著者
関本 美貴 島田 淳子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.67-71, 2005-01-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12

Rice was washed by using a whisk at three mixing speeds: one revolution per second, two revolutions per second and four revolutions per second. The rice was also washed by hand at two revolutions per second as a control. The proportion of rice granules broken when the whisk was used was higher than that when washed by hand under all the conditions examined, the higher the mixing speed, the higher the breakage ratio. The amount of solid material separated from the rice granules into the water during washing was also higher when a whisk was used than when washed by hand, although there was no effect from the mixing speed. The textural and sensory properties of the cooked rice that had been washed by using a whisk were not significantly different from those of the cooked rice that had been washed by hand. We conclude from these results that washing rice by whisking affects the integrity of the grains and offers no advantages over hand washing.
著者
畑江 敬子 脇田 美佳 宮後 恵美 佐藤 由紀 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.755-762, 1994-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

嗜好性の高い昆布だし汁を調製するための基礎的知見を得るために,だしの成分量と抽出時間(1~90分間)および抽出温度(5~95℃)との関係を調べた.各温度における各成分の抽出量(Y)は,抽出時間(X)の関数としてうまく示された.すなわち,ここでa値は,抽出初期段階における傾斜で, b値は,漸近値すなわち最大抽出量である.各成分についてa値を各抽出温度に対してプロットし,みかけの活性化エネルギーを計算した.同様に,各成分について, b値のみかけの活性化エネルギーを求めた.これらの活性化エネルギーを比較することによって,各成分の抽出における温度依存性を知ることができる.抽出初期の温度依存性は,マンニット,全エキス,K+, Cl-,および全窒素に高かった.最大溶出量の温度依存性の高い成分はCa2+,グルタミン酸, Mg2+, P5+お上アド全エキスであった.
著者
今井 悦子 早川 文代 松本 美鈴 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.108-115, 2002-09-15 (Released:2013-08-15)
参考文献数
7

The effect of granular size on the preference of samples was examined by preparing patties from three kinds of ground meat, i.e., beef, pork and chicken, which had been passed through one of five plates with orifice diameters of 2.4 - 9.6mm. The difference in preference according to the granular size of the pork and beef samples were large, while that of chicken was small. The consistency by the panelists in their granular size preference for the pork samples was higher than that for the beef samples, but the preference for the chicken was inconsistent. The patties of the most-preferred granular size were those prepared from ground meat that had been passed through a plate with an orifice diameter of 3.4 or 4.8 mm. This result indicated that the preference was related the physical properties of the patties.
著者
武藤 八恵子 島田 淳子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.523-527, 1976-12-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

1. ラードを用いた炒め物調理では, しょうがを添加した油で炒めた方が添加しないで油で炒めたものより好まれ, また油っこくないと評価された.2. しょうがを添加した油の, AV, IV, 粘度, 表面張力等は, 添加しない油のそれらと大差はないが, 乳化力は強く, またTBA値が低かった.3. ラードを熱した時の特有の匂いは, しょうがを添加すると非常に異ってくるが, ラードの揮発成分は減少も消失もせず, しょうがの匂いによってマスクされると考えられる.4. しょうがを添加する時機について, 常温の油にしょうがを添加して加熱する方法に比べて, 高温にしてから添加する方法の効果は, 今回の実験ではあまり認められなかった.
著者
玉置 勝司 石垣 尚一 小川 匠 尾口 仁志 加藤 隆史 菅沼 岳史 島田 淳 貞森 紳丞 築山 能大 西川 洋二 鱒見 進一 山口 泰彦 會田 英紀 小野 高裕 近藤 尚知 塚崎 弘明 笛木 賢治 藤澤 政紀 松香 芳三 馬場 一美 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.369-386, 2013 (Released:2013-11-14)
参考文献数
22
被引用文献数
4 3

難症例の1つに咬み合わせ異常感や違和感があり,その訴えに対応する客観的所見が確認できない症例に遭遇することがある.通常,咬合紙,ワックス,シリコーンなどを用いて確認はするものの,咬合接触状態に特に異常は見つからない.さらに,患者の咬合に関する執拗な訴えに対して歯科医師が患者に問題の部位を確認してもらい,患者の指示により咬合調整を行ってしまうといった患者の感覚主導型治療に陥ってしまうことがある.その結果,患者の訴えは改善しないばかりか,逆に悪化することもさえもある.そして,患者と歯科医師の信頼関係が壊れ,思わぬ方向に陥ってしまうことも珍しくない. このような患者が訴える咬合に関する違和感に対して,社団法人日本補綴歯科学会,診療ガイドライン委員会において,平成23年度「咬合感覚異常(症)」に関する診療ガイドラインの策定が検討された.診療ガイドラインの策定に際し,委員会の作成パネルによるガイドライン策定を試みたが,咬合感覚異常(症)に関する十分に質の高い論文は少なく,診療ガイドラインの作成には至らなかった.そこで,本委員会のパネルで協議した結果,「咬合感覚異常(症)」に対する日本補綴歯科学会としてのコンセンサス・ミーティングを開催して本疾患の適切な呼称の検討を行った.また事前のアンケート調査結果から,このような病態を「咬合違和感症候群(occlusal discomfort syndrome)」とした. 今回のポジションペーパーは,今後の診療ガイドラインの作成とそれに対する研究活動の方向性を示す目的で,過去の文献と咬合違和感症候群患者のこれまでの歯科治療の経過や現在の状況について実施した多施設による患者の調査結果をもとに作成された.
著者
島田 淳一
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2014-IOT-24, no.14, pp.1-1, 2014-02-20

産学官連携とは、大学などの教育・研究機関と産業界が連携し、政府や地方公共団体が制度・予算的に支援をすることにより、新技術の研究開発や新産業の創出を目指すものである。米国では、1980 年代以降、バイ・ドール法の制定などの政策展開により、大学や研究機関の研究成果の活用や、産学の協力が進み、特に IT・ライフサイエンス分野を中心として、産業競争力が向上した。これに対し、我が国では、1990 年代に入り、バブル崩壊と並行して、我が国産業の国際競争力が徐々に低下していった。これに対応するため、1995 年には 「科学技術基本法」、1998 年には 「大学等技術移転促進法」 (TLO 法)、1999年には日本版バイ・ドール法 (産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法 (産業活力再生措置法) 第 30 条) といった制度が制定され、2002 年に産学官連携推進会議が開催されるなど、我が国の産学連携が加速することになった。その一方で、筑波研究学園都市 (つくば)、関西文化学術研究都市 (けいはんな学研都市) など、特定地域における研究開発拠点の整備も行われている。各拠点では、拠点内の大学、地元企業が中心となり、地方公共団体等が支援し、産学官連携プロジェクトが展開されている。今般研究会が開催される石川県においても、1990年、能美市において 「いしかわサイエンスパーク」 を整備し、先端科学技術分野における産学官連携の促進と国際的な研究開発拠点作りを目指している。本講演では、情報通信分野における産学官連携地域拠点の状況について、「いしかわサイエンスパーク」 を中心に紹介し、同じく情報通信分野での産学官連携拠点の横須賀リサーチパーク (YRP) や関西文化学術研究都市精華・西木津地区を比較して課題などを考察する。併せて、最近の総務省における情報通信分野の政策・予算動向を紹介する。
著者
島田 淳
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.3-8, 2021-04-20 (Released:2021-10-20)
参考文献数
23

顎関節(雑)音は,顎関節症の主要症候の一つである。しかし症状が,顎関節(雑)音のみの場合には,日常生活に支障がでることはほとんどなく,自然経過は良好な場合が多いとされ,治療による顎関節(雑)音の改善,消失は困難であり,再発することも少なくない。痛みや開口障害を伴わない顎関節(雑)音を生ずる病態は,主に顎関節円板障害と変形性顎関節症であり,そのほとんどに関節円板転位が関与している。しかし顎関節(雑)音の病態はさまざまであるため,診察・検査により病態を診断する必要がある。「痛みと開口障害を伴わない顎関節(雑)音」の多くは自然経過が良好である。治療を行ってもその効果は不確実で,副作用として咬合が変化する可能性があり,咬合治療や矯正が必要となる場合がある。しかし症状が悪化しないためには,病態に対する理解とセルフケアが必要である。歯科医師は診察・検査で得られた患者の病態を基に経過観察を含めた治療に対する合理的な選択肢とそれらの利益やリスクに関するエビデンス,さらには患者の価値観を共有し,患者にとって最善の治療方針を患者と一緒に決定することを目的とした説明を行うことが求められる。
著者
長尾 慶子 加藤 由美子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.677-682, 1988-07-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

コロッケの破裂の機購および破裂を防ぐ揚げ条件を設定することを目的とし, 乾燥マッシュポテトを用いて加水量を変えたコロッケを調製, 実験し以下の結果を得た.1) コロッケの破裂は水分量および揚げ温度, 依存し, 水分が少ないほど, また揚げ温度が高いほど破裂しなかった.2) 油温200℃で揚げたときの, コロッケ破裂時の表層部 (1 mm 内側) 温度, 2 mm, 5 mm 内側および中心部温度は 118, 70, 40 および 22 ℃ であり中心部はほとんど変化がなかった.3) 破裂はコロッケの外皮付近で起きており, いずれの試料も表層部温度は100℃ 以上で破裂した.4) コロッケ外皮の破断強度は, 高水分試料のほうが小さく, また油温が高いほうが大となる傾向にあった.5) 破裂しやすい高水分試料の表層部を, 破裂の起きにくい低水分試料でおきかえると破裂は防止できた.6) 破裂は表層部の蒸気圧と皮の強度が関与している.
著者
田辺 洋子 飯島 真喜子 島田 淳子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.357-362, 1986-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13

さとう, ゼラチン, 水というもっとも基本的な材料を用いたマシュマロを試料とし, マシュマロの調製可能な配合を決定し, さとうおよびゼラチン濃度の影響について比重, オーバーラン, テクスチャー特性を測定, 顕微鏡により気泡を観察し, あわせて官能検査を行い, その独得なテクスチャーについて検討した.1) 調製可能な配合はさとう濃度をの (30~60%), ゼラチン濃度をy (2~12%) とすると, 上限濃度y=-0.23x+17.6, 下限濃度y=-0.13x+11.6の2本の直線にはさまれる範囲にあり, さとう濃度の大きいほど, 調製に適当なゼラチンの必要濃度範囲がせまくなった.2) 抱気後比重およびオーバーランとさとう濃度およびゼラチン濃度との間には一定の傾向はみられなかった.3) さとうおよびゼラチン濃度が増加するにつれ, 平均気泡個数は増加し, よって平均気泡体積は減少した。これは気泡が小さく密になることを示している.またそれに伴い白度が増し, 硬さ, 凝集性, ガム性は増大した.4) さとう濃度を増加するとふわふわ感は減少し, 弾力が増しかみ切りにくくなった.テクスチャーの好ましさには差はみられなかった.ゼラチン濃度を増加するとふわふわ感およびかみ切りやすさは減少した.5) ふわふわ感は平均気泡体積と正の相関を有し, 気泡の平均体積が大きくなることがふわふわ感を与える要因となることが示唆された.
著者
島田 淳子 佐々木 恵子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.535-538, 1990

電子レンジで加熱した水, 油, o/w, w/oエマルションおよび泡沫試料の温度上昇について検討した.その結果は以下のとおりである.<BR>(1) 水あるいは油の単独加熱において, 試料の体積が大きい場合にはおのおの比熱に依存した温度上昇を示したが, 試料体積が小さくなると油の温度上昇が極端に小さくなり, 水と同等, あるいはそれ以下となった.<BR>(2) 水と油を同一ビーカーに入れて同時に加熱すると, 水の温度上昇は単独で加熱した場合とほとんど変わらなかったが, 油の温度上昇は極端に小さくなり, これは水および油の誘電特性値の差による影響と考えられた.<BR>(3) o/wおよびw/oエマルションでは, 水相体積分率 (φ) の減少に伴い温度上昇速度は増大し, とくにφ0.4以下においては, 試料の比熱と重量から計算される値よりも大きくなった.<BR>(4) 泡沫試料においても同様に, 温度上昇速度はφの減少とともに増大し, φ0.4以下で計算値より著しく大きくなった.
著者
長尾 慶子 横川 知子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
調理科学研究会
雑誌
調理科学
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-30, 1994
被引用文献数
2

ハードドーナツの揚げ加熱中に生じる亀裂について、亀裂の発生部位、亀裂の程度(亀裂値)及び外観評価におよぼす材料配合及び放置温度の影響を知ることを目的とした。ドーナツの材料配合のうち、最も寄与の大きいと考えられる小麦粉重量を基準とした配合比を独立変数として統計解析を行い以下の結果を得た。1)小麦粉重量に対し砂糖、バターが多い配合は重量、体積共に増加が大であった。その傾向は低温試料の方が大であった。2)材料配合により上面部に亀裂の起きやすいものと側面部に亀裂の起きやすいものとにわかれた。小麦粉重量に対して砂糖、バター、牛乳の多い配合は上面の亀裂値が大となった。一方、砂糖と卵の多い配合は側面の亀裂値が小であった。3)ドーナツの外観評価には、ドーナツの亀裂の好ましさと均整の項目が大きく寄与しており、適度の大きさの亀裂の存在がドーナツとしてドーナツとして好ましい評価を与えていることが示された。特に、側面亀裂が0で上面に適度な亀裂のあるドーナツが好ましい評価を得た。4)砂糖、卵が多く、バターが少ない配合のものが外観評価の良いグループに判別された。
著者
香西 みどり 石黒 恭子 京田 比奈子 浜薗 貴子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.579-585, 2000-07-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
14
被引用文献数
12

米を加水比1.5で炊飯し, 米粒と炊飯液に含まれる還元糖および遊離アミノ酸量を洗米後の浸漬 (20℃, 1h), 加熱 (温度上昇速度6.6℃/min), 蒸らし (15min) の各段階において測定した.(1) 生米に含まれる還元糖量は洗米により2/3に減少し, 40~60℃の問で米粒, 炊飯液ともに最大の増加を示した.還元糖量の増加にはグルコースの寄与が大きかった.炊飯過程 のこれらの糖の変化に米粒内部の酵素の分布や温度依存性の違いが関与していた.(2) 生米に多く含まれるアスパラギン酸, グルタミン酸量は洗米により約1/5に減少した.これらのアミノ酸量は浸漬により炊飯液中で増加し, 米粒では 80℃~沸騰の問で増加した.(3) 還元糖および遊離アミノ酸量を米粒および炊飯中の水分に対する濃度で表した結果, 米粒では最大値が還元糖では60℃, 遊離アミノ酸では沸騰直前にあり, 炊飯液ではいずれも沸騰直前にあった.
著者
永嶋 久美子 小川 睦美 島田 淳子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.391-399, 2011 (Released:2014-04-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

凍みもちは鎌倉時代に端を発し,特に東北地方を中心に日常食として広く食されてきた伝統的保存食品である。伝統的凍みもちの製造における,凍結・乾燥工程中の内部温度は温度履歴より,凍結・融解を繰り返しながら最大氷結晶生成帯で長時間保持されており,極めて狭い温度帯に限定されていることを明らかにした。乾燥後は水分含量,重量,体積,密度の減少が見られた。乾燥後の伝統的凍みもちの内部組織構造を観察したところ,大小さまざまな空隙が生じ,切りもちとは異なる多孔質構造を有していた。水浸漬後では,密度の変化は見られなかったものの,吸水率は非常に高く,内部組織構造が影響を及ぼしていることが明らかになった。さらに,食味特性においては,伝統的凍みもちは焼成後の軟らかさを維持し,軟らかく,崩れやすいもちであり,切りもちとは明らかに異なる食感を有し,この特徴を長時間保持し得ることが明らかになった。
著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.211-218, 1994-03-15
被引用文献数
4

ドーナツの揚げ加熱中に生ずる亀裂発生のメカニズムについて,ハードドーナツを試料として実験及び考察を行い,以下の結論を得た.亀裂にはドーナツの上側に見られる上面部亀裂,ドーナツ側面部に見られる側面部亀裂,ドーナツリングの内側に発生する内側部亀裂の3種類がみられた.ドーナツの亀裂の機構は内部圧と外皮硬化部の亀裂時の強度(亀裂圧)との関係で説明できる.ドーナツの亀裂圧は,引張強度,ドーナツ各部の平均曲率,外側硬化部の厚みの測定値から算出した.一方,内部圧は体積歪と体積弾性率を求めることで得た.三種類の亀裂は,内部圧が各部の亀裂圧を上回った時に生じた.
著者
今井 悦子 畠山 美穂 中村 紀野 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1233-1243, 1999-12-15
被引用文献数
1

19種類の物性の異なる材料を用い,粒としての認知可能な最小粒度(認知閾値)を粒度の識別の程度を官能検査により明らかにし,物性値との関係を明らかにした.認知閾値はセルロースの51μmから道明寺粉の270μmまでの間に分布した.また粒度が約1.19倍異なる二つの粒子の粒度の識別は全材料がある粒度以上で識別できた.そのある粒度(識別最小粒度)は材料により異なり,セルロースの124μmが最小でそばの487μmが最大であった.しいたけを除いては,すべて認知閾値<識別最小粒度であった.両粒度と各物性値との関係を検討した結果,比較的強固な構造をもち,吸水が緩慢で飽和吸水量も少ないような材料は,両粒度が小さいことが明らかになった.またそのような材料ほど粒度の識別なできなくなってもまだ1粒1粒の認知はできると考えられた.認知閾値は,非常に高い重相関係を持って(R=0.93),七つの物性値を用いた重回帰式で表すことができた.
著者
松本 時子 中村 百合子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.46-49, 1995-02-20

紅玉とふじの熟成度の異なるリンゴを用い、砂糖濃度30%と60%のジャムを調製し,粘弾性と官能検査による識別と嗜好性を検討した。1.リンゴ生果の水分は紅玉の場合,1ケ月保存により87.23%〜85.01%に減少したが,ぶじは,84.50%〜84.12%と,ほとんど変化しなかった。糖度は,Brix値で紅玉(12.0〜13.0),ぶじ(10.9〜14.0)とも熟成が進むにつれて高くなった。紅玉のpH値は,試料間に差がなく(3.50〜3.54),ふじのpH値は3.54〜4.14と熟成が進むにつれ高くなった。粗ペクチン量は,紅玉に多く,特に果皮に多かった。2.紅玉の過熟のジャムが貯蔵弾性率,損失弾性率とも高かったが,パネルはその差を識別できなかった。3.生果では好まれない未熟果も,ジャムにすれば好まれることが分かった。4.総合的た好ましさにおいては,酸味と甘味のいずれも強い紅玉を好む人と,マイルドなふじを好む人に好みの傾向が分かれ,いずれのジャムもそれぞれの好ましさがあることが認められた。終りに本研究にあたり,ご協力いただきましたお茶の水女子大学生活科学部調理学研究室のみたさんに感謝致します。
著者
島田 淳子 綿貫 美奈子 谷澤 容子 畑江 敬子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.199-206, 1992-03-15
被引用文献数
2

1cm厚さの牛肉のサーロイン肉(胸最長筋)を0℃で2日から14日間熟成した. 熟成した生肉および,これを209℃で90秒焼いた肉の物理的特性(剪断力価,硬さ,凝集性,針入載,保水性), 5'-IMP含量, 有機酸量および遊離アミノ酸とオリゴペプチド態アミノ酸の量と組成を測定した. また,官能検査により, 加熱した熟成肉の軟らかさ, うま味の強ち, 総合的好ましさなどが評価された. この結果, 熟成により軟らかさは, 官能評価においても, 客観測定においても顕著に増加した. うま味に関与するグルタミン酸量および5'-IMP量は熟成により,前者は増加,後者は減少した. 両者の量より算出した呈味強度は熟成により増加したが, 官能評価におけるうま味の強さには熟成による有意の増加が認められなかった. 以上より官能評価におけるうま味の強さにはGlu, 5'-IMP以外の成分の寄与が示唆された.
著者
島田 淳子
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.24-29, 1999-04-01