著者
畑江 敬子 飛松 聡子 竹山 まゆみ 松本 重一郎
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.2001-2007, 1986
被引用文献数
30 134

Contribution of the connective tissue content on the meat texture of fish species was studied. Firmness of texturometer tests and collagen content of the raw and cooked dorsal muscles of five fish species were determined. Five species selected were skipjack, flying fish, common horse mackerel, plaice and channel rock fish. The firmness value of raw meat varied in a decreasing order: plaice, channel rock fish, flying fish, skipjack, and common horse mackerel. That of cooked meat varied in a decreasing order: skipjack, flying fish, common horse mackerel, plaiceand channel rock fish. The order of the above series was in reverse between raw meat and cooked meat. The species with softer raw meat textures, on cooking gave a firmer texture.<br> The amount of connective tissues as expressed by collagen content was determined on the muscle portion as the same with the texture measurements. Higher the collagen content, firmer the raw meat. There was a significant correlation (r: 0.697) between the collagen content and the firmness. The species with firmer raw meat texture contained higher collagen content than the species with softer texture. The amount of water soluble collagen at 20°C pH 7.0, assumed as an index of the exuding collagen during mustication, increased with the decrease of the firmness of raw meat (r: 0.650). The amount of water insoluble collagen gave higher correlation coe-fficient(r: 0.744) with the firmness. These results suggest that the properties and/or composition of collagen is varied by spies.<br> However, between the cooked meat and the collagen content, such relationships was hardly recognized, and this was attributed to the collagen which is solubilized during cooking. There was no appreciable correlation between the amount of water soluble collagen at 70°C and the fumness of cooked meat, though cooked beef muscle has been reported to give such correlation.<br> The connective tissue proteins must contribute to the raw meat texture, while the cooked meat texture does not depend upon the connective tissue proteins, but, probably on the other factors, like the muscle fiber characteristics as reported before.
著者
谷澤 容子 中谷 圭子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.375-381, 2002-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
13

A survey on contemporary daily cooking in France was carried out in Strasbourg (Alsace) to better understand the current diet in France and the constituents used in daily dishes. The results were obtained from 121 French women ranging in age from the 20 s to 60 s. About 70% of the subjects ate bread at breakfast, mostly with both butter and jam. Some ate cereals, biscuits or cakes for breakfast, while coffee was drunk by most of them, and tea by some. Fruit, egg dishes, ham and dairy products were eaten by some subjects, although not very often. Beef, pork and other types of meat were eaten at lunch, almost always accompanied by cooked potatoes. Salad, fruit and dessert were frequently eaten at lunch and dinner, while soup and cheese were more often served at dinner than at lunch. Instead of beef and pork dishes, sausages and ham were usually served at dinner. The average number of dishes was three to four both lunch and dinner. In addition, the number of dishes served at lunch was more than that served at dinner.
著者
畑江 敬子 奥本 牧子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.133-140, 2012-04-05
参考文献数
9

煮物の味は冷めるときにしみ込むという言い伝えを検証するために,ジャガイモ,ダイコン,コンニャクを2cm角の立方体に成形し,1%食塩水中で食べられる軟らかさまで加熱後,0, 30, 50, 80, 95℃で90分まで保温し,30分後と90分後に外層部と内層部の食塩濃度を測定した。温度降下条件を各設定温度に試料を加熱した鍋のまま移す緩慢条件と,氷水に鍋をつけて設定温度まで下げた後保温する急速条件の2種とした。いずれの条件でも,保温温度が高いほど,食塩の内部への拡散は犬さく,このことは官能評価でも確認された。これらの結果から冷めるときに味がしみ込むということは見いだせなかった。ソレ効果についても検討したが,ソレ効果で煮物の調味料の拡散を説明することはできないことがわかった。冷めるときに味がしみ込むというのは,冷める時間に調味料が内部へ拡散することを言っているのではないかと考えられる。
著者
畑江 敬子 戸田 貞子 香西 みどり
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

われわれは保存した食物の安全性を確認したり、食べられるか否かの判断をする際に、しばしば味やにおいを手がかりにする。苦味および酸味はそれぞれタンパク質およびデンプンの腐敗のシグナルである。また、変敗臭やかすかな異臭も変質や腐敗のシグナルである。高齢者はこのような判断の機能がどの程度保持されているかについては、明確なデータは得られていない。そこで、65才以上の高齢者のべ248名の協力を得て、いくつかの味の閾値、ならびに腐敗のシグナルとなるにおいの閾値を官能検査によってしらべ、20才前後の若年者のべ127名と比較した。塩味についてはNaCl水溶液(8段階)、甘味についてはスクロース水溶液(7段階)、酸味についてはクエン酸水溶液(6段階)を用い水を対照として、濃度上昇法による2点比較法でしらべた。水と区別できる検知閾値を求めた後に、濃度を上昇させて何の味かわかる認知閾値の濃度を求めた。その結果、塩味の検知閾値と認知閾値、および甘味の検知閾値には、高齢者と若年者の間に有意の差(p<0.05)あり、高齢者は感度が低下していることがわかった。しかし、個人差が大きかった。においの閾値については、酢酸(10段階)、トリメチルアミン(11段階)、メチルメルカプタン(13段階)を用い、水を対照として官能検査を行った。いずれの試料についても高齢者は若年者より有意に閾値が高く、においにたいする感度が低下していることがわかった。しかし、高齢者の70%は自分のにおいに対する感度が低下しているという自覚がまったくなかった。以上のように高齢者は味にもにおいにも感度が低下しており、食物の腐敗や変質に対する直感的な識別能力が低下しているので、高齢者自身も自覚して注意を払う必要がある。
著者
香西 みどり 山本 文子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.283-287, 1998-03-15
被引用文献数
1

ダイコンの硬化現象に及ぼす圧力および温度効果を比較検討した.1cm角のダイコンに室温で400MPa, 2hの高圧処理あるいは60℃, 2hの加熱処理を行った.加熱処理の方が破断荷重, 破断距離のいずれも変化が大きかった.処理後の加熱による軟化の99.5℃における速度定数は加圧処理では未処理の約52%, 加熱処理では約24%に低下した.ペクチンのエステル化度の低下はいずれの処理においてもほぼ同程度であった.いずれの前処理によっても水溶性ペクチンおよび水溶性カルシウムイオンは減少し, ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンは増加した.食塩可溶性カルシウムイオンは加圧処理によってわずかに増加しただけであったが, 加熱処理では有意に増加がみられた.
著者
畑江 敬子 嶋田 淑子 戸田 貞子 壽 和夫 香西 みどり
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.36-40, 2002
被引用文献数
3

Japanese chestnuts are known to have pellicle difficult to peel off. To make the task easier at home and in commercial processing, some methods of pretreatment have been tried out. To evaluate each method, the sensory analysis technique has been applied. Three candidate pretreatments chosen were (1) soaking in boiling water, (2) steaming, and (3) frying. The panel composed of 11 female students removed the pellicle of pretreated chestnuts, and graded the easiness. In addition, the time needed has been measured to remove the shell and peel off the pellicle of each pretreated chestnut and untreated one. The frying method was found to be the best. It reduced the time needed by 60% compared to that for untreated samples. The steaming method was also significantly effective. Soaking in boiling water makes no effect for this purpose.
著者
武田 珠美 青野 寛子 福田 靖子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1115-1125, 2000-12-15
参考文献数
27
被引用文献数
4

ゴマ種子を170℃, 200℃および230℃で5〜40分間焙煎し, 外観, 微細構造, テクスチヤー, 糖およびリグナン類への影響を検討した. 170℃で20分まで焙煎したゴマは表皮の着色や亀裂が少なく, 外観上優れていたが, 歯ざわりの評価が低かった. 230℃で5〜15分焙煎したゴマはいずれもよくふくらみ, 残存胚乳組織と子葉間に空間が観察され, 官能検査ではもろく, プチッと破断する感触が強く, 好ましい歯ざわりと評価された. しかし, 焙煎5分ですでに表皮の着色が濃く, 亀裂が目立った. セサモールは著しく生成した. 200℃で焙煎したゴマは, 230℃焙煎のゴマに類似していた. 遊離糖には, グルコース, フラクトース, スクロース, プランテオースおよびスタキオースが含まれ, スタキオースは比較的安定であったが, 他の糖は高温の焙煎ほど減少が速くみられ, これらの総量と表面色(L値)には高い相関がみられた.
著者
畑江 敬子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

魚類の骨は一般に廃棄されているが、カルシウムを多く含むことからこれを食品として利用できれば、栄養的に有意義である。東北・北海道の郷土料理の一つである「氷頭(ひず)なます」は、サケの鼻軟骨あるいは頭部を食酢に数時間から数日間浸漬し薄切りにして、ダイコン、ニンジンの線切りと合わせた酢の物である。酢に浸漬して軟化した軟骨の独得の食感を賞味する。そこで魚骨の有効利用という観点から、酢酸浸漬によるサケ鼻軟骨の軟化の機構を知ることを目的とした。そこで先ず、酢酸浸漬中のサケ鼻軟骨のテクスチャ-および嗜好性の変化を物性測定と官能検査により検討し、あわせて化学成分の変化を測定した。船上凍結後ー40℃で2ー3ケ月貯蔵したアラスカ産シロザケ頭部を4℃16時間解凍後、鼻軟骨の部分のみ実験に用いた。これを2mm厚さの薄切りにし4%酢酸水溶液に168時間まで浸漬し経時的に測定を行い、以下の結果を得た。1.サケ鼻軟骨は酢酸処理により生臭いにおいがなくなり、テクスチャ-は軟らかく、もろくなり、嗜好性が高まることが官能検査によって確められた。酢酸浸漬時間は24時間程度が適当とされた。2.テクスチュロメ-タ-による硬さ、圧縮に要するエネルギ-および保水性の測定によっても鼻軟骨の軟化が示され、特に浸漬初期の軟化が著しかった。3.軟骨のpHは比較的短時間のうちに浸漬液のpHに近づき、168時間後には軟骨のpHは浸漬液のpH(pH3.10)に等しくなった。4.サケ鼻軟骨成分は浸漬により、水分、粗タンパク質量はほとんど変化しなかったが、糖質と灰分量の減少が著しかった。5.糖質と灰分の主成分であるムコ多糖とカルシウムは著しく減少し、168時間後には未処理の1/2となった。
著者
今井 悦子 早川 文代 畑江 敬子 島田 淳子 相内 雅冶
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.697-708, 1994-08-15
被引用文献数
2

5種類の目皿(細孔の直径2.4,3.4,4.8,6.8および9.6mm)を通した挽き肉(牛,豚および鶏の3種類)を用いてハンバーグ様試料を調製し,試料の官能的識別および物性に及ぼす粒度の影響を検討した.生肉粒,加熱後の肉粒の粒度を測定した結果,加熱による肉粒の収縮率は牛肉>豚肉>鶏肉であった.さらに粒度測定から,牛肉は,目皿の直径が異なる試料間の粒度の識別がもっともしやすく,また鶏肉は結着性がもっとも高いことが示唆された.試料中の水分の保ちやすさは,解凍試料では目皿の直径が大きい試料の方,加熱試料では小さい試料の方であり,さらに鶏肉>豚肉>牛肉という肉種による差があった.剪断破断歪みおよび凝集性は,目皿の直径が大きい試料ほど有意に大きく,また牛肉は他の肉種より,目皿の直径が異なる試料間での変化率が大きかった.これより,牛肉の物性は,目皿の直径が異なる試料間で識別しやすいことが示唆された.官能検査の結果,目皿の直径が異なる試料間で,切り口の粗さ,硬さ,弾力性および肉粒感は3種の肉ともにある程度識別できたが,識別のしやすさには肉種により差があり,牛肉≧豚肉≧鶏肉であることが分かった.この結果より,肉粒の粒度測定および物性測定による示唆が裏づけられた.肉の粒度を官能的に捉える指標の1つである肉粒感は,肉汁の流出率および解凍試料の保水力の2つの物性値で98%予測できることが分かった.また,2つの肉粒の体積の比が1.2〜1.5以上になると粒度の識別ができると考えられた.
著者
長尾 慶子 杉山 智美 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1059-1064, 1991-12-15
被引用文献数
4

The mechanism of the rupture in the crust of frozen croquettes during frying is investigated. (1) The crust becomes fragile and weak after freezing. Water holding capacity of the con-tents decreases after freezing and thawing, so that thawed water is isolated just under the crust during frying. (2) The frozen crust shrinks during frying and is subjected to tensile stress because of the expanded frozen contents, so that it becomes easy to rupture. The croquette with 2 mm thick crust becomes very hot during frying locally at the thinnest part of the crust, and the vapor pressure of the thawed water rapidly increases just under the crust, which causes explosion with pinholes. (3) In the croquette with 3 mm thick crust, vapor pressure does not increase enough to make pinholes because the crust is so thick that the temperature does not become very high. Because of the fragility of crust, however, even the slightest expansion of the contents cracks the weakest part of crust, which causes the whole rupture of the croquette. (Received June 1, 1991)
著者
坂本 真里子 河野 一世 熊谷 まゆみ 赤野 裕文 畑江 敬子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.427-434, 2007-12-20
被引用文献数
4

硬度の異なる3種の水,南アルプスの天然水,エビアン,コントレックスを用いて,かつお節だし,野菜スープ,牛肉のスープストックを調製した。総窒素,遊離アミノ酸,イノシン酸,グアニル酸,有機酸の分析および官能評価を行い,水の違いを比較した。かつお節だしでは用いた水の種類によって,遊離アミノ酸のパターンが異なっていた。官能評価では総合的な好ましさに有意の差は無かったが,エビアンと南アルプスの天然水が好まれる傾向にあった。野菜スープでは南アルプスの天然水に殆どの遊離アミノ酸が多く,次いでエビアンに多かった。官能評価ではこの両者が有意に好まれた。牛肉スープストックではコントレックスがアクを最も多く分離してスープは清澄であった。遊離アミノ酸合計量はエビアンに最も多く,ついでコントレックスであった。エビアンはイノシン酸,グアニル酸も有意に多かった。官能評価で最も好まれたのはエビアンであった。硬度の異なる水で3種の煮出し汁を調製すると,溶出成分に差があった。煮出し汁の好ましさは溶出成分だけでなく,水そのものの味も影響することから,溶出成分と水の味との兼ね合いで好ましさが決まるといえる。
著者
畑江 敬子 戸田 貞子
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

高齢者の口腔内状態を把握するための検査食の開発を目的として、寒天ゲル及びデンプンゲルの調製を試みた。寒天ゲルについては寒天濃度の異なるゲルを再現性よく調製することが出来た。しかし、デンプンゲル検査食については手作りであったため、わずかに再現性に乏しくこの解決が課題であった。そこで、食品工業的に餅のような食感のゲルの調製を考え、業者に依頼した。これを冷凍保存し、必要に応じて一定時間蒸し加熱することで、再現性のある物性の検査食が出来ることがわかった。この検査食を用いて、少数の高齢者と若年者で、咀嚼してもらい、測定することを検討した。その結果、15秒間咀嚼してもらい、それを吐き出してもらうこととした。1辺が15cm、高さ約2cmのシャーレをアクリル板でつくり、シャーレに吐き出した寒天あるいはデンプンゲル試料をひろげ、デジタルカメラで撮影することとした。このとき、光が反射しないように、また、はきだした小片が重ならないように注意深く竹串でひろげるなど、測定条件を検討した。撮影した写真の画像解析により、粒度分布を測定することで、高齢者と若年者の口腔内状態が把握できた。最終的に若年者52名、高齢者76名の協力を得た。ストラスブールのシニアハウス2カ所を訪問し、当該施設で提供される1週間のメニューをしらべた。さらにストラスブールに住む高齢者の食生活の聞き取りを行なった。
著者
早川 文代 岩政 由布子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.481-490, 1999-05-15
被引用文献数
11

The use of onomatopoeic terms for describing food properties was studied. Fify-three onomatopoeic terms were selected to describe food properties by round-table discussion and questionnaires from 192 terms that had been collected from literature and free-answer questionnaires. A panel of 830 persons was asked whether the selected terms correctly expressed the properties of foods. Of the 648 returned questionnaires, 595 were considered valid and thus used for further analysis. More than 40% of the panel (with a confidence level of 95%) answered "yes" for almost all of the terms. A further analysis showed that the use of such terms as "mattari" and "boso-boso" differed according to the sex, age and/or degree of interest in food of the panelists.
著者
今井 悦子 田丸 理恵 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.243-253, 1998-03-15
被引用文献数
5

口腔内で食品粒子を粒子として認識する際の最小粒度および粒子の大きさの識別の程度について官能的に明らかにし, さらにそれらと食品物性との関係を検討した.細砕した9種類の食品材料を約1.2倍の等比間隔にある標準ふるいを用いて水中でふるい分けし, 試料(水懸濁液)とした.認識最小粒度は, セルロースに34μmが最小で, 最大は1%寒天ゲルの380μmであり, 材料によって著しく異なった.また粒度の識別の程度は, はんぺんとパン以外は, ある粒度以上において平均1.2倍異なる粒度の識別ができること, また, そのある粒度(識別最小粒度とする)は材料によって異なることが明らかになった.以上の認識最小粒度および認識最小粒度は, 材料の物性値のうち水分含量, 変形定数および密度等の物性値と関係が深いと考えられた.そこで認識最小粒度と識別最小粒度を, 材料の物性値を用いて数値化することを重回帰分析を用いて試みたところ, それぞれ変形定数などを用いた重回帰式で表すことができた.