著者
佐賀 朝 松井 洋子 小野沢 あかね 人見 佐知子 横山 百合子 吉田 伸之 金 富子 吉田 ゆり子 塚田 孝 神田 由築 浅野 秀剛 米谷 博 杉森 哲也 初田 香成 松田 法子 本康 宏史 齊藤 俊江 松田 有紀子 屋久 健二 吉元 加奈美 武林 弘恵 ボツマン ダニエル
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、日本近世~近代における国内各地や植民地の遊廓の調査を進め、遊廓の開発や社会=空間構造を分析するとともに、一次史料を用いて、遊女屋・貸座敷の経営内部における女性たちへの抑圧と搾取の構造の解明も進めた。その結果、近世後期以降の遊廓の大衆化と全国的普及の過程で女性たちに対する搾取が強化される一方、明治維新に伴う公娼制度の改革を経て、女性たちが多様な手段を用いて搾取や暴力に直接・間接に抵抗し、それが遊廓社会の変容を促していくことも明らかになってきた。継続的な現地調査や研究会と研究者のネットワーク化、「遊廓・遊所研究データベース」の充実により、新しい遊廓研究が現れてきた点も重要な成果である。
著者
松田 法子
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

講演者は都市史・建築史を専門とする。まちの成り立ちやその展開の歴史を、地理的、建築的、社会的、文化的に検討し、わたしたちの居住地や、他の様々な土地が、いったいどのような背景や経緯によって現在に至っているのかを探っている。またそこから、土地と人とが取り結んできた本質的な関係とその意義を考えようとしている。さて、「ブラタモリ」では、番組の冒頭近くで、その土地に対するある「お題」(設問)が示される。それは一見平易な内容で、出演者や視聴者は、その設問に納得したり、そんなことはもうわかっているよ、と思ったり、あるいはまた少々戸惑ったりしながら、番組の道のりを楽しく想像する。しかし問いに的確に答えていくことは、専門家をもってしても実はかなり難しい。それは既に、多岐にわたる学術分野の知見を制作チームが吸収したうえで、かつ誰もがその土地のイメージとして理解できるようなフレーズとする、という絶妙なバランスによって練られたテーマだからだ。その後に続くまち(土地)歩きは、そのお題を軸に組み立てられていく。複数分野の専門家がリレー式にバトンをつなぎながら土地の解読に付き添うスタイルは、土地を見る視点の複数性と幅広さを担保する。そして、歩きながら答えを見つけていくこのやり方は、都市や山岳、巨大土木構築物などスケールの大きな対象や長い時間の流れを、手元や足元といった身体的で小さなスケールから体感的に理解していくという、フィールドサーヴェイの醍醐味も具現化している。そうした一方で、TVプログラムであるという媒体の特性上、問いの答え探しの道のりやそのストーリー立ては、視覚的に認識しやすい資史料や場所がつながれやすいという側面ももっている。歴史分野で言えば、絵図や古文書、古写真、現場の遺構などは大いに力を発揮するが、目で見てわかりにくい事物や、土地の歴史を語る上では重要であるものの、前提として込み入った解説が必要な事項は通過されがちになるだろう。以上について、講演者の知る範囲に限り若干の話題提供を行う予定である。
著者
松田 法子 大場 修
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.603, pp.211-217, 2006-05-30 (Released:2017-02-17)
被引用文献数
2

In this paper we investigate the form of the spa village in Edo period, by doing the case study of the Atami spa, Shizuoka. In this spa village, hot spring inns were called the Yuko. They governed for this village, because they made a monopoly of the Oyu hot spring, which was the main hot spring in Atami. We study about for the space and community structure of this spa village in Edo period, by showing the existence of the Yuko.
著者
佐賀 朝 塚田 孝 吉田 伸之 人見 佐知子 神田 由築 小野沢 あかね 松井 洋子 吉田 ゆり子 金 富子 浅野 秀剛 伊藤 毅 米谷 博 杉森 哲也 初田 香成 松田 法子 松本 良太 本康 宏史 横山 百合子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本課題では、日本近世~近代における「遊廓社会」の形成・普及の歴史について、三都と中核とする列島各地や植民地の事例も視野に入れて、比較類型史論・都市社会=空間構造論の方法を用いて共同研究を実施した。その最大の成果は、『シリーズ遊廓社会』全2巻(吉川弘文館)であり、本課題の代表者・分担者・連携者・協力者21名による論稿を掲載することができた。列島各地で個別の現地調査や、調査と一体の研究会を開催し、遊廓研究のネットワーク化を図るとともに、府県別の遊廓・遊所の沿革と史料情報を内容とするデータベースWEBサイトを構築し、今後の遊廓・遊所研究の発展につながる基盤を構築した点も特筆すべき成果である。
著者
松田 法子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本採択課題では、「近代保養地の形成に関する都市史研究」というテーマのもと、近代に巨大化した温泉町である熱海や別府をはじめ、大磯や鎌倉など主として海浜に形成された近代保養地を主な対象に、建築史および都市史の観点から検討を進めてきた。巨大温泉町は、近代日本のある現象面が集約された産業都市として捉えることができ、大磯や鎌倉などは保養と近代の居住にかんする諸問題を把握しうる事例である。本研究は、従来建築史学の分野から行われてきた都市史研究に対して、〔1〕地方地域の近代都市化過程への注目、〔2〕都市と地方地域の関係そのものを都市史の方法論として検討すること、〔3〕これまでほとんど未開拓である温泉町や保養地、観光地にかんする研究、〔4〕社会構造にかんする検討を積極的に空間に落とし込む方法の開拓、〔5〕場所のイメージと都市形成にかんする方法論の提示、などの視角において新規性と独自性をもち、具体的な研究過程においては、(1)近世近代移行期における伝統的社会および空間構造の変化にかんする検討をメインテーマとし、(2)伝統的社会および空間構造の解明、(3)資源開発と都市形成について、(4)伝統的権利と空間の関係について、(5)芸娼妓の社会および空間について、(6)保養都市、観光都市の形成と場所のイメージにかんする方法論的検討、などを主たるサブテーマとして報告を行ってきた。本年度はとりわけ(5)と(6)について重点的に考察をすすめた。その成果は「11.研究発表」に挙げるとおりである。また、本採択課題の研究テーマに関連したアウトリーチ活動を、本年度も継続的に実施した。
著者
松田 法子
出版者
京都府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、日本の歴史的集住体が津波や洪水、氾濫などの水害に見舞われながらも、水の把握と制御によってその恵みを享受してきた居住史を振り返り直し、その具体相を明らかにすることを目的とする。そこでは、技術-空間-社会が統合された「社会的技術」とでもいうべき日常的な治水・防水システムが造りあげられてきた。本研究では、氾濫原-沼-潟に形成された集住体である新潟県の近世都市・集落である蒲原・沼垂・新潟の事例研究から、〈水際〉の居住史の具体相を探る。本研究が定義する〈水際〉とは、土地と居住との間に常に存在する一定の緊張関係と受給関係という両義性と相互の応答性を考察するためのキー概念である。