著者
庄山 茂子 西之園 美咲 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.242, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 急速な高齢化に伴い、介護サービスを利用する高齢者が増加している。自宅での介護を望む高齢者も多いことから、介護施設では自宅にいるような雰囲気が求められる。そこで、対人関係の内容やあり方についての情報を伝達する機能をもつ介護服に着目し、要介護者にとって望ましい介護服の色彩を検討した。方法 (1)試料:ポロシャツ7種(White、lt-Red、 lt-Blue、 lt-Yellow、lt-Blue Green、d-Blue、dk-Blue)、 (2)時期:2015年6月~7月、(3)対象者:施設利用者216名(平均年齢84.1歳、SD7.6歳)、(4)方法:面接による質問紙調査、(5)内容:施設利用頻度、介護服の好ましさ、介護服のイメージ、 (6)分析方法:単純集計、一元配置分散分析、因子分析結果 「好ましい」の回答が最も多いのはlt-Blue Greenで、lt-Blueは男性に好まれ、lt-Redは女性に好まれた。同色相で明度の異なる3種(lt-Blue、d-Blue、dk-Blue )を比較すると、高明度の評価が高かった。7種に対するイメージについての因子分析の結果、「思いやり・癒し、責任感・信頼、活動性、個性、派手さ」の5因子が抽出され、平均因子得点は全ての因子において7種間に有意差がみられた。「思いやり・癒し」の得点が最も高いのはlt-Red、低いのは、d-Blue、dk-Blueの低明度のサンプルであった。「責任感・信頼」が最も高いのは、高明度の寒色系であった。
著者
庄山 茂子 川口 順子 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.200, 2008

<B>目的</B> 色彩嗜好は、年齢、性、民族、地域、時代などにより差がみられ、色彩の感情には、個人の生活体験に由来する色彩感情、文化的色彩感情、普遍的色彩感情の3タイプがあるといわれている。今日、国際化、情報化が進む中、日本に住むアメリカ人女性と日本人女性の色彩嗜好にどのような違いがみられるか明らかにすることを目的とした。<BR><B>方法</B> (1)調査概要 1)試料:75色カラーチャート(10色相+7ト-ン、有彩色70、無彩色5、日本色研) 2)場所:長崎県、高知県 3)対象者:日本人女子学生25名(平均年齢22.0歳 SD±0.58歳)、日本在住のアメリカ人女性25名(平均年齢23.2歳 SD±1.63歳) 4)調査方法:面接法による質問紙調査 5)調査時期:2005年、2007年8月~9月、(2)調査内容:嗜好色、嫌悪色上位3位、1位の色についてSD法による5段階尺度でイメージ評価 (3)分析方法:単純集計、χ<sup>2</sup>検定、t検定、因子分析、一元配置分散分析。<BR><B>結果</B> 嗜好色では色相、トーンに、嫌悪色では色相に2グループの人数の偏りに有意傾向がみられた。嗜好色の色相では、Red Purpleに差がみられ、日本人は Red Purpleを最も好んだ。この背景には、流行色の影響が推察された。Blueは、2グループに好まれた。嗜好色のトーンでは、日本人はlightをアメリカ人はvividトーンを最も好んだ。嫌悪色の色相では、日本人は、Red Purple、Orange、Redをアメリカ人は Yellow, Yellow Greenを嫌った。嫌悪色のトーンでは、両グループともlight grayishトーンを嫌った。日本人はやわらかく、理知的、あっさりしたイメージの色を好んだのに対し、アメリカ人は強く、動的なイメージの色を好んだ。嗜好色では色相よりトーンにグループ間の違いがみられた。
著者
庄山 茂子 大谷 紗友理 窪田 惠子 青木 久恵 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.339-348, 2017-04-25 (Released:2017-04-27)
参考文献数
28

大学病院に勤務する看護師20 名を対象に,通常のユニフォーム,各自好きなユニフォーム,病棟内の話し合いで決定したユニフォームを着用した場合の3 条件で職務を遂行してもらい,ユニフォームの採用条件の違いが看護師の心理やチーム医療にもたらす効果を比較した. (1)病棟内の話し合いにより決定したユニフォームを着用した場合の看護師の仕事に対するやりがい感は,通常のユニフォームを着用した場合より有意に高かった.患者や同僚への声かけ,ストレス,緊張感については,ユニフォームの採用条件の違いによる差はみられなかった. (2)チーム医療に関する評価では,ユニフォームの採用条件の違いによる差はみられなかった.しかし,病棟内の話し合いにより決定したユニフォームを着用した場合においてのみ,「目標達成と向上心」が高い看護師は,患者や同僚への声かけが多く,やりがい感が高かった.「職務協働性」が高い看護師は,同僚への声かけが多かった.
著者
庄山 茂子 青木 久恵 窪田 惠子 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.172-179, 2013-02-20 (Released:2017-05-30)
参考文献数
15

異なる6スタイルの看護服を看護師,歯科衛生士に着用してもらい,患者と看護師ならびに歯科衛生士(病院群)を対象に各スタイルの印象を調査し,スタイル間の印象の違いを明らかにした.(1)6スタイルの中で,「花柄のチュニックと白のパンツスタイル」は,患者群と病院群ともに看護 服として好ましい割合が高く,「ダークレッドパープルのスクラブと白のパンツスタイル」は,両群ともに好ましくない割合が高かった.特に,病気や治療に不安のある患者ほど「好ましくない」と回答した. (2)6サンプルの印象について因子分析の結果,患者群では,「思いやり,信頼・責任,積極性,活動性」の4因子,病院群では,「思いやり,信頼・責任,活動性,洗練」の4因子が得られた. 「思いやり」は花柄のチュニックや花柄のスクラブの因子得点が高く,「信頼・責任」は白のワンピースや白のチュニックに白のパンツスタイルの得点が高かった. 看護服のスタイルや色により,印象評価が異なることから,今後看護服の採用にあたっては十分な配慮が求められる.
著者
庄山 茂子 笹田 美沙都 平野 沙季 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.43-51, 2016

産婦人科病棟の看護師に異なるデザインの9種の上衣と白のパンツを着用してもらい入院患者267名を対象に印象を調査した.サンプルの生地は無地と花柄で,色彩は,白と高明度の青,赤紫,赤である.衿は,Vネック,クルーネック,シャツカラーの3 タイプである. (1)「好ましい,やや好ましい」の割合は,9 サンプルとも80%以上であった. (2)因子分析の結果,「親しみ・癒し,責任感,積極性,活動性」の4因子が抽出された.最も好まれたサンプルは,「親しみ・癒し」と「責任感」の因子得点の高いものであった. (3)「親しみ・癒し」は,無地より花柄のサンプルの評価が高かった.大花柄の方が小花柄より「親しみ・癒し」の評価は高い傾向がみられた. (4)「責任感」は,白無地の次に寒色系の大花柄のサンプルの評価が高かった.衿付きのサンプルは,「責任感」の評価は高いが,「活動性」の評価は低かった.
著者
輿水 ヒカル 栃原 裕士 東 賢一 池田 耕一
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.283-286, 2006-12-01

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境およびその勤務者による評価を明らかにするために、実測調査およびアンケート調査を行った。調査は2005年9月中旬に行われ、調査対象は、東京都千代田区にあるオフィスビルであった。建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い、併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった。その結果は、今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下で、湿度や平均放射温度等も比較的良好であった。勤務者の着衣状況は、ほぼ全員が軽装で、男性はジャケット着用者はおらず、ネクタイ着用率は1害1幅渡であった。勤務者による温熱環境の評価は、女性はおおむね満足度が高いが、男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった。着衣や代謝量、冷房に対する体質の違い等に起因すると考えられる。
著者
榎本 ヒカル 池田 耕一 東 賢一 栃原 裕
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.5-10, 2009
被引用文献数
1 9

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境条件およびその勤務者による性差を中心とした温熱環境評価の違いを明らかにするために,実測調査およびアンケート調査を行った.調査は2005年9月中旬に行われ,調査対象は東京都千代田区にあるオフィスビル及びその勤務者のべ84名であった.建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い,併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった.その結果,今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下であった.勤務者の着衣状況はほぼ全員が軽装で,男性はジャケット着用者はおらず,ネクタイ着用率は1割程度であった.勤務者による温熱環境の評価については,女性はおおむね満足度が高いが男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった.これは男女の着衣や代謝量,冷房に対する体質の違いに主として起因すると考えられる.また気温28℃におけるより快適な環境条件としてPMV=0.5となる条件の提言を行った.
著者
Son Suyoung 栃原 裕 Lee Joo-Young 村木 里志
出版者
独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

最近、災害現場などで防護服着用は不可欠であるが、防護服着用は着用者に動作性の低下をまねくことが知られている。各種防護服の異なるデザインや重量、着用者の運動能力、労働現場の環境温度を考慮する防護服着用時の動作性標準評価テストが必要と考えられ、防護服着用時の動作性を評価できる標準テスト方法の提案を着想することに至った。本研究では、様々な防護服着用による動作性を検討し、防護服着用時の動作性を評価できる基準値を含む標準評価テスト方法を提案することを目的とした。各種防護服着用時の動作性の検討を行うため、 個人装備着用時の関節可動域、作業及び運動能力、バランス能力などの測定を行った。
著者
栃原 裕 LEE Joo-Young LEE Joo-young
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

鳥インフルエンザなどの感染症対策、アスベストの除去作業等で、防護服の着用の機会が増え、多くの新しい防護服が開発されている。一方では、その防護性能の高さから、作業者は防護服着用時に大きな暑熱ストレスを受けることになる。そこで本研究では、比較的容易で判定精度の高い防護服着用時の暑熱負担評価テスト法を開発し、有効で簡便な生理・心理測定手技を提案することを目的とした。本年度は、安静または運動の2条件、防護服3条件、気温2条件(25、32℃)の組み合わせによる12条件の実験を行い、直腸温、赤外線式鼓膜温、皮膚温、発汗量、心拍数、主観的皮膚濡れ率、温冷感等を測定した。本研究から得られた知見を以下に示す。1)暑熱環境における非蒸散防護服着用時の運動条件では、赤外線式鼓膜温が直腸温の変化によく一致し、心拍数や発汗量などの生理指標との相関も高く、深部体温の測定方法としての妥当性が示された。しかしながら、中立気温条件や軽装条件、安静時および回復時には直腸温の変化に追従せず、測定方法の限界が示された。2)主観申告に基づく主観的皮膚濡れ率は、体温変化および心拍数や発汗量とよく一致し、熱理論式により求めた皮膚濡れ率との相関も高かった。この結果から、主観的皮膚濡れ率の妥当性が示され、フィールドテストにおける利便性、測定、計算の簡便性が示唆された。3)平均皮膚温を算出する際の体幹部皮膚温として、安静時には胸部、腹部、背部による差はなかった。しかし、運動時には体幹部皮膚温の分布が一様でなく、腹部では過小評価、背部では過大評価することが示され、3点の平均値、または1点で代表させる場合には胸部を用いることが推奨された。本研究の成果は、新しい防護服の開発や改良の際の標準評価法として利用でき、近い将来、防護服着用時の暑熱負担評価テスト法に関するISO/JIS規格の原案となりうるもので、その社会的意義は大きい。
著者
神田 清子 栃原 裕 飯田 苗恵
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

癌化学療法に伴う味覚識別能の変化に対応した食事ケアを検討することを目的として,次の3研究を施行した.第一に,癌化学療法を受けた入院中の患者45名を対象に治療前・中(4日目)・後(治療後10日目)の甘味・塩味・酸味・苦味についての識別能を試薬滴下法により検査し分析した.第二に,癌化学療法を施行する患者のための病院献立および食事への取り組みについて,全国の病院241施設を対象として郵送法により調査し,有効回答145施設の現況を分析した.第三に,癌化学療法を受けている患者,3事例の味覚識別能および食事摂取状況,食事嗜好を調査し,栄養バランスの評価を行った.結果は次のようにまとめられる.1.甘味・塩味・酸味・苦味のうち癌化学療法の影響を強く受けていたのは塩味であり,識別閾値は治療中敏感になり,治療後は有意に鈍感になっていた.2.癌化学療法を受ける患者のために特別な献立を有している施設は,48(33%)であり,献立の種類は,化学療法食,口内炎食,加熱食などであった.3.味覚識別能と食事の嗜好との関係では,甘味・塩味・酸味の味覚では,味が鈍感になった味覚を主体とする食品を補食する傾向にあった.また,薬剤投与中は,蛋白食品や煮物に対する嫌悪感が認められた.4.化学療法剤が投与されている期間および口内炎の合併は,蛋白質,脂質,炭水化物摂取量を極端に減少させ,熱量は基礎代謝量にさえ満ちていない.以上,癌化学療法を受け味覚に変化をきたした患者の食事ケアとしては,鈍感になった味を少し強化した味付けにする.化学療法剤投与中では,肉,卵,魚類の蛋白食品を少量使用する.治療後は,口内炎の合併がなければ塩味をやや濃くし,麺類など塩分の味付けを集中させる献立を提供する.加えて,食事ケアでは,病院食として化学療法食,口内炎食を確立する必要がある.そのためには栄養士と協力し,組織的な取り組みを行うことが不可欠である.
著者
栃原 裕 KIM TAE GYOU
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

実際の冷凍倉庫内の環境を想定して、冷凍倉庫内の荷役作業が人体の体温調節反応やその他の生理反応にどのような影響を及ぼすかについて実験を行った。8名の被験者とし、気温20℃、相対湿度50%環境下において20分間の椅座位安静の後、マイナス25℃環境へ移動し、10分間の椅座位安静後、10分間の作業を行い(作業なし、9kg荷役作業、18kg荷役作業)、再び10分間の椅座位安静で、計30分間の寒冷暴露とし、これを3回繰り返すものであった。その結果、寒冷作業における労動量が増加することによって熱産生量が増加することが明らかになったが、四肢末梢の皮膚温においては条件間の温度差が現れた。直腸温低下は労動量の増加によって抑制されたが、直腸温変動に対するCounting比の相関では労動作業による急激なCounting比の低下が見えた。直腸温37.2℃においてCounting比は条件18kg荷役作業で一番高く、作業なし、9kg荷役作業の順に低くなったが、36.7℃では条件作業なしが一番高く、9kg荷役作業、18kg荷役作業と低くなり、逆順序になることがわかった。これは直腸温と足趾温との相関でも同様であった。血液成分では、寒冷ストレスに対して血漿ノルアドレナルリン濃度が増加した。本実験結果もこれと同様の結果であった。本実験においては、作業による熱産生の増加により寒冷ストレスは軽減されたため、作業量増加に従って血漿ノルアドレナルリン濃度の増加量が低下したと考えられた。しかし、手作業の巧緻性は重量物の荷役などの労動によってむしろ低下した。したがって、同一時間に対する作業でも寒冷環境下の重量物の取り扱いは、作業能率の低下や荷物の落下などの危険性が高まる恐れがあるため、取り扱い時の作業時間の短縮及び安全上の確保をさらに要すると考えられた。