- 著者
-
岡 寛
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.5, pp.427-432, 2016 (Released:2016-05-01)
- 参考文献数
- 5
線維筋痛症 (FM) は, 2012年にpregabalinが, 本邦初保険収載され, さらに本年度にduloxetineの承認追加もあり, 薬物療法が浸透してきている. 本シンポジウムでは, FMの薬物療法中心に筆者の治療経験を紹介した. 通常, 300人の患者集団において, 薬物療法としてpregabalinおよびワクシニアウイルス接種家兔炎症皮膚抽出液含有製剤 (ノイロトロピン®, 以下NRT) を第1選択薬としている. 小児, 学生, 車の運転を必要とする患者, 精密機械を扱っている患者では, pregabalinの投与対象ではない. このような患者に対しては, NRTの高容量を最初に使用している. 他には, clonazepam, duloxetine, mirtazapine, tramadol, gabapentin enacarbilなどを組み合わせ投与している. ただし, FM治療においては単なる薬物療法のみに頼ることなく, 症例によってトリガーポイント注射, 温熱療法, 体質改善のための漢方治療, ストレッチングなどの運動療法, 心理カウセリング, 認知行動療法などのテーラーメイドの医療が必要である.