- 著者
-
神崎 亮
- 出版者
- 公益社団法人 日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.3, pp.189-196, 2015-03-05 (Released:2015-04-09)
- 参考文献数
- 61
融点が室温付近にあるオニウム塩は,プロトン性イオン液体と呼ばれ,酸塩基反応媒体となり得るイオン液体という新しいカテゴリーの溶媒である.水でも有機溶媒でもない,新しい酸塩基反応場として,分離や精製,抽出などの分析化学的な操作への応用が期待される.本稿では,プロトン性イオン液体の酸塩基性・酸塩基反応について定量的に理解するため,まずpHと水素イオンの反応性との関係について,水と従来の非水溶媒(すなわち有機溶媒)との比較を用いて説明し,これをプロトン性イオン液体へと拡張する.これをもとに,プロトン性イオン液体中における自己解離平衡・酸解離平衡について,これまでの結果をまとめる.