著者
小林 美和 山元 修
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.219-224, 2002-06-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
2 2

農業従事者に発症したスポロトリコーシス2例を供覧し, 当科で経験した11例についてまとめた. ガーデニングが流行していることから, 都市部においても, 趣味で土いじりを行う人での発症の増加が予想される. 本症を一種の職業性皮膚疾患として捉えたうえで, 農作業中の感染経路としての外傷予防を, 農家や趣味で農作業を行う人に呼びかけるとともに, 「カビ」による感染症についての啓蒙も必要である.
著者
織茂 弘志 山元 修 小林 美和 安田 浩
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.69-75, 2001-03-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
2 2

平成12年6月, 当教室では強酸による化学熱傷を2例経験した. 症例1は44歳の男性. 化学工場勤務中, 防護マスクをしていたにもかかわらず, その隙間より硝酸が侵入し, 顔面に化学熱傷を受傷した. また, 作業衣を通して右上腕から肩甲部および両下腿から大腿前面にも被酸した. 症例2は26歳の男性. 化学工場勤務中, 濃硫酸を両前腕部に浴び, Ⅱ度の化学熱傷を受傷した. いずれの例も酸をホースにより充填している作業中に, 不慮の事故で酸に曝露している. 両者ともマニュアルどおり15分以上の洗浄をし, 重大な機能障害を残すことなく軽快したが, 一部深達性の損傷部位も認めた. さらなる安全対策のために, 産業医学的側面より検討を行った. 今回の曝露事故を教訓として, 作業に関して次の3つの改善点をあげた. 1)作業中の油断, 特にベテランに多い慣れに伴う強酸の危険性の軽視に対しては, 再教育あるいは啓蒙活動が必要である. 2)主な受傷部位以外にも, 被酸部位の見逃しの可能性があることに対しては, 保護衣を脱ぎ, 全身シャワーを浴びることを勧めた. 3)保護マスクをしていたにもかかわらず曝露したことに対しては, 保護マスクの改良を提案した. また, 強酸曝露時の黄色痂皮を診たときは, 過小評価することなく, 深達性潰瘍の存在を念頭におくべきであることを反省した. 事故防止のため, より質の高い安全対策が望まれる.
著者
小林 美和 冨安 郁子
出版者
帝塚山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近時、食育の問題が重要視され、あらためて日本の伝統的食文化見直しの必要性が認識されはじめている。本研究は、そうした社会的要請を背景として、日本食文化の淵源として位置づけられている室町時代の食文化を、当時盛んに作成された室町時代物語を主たる素材として追究した。室町時代物語の多くは、絵巻や奈良絵本等といった形態で流布しており、それらは視覚的資料としても、当時の食文化・生活文化の実態を知る上で、有益である。本研究では、「東勝寺鼠物語」、「六条葵上物語」「月林草」「精進魚類物語」等の作品を素材として、当時の食文化および生活文化の実態を究明した。