著者
井上 一彦 山口 一郎 佐藤 勉 野村 義明
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

原発事故の汚染の成人への影響を調べるために, 本研究に賛同が得られた全国歯科診療所施設に資料(研究計画説明書,同意書)と収集ビンの配布を実施し,ヒト第三大臼歯を収集継続中である(約300本,令和2年7月31日現在).今回,新たに原発事故作業所等(経験者含む)も収集場所に加えた.これらの方法により,日本人永久歯(特に第三大臼歯)を収集し, 生年別,地域別(特に被災地及び原発事故作業従事者及び経験者)の成人永久歯への放射性核種(90Sr,238Pu,239+240Pu,134Cs,137Cs)の蓄積を明らかにし,乳歯や既存のデータ等,被災地域土壌,被災牛の汚染された歯のデータと比較検討する.
著者
志村 勉 山口 一郎 寺田 宙 温泉川 肇彦 牛山 明
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.160-165, 2021-05-31 (Released:2021-06-25)
参考文献数
34

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響は大きく,事故後10年が経過した現在においても多くの課題が残されている.事故からの復興には,専門家,一般市民,政府の間で相互理解や信頼関係を構築して政策を進めることが必要とされている.福島事故により生じた放射性物質を含んだ汚染水の浄化処理が進められているが,処理後も除去できない放射性トリチウムなどの扱いが国内だけでなく世界から注目されている.本稿では,放射線影響研究から明らかにされたトリチウムの生物影響と飲食品中のトリチウムの安全管理に関する知見を整理し紹介する.さらに,福島事故後の低線量放射線被ばくによる健康リスクに関する放射線の専門家の取り組みを紹介する.科学的知見は低線量放射線リスクを考える上での根拠となり,放射線のリスクコミュニケーションに活用することが期待される.放射線の健康不安対策として,適切な情報発信をつづけることが重要である.
著者
戸次 加奈江 山口 一郎
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.186-190, 2023-08-31 (Released:2023-09-21)
参考文献数
10

利便性の高い豊かな生活へとライフスタイルが変化し続ける中,生活用品や住環境において,未規制の化合物の利用が増加していることや,原子力発電所の事故による放射性物質の環境への放出,5Gシステムの普及など電波による健康リスク,細菌やウイルスによる食中毒事故の発生など,我々は多くのハザードと隣り合わせにありながら日々生活している状況にある.また近年,有害性の高い既知物質の使用が禁止または規制を受ける一方で,大気汚染や異常気象に絡んだ自然災害,新型コロナウイルス感染症など,これまで想定されていなかった多様なリスクが身の回りに存在している.このようなリスク因子の主な疾病への寄与は,世界保健機関によりDALY(障害調整生存年数)を指標に示されており,さらに疾病予防の指標となる環境リスクが提示されているが,これらに対し,我が国ではレギュラトリーサイエンスの理念のもと,環境調査による科学的知見に基づくリスク評価や,人を対象とした環境疫学調査,さらに規制・施策の実施による安全管理の取組がより一層必要とされているところである.さらに,世の中の環境リスクは,産業や工業活動などの人為由来のものから,地震や火山の噴火などの自然災害,さらには,越境汚染や海洋汚染などによる国境をまたいだ問題に至るまで,時代と共に,複雑かつ不確実性を持ち合わせた対応困難な問題も次々と浮上している.そのため,日本は,これまでの自然災害への対応などの経験と共に,先進国として国際的な共通認識の中で,環境リスク低減に向けた対策に貢献していく必要があり,将来的な課題解決に対応していく上では,化学,物理学,生物学,医学など自然科学だけでなく社会科学も含めた分野横断的な研究の推進と,産学官の専門家による連携がますます必要になるであろう.
著者
山口 一郎
出版者
日本メルロ=ポンティ・サークル
雑誌
メルロ=ポンティ研究 (ISSN:18845479)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.48-61, 2016-09-10 (Released:2017-01-23)
参考文献数
19

Der Begriff des Fleisches bei Merleau-Ponty wird als die "Simultaneität" zwischen der Vergangenheit und Gegenwart begriffen. Die Selbstkonstitution des absoluten Zeitflusses bei Husserl wird durch die simultane Verschmelzung der passiven Synthesis zwischen dem Urhyle der Gegenwart und den impliziten Intentionalitäten, im Vergangenheitshorizont vorkonstituiert, dargestellt. Durch den Vergleich zwischen den beiden Einsichten wird klar, dass Merleau-Ponty die passive Intentionalität von der aktiven Intentionalität nicht deutlich unterscheiden konnte, und dass er somit zur phänomenologische Analyse der Selbstkonstitution der Zeitigung, die bei Husserl als durch die intermonadische Triebintentionalität der passive Synthesis vorkonstituiert verstanden wird, nicht erreichen konnte. Der Grund dafür liegt darin, dass er die Interpretation der Selbstaffektion der Zeit von der Daseinsanalyse Heideggers vergeblich ableiten wollte.
著者
山口 一郎 金子 浩子 半谷 輝己 高橋 秀人
出版者
日本放射線安全管理学会
雑誌
日本放射線安全管理学会誌 (ISSN:13471503)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.79-91, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
19

Local workshops for parents and children were held in cooperation with food educators. Each workshop was a dietary education program that included cooking experiences and taste education. The participants' understanding was gained by presenting the facts without hiding them, paying attention to fairness, and respecting the participants' thoughts. The communication about radiation risk using safe mushrooms made in Fukushima Prefecture was accepted by consumers in the Tokyo metropolitan area even who are cautious about radiation risks.
著者
山口 一郎 齋藤 康
出版者
山形大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

1.当院の通常検査にてHDLコレステロール(HDL-C)100mg/dL以上の対象のうち62名(男17、女45、年齢平均52±14歳、HDL-C 100〜173、平均109±12mg/dL)で白血球からDNAを抽出した。2.イントロン14変異ヘテロ接合体4名(女のみ、HDL-C 114±9mg/dL)、エクソン15ヘトロ接合体16名(男3、女13、HDL-C 110±12mg/dL)が検出され、複合ヘテロ接合体とホモ接合体はなかった。両変異を持たない42例(男14、女28、HDL-C 109±113mg/dL)と前2群のHDL-C平均値には差がなかった。3.イントロン14変異頻度は3.2%で一般人口の約5倍、エクソン15変異頻度は12.9%で一般人口よりも約2倍高値であった。両者併せた頻度は16.1%で、HDL-C 100mg/dL以上の対象の約1/6であった。4.イントロン14変異群のCETP蛋白量は0.8±0.2ng/mLで、無変異群1.6±0.4ng/mLの1/2であった。一方エクソン15変異群のCETP蛋白量は1.7±0.4ng/mLで、無変異群と差がなかった。5.結論(1)100mg/dL以上の高HDLコレステロール血症の1/6にCETP遺伝子変異が関与する。(2)イントロン14変異ではCETD発現が低下するが、エクソン15ヘテロ変異では低下しない。(3)高HDLコレステロール血症にはCETP遺伝子変異以外の要因の関与が想定される。
著者
山口 一郎 浅見 真理 寺田 宙 志村 勉 杉山 英男 欅田 尚樹
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.471-486, 2020-12-25 (Released:2021-01-23)
参考文献数
48

原子力災害は社会に対して広範なリスク管理を求める事態をもたらす.このリスク管理において混乱も生じた.このうち飲料水の安全は生活の根幹を支えるものであり,明確な説明が求められる.そこで,飲料水中の放射性物質に関する国内外の指標について根拠となる考え方の整理を試みた.緊急時及び平常時について,国内の各種指標と国外の指標(国際機関,欧州連合,米国)について検討を行った.東日本大震災時に発生した原子力発電所事故後に日本で用いられた指標は,国際的な考え方に基づき導入された.それぞれの指標値は,その性格や前提が異なり,値だけを比較することは適切ではなく,それぞれの指標の根拠を踏まえることが重要である.
著者
粟井 一夫 川越 康充 菊地 透 諸澄 邦彦 山口 一郎 渡辺 浩 富樫 厚彦
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.393-410, 2001
参考文献数
4

平成12年12月26日,診療放射線の防護に関し,医療法施行規則の一部を改正する省令が,厚生省令第149号として関係告示(「廃棄物詰替施設,廃棄物貯蔵施設及び廃棄施設の位置,構造及び設備に係る技術上の基準の一部を改正する件:告示第396号」,「医療法施行規則第24条第6号の規定に基づき厚生労働大臣が定める放射性同位元素装備診療機器の一部を改正する件:告示第397号」および「放射線診療従事者等が被ばくする線量当量の測定方法並びに実効線量当量及び組織線量当量の算定方法の全部を改正する件:告示第398号」)とともに公布され,平成13年4月1日から施行されることとなった. ここに法令改正に関する理解を深めることを目的として新旧対比表を掲載し,主要部分に関する解説を加えた. なお,解説に関しては,学術交流委員会関係法令等検討小委員会委員および放射線防護分科会委員において意見交換を行い,法令改正に関する留意点の解説を諸澄邦彦,線量測定に関する概念について富樫厚彦がまとめた. 法令改正に関して会員各位の周知徹底を促すとともに,本報告が理解のための一助になれば幸いである.
著者
加藤 純一 山口 一郎 山口 一郎 渡部 裕輝 加藤 純一
出版者
特殊法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、可視域ほど良い結像素子のない赤外域で良好な3次元像を結像素子を使わないデジタルホログラフィによって形成し、さらに位相の再生機能による干渉計測や顕微鏡機能の実現を図ることにある。まず広い範囲の可視光の3波長(He-Cdレーザー、636nm,537nm,441nm)を使い、位相シフトホログラフィによりカラー像の再生に成功した。この場合、ピエゾ鏡の移動によって与えられる位相シフト量は、中央の波長に対しては正しいが両端の波長では誤差を生じる。その影響をコンピューターシミュレーションにより見積もった結果、大きな影響のないことがわかった。再生における二種類のアルゴリズムの適用条件と像の違いを明らかにした。また移相板と偏光子を組み合わせたachromatic phase shifterを使って、この位相シフト誤差を解消した実験を行ない、良好な再生像を得ることができた。赤外の実験で波長830nm、出力30mWの半導体レーザーを使って、点物体、拡散物体、および位相物体の再生に成功した。位相の再生機能を利用して、鏡面や水面の形状を簡単な光学系で定量的に計測することができた。また拡散面の場合には、物体照射の角度の変更または物体の変形の前後に対する再生位相の差を取って、表面形状や変位分布を633nmのレーザーを使い、それぞれ10μm、10nmの感度で測定できた。結像レンズを導入した物体サイズの拡大も行なった。以上の結果から位相シフトデジタルホログラフィを赤外域に適用することによって良好な3次元像が得られ、可視光に対して不透明なシリコン結晶や生体の3次元計測への応用の見通しが立った。
著者
山口 一郎 寺田 宙 欅田 尚樹 高橋 邦彦
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.138-143, 2013-04

東京電力福島第一原子力発電所事故により,食品の放射線安全への懸念が国内外で高まり,そのために様々な対策が講じられた.対策の成果を評価するために,食品に由来した線量の推計が様々な方法により試みられている.ここでは,厚生労働省が公表している食品中の放射性物質のモニタリング結果に基づく線量推計例を示す.なお,事故直後から6ヶ月間の被ばく線量の評価例は,2011年10月31日に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会で報告されている.本稿では,その評価例に引き続くものとして,事故直後から2012年12月までの実効線量と甲状腺の等価線量を積算した評価例を示す.年齢階級別に東電福島原発事故後の食品中の放射性セシウムと放射性ヨウ素に由来した預託実効線量を推計した結果,中央値が最も高かったのは13-18歳で2012年12月20日までの積算で0.19mSvであった.95%タイル値が最も高かったのは1-6歳で0.33mSvであった.このような食品からの線量の事後的な推計は,ある集団や個人の放射線リスクの推計や放射線防護対策の評価に役立てることができる.また,今後の食品のリスク管理のあり方の検討にも役立てることができるだろう.
著者
岡本 隆之 山口 一郎
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.1051-1058, 1996-10-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
25

Surface plasmons are electromagnetic waves localized and propoagating along metal-dielectric interfaces. They can be excited by a p-polarized light in an attenuated total reflection geometry. The surface plasmon resonance can be used in laser microscopy that provides two dimensional maps of refractive index and/or thickness of samples with very high sensitivity. Spatial light modulators using the surface plasmon resonance are also described.