著者
田中 卓 竹林 崇 花田 恵介
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.86-93, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
23

今回,脳卒中後左片麻痺と左半側空間無視を伴う全般的認知機能障害を呈した事例に対して,病態に応じた工夫を施した麻痺手に対する複合的なアプローチ(病棟スタッフ主体のTransfer Packageや課題指向型アプローチ,電気・振動刺激)を実施した.結果,予後不良と考えられた事例において,臨床上意味のある最小変化量を超えた上肢機能の改善と,意味のある作業の達成が可能となった.さらに,半側空間無視も中等度の障害から軽度の障害への変化が見られた.回復期の介入のため,自然回復の影響は否めないが,本介入は認知機能低下を呈した事例に対する上肢機能アプローチにおける工夫として有用な可能性があると考えられた.
著者
田中 卓也
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The Journal of Kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.17, pp.29-37, 2019-03-31

「スポーツする少女」は,1960 年代より少女マンガという形で誌面に登場した。『アタックNo.1』や『サインはV!』では,バレーボールを題材に少女たちに厳しい練習を行わせるとともに,恋や友情など思春期の悩みなどを展開させることになった。オイルショック以降になると,日本は高度成長期を終え,安定成長期へと移行し,多くの国民の関心は個人の多様な価値観を求めるようになった。1970 年代以降になると,少女マンガはなりをひそめ,ギャグマンガやお笑いブームなどにより衰退化していくことになった。
著者
田中 卓也
出版者
静岡産業大学経営研究センター
雑誌
環境と経営 : 静岡産業大学論集 = Environment and management : Journal of Shizuoka Sangyo University (ISSN:13415174)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.31-43, 2020-06

戦後の「女学生」を対象とした二誌は、女子中学生・高校生ら「ジュニア」世代を誌面内容や附録などを工夫しながら、巧妙に読者に取り込んだ。誌面づくりのために、生き残りをかけて少女の心を引き留めることに苦心した。しかしながら両誌は、発刊および廃刊の時期は異なるものの、「女学生」としての教養の習得をめざすことは忘れておらず、クイズや懸賞形式を採用しながらも誌面に学習教材としてのものを掲載し続けた。しかしながら『女学生の友』はその後、ジュニア向けファッション誌『プチセブン』に、『女学生コース』は、『中1コース』、『高1コース』のように学習内容を残しながらも、ファッション、マンガなどの要素をとりいれたものへと変化を遂げることになり、「娯楽」や「流行」を求める少女雑誌の台頭を促すことになった。
著者
吉田 圭一 舟木 和紀 棚川 美佳 松村 英雄 田中 卓男 熱田 充
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.35-40, 1995-02-01
被引用文献数
32 13

歯冠修復の最終補綴処置として使用する合着用セメントは,100年以上にわたってリン酸亜鉛セメントが王座を占めてきた.その後,カルボキシレートセメントとグラスアイオノマーセメントが相次いで開発され,さらに歯質や金属と接着性を有するレジンセメントが登場して,接着ブリッジ以外にもキャスタプルセラミックスクラウンやラミネートベニアなどのポーセレンとの接着にも利用され,それらの用途が急速に広がりつつある.そこで本論文は,従来の合着用セメントとレジンセメントの機械的性質と吸水・溶解量,金銀パラジウム合金に対する接着強さを測定し,材料学的見地からこれらのセメントを比較検討したものである.
著者
田中 卓也
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.145-170, 2014-03-31

1925(大正 14)年に集英社は、老舗出版社であった小学館の「娯楽雑誌部門」として分離独立した。翌年に正式独立し、「明るく楽しい少年少女雑誌」をキャッチフレーズとして、これまでに多くの雑誌を発刊した 1)。戦後になり同誌は、おもに就学前の児童から小学校児童の男子・女子に購読されていた。誌面は戦前から存在した「小説」、「物語」のほかに、マンガ、スポーツ記事や読者投稿欄なども設けられ、読者等の多くに‶娯楽"の雰囲気を提供した。読者らが集った投稿欄は "文ちゃんクラブ" とよばれ、愛読者にも人気を博した。そこに集うことで読者らは、(編集)記者と交流を図ることや、愛読者仲間を見つけ出す機会となった。またマンガの主人公や、スポーツ選手等に憧憬し、読者等のなかには次第に"ヒーロー像"が確立されることになった。 かくして『おもしろブック』は、集英社より戦後の児童雑誌の転換期に登場し、児童読者の興味・関心が分化する流れの中で、対応することに迫られた。しかしながらテレビの放映開始、マンガの流行等大きな波が押し寄せる中で、幾度か誌面構成を変更することも余儀なくされた。しかしながら編集部は読者のことを最後まで忘れなかった。同誌は発刊後 10 数年間にわたり役割を果たし、次世代雑誌『少年ブック』にバトンを渡すことになる 2)。
著者
田中 卓也 Takuya Tanaka
巻号頁・発行日
vol.13, pp.155-173, 2015-03-31

『少女ブック』は、集英社から1951(昭和26)年8 月に発刊された。同誌は創刊号より表紙に少女モデルを採用した。また同誌には早い時期から投書欄「仲良しルーム」が存在していた。「仲良しルーム」は少女読者の人気を誇った欄であった。また投書欄には「ブッ子」という愛称で親しまれるキャラクターが登場し、誌面を賑わせた。少女読者らはこぞって「仲良しルーム」に投書を寄せ、仲間を見つけた。文通する者もいれば、「少ブ」と略語を使用し、愛読者仲間に参入する者等も存在した。その後読者間の交流は、誌面外になることが多かった。読者が互いに「少ブ」という略語を合言葉に、目には見えない読者の共同体を形成した。また読者の関心が今まで以上に、多方面に展開した。仲間を求めること以上にスタア、アイドルに熱狂するような傾向が見られた。同誌編集者は誌面では手の届かないスタア・アイドルと文通を通じて交際し、より近い距離での関係を構築することに一役買った。そのため本来の小説、物語を中心であった誌面構成が、テレビの普及等を理由に大きく様変わりすることになった。時代の流行に追随することが目的となった同誌は、「あなたのすてきなスター雑誌」としての方向性をとることになり、少女雑誌からスタア・アイドル誌への誌面方針の転換を余儀なくされた。
著者
西田 秀昭 橋本 哲夫 北村 修一 塚 正彦 田中 卓二
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.327-331, 2000-09-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
9

背景: 卵巣の悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫の腹水細胞所見に関する報告はない.今回, 術前の腹水細胞診で興味ある細胞所見を示した症例を経験したので報告する.症例: 48歳, 女性.約5ヵ月前より, 水様性帯下が持続し, 腹部膨満感を感じるも約1ヵ月間放置.入院時, 画像所見にて腹水, 卵巣腫瘍を認め, 子宮, 両側付属器を摘出した.腹水細胞所見は, 好中球, リンパ球および組織球からなる炎症性背景に, 異型のない紡錘形細胞の集塊や少数の大型~巨細胞性の異型細胞がみられた.異型細胞は細胞質が豊富で偏在性の核を有し, 核縁の肥厚には乏しく, 明瞭な核小体を1個~数個有し, 細胞質辺縁はライトグリーンに好染していた.病理組織所見では, 左卵巣は嚢胞性腫瘍で, その壁には毛包, 歯牙が混在し, 角化を伴う高分化扁平上皮癌の浸潤性増殖がみられ, 浸潤にしたがいその分化度が低下していた.また, 子宮体部への浸潤も認められた.右卵巣は左に比べ小型の嚢胞性腫瘍を認め, 一部角化を伴う癌細胞が浸潤増殖し, 右卵管への浸潤もみられた.結論: 悪性転化を起こした高分化扁平上皮癌が浸潤に伴い低分化となり, この低分化扁平上皮癌細胞が腹水中に出現したと考えられた.
著者
八坂 哲雄 麻生 茂 宇田 暢秀 西田 迪雄 安倍 賢一 田中 卓史 永山 邦仁 室園 昌彦
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

惑星探査機の搭載機器能力を大きく向上させる方式として、惑星周回軌道に投入する際にアエロブレーキを用いることを目的とし、その基本技術として、地球周回軌道で小型人工衛星を用いた実証をすること、水素を主成分とする惑星大気の力学を極めることを柱として研究を行ってきた。最終年度には、地球周回実証機の打ち上げ機会が得られなかったので、フライトモデルにプログラム書き換え機能を付与すること、ユニットの統合などによる軽量化を計ることなどの高機能化を行った。非火薬分離機構の研究では、切り離し実験を進め、実用システムとしての可能性を見出した。釣竿を利用した伸展ロッドは環境試験を実施して実用の確認をした。姿勢・軌道の制御ではテザーの運動を利用して効果的な軌道制御を実現する理論を確立した。気体力学では、水素極超音速希薄流の解析を行い、水素分子の回転緩和、振動緩和、解離反応を考慮し、木星大気を対象としたエアロキャプチャーが実現できる見通しを得た。実験的にはデトネーション駆動型イクスパンションチューブを用いて水素極超音速流の発生を試み、8km/sを達成した。また、炭素系アブレータをアーク加熱空気流に曝し、分光分析によりCN Violet、C_2 SWANバンドをアブレータの上流側で観測し、スポーレーションの発生を確認した。さらに、惑星大気に突入したときの強い衝撃波を含む非定常大規模乱流を解明するため、精度向上を達成できるLES/RANSハイブリッド乱流モデルを検討し、新たなモデル表式を確立した。
著者
西山 正彦 吉田 和弘 頼島 敬 田中 卓 峠 哲哉
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.1942-1947, 1992-07-01
被引用文献数
12

80歳以上の高齢者胃癌手術症例52例について合併症,とくに精神障害との関連を検討した.精神障害を含む術後合併症の発生率は術式と密接に関連しており,幽門側胃亜全摘:31%(11/35人),胃全摘:67%(8/12),下部食道胃噴門側亜全摘:100%(3/3),下部食道胃全摘および食道抜去胃全摘:100%(1/1)となった.せん妄は術後最も発生頻度の高い合併症であった(14/52:27%).その発症率と平均発現期間は,幽門側胃亜全摘:32%(8/25),4.5日,胃全摘:43%(3/7),7.0日,下部食道胃噴門側亜全摘:100%(3/3),10.0日であった.また胃幽門側亜全摘術後には老年期痴呆の改善が認められたが,胃全摘術後には西村式評価で39.9から33.0(p<0.05,t検定)と日常生活動作の低下が認められた.器質的,精神的障害両面への影響からみると,幽門側亜全摘術では良好な経過が期待できるが,それ以上の侵襲を有する手術では周到な周術期管理が必要と考えられた.
著者
吉田 省造 岡田 英志 土井 智章 中島 靖浩 鈴木 浩大 田中 卓 福田 哲也 北川 雄一郎 安田 立 水野 洋佑 宮﨑 渚 森下 健太郎 牛越 博昭 竹村 元三 白井 邦博 豊田 泉 小倉 真治
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.129-135, 2015 (Released:2015-02-28)
参考文献数
24

症例は50歳代の男性, キノコ狩りに行きキノコを焼いて食べた翌日に下痢・嘔吐などの消化器症状を自覚し近医を受診. 血液検査にて肝逸脱酵素上昇を認め入院となった. 翌日の採血で肝逸脱酵素の著明な上昇 (AST 5,000台, ALT 5,000台) を認め, 当院に搬送となった. 問診によりドクツルタケ摂取による肝障害を疑った. 入院当日より肝性脳症を認め, 昏睡型急性肝不全と診断. 挿管・人工呼吸管理として, 肝不全治療と同時に毒素除去, 高分子除去を目的として急性血液浄化療法を行った. 入院5日後に肝性脳症は改善し呼吸状態は良好で抜管, 経過良好にて入院9日後に転院となった. ドクツルタケ中毒における血液浄化療法は否定的な意見が多いが, 今回は肝不全を呈したドクツルタケ中毒に対し, 血液浄化療法を行い救命し得た. ドクツルタケの中毒を疑った場合には, 早急な血液浄化療法が有効である可能性が高いと考えられた.
著者
田中 卓也
出版者
静岡産業大学経営研究センター
雑誌
環境と経営 : 静岡産業大学論集 = Environment and management : Journal of Shizuoka Sangyo University (ISSN:13415174)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.47-54, 2019-12

本研究では、芸能雑誌『明星』(集英社)を取り上げ、多くの女性ファンの心をつかむことに成功した男性アイドルについてとりあげ、男性アイドル観がどのように形成されたのかについて考察・検討を試みるものである。また男性アイドルが、「スポーツ」と「恋愛」について、どのように結びついていくことになったのかについて見出すものである。 1960年代初頭にジャニー喜多川が手掛けた4人組グループの「ジャニーズ」が「野球」を通じて交流した若い青年が最初のジャニーズタレントになって以降、現在に至るまで、多くのタレントを排出した。彼らは「野球」をはじめ、様々なスポーツと関わるなかで、若い女性から人気を博すことになった。女性にとっての男性アイドル観は、「新御三家」に始まり、「たのきんトリオ」の登場で形成されはじめ、「SMAP」に至るまで以後多くの女性から愛される(恋愛対象としての)存在になっていった。『明星』誌は、スポーツと恋愛が女性ファンと結びつける装置としての機能を有した。
著者
田中卓著
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
1985
著者
田中 卓
出版者
芸林会
雑誌
芸林 (ISSN:04332547)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.2-25, 1997-08
著者
田中 卓也
雑誌
環境と経営 : 静岡産業大学論集 = Environment and management : Journal of Shizuoka Sangyo University
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.47-54, 2019-12-01

本研究では、芸能雑誌『明星』(集英社)を取り上げ、多くの女性ファンの心をつかむことに成功した男性アイドルについてとりあげ、男性アイドル観がどのように形成されたのかについて考察・検討を試みるものである。また男性アイドルが、「スポーツ」と「恋愛」について、どのように結びついていくことになったのかについて見出すものである。 1960年代初頭にジャニー喜多川が手掛けた4人組グループの「ジャニーズ」が「野球」を通じて交流した若い青年が最初のジャニーズタレントになって以降、現在に至るまで、多くのタレントを排出した。彼らは「野球」をはじめ、様々なスポーツと関わるなかで、若い女性から人気を博すことになった。女性にとっての男性アイドル観は、「新御三家」に始まり、「たのきんトリオ」の登場で形成されはじめ、「SMAP」に至るまで以後多くの女性から愛される(恋愛対象としての)存在になっていった。『明星』誌は、スポーツと恋愛が女性ファンと結びつける装置としての機能を有した。