著者
村上 敏夫 鶴 剛 吉田 篤正 柴崎 徳明 池田 博一 牧島 一夫
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

ガンマ線バーストの起源を解明することを目的にこの研究班は組織された。今年度はその4年間の最後の年になる。その成果について実績を評価したい。研究は1:人工衛星を使った観測、2:理論的な検討、そして3:将来を考えたガンマ線バーストの観測装置の開発に目標を置いた。人工衛星を使った観測では、我々はガンマ線バーストの一種族であるリピーターの起源を超新星の残骸の中にある中性子星からと解明した。これはネ-チャー誌上に発表され、大きな評価を受けた。しかし、もう一つの種族であるclassicalガンマ線バーストでは原因の解明が達成されなかった。ガンマ線バースト源のX線対応天体の観測をASCA衛星で行い、X線源は受かるものの対応の可否は解明されない。最近イタリアのSAX衛星でガンマ線バーストに伴いX線が長い時間(数日)出ているのが観測されたが、これも人工衛星ぎんがで観測した事実の確認と言える。ここでも我々は大きく寄与したが、この輻射の起源の解明が今後の鍵を握るだろう。理論的な検討では、立教大の柴崎を代表にガンマ線バースト研究会を三回開催することが出来た。ガンマ線バーストでは発生源までの距離が分からないことから、理論家も仲々手を出すのが難しいと考えられる。主に我々の得た成果を聞いていただき、理論を検討頂いた。ガンマ線バーストで、日本から理論の論文が2つ出たのは大きな成果と言えるだろう。我々が最も重視したのは、将来の衛星で使えるガンマ線バースト検出器の開発である。科研費の大半はこれに投資されたのは言うまでもない。それは半導体を使用した硬X線検出器である。ノイズの少ない検出器を目指して開発され、ほぼ必要な性能がやっと最終年度に達成された。これは2000年に打ち上がるASTRO-E衛星に搭載されることになる。ASTRO-E衛星の硬X線検出器はガンマ線バーストを検出する能力があり、今後の発展を期待する。
著者
沢村 信一 原口 康弘 池田 博子 園田 純子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.304-309, 2010-07-15 (Released:2010-09-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3 9 3

(1) 石臼抹茶,ボールミル抹茶,粗粉抹茶の中位径は,15~20μm,最大径は50μm以上であり,微粉抹茶,ジェットミル抹茶の中位径は,5μm以下,最大径は10μm以下であった.(2) ジェットミル抹茶の円形度は,石臼抹茶,ボールミル抹茶と比較して高く,円形度の違いが伸展性試験や流動性に影響を及ぼしていると推測された.(3) 伸展性試験は,粒度の微細なジェットミル抹茶の伸展性が粗い粒度の粗粉抹茶と比較して2倍以上良かった.また,触感においては,伸展性試験の結果以上に,微細さや粗さを感じた.(4) ジェットミル抹茶の流動性は,流動開始振動加速度が一定しており,流動速度や流量も一定であった.これに対して,微粉抹茶は流動開始振動加速度が一定せず,流動速度や流量も一定でなかった.これは,円形度が高いことに起因すると考えられる.(5) 微粉抹茶の起泡性は,粗粉抹茶と比べて非常に優れていた.泡沫の起泡性向上や安定化には,粒子が微細であるとこが重要であることが分かった.
著者
池田 博和 村上 英治 藤岡 新治
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.51-81, 1975-09-30

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
池田 博樹 松本 正行 長谷川 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

ファイバ中の光ソリントンには、異常分散領域における明るいソリトンと正常分散領域における暗いソリトン(ダークソリトン)の2種類がある。ダークソリトンは(1)明るいソリトンよりもファイバの損失や増幅器雑音、さらに隣接パルス間の相互作用の摂乱に対して安定に振舞う、(2)自己誘導ラマン効果によって振幅が減衰しパルスが消滅する、等の特徴をもつ。明るソリトンの伝送特性は、フィルタによって制御できることが示されているが、背景波を伴うダークソリトンをフィルタによって制御することは困難である。ここでは、ダークソリトンの振幅(くぼみの深さ)と速度がお互いに関連していることに着目し、非線形増幅を用いて振幅を制御することによってダークソリトンの速度をコントロールする方法を提案する。
著者
池田 博 岩坪 美兼
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

バラ科キジムシロ属キジムシロ群に含まれる広域分布種と、それらから派生したと考えられる地域固有種について、形態学的・細胞遺伝学的・分子遺伝学的解析をおこなった。解析の結 果、1) キジムシロ群植物は全て 2 倍体(2n=14)である、2) P. freyniana var. sinica は、別の種 として取り扱うべきである、3)ヒメツルキジムシロは雑種ではなく、独立した種と考えられる ことが判明し、4) P. koreana とキジムシロ、ヒメキジムシロとテリハキンバイとの雑種を見出 した。
著者
大場 秀章 塚谷 裕一 秋山 忍 若林 三千男 宮本 太 池田 博 黒沢 高秀 大森 雄治 舘野 正樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.現地調査:ネパール、ミャンマーおよび中国にて下記の調査を行った。調査の主目的は、種子植物相を詳細に調査し、標本を収集すること、ならびに繁殖システムと動態、変異性を観察し、さらに帰国後の室内での分析に必要な試料を採取することである。(1)ネパール:ジャルジャル・ヒマール地域(1999年8月から9月);東部地域(2001年5月から6月)。(2)ミャンマー:中部地域(2000年8月)。(3)中国:雲南省梅里雪山・中旬県(1999年8月から9月);チベット東部(2000年7月から8月);雲南省西北部、チベット東・中部(2001年7月から8月)。2.収集した標本・試料等にもとづく分析 (1)分類学的研究:採集した標本を中心に同定を行い、新種ならびに分類学上の新知見について発表を行った。(2)細胞遺伝学的解析:Saxifraga(ユキノシタ科)、Potentilla(バラ科)、Impatiens(ツリフネソウ科)、Saussurea(ともにキク科)等で、染色体を解析した。(3)帰国後の分子遺伝的解析:Rhodiola(ベンケイソウ科)、Saxifraga(ユキノシタ科)、Impatiens(ツリフネソウ科)、Saussurea(ともにキク科)等で分DNAを抽出し、rbcL、ITS1、trnF-trnL non coding region(trnF-L)の遺伝子領域で解析を行っている。
著者
星野 卓二 高橋 英樹 池田 博 勝山 輝夫
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

カヤツリグサ科スゲ属植物213種の核および葉緑体遺伝子を解析し、現在広く採用されている形態に基づく分類体系と比較した。日本から韓国および中国東北部に分布するタガネソウ節が祖先型であり、属または亜属に分類できることが明らかになった。スゲ属植物の染色体は、異数的に染色体数が増加する方向に進化したことが明らかになった。また、節の分類が分子系統から強く支持されたものと、分類体系を見直す必要がある節が明らかになり、新しい分類体系が提案された。
著者
大利 昌久 新海 栄一 池田 博明
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-119, 1996
被引用文献数
10 16

The redback spider, Latrodectus hasseltii, is a common venomous spider in Australia. This species had not been recorded in Japan until late 1995. Large numbers of redback spiders were collected in Osaka City and in Yokkaichi City, Mie Prefecture, in November 1995. Another species of widow spiders, namely, the brown widow spider L. geometricus, was also collected in various ports : Yokohama, Tokyo, Nagoya, Osaka and in Okinawa. The author has reviewed current available information on widow spiders including the life cycle, reproduction, hunting behavior, systematics and distribution of each species, etc. The invasion route of these species into Japan is also discussed. The invasion of redback spiders into Japan apparently dates back several years as frequently old, empty egg sacs have been found. There is no information on how the redback spiders survived the winter season in Japan. Fortunately, so far in Japan no biting cases have been reported.
著者
池田 博子 園田 純子 沢村 信一
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.435-439, 2007-12-20
被引用文献数
2

米,茶葉,水および油脂がブクブクー茶の起泡性に及ぼす影響を調べ,次のような知見を得た。起泡性に大きく影響するのは米で,米(米湯)の量は多いほど,焙煎程度は高いほど泡立ちやすくなる。しかし,米の種類は起泡性にほとんど影響しない。茶葉の種類や濃度,水は起泡性にほとんど影響しない。油脂は微量でも起泡性を著しく阻害する。
著者
池田 博子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.214-218, 1999-08-20
被引用文献数
1

抹茶を泡立てる場合の湯温が起泡性に及ぼす影響を見るため,まず,浸出液を用いて浸出温度と起泡時の温度に分けて検討し,次に湯温を変えて抹茶懸濁液を泡立て以下のような知見を得た。 1.浸出温度は高いほど化学成分の溶出量は多く,浸出液の粘度も高くなり,泡沫容積は増大し,生じた泡はきめ細かく安定であった。 2.起泡時の温度は高いほど泡膜表面での蒸発が激しく,破泡が起こりやすくなり,泡沫容積は減少し安定度も低下した。 3.湯温を変えて抹茶懸濁液を泡立てると,化学成分の溶出と蒸発が並行して起こり,泡沫の生成と破泡が複雑に絡み,70℃以下の低温域では主として浸出温度,70℃以上の高温域では起泡時温度の影響を強く受け,泡沫容積は70℃以上では減少するが,安定度に差は見られなかった。