalized values divided by the initial values. Degradation of several kinds of wire rope was investigated with normalized characteristics values and observation results of wire rope and cross section.
著者
三上 恒治 村上 卓道 岡田 篤哉 丸川 太朗 中村 仁信
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.129-137, 2005-09-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

集束超音波療法 (Focused Ultrasound Surgery;FUS) は, 焦点域の組織のみを壊死させる低侵襲性熱凝固治療である.50年前より超音波ガイドによるFUS治療の臨床応用が報告されてきたが, 不正確な位置情報, 温度測定法の欠如, 治療効果の評価法の欠如により十分な治療成績が得られていなかった.しかしながら, MRIガイドによる正確な位置情報の取得と治療中の温度計測により安全で正確な治療が可能になった.また造影MRIにより治療直後に治療効果を評価することが可能となった.本稿ではMRIガイド下FUS治療の原理, 治療方法と最近の臨床応用について述べる.