著者
松本 好 榎本 大貴 井上 雅彦
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.61-67, 2021-02-28 (Released:2022-02-28)
参考文献数
13

本研究では、通所施設への通所が困難となった事例において、家庭訪問支援として子どもおよび母親へ介入することで、子どもの行動上の問題の改善や新しい行動の獲得、母親の養育行動の獲得や養育ストレスの変化を検討した。介入は、機能的アセスメントに基づく子どもへのコミュニケーション指導、母親へのペアレント・トレーニングおよび日常生活の助言、通所施設への移行支援であった。その結果、家庭という日常生活場面で支援を行うことにより、子どもの行動上の問題の減少とコミュニケーション行動の獲得、子どもに対する母親の育児ストレスの改善に及ぼす効果があり、通所施設への通所が可能となった。一方で、母親自身の孤立感ついては変化がみられず、通所施設での継続支援を要する可能性が示唆された。
著者
小泉 準三 白石 博康 宮本 真理 松本 好正
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.255-261, 1981-06-01 (Released:2017-08-01)

A 24-yearold male was admitted to our hospital with his complaints of severe polydipsia, polyuria and headache. The total volume of urine reached up to nearly 15 liters per day. He showed nausea, vomiting, aggravation of headache and polydipsia by psychic stress during his hospitalization. No remarkable organic changes were observed in the laboratory data and other examinations. Being given a water deprivation test, he was diagnosed as psychogenic polydipsia. Psychological and environmental factors were considered to be related to the development of the disorder. He received supportive psychotherapy as well as drug treatment with no marked improvement. When the intake of water was restricted to the volume of 2 liters per day by using a scaled polyethylene vessel, the patient made a rapid recovery.
著者
松本 好太 橋本 修 藤原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.296, pp.33-38, 2004-09-07

本研究では,電子レンジのドア全周構造のシールド効果およびその性能向上を目的とした改善法について,並列FDTD法を用いることにより検討を行った.具体的には,まず,市販の電子レンジに使用されるドア全周構造を詳細にモデル化し,漏洩波に対するシールド効果について解析を行い,次にシールド性能の改善法として,チョーク構造の周期スリットに着目し,スリット幅および高さに対するシールド効果の変化について検討した.この結果,市販モデルにおいて実用上の技術基準を満たすシールド効果がドア上下左右において得られること,またスリットの寸法に対するシールド効果の変化を定量的に確認し,電子レンジドア構造のシールド性能向上に向けた基礎的な資料を提供することができた.
著者
松本 好太 橋本 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1549-1551, 2001-08-01
被引用文献数
2

本論文では, 電子レンジのドア部において, 抵抗皮膜をドアガラスに一体形成した場合のシールド効果の検討を, FDTD法を用いて行った. この結果, 面抵抗値の変化に対するシールド効果を定量的に確認するとともに, 実用性を考慮した場合の具体的な指針を解析的に示すことができた.
著者
松本 好生
雑誌
新見公立大学紀要
巻号頁・発行日
vol.41, pp.15-24, 2020-12-25

ADHDは脳に起因する障害であり、不注意、多動性、衝動性の3つの特性を主症状とする発達障害のひとつである。ADHDの小児期では、衝動的に話し出したり、忘れ物が多かったり、脚を落ち着きなく動かしたり、手をそわそわと動かしたりする行動が目立ってくる。本稿は、こうした行動が幼児期から学童期にかけて、集団行動の中で「落ち着きのなさ」としてクローズアップされている背景に注目したものであり、従来の研究報告から、落ち着きのなさが、何に起因するのかについて探求するものであった。その結果、ADHDの落ち着きのなさとして目立つ背景にある一要因、それはワーキングメモリの弱さという問題、すなわち、前頭前野背外側領域(DLPFC)や腹外側領域(VLPFC)と帯状回の認知領域が協調して働く領域がうまく機能していないということ、そして小脳の発達が小さいことによるのではあるまいかと結論した。
著者
梅枝 覚 廣 純一郎 成田 公昌 岩永 孝雄 毛利 靖彦 北川 達士 松本 好市 木村 光政 鈴木 康弘
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.151-157, 2002 (Released:2009-12-03)
参考文献数
26
被引用文献数
2

症例は58歳の男性.2000年3月,粘血便,肛門痛を主訴に近医を受診した.大腸内視鏡検査で,直腸に多発性,不整形の潰瘍を認めた.生検では形質細胞の多い非特異性直腸炎の診断であった.4月に鼠径部リンパ節腫大あり,生検で肉芽腫性リンパ節炎と診断された.9月,粘血便,肛門痛,全身倦怠感増強にて来院入院した.肛門周囲,陰嚢に肉芽腫様皮膚病変を認めた.大腸内視鏡検査で直腸潰瘍直腸炎を認め,経肛門的超音波検査,CT,MRIで直腸壁の全周性の壁肥厚を認めた.梅毒反応(RPR定量)は128倍以上,梅毒反応(TPHA定量)は40,960倍,FTA-ABSIgMは5倍希釈(1+)であり,梅毒性直腸潰瘍,直腸炎と診断し治療を開始した.治療後3カ月で病変,血清抗体の陰性化を認めた.今回,直腸内視鏡検査での多発性不整形潰瘍および,経肛門的超音波検査,CT,MRIでの直腸の全周性全層性の肥厚は,梅毒性直腸炎に特徴的な所見と思われた.
著者
梅枝 覚 松本 好市 北川 達士 野地 みどり 山本 隆行 石井 雅昭 成田 清 鳥井 孝宏 肥満 智紀 山崎 学
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.838-845, 2010 (Released:2010-10-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1

環状自動縫合器(circuler stapler,PPH=procedure for prolapse and hemorrhoids)による痔核脱肛の手術は,1998年Longoによって発表された手術(粘膜環状切除術,以下PPH)であり,痔核口側の直腸粘膜を環状切除し,痔核脱肛を吊り上げ固定する術式で,疼痛が少なく,QOLにすぐれているため世界で広く行われるようになった.本邦でも2001年より各施設で施行され,術後疼痛の軽減,早期社会復帰,再発率において結紮切除術と比べても差がない,などとIII度内痔核には有用な手術術式と考えられる.一時期PPHによる合併症も報告されたが,PPH機種の改良,手技の向上により合併症が減少した.PPHの特性から,すべての痔核に適応はなく,適応基準を厳格にして症例を選択する必要がある.術者は他の治療法であるLEやALTAにも精通し,長所短所を理解のうえ,痔核・脱肛の適応を的確に判断出来る能力があり,PPHの特性と実技を充分会得したうえで行う手技である.適応症例においては非常に有用な手術と思われる.
著者
松本 好太 草間 裕介 橋本 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.544-550, 2001-03-01
参考文献数
12
被引用文献数
5

本論文では, 電子レンジ本体とドアとの間隙(げき)から漏洩(えい)する電波を抑制する方法として, 現在一般的に用いられているチョーク構造の代わりに, 間隙内にシート状の損失材を挿入した場合のシールド効果の検討を, 3次元のFDTD法を用いて行った.具体的には, 種々の高次モードのうち漏洩電波の形状に最も近いTE_<40>モードを用いて, 間隙及び損失材の挿入長の変化に対するシールド効果の計算を行った.この結果, 損失材の材質によっては, すきまなく充てんされた場合, 30dB以上のシールド効果を示すことや, 1mmのすきまが空いた場合, 30dB以上のシールド効果を得るためには損失材の挿入長が50mm以上必要であること等がわかり, 実用性をふまえたシールド効果を定量的に確認することができた.
著者
橋本 修 渡邊 慎也 松本 好太 KUMAR Pokharel Ramesh
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

無線通信環境の問題点を解決する設置環境側の対策手法の一つとして電波吸収体の適用が注目され、これまでにレイトレーシング法による解析や実験用ブースなどを使った実験的研究が広く行われ、種々の吸収体が提案されてきた。しかし、このような吸収体の提案に対して、1.無線LANを想定した環境で実際に無線LAN対応の電波吸収体を設置し、その通信環境の改善効果を実験で検討した例は極めて少ない。2.オフィス内の中央などで使用されるパーティションにおいても、電波が乱反射して影響を及ぼすといった恐れがあるが、パーティションなど室内に設置されたものに電波吸収機能を付加し、無線LANに対応した電波吸収体を検討した例は少ない。そこで、無線LAN環境改善をメインとし、下記の検討をそれぞれ行った。1.一般的な建物への適用を想定し、取り扱いが容易な一般内装建材を組み合わせた無線LAN対応の三層型電波吸収体を、小規模オフィスを模擬した空間に設置し、無線LAN実機を用いた伝搬実験を行った。この結果、まず壁1面への一般建材を用いた三層型吸収体の設置により、通信速度は設置前後で全ての測定点で向上し(平均40%)、吸収体設置による無線LAN通信速度の改善を確認した。2.パーティションに電波吸収機能を付加することで、無線LANで使用される周波数帯域に対応したパーティションタイプ電波吸収体について検討した。この結果、無線LANの使用周波数帯域である2.45GHzおよび5.2GHzにおいて、垂直入射で20dB以上、TE・TM両偏波および円偏波において、入射角度が5度から20度まで、15dB以上の吸収量が得られることを確認した。以上のことから、無線LAN用のパーティションタイプ電波吸収体の実現性を理論的かつ実験的に確認することができた。