著者
竹内 真澄
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学
巻号頁・発行日
vol.9, pp.3-19, 2012

本研究は、増加する退職後の海外居住を選択した日本人の異文化居住における心理的様相を明らかにすることを目的とする。退職年齢まで異文化接触が比較的少ない自文化内で暮らした後、異文化圏で居住する退職者層はどのような心理的様相を見せるのであろうか。筆者はその概要を知るために、参与観察とタイ王国に居住する退職者層に半構造化面接を行うことにより、質的データを収集した。その結果、自文化からもホスト文化からも適度な距離を置くことにより快適さを保つ「戦略的境界化」が抽出された。この快適さを支える要因として、高齢者特有と考えられるホスト文化に昭和を見出す懐古的心境、人生経験を積んで醸成される寛容性、社会的役割を終えてようやく取り組める自己実現への希求などが明らかになった。尚、先行研究で論じられている「境界化」は、適応の一番低いレベルであり、自文化からもホスト文化からも中途半端な距離に位置しアイデンティティを失うものである、とされているが、本研究協力者たちは境界的な位置を戦略的に選択することにより、社会の干渉や束縛から抜け出し快適さを手にしていることが明らかになった。
著者
竹内 真太 西田 裕介
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A1Sh2025-A1Sh2025, 2010

【目的】<BR>ヒトの歩行や走行中、心拍リズムと運動リズムが近付いた際、2つのリズム間で同期現象を示すことが報告されており、この現象はCardiac-Locomotor Synchronization(CLS)と称されている。CLSの生理学的意義の1つとして、活動筋の弛緩のタイミングと心臓の拍動のタイミングが一致し、筋内圧が下がった時に筋へ血液が流入することで、活動筋への血流量が最大化することが推測されている。我々は、先行研究にてCLSを誘発した歩行中と同負荷の自由歩行中の心拍数と酸素摂取量を比較し、心拍数に差がない状態でも、酸素摂取量はCLSを誘発した歩行で高値を示すことを確認した。このことからCLSを誘発することにより歩行中の動静脈酸素含有量格差に差が出ることが推測された。本研究では、CLSを誘発した歩行中と同負荷の自由歩行中の心拍数、酸素摂取量、下腿筋血流量を測定し、CLSの生理学的意義を明らかにすることを目的とした。<BR>【方法】<BR>対象は心血管系疾患の既往がない若年男性8名(年齢21±2歳、身長169.6±3.53cm、体重57.7±4.20kg(平均±標準偏差))とした。対象者は心電図用電極、右踵部にフットスイッチ、左下腿外側に筋血流量計プローブ、呼気ガスマスクをそれぞれ装着し、対象者が運動リズム120step/min、心拍数120bpmとなるトレッドミル速度と傾斜を決定した。次に、以下の2つのプロトコルを実施した。プロトコル1では、CLSを誘発するため、対象者は先に決定したトレッドミル負荷にて、120beats/minのブザーに合わせた歩行を約5分間行い、心拍数が定常状態に達した後、心電図計からのブザーに歩行リズムを合わせた。呼吸リズムは歩行リズムとの比率が1:4となるよう指示し、その際の呼気と吸気の比率は1:1とした。対象者は定常状態にて10分間歩行を行った。プロトコル2では、同様のトレッドミル負荷にて5分間のウォーミングアップを行い、その後定常状態にて10分間の自由歩行を行った。定常状態での10分間を測定期間とした。2つのプロトコルの順はランダムに実施された。プロトコル1から導出された心拍リズムと歩行リズムを用いて、2つのリズム間の結合度を示す指標、位相コヒーレンス(λ)を1分毎に算出した。λは0から1の数を示し、高値であるほど2つのリズム間の結合度が高いことを表す。プロトコル1にてλが0.6を超えている部分をCLSが発生しているととらえ、CLS発生時と自由歩行時を対応のあるt検定にて比較した。またCLSの発生している時間数と、CLSを誘発した歩行と自由歩行の平均値の差(プロトコル1-プロトコル2)の関連を、スピアマン順位相関係数検定を用いて検討した。有意水準は危険率5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR>対象者には口頭にて実験の主旨を説明し、同意書にて参加の同意を得た。本研究は、聖隷クリストファー大学の倫理委員会の承認のもと実施した。<BR>【結果】<BR>プロトコル1にて8人中7人の対象者でλが0.6を超える部分が観測された。CLS発生時と自由歩行時の比較の結果、酸素摂取量はCLS発生時が29.13ml/kg/min、自由歩行時が28.19ml/kg/minでありCLS発生時で有意に高値を示した。筋血流量を示すと考えられるTotal HbはCLS発生時が17.91g/dl、自由歩行時が17.58g/dlでありCLS発生時で有意に高値を示した。心拍数には有意差は認められなかった。CLSの発生している時間数と2つのプロトコル間の差の関連は、Total Hbにて相関係数0.70(p=0.07)、酸素摂取量にて相関係数0.61(p=0.10)であった。<BR>【考察】<BR>酸素摂取量と心拍数では、我々の先行研究と同様の結果が確認された。また、CLSが発生している際に筋血流量が増加することが確認された。更にCLSの発生している時間が長い対象者ほど、自由歩行時よりもCLSを誘発した歩行で筋血流量、酸素摂取量が高値を示す傾向がみられた。以上のことから、CLSが発生している歩行では、同負荷の自由歩行と比較して、筋血流量が増加し、その結果、活動筋への酸素供給量の増大、それに伴うタイプ1線維の活性化、酸素代謝の亢進が起こり、酸素摂取量が増加することが推測された。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>CLSは若年者よりも高齢者で、また、低強度よりも高強度において発生しやすいことが報告されている。このことは、運動による要求に対し、活動筋と心血管系を協応させることで血液循環の効率化を行い対応した結果であると考えられる。CLSを誘発することによって、運動中の心血管系と活動筋間の協応を導くことができる可能性があり、今後検討を行うことで、高齢者や心疾患患者に対する運動療法として応用できると考えられる。
著者
竹内 真澄
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学社会学論集 (ISSN:02876647)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.1-28, 1989-03-20

Habermas is one of the most influential Sociologists in the modern world. In 1981, he published "Theorie des kommunikativen Handelns", which is characterized as a summary of his theory today. In this book, he attempted to put two approaches together. Functionalistic approach and phenomenological approach. But, how relate System and Lifeworld was represented in his works in the 1960's already. In my essay, I think that Habermas had two schemata. One was <Society-State> schema, the other was <System-Life-world> schema. He derived <System-Lifeworld> schema from <Society-State> schema. Actuality of his social theory lies in this point.
著者
竹内 真彦
出版者
中文研究会
雑誌
未名 (ISSN:09146334)
巻号頁・発行日
no.17, pp.31-50, 1999-03
著者
赤司 保 竹内 真一 山本 毅 森 和行 上田 知史 河合 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.33, pp.17-22, 2003-04-18
被引用文献数
1

小型かつ組立容易な3次元MEMS光スイッチを開発した。光スイッチ光学系を屋根型のミラーを用いて折返し構造とすることで、従来から提案されている平板型折返しミラーを用いた構造よりも光スイッチを小型化した。また、折返しミラーの実装トレランスの解析を行い、f-θレンズのビーム偏向の原理を応用した簡易アライメント手法によって、トレランスがパッシブ実装可能なまでに拡大でき、光スイッチの簡易組立が可能となることを示した。本手法により試作した光スイッチファブリックと、高速動作可能なMEMSミラーおよび制御回路により、小型、低損失、高速切替え80チャンネルMEMS光スイッチを実現した。
著者
藤野 里美 石澤 太祥 渡邊 敏央 竹内 真理子 小檜山 賢二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.14, pp.45-51, 2007-02-22

本研究では,カメラ付携帯電話をインターフェイスとし,各種学問で行われているフィールドワークの記録や モブログを初めとする個人の生活記録などを,電子地図を初めとしたWebベースのシステムに投稿するためのシステム「FieldArchivingSystem(HLS)」の構築を行った.本システムでは 利用者の時空間上の行動データと移動履歴に基づく温度/湿度等の環境センサデータ,写真,テキストメモ等のリアルタイムな収集と閲覧が可能な他 事後的にアーカイブの検索や情報のダウンロードが可能である.環境センサを人間が持って移動する事から,人間による環境センシングとも言える.将来的には携帯電話を利用した新たな'情報収集プラットフォームとなることを想定している.本稿ではHRSの説明,データの呈示例,実験を通じて得られた知見や問題について取り上げ,システム改良への議論につなげる.The purpose of this research is to develop and suggest a new use case in location-based services by exercises with the Field Archiving System (FAS). The FAS is a multiple data collection and archiving system, which integrates handheld terminal with GPS, sensor circuits and cellular phone. The sensor collects location-based natural environmental information; temperature, humidity and wind speed/direction. A series of assessment experiments of the legacy system were conducted for the improvement in system design of FAS. In this paper, the outcomes of assessment experiments are reported.