著者
村田 貴俊 藤山 友紀 ラハルジョー アントン 尾花 典隆 宮崎 秀夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.190-195, 2002-07-30 (Released:2017-12-15)
参考文献数
16
被引用文献数
3

近年の国民の清潔志向を反映し,各種アンケート調査でも,口臭を気にしている人が多く存在する。また,口臭の抑制,予防を目的とした洗口剤が広く市販,使用されている。しかし,本邦で市販されている洗口剤の多くは臭気物質のマスキング効果を主としており,口臭の主な原因である揮発性硫化物の検出を抑える成分は含まれていない。そのため,洗口直後でさえも,高濃度の揮発性硫化物(VSC)の検出が認められることが多い。われわれは,内外の研究報告から塩化亜鉛を取り上げ,塩化亜鉛を含む洗口剤によるVSCの検出抑制効果について検討した。口腔内気体中にVSCが検出される人のなかから,同意を得られた成人男性8人を対象とし,0.1%塩化亜鉛洗口剤および偽剤による洗口前後において,口腔内気体中のVSCを,炎光光度検出器付きガスクロマトグラフ,記録計,自動試料注入装置からなる分析システムを用いて測定し,この洗口剤の効果を二重盲検法,交差研究により検討した。その結果,この洗口剤によって,顕著なVSC濃度の減少が認められ,少なくとも90分間は口腔内からのVSCの産生を抑制した。このことは塩化亜鉛を含む洗口剤が優れた口臭抑制効果をもつことを示しており,本邦でもこのようなVSCの検出を抑制する洗口剤の流通が望まれる。
著者
有田 正博 北村 知昭 坂本 英治 佐藤 耕一 篠原 雄二 庄野 庸雄 瀬田 祐司 園木 一男 芳賀 健輔 村田 貴俊 黒川 英雄 西田 郁子 林田 裕 寺下 正道 横田 誠 西原 達次 吉野 賢一 小城 辰郎 中村 恵子 木尾 哲郎 大住 伴子 安細 敏弘 一田 利通
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会総会抄録プログラム
巻号頁・発行日
vol.64, pp.20, 2004

九州歯科大学においては,5年次生を対象に、第1回OSCEトライアル(86名)を2003年3月15日に,第2回OSCEトライアル(94名)を2003年12月6日に実施した。第1回目は5課題(医療面接,ブラッシング指導,ラバーダム防湿,概形印象採得,単純抜歯),第2回目は7課題(医療面接,フィルムマウント,レジン充填,根管治療,支台歯形成,矯正装置の説明,バイタルサイン)であった.平均点は,79.4点および80.4点で概ね良好であった.面接・説明系課題と比較して技能系課題の平均得点率は低かった。また技能系課題においては受験会場および受験時間の違いによる平均点の差が認められた。
著者
西辻 直之 古藤 真実 福澤 洋一 矢吹 義秀 上谷 公之 久保 宏史 吉野 浩和 長井 博昭 中曽根 隆一 矢島 正隆 岡田 彩子 有吉 芽生 曽我部 薫 菊地 朋宏 宮之原 真由 山田 秀則 村田 貴俊 野村 義明 花田 信弘
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.89-93, 2017

<p> (公社)東京都港区芝歯科医師会は,JR新橋駅西口SL広場において,事前の告知や当日の呼びかけに応じた成人男女250名を対象に,「歯周病予防のための新唾液検査事業」を5年間にわたり4回実施した.事業目的は,歯周病のスクリーニング可能な唾液検査の受診を契機に,受診者の歯周病への理解を促し,検診の重要性を啓発することである.</p><p> 各受診者から採取した唾液を用いて生化学検査を行い,結果を受診者に郵送した.また,事後アンケートを実施し,「受診したきっかけは何か」,「唾液検査は簡単か」,「唾液を採取することに対して抵抗があるか」,「次回の検査も受けたいか」,「検査結果票はみやすいか」,「検査結果をみて歯科を受診するか」,「検査結果をみて歯周病について関心が深まったか」の7項目への回答を求めた.</p><p> 事後アンケートで回答者(回収率;年平均22.1%)の9割が選択した項目は,「この検査が簡単だと感じた」,「次回も受けたいと思う」および「検査により歯周病に興味をもった」であった.以上より,唾液検査は歯周病への関心を高めるとともに,受診契機の一要因となることがわかった.</p>
著者
泉福 英信 浅野 敏彦 村田 貴俊 花田 信弘
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、ヒト型モノクローナル抗体を利用した新しい口腔バイオフィルム感染症予防方法の確立を行った。ヒト型モノクローナル抗体の作製は、PAc(361-377)ペプチドを利用して行った。このペプチドは、S.mutansの歯表面への付着阻害抗体の認識するB細胞エピトープとT細胞エピトープを有する。実際にこのペプチドがヒトにおいて有効に免疫原として作用するか、唾液のペプチドIgA抗体量とS.mutans量との相関関係を検討した。その結果、抗体価の高い唾液を有するヒトは、S.mutans量も低下していることが明かとなった。またDRB1^*1501やDRB1^*0406などを含む10種類のHLA-DR遺伝子タイプを有する被験者においてその高い唾液抗体誘導が認められた。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)をNOD-scidマウスに移植し、このペプチドを接種して、ヒト特異ペプチド抗体を誘導できるか検討を行うと、すべての遺伝子タイプのPBMC移植において、PAc(361-386)ペプチドIgG抗体を誘導できることを明かにした。これらの結果から、PAc(361-386)ペプチドはヒトへの接種によりPAc(361-386)ペプチドIgA抗体やIgG抗体を誘導できる抗原であることが確認できた。よって、この抗原を利用して作製されたヒト型モノクローナル抗体を用いれば、有効な齲蝕予防方法が確立して行くことができる。このPAc(361-377)ペプチドを免疫原として、10種類のモノクローナル抗体を得た。それら抗体のうちKH3,KH5,SH2,SH3は、S.sobrinusとS.mutansのみに反応する事が認められた。これらの抗体SH2,SH3,KH5は、S.mutansの歯表面の付着においてPBSで処理したラットに比べ60%以上の阻害効果が認められた。またこれらのモノクローナル抗体は、S.mutansと唾液成分との結合をBIAcore in vitro実験においても70%以上の阻害することが認められた。今回明かとなったペプチド抗原で誘導されたヒト型モノクローナル抗体をこの3DSのような口腔バイオフィルム除去法を併用していけば、さらに長期間効果を期待できるう蝕予防が実現化していくと考えられる。