著者
山田 貴志 築山 能大 古谷 野潔 岡 寛
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.249-255, 2009-09-30 (Released:2016-03-31)
参考文献数
20

Fibromyalgia (FM) is a condition characterized by chronic and disabling pain. Since pain is commonly evaluated by a subjective assessment, it is difficult to evaluate the treatment effect objectively. In this report, the treatment outcome was evaluated by an objective assessment of pain in FM patients.    Eight FM patients who fulfilled the American College of Rheumatology criteria for the classification of fibromyalgia participated. The severity of FM was assessed with the Japanese version of the Fibromyalgia Impact Questionnaire (JFIQ). The pain level was evaluated by pain degree, i.e., the magnitude of pain which was quantitatively measured with Pain Vision PS-2100TM, and by visual analog scale (VAS). The treatment procedure involved the injection of a local anesthetic into bilateral lateral pterygoid muscles followed by the insertion of an oral device which restricted horizontal mandibular movements. In three cases, the treatment procedure was repeated and a clinical course was observed for 3-6 months.    Pain degree and VAS were significantly reduced after the monotherapy. There was a significant correlation between pain degree and VAS. Pain degree, VAS and JFIQ were reduced in three cases in the follow-up period, although some fluctuations were observed.    The pain relief procedure for lateral pterygoid muscles exhibited a significant effect on the reduction of systemic pain for temporomandibular disorder patients who fulfilled the classification criteria of FM, and could be considered as a treatment option for FM. It was also suggested that a quantitative measurement method for the magnitude of pain could be valuable for the evaluation of treatments for FM.
著者
玉置 勝司 石垣 尚一 小川 匠 尾口 仁志 加藤 隆史 菅沼 岳史 島田 淳 貞森 紳丞 築山 能大 西川 洋二 鱒見 進一 山口 泰彦 會田 英紀 小野 高裕 近藤 尚知 塚崎 弘明 笛木 賢治 藤澤 政紀 松香 芳三 馬場 一美 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.369-386, 2013 (Released:2013-11-14)
参考文献数
22
被引用文献数
4 3

難症例の1つに咬み合わせ異常感や違和感があり,その訴えに対応する客観的所見が確認できない症例に遭遇することがある.通常,咬合紙,ワックス,シリコーンなどを用いて確認はするものの,咬合接触状態に特に異常は見つからない.さらに,患者の咬合に関する執拗な訴えに対して歯科医師が患者に問題の部位を確認してもらい,患者の指示により咬合調整を行ってしまうといった患者の感覚主導型治療に陥ってしまうことがある.その結果,患者の訴えは改善しないばかりか,逆に悪化することもさえもある.そして,患者と歯科医師の信頼関係が壊れ,思わぬ方向に陥ってしまうことも珍しくない. このような患者が訴える咬合に関する違和感に対して,社団法人日本補綴歯科学会,診療ガイドライン委員会において,平成23年度「咬合感覚異常(症)」に関する診療ガイドラインの策定が検討された.診療ガイドラインの策定に際し,委員会の作成パネルによるガイドライン策定を試みたが,咬合感覚異常(症)に関する十分に質の高い論文は少なく,診療ガイドラインの作成には至らなかった.そこで,本委員会のパネルで協議した結果,「咬合感覚異常(症)」に対する日本補綴歯科学会としてのコンセンサス・ミーティングを開催して本疾患の適切な呼称の検討を行った.また事前のアンケート調査結果から,このような病態を「咬合違和感症候群(occlusal discomfort syndrome)」とした. 今回のポジションペーパーは,今後の診療ガイドラインの作成とそれに対する研究活動の方向性を示す目的で,過去の文献と咬合違和感症候群患者のこれまでの歯科治療の経過や現在の状況について実施した多施設による患者の調査結果をもとに作成された.
著者
梅本 丈二 安田 弘之 市来 利香 築山 能大 古谷野 潔 都 温彦
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.457-463, 2001-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2

過食症患者は嘔吐を繰り返すため, 口腔内が頻繁に食渣や胃酸にさらされることになり, 歯の脱灰, 実質欠損をきたすことが報告されている.本研究では嘔吐と歯の実質欠損に関する予備的調査を行った.嘔吐歴が4年以上の対象者は4年未満の者に比べてう蝕の既往が多かったが, 対象患者に歯牙酸蝕の所見は認められなかった.う蝕増加の既往と嘔吐との関連性はさらに今後の検討問題として残された.また歯科治療の際, 摂食障害について話すことに抵抗感があるとの質問紙に対する回答から, 摂食障害患者の自分の症状を知られたくないという心理面も窺えた.いずれにせよ, 医師・歯科医師双方が本件に留意して, 臨床にあたることが重要である.
著者
大久保 昌和 築山 能大 小見山 道 和嶋 浩一 今村 佳樹 岩田 幸一
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-34, 2014

口腔顔面痛に関する国際的な学術団体には,国際学会もあれば国際学会の内部組織もある.これ等の学術団体は互いに機能的に協力し,重要な役割をなしており,日本口腔顔面痛学会はこれらの団体と密接に関連している.国際疼痛学会(IASP)は痛みを扱う団体の中で最も規模が大きく,歴史のある学会である.口腔顔面痛のスペシャルインタレストグループ(SIG)は,IASP の会員で口腔顔面痛に興味のある研究者で構成されたグループである.一方,国際歯科研究学会(IADR)神経科学グループは,歯学研究者でIADR の会員から成るグループで,口腔顔面痛SIGとともに顎関節症の研究的診断基準(RDC/TMD)コンソーシアムを作っている.RDC/TMDコンソーシアムは2014年にTMDの診断基準(DC/TMD)を発表しており,これは現在の顎関節症の標準的診断基準となっている.米国口腔顔面痛学会 (AAOP)は,アジア頭蓋下顎障害学会(AACMD)やその他の関連学会とともに口腔顔面痛と顎関節症に関する国際学会(ICOT)を組織している.2016年には IASP と AACMD の学術大会が横浜で同時開催されることになっており,日本口腔顔面痛学会の会員はこれらの学会に参加して口腔顔面痛の基礎と臨床の最新の話題について学ぶことが強く推奨される.
著者
松香 芳三 萩原 芳幸 玉置 勝司 竹内 久裕 藤澤 政紀 小野 高裕 築山 能大 永尾 寛 津賀 一弘 會田 英紀 近藤 尚知 笛木 賢治 塚崎 弘明 石橋 寛二 藤井 重壽 平井 敏博 佐々木 啓一 矢谷 博文 五十嵐 順正 佐藤 裕二 市川 哲雄 松村 英雄 山森 徹雄 窪木 拓男 馬場 一美 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.281-290, 2013 (Released:2013-11-06)
参考文献数
3
被引用文献数
2 1

目的:(社)日本補綴歯科学会は病態とその発現機序の把握に基づく適切な補綴歯科治療を国民に提供するために,補綴歯科治療における新たな病名システムを提案した.これは患者に生じている「障害」を病名の基本とし,この障害を引き起こしている「要因」を併記して病名システムとするものであり,「A(要因)によるB(障害)」を病名システムの基本的な表現法としている.本研究の目的は考案した方法に従って決定した補綴歯科治療における病名の信頼性と妥当性を検討することである.方法:模擬患者カルテを作成し,(社)日本補綴歯科学会診療ガイドライン委員会で模範解答としての病名(以下,模範病名)を決定した.その後,合計50 名の評価者(日本補綴歯科学会専門医(以下,補綴歯科専門医)ならびに大学病院研修歯科医(以下,研修医))に診断をしてもらい,評価者間における病名の一致度(信頼性)ならびに(社)日本補綴歯科学会診療ガイドライン委員会による模範病名との一致度(妥当性)を検討した.結果:評価者間の一致度を検討するための算出したKrippendorff’s αは全体では0.378,補綴歯科専門医では0.370,研修医では0.401 であった.Krippendorff’s αは模範病名との一致度の高い上位10 名の評価者(補綴歯科専門医:3 名,研修医:7 名)では0.524,上位2 名の評価者(補綴歯科専門医:1 名,研修医:1 名)では0.648 と上昇した.日常的に頻繁に遭遇する病名に関しては模範病名との一致度が高かったが,日常的に遭遇しない病名は模範病名との一致度は低い状況であった.さらに,模範病名との一致度とアンケート回答時間や診療経験年数の関連性を検討したところ,相関関係はみられなかった.結論:全評価者間の一致度を指標とした本病名システムの信頼性は高くはなかったが,模範病名との一致度の高い評価者間では一致度が高かった.日常的に遭遇する補綴関連病名については模範病名との一致度が高かった.以上から(公社)日本補綴歯科学会の新しい病名システムは臨床上十分な信頼性と妥当性を有することが示唆された.
著者
兒玉 直紀 築山 能大 有馬 太郎 市川 哲雄 窪木 拓男 佐久間 重光 新谷 明喜 高津 匡樹 津賀 一弘 坪井 明人 中野 雅徳 成田 紀之 波多野 泰夫 藤澤 政紀 船登 雅彦 鱒見 進一 松香 芳三 皆木 省吾
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.222-227, 2009 (Released:2012-03-29)
参考文献数
8

目的:顎関節症患者に対する受診ごとの診療時間に関する報告はない。今回,大学病院顎関節症外来ならびに一般開業歯科医院を対象に顎関節症のスプリント治療に要する時間について調査を行い,その特性を明らかにすることを目的とした。 方法:大学病院顎関節症外来14施設および一般開業歯科医院33施設にて2か月間の調査を行った。スプリント治療を選択された顎関節症患者を対象に,スプリントの種類,各診療内容および要した時間を調査項目として施設間で比較検討した。 結果:1回当たりの診療時間に関して,大学病院顎関節症外来受診患者(以下,大学群と略す)のほうが一般開業歯科医院受診患者(以下,開業医群と略す)に比べて有意に長かった。また,初診時の診療時間についても大学群のほうが開業医群に比べて長い時間を要した。しかし,スプリント装着および調整に要する時間について有意差は認められなかった。 結論:顎関節症患者の1回当たりの診療に要する時間は両施設ともに比較的長時間であることがわかった。スプリント装着に30分以上要する割合は大学群においては44%であり,開業医群においては22%であった。スプリント調整に20分以上要する割合は,大学群においては48%であり,開業医群においては33%であった。
著者
都留 朋子 江﨑 大輔 松﨑 達哉 松下 恭之 築山 能大 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.278-286, 2017-12-31 (Released:2018-02-15)
参考文献数
29

Purpose : This study was performed to investigate and compare the mechanical influence of attachment types on the implant and mucosal tissue under the posterior part of implant overdentures (IOD) with a combination of mechanical reaction analysis and structural analysis using the finite element method (FEM) .Methods : Implant overdentures with ball attachments (B-IOD), implant overdentures with locator attachments (L-IOD), and complete dentures (CD) were established in the experiment model. A 50 N load was applied onto the right first molar position of the overdenture, and the bending moment on each implant and the overdenture displacement were measured. Additionally, the FEM model was prepared based on DICOM data of the in vitro model. The interface between the denture base and mucosal tissue was assumed to be a contact interface, not a continuous interface. Displacement data measured by the experiment model analysis were inputted into the FEM model, and the stress distribution in the mucosal tissue under the posterior part of the denture was evaluated.Results : In the L-IOD, the bending moment in the loaded-side implant was greater than that in the nonloaded side. In the B-IOD, the stress on both the loaded and non-loaded sides was smaller and almost equal. Mucosal stress in the loaded posterior part using B-IOD was the highest among the B-IOD, L-OD, and CD. The mucosal stress in the L-IOD was lower than that in the B-IOD and CD on both the loaded and non-loaded sides.Conclusion : Stress in the mucosal tissue under the denture base was able to be evaluated using a combination of mechanical reaction analysis and FEM analysis. Differences in the mucosal stress distribution were detected among the CD, B-IOD, and L-IOD. The highest mucosal stress value was shown in the B-IOD.