著者
畠山 豊 宮野 伊知郎 片岡 浩巳 中島 典昭 渡部 輝明 奥原 義保
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.267-277, 2013 (Released:2014-12-05)
参考文献数
10

健康診断において被験者の問診項目情報も利用する解析を行う妥当性評価のために,問診項目の記述内容と健診における検査結果との関係性を解析した.問診情報は多数の項目(270項目)から構成されているため被験者ごとの記述特徴を直接的に抽出することは困難である.各被験者の生活習慣を潜在トピックとし,その条件下で回答パターンを確率モデルとして記述し,潜在的ディリクレ配分法によって各潜在トピックを抽出することにより,被験者群の問診特徴を自動で抽出する.4,381被験者に対し30トピックで分割し検査値分布の比較を行い,各群において検査項目(血糖値,TG,eGFR)が他の群と比較して差が存在している(p<0.05)場合,その検査値に対応した問診項目回答パターンであることを示した.この解析結果は,診断時における主訴や病歴情報と同様に,被験者の状態を把握するために問診情報が重要な判断基準として利用可能であることをデータに基づき示した.
著者
家村 芳次 片岡 浩平 原 昌道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.130-135, 1996-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17
被引用文献数
9 10

The laboratory-scale sake mashing was carried out using rice of various polishing ratio; 70%, 80% and 90%.Amino acidity of sake mash was the lowest at polishing ratio 90%, in spite of highprotein content of polished rice.To elucidate its mechanism, the balance of nitrogen in sake mashwas investigated, and results described below were obtained. More than 50% of nitrogen releasedfrom koji and steamed rice was taken in yeast cells in sake mash.The amount of nitrogen releasedfrom both koji and steamed rice was the largest at polishing ratio 90%, whereas, the amount of nitrogen taken in yeast cells was about 1.5 times as large at polishing ratio 90% as that at polishing ratio 70%. Consequently the nitrogen concentration of liquid phase was lowest in sake mash atpolishing ratio 90%. The cell concentration of yeast in sake mash at polishing ratio 90% was 2.5times as high as that at polishing ratio 70%, whereas the amount of nitrogen per dry weight of yeast was about the same regardless of polishing ratio, though the dry weight per 108 yeast cells at polishing ratio 70% was 1.7 times as high as that at polishing ratio 90%. From these results, it was comprehensible that the amount of nitrogen taken in yeast cells in sake mash was the largest at polishing ratio 90%.
著者
森永 睦子 片岡 浩巳 通山 薫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.25-32, 2023-01-25 (Released:2023-01-25)
参考文献数
11

救急医療の現場では,意識障害,ショック患者に薬物が関与している場合がある。原因検索の一手段として薬物検出検査は有用であるがこれらの分析は精密機器を使用しているため操作が煩雑であり検査結果報告および手技の取得に時間と人員およびコストを要する。そのためどの施設でも直ぐに測定を確立するのは簡単ではない。そこで,一般的に測定される臨床検査項目やバイタルサイン等の病態パラメータ,病歴,薬歴および治療歴などの患者背景を用いて,網羅的に単変量解析し重症化に関連する因子を抽出した。さらに,ROC解析と多重ロジスティック解析を行い重症処置の有無を予測する式を導出した。対象は,川崎医科大学附属病院高度救命救急センターに搬送された薬物中毒患者197症例を用いた。その結果,重症処置の有無に強く関与する因子は入院の有無,中毒域薬物の有無,大量服薬の有無,向精神薬検出の有無,WBC,D-ダイマー,CK-MB,APTT,GCS,BE,白血球分画の単球(monocyte %)であった。重症化の予測にはGCS,大量服薬の有無,来院時のCK-MB,APTT,monocyte %が関連しており,重症化予測の適合度を表すROC分析では患者背景のみでは0.701,臨床検査値のみでは0.700,患者背景と臨床検査値では0.789であり両者を組み合わせた方が判別度の妥当性が高かった。
著者
田村 哲郎 近藤 宏二 片岡 浩人 河合 英徳
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第24回 風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.253-258, 2016 (Released:2017-03-18)

本研究は国土交通省建築基準整備促進事業で実施されたCFDの風荷重の推定への適用性について論じる。本研究ではオフィス棟と住宅の2種類の高層建物について、その風圧力を乱流モデルにLESを適用した数値解析により推定している。また、3機関による風洞実験を実施し、風洞実験設備による風圧力のばらつきを考察したうえで、数値解析の検証のためのデータベースを整備した。さらに風洞実験結果との比較から、CFDによる数値解析結果が風洞実験結果と同等の精度を有することを確認した。
著者
北村 匡大 片岡 浩海
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.D1703, 2008

【はじめに】大動脈瘤破裂に対しては、通常手術を施行し、施行しない場合は生存率が低いことが知られている。今回、胸部大動脈瘤(以下TAA)破裂後、保存的加療を行った症例に対しての理学療法を経験し、ADL向上を認めたので、ここに報告する。<BR>【症例紹介】87歳女性、病前ADL自立、NYHAI度。TAAにて近医に通院中であった。2007年8月9日夜、突然の胸痛後ショック状態となり、近医に救急搬送となり、CTにてTAA(遠位弓部)破裂および左血胸と診断。当院へ搬送入院、ICU管理となる。治療は家族の希望もあり、手術はしない方針で安静、鎮痛・鎮静などによる対症療法にて保存的に様子をみた。入院時JCSクリア、収縮期血圧120mmhg(ニカルピン静注10ml/hr)、HR60台、SpO2 94~97%(02 10L/min)、体動にて喘鳴著明。貧血を認めたため、赤血球濃厚液4単位輸血後バイタルサイン安定。入院5日目左血胸に対し胸腔ドレナージ間歇的に施行。入院6日目に一般病棟へ転棟。入院44日目Dr指示よりADL向上目的、安静度ギャッジアップ60°まで、収縮期血圧100~130mmHg範囲内、SpO2 95%以上にてベッドサイドより理学療法開始となる。<BR>【理学療法開始時所見】JCSクリア、認知症 軽度、Demand 家に帰りたい、GMT 上肢3 体幹2 下肢2、疼痛 腰部周囲筋群・両下肢筋群に伸張痛、ROM 股・膝関節に屈曲制限、足関節に背屈制限、基本動作・ADL動作 全介助FIMは48点であった。臨床所見として、表情良好、O2 2L/min、痰はほぼなし、左呼吸音減弱、食事は経口摂取と高カロリー輸液の併用、末梢冷感有、足背動脈触知可。X線で左肺血胸認め、NYHA IV度であった。<BR>【経過】理学療法開始1日目(入院44日目)ギャッジアップ30°、軽度の筋トレ、ストレッチ施行。翌日O2 off。9日目 ギャッジアップ90°、その後深部静脈血栓症認め立位は保留。22日目 下大静脈フィルター留置後、翌日より座位、車椅子、P-トイレ、機械浴開始。27日目 歩行器歩行開始(10m程度息切れ有)、39日目 本人・家族の希望もあり近院に転院となる。歩行器歩行(100m息切れ無)。ADL動作はFIM 72点であった。<BR>【まとめ】TAA破裂後の予後は厳しい報告が多い中、保存的加療行った症例の理学療法を経験した。病態が十分に安定しているとはいえない中、運動療法施行では、低負荷・頻回のメニュー、運動中の息こらえ、息切れ、旧Borgスケールで11~13程度以下の疲労感に注意しながら行った。結果、理学療法開始39日間にてADLの向上を認めた。この背景としては、再破裂を起こさなかったこと、病前ADLが高かったこと、本人の在宅復帰への要望が強かったことが考えられた。
著者
石川 澄 奥原 義保 合地 明 木村 映善 津久間 秀彦 田中 武志 岩田 則和 石田 博 横井 英人 森川 富昭 花田 英輔 原 量宏 井上 裕二 太田 吉夫 岡田 宏基 森口 博基 石原 謙 近藤 博史 北添 康弘 畠山 豊 渡部 輝明 中島 典昭 栗原 幸男 片岡 浩巳 岩崎 泰昌 野々村 辰彦 園田 武治 中野 直樹 稲岡 則子 堀 信浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現在の医療記録の電子化は記録を利用することを軽視していないか?電子医療記録の利用ができない、あるいは利用がしにくい要因を分析した結果、患者の診断・治療と評価のために蓄えられる情報の信憑性に問題があるのではないかと仮定した。年2回のワークショップに於ける議論や日本医療機能評価機構の情報機器・IT化部会の協力で行ったアンケート評価に基づき、情報の信憑性を阻害する因子をソフト的、ハード的、および人為的要因に分けて分析した。更に分析結果から「患者がどのようになったら良いのか」という医療のゴールに向かって診療と治療が行われる過程で「記録」にどのような要件と問題点が存在するかを検討した。結果、電子医療記録の信憑性を阻害する要因は、次の4段階の構造モデルに分類された。すなわち、データレベルにおける「正確性」と「連続性」の確保を基盤とすること、データを系統別に分け長期にわたり視認できる「通覧性」を確保すること、そして目標達成にむけてその道筋を誰もが理解できる形で表現して「物語性」を確保すること、である。そしてモデルの各段階におけるソフト、ハード面、および人為的に複合する解決策の提案を行った。