著者
渡辺 広光 蜂須賀 清 佐々木 聖夏 池田 和彦 本橋 昌幸 望月 孝幸
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2010年秋の大会
巻号頁・発行日
pp.477, 2010 (Released:2010-10-18)

原子力発電や再処理施設および原子力関連施設に関連する機器には,地震に対する高い健全性が要求されている。このため、有限要素法などによる解析技術を駆使した設計を行っている。 しかし、従来の計算では、配電盤の構造部材を一次元のはりや二次元の板で簡略化していたため、中心位置の読み取りや質量配分等の事前準備が必要であった。そこで、設計時の三次元CADデータを直接利用した実形状で解析モデルを構築する技術を適用して、耐震設計の精度向上と効率化を図り、新しい耐震指針に適合した配電盤の開発を行ったので報告する。
著者
渡辺 努 渡辺 広太
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.26-55, 2016-12-01 (Released:2022-01-25)
参考文献数
29

我が国では1995年から2013年春まで消費者物価(CPI)が趨勢的に低下するデフレが続いた.このデフレは,下落率が毎年1%程度であり,物価下落の緩やかさに特徴がある.また,失業率が上昇したにもかかわらず物価の反応は僅かで,フィリップス曲線の平坦化が生じた.デフレがなぜ緩やかだったのか,フィリップス曲線がなぜ平坦化したのかを考察するために,本稿ではデフレ期における価格硬直性の変化に注目する.本稿の主なファインディングは以下のとおりである.第1に,CPIを構成する588の品目のそれぞれについて前年比変化率を計算すると,ゼロ近傍の品目が最も多く,CPIウエイトで約50%を占める.この意味で価格硬直性が高い.この状況は1990年代後半のデフレ期に始まり,CPI前年比がプラスに転じた2013年春以降も続いている.この価格硬直性の高まりがフィリップス曲線を平坦化させた.第2に,前年比がゼロ近傍の品目の割合とCPI前年比の関係をみると,CPI前年比が低ければ低いほど(CPI前年比がゼロに近づけば近づくほど)ゼロ近傍の品目の割合が高くなるという関係がある.インフレ率が低下すると価格据え置きに伴う機会費用が小さくなるためと解釈できる.1990年代後半以降の価格硬直化は,グローバル競争などの外生的要因によるものではなく,CPIインフレ率の低下に伴って内生的に生じたことを示唆している.第3に,品目別価格変化率の分布の形状を米国や英国などと比較すると,米国などでは上昇率2%近傍の品目が最も多く,最頻値がゼロの日本の分布と異なっている.また,価格変化率の品目間のばらつきをみても,米国などではインフレ率が2%近傍のときにばらつきが最小値をとるのに対して,日本ではゼロインフレでばらつきが最小になる.これらの結果は,米国などでは各企業が毎年2%程度の価格引き上げを行うことがデフォルトなのに対して,日本ではデフレの影響を引きずって価格据え置きがデフォルトになっていることを示唆している.第4に,シミュレーション分析によれば,長期にわたってデフレ圧力が加わると,実際の価格が本来あるべき価格水準を上回る企業が,通常よりも多く存在する状況が生まれる.つまり,「価格引き下げ予備軍」(できることなら価格を下げたいと考えている企業)が多い.一方,実際の価格が本来あるべき価格水準を下回る「価格引き上げ予備軍」は少ない.この状況では金融緩和が物価に及ぼす影響は限定的である.我が国では,長期にわたるデフレの負の遺産として,「価格引き下げ予備軍」が今なお多く存在しており,これがデフレ脱却を難しくしている.
著者
掛谷 佳昭 山本 洋司 渡辺 広希 惠飛須 俊彦
出版者
一般社団法人 大阪府理学療法士会生涯学習センター
雑誌
総合理学療法学 (ISSN:24363871)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.9-16, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
34

【目的】レンズ核線条体動脈(lenticulostriate artery:以下,LSA)領域のBranch Atheromatous Disease(BAD)患者に対する発症24時間以内の離床が運動機能および進行性脳梗塞に及ぼす影響について後方視的に検討すること。【方法】対象は2014年から2018年に当院へ入院したLSA領域のBAD患者とし,早期群と通常群の2群に分けた。年齢,性別,BMI,脳卒中危険因子,脳卒中既往歴,発症前modified Rankin Scale(mRS),入院時National Institute of Health Stroke Scale(NIHSS),発症から立位開始までの時間,入院時および転帰時の下肢Fugl-Meyer Assessment(FMA),転帰時Barthel Index(BI),転帰時Functional Ambulation Categories(FAC),進行性脳梗塞の有無,進行性脳梗塞例の離床前後の収縮期血圧,リハビリ実施時間,実施回数について調査した。【結果】早期群17名,通常群13名であった。転帰時の下肢FMAは入院時と比較して両群共に有意に高値であった。BIは両群間に有意差を認めなかったが,自力歩行獲得例は通常群と比較し早期群で有意に多かった。進行性脳梗塞は両群間で有意差を認めなかった。【結論】LSA領域のBAD患者に対する発症24時間以内の離床は,安全かつ運動機能,歩行能力向上に繋がる可能性が示唆された。今後は研究デザインやサンプルサイズを考慮したさらなる研究の実施が必要になる。
著者
山本 洋司 渡辺 広希 高田 祐輔 梅本 安則
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.615-623, 2020 (Released:2020-12-18)
参考文献数
38

【目的】脳卒中患者に対する早期離床を発症後48 時間以内の起立と定義し,有効性および安全性について検証すること。【方法】対象は脳卒中患者とし,早期離床導入前群(以下,導入前群)と早期離床導入後群(以下,導入後群)に分けた。主要アウトカムは退院時のBarthel Index ならびにmRS とした。副次項目は不動関連の合併症ならびに神経学的有害事象とした。【結果】導入前群110 名,導入後群93 名であった。Barthel Index は導入前群と比較して導入後群で有意に高かった。mRS(0–1) に該当する者は導入前群と比較して導入後群で有意に多かった。不動関連の合併症は導入前群と比較して導入後群で有意に少なかった。神経学的有害事象は両群間で有意差を認めなかった。【結論】発症後48 時間以内の起立と定義した早期離床は,脳卒中患者においてテント上病変ならびに保存的治療例で安全に実施可能で機能的予後を良好にし,不動関連の合併症を減少させる。
著者
須江 國雄 渡辺 広明
出版者
佐野短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成17年度は、主に、西ヨーロッパ先進諸国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア)における最新の経済状況と半導体産業の動向、西ヨーロッパ先進諸国に進出をした日系企業の動向に関する調査研究と資料の収集を実施した。研究日程は、9月9日(金)午前中に、成田よりコペンハーゲンへ、コペンハーゲンよりイギリスのロンドンへ出発。9月10日(土)〜14日(水)には、イギリスの日本貿易振興会(JETRO)ロンドン・センターと在英日本商工会議所を訪問し、イギリスの最新経済概況と、世界とイギリス半導体産業の動向や、日系進出企業の動向に関する調査研究の資料の収集を実施した。さらに、ロンドン市内のNECと東芝の経営責任者とのヒヤリング調査から、今後の経営戦略に関する調査研究をした。9月14日(水)には、イギリスのロンドンからフランスのパリに移動をした。9月14日(水)〜18日(日)には、フランスの日本貿易振興会(JETRO)パリ・センターと在仏日本商工会議所を訪問し、フランスの最新経済概況と、フランス半導体産業の動向や、日系進出企業の動向に関する調査研究の資料の収集を実施した。さらに、パリ市内の日立製作所の経営責任者とのヒヤリング調査から、今後の経営戦略に関する調査研究をした。9月18日(日)には、フランスのパリからドイツのデュセルドルフに移動をした。9月18日(日)〜22日(木)には、ドイツの日本貿易振興会(JETRO)デュセルドルフ・センターとデュセルドルフ日本商工会議所を訪問し、ドイツの最新経済概況と、ドイツ半導体産業の動向や、日系進出企業の動向に関する調査研究の資料の収集を実施した。さらに、デュセルドルフ市内のNECと東芝の経営責任者とのヒヤリング調査から、今後の経営戦略の調査研究をした。9月22日(木)には、ドイツのデュセルドルフからイタリアのミラノに移動をした。9月22日(木)〜25日(日)には、イタリアの日本貿易振興会(JETRO)ミラノ・センターと在イタリア日本商工会議所を訪問し、イタリアの最新経済概況と、日系進出企業の動向に関する調査研究の資料の収集を実施した。9月25日(日)の午後にミラノからコペンハーゲンへ、コペンハーゲンから26日(月)に成田に帰国をした。西ヨーロッパ先進諸国では、イギリス経済だけは好調であったが、土地価格が5年間で2倍に上昇したことで、若年層の住宅購入が困難化し、国内消費水準好調と関連して、個人の負債権者が増加しているのが問題である。他の3カ国はいずれも経済が停滞状況にあり、失業率はイタリアが8%で、他の2カ国は二桁台と深刻な状況にあり、特に、若年層での失業率が高い点が問題である。また、半導体産業は、日韓の半導体企業に圧倒されている。日系の進出企業数は、一時期の撤退傾向がストップをして、全体では一貫した増加傾向で推移しているが、特に、低賃金と経済発展による市場発展と拡大を見越して、チェコやハンガリー等の東欧諸国への進出増加が、近年の特徴でもある。