著者
窪寺 恒己 天野 雅男 森 恭一 青木 かがり 篠原 現人 西海 功 大泉 宏 庄司 隆行
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

中深層性大型イカ類に関しては、特殊水中ビデオカメラ・ライトを開発し深海の環境を乱すことなく、それらの行動生態を記録し生物量の推定を試みた。2011年には小笠原沖でNHKと共同して有人潜水艇から世界初となるダイオウイカの生態観察・撮影に成功した。一方マッコウクジラに関しては、加速度マルチロガーと超小型水中カメラロガーを直接取り付けることにより、潜水中の行動を3Dで捉えることに成功し、餌となる大型イカ類を追跡・捕獲する行動パターンを明らかにした。また、深海の腐肉食性ベントスの蝟集実験を行い、蝟集物質の科学的組成を解析するとともにベントス群集の時間的変遷を明らかにした。
著者
篠原 現人 尼岡 邦夫
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.487-490, 1994-02-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11

北海道室蘭沖から得られ, 完模式標本以外に採集例のないヤセアイナメStellistius katsukii Jordan et Tanaka, 1927と同海域で普通に採集されるホッケPleurogrammus azonus Jordan et Metz, 1913との関係について主に外部形態に基づき調査した.両種の完模式標本と日本各地から得た23個体のホッケの標本を比較したところ, 両者に差異は認められなかった.従って, ヤセアイナメはホッケのシノニムであり, ヤセアイナメ1種のみを含むヤセアイナメ属Stellistiusもホッケ属Pleurogmmmusのシノニムである.また, 背鰭第1鰭条が長く, 後続のものとほとんど同じであるというヤセアイナメ属の特徴は模式標本の再調査では認あられず, Jordan and Tanaka (1927) の観察が誤りであったと判断された.
著者
大森 健策 加納 光樹 碓井 星二 増子 勝男 篠原 現人 都築 隆禎 横井 謙一
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.18-019, (Released:2018-08-20)
参考文献数
64

Large-scale Japanese lakes support many fish species and abundant fisheries resources. However, long-term changes in the fish fauna of such lakes have not been fully investigated, despite recent significant anthropogenic impacts on associated ecosystems. Accordingly, the extensive native and non-native fish fauna of Lake Kitaura, a typical large inland-sea lake (36 km2) in eastern Japan, was investigated based on specimens collected by the staff of Itako Hydrobiological Station, Ibaraki University from 1977 to 1997, plus data from previous studies conducted since the 1950s. In total, 83 species in 35 families have been recorded from the lake from the 1950s to the present decade. The analyses of long-term changes in fish species data since the 1960s demonstrated a sharp decrease in marine, estuarine and diadromous species due to an estuarine barrage (Hitachi River floodgate) established in 1973, the disappearance of nine red-list species (e.g., threatened and near threatened species) following various artificial environmental changes from the 1960s to 1980s, and an increase in introduced exotic and Japanese species after the 1980s.
著者
高田 陽子 渋川 浩一 篠原 現人
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.135-138, 2008-11-05 (Released:2012-11-05)
参考文献数
19

One specimen of the pipefish Dunckerocampus naia Allen and Kuiter, 2004, hitherto recorded only from the tropical region of the Western Central Pacific and Andaman Sea, was collected from the interstices of a precipitous reef at 16 m depth off Amami-oshima Island, Ryukyu Islands, Japan. Although the specimen represents the first voucher surpported record for this species from Japan, examination of the Image Database of Fishes in the Kanagawa Prefectural Museum of Natural History revealed that D. naia is in fact widely distributed in the Kuroshio Current region.
著者
瀬能 宏 松浦 啓一 篠原 現人
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.389-542, 2006
被引用文献数
10

相模灘産魚類の研究は,1900年代初頭にアメリカのジョルダンとその弟子たちによって本格化し,分類群ごとに論文がまとめられ,同時に多数の新種が記載された.その後,田中茂穂とその弟子の冨山一郎や阿部宗明など,日本人研究者によって多くの魚類が相模灘から報告され,研究材料の一部に相模灘産魚類が使用された.近年では相模灘の各地で地域魚類相の研究も盛んに行われているが,長い研究史とは裏腹に,相模灘の魚類が包括的に目録化されたことは一度もなかった.そこで本研究では,主要文献と標本に魚類写真資料データベース(KPM-NR)に登録された画像資料も加え,相模灘産魚類の全体像の把握を試みた.その結果,出現した魚類の総数は45目249科1517種に達した.科別種数の構成比をみると,ハゼ科(7.1%)が最も多く,ベラ科(5.7%)ハタ科(4.5%),フサカサゴ科(3.5%)スズメダイ科(2.8%),チョウチョウウオ科(2.3%),アジ科(2.1%),テンジクダイ科(2.1%)と続くが,その他の241科はすべて2%未満であった.魚類相の分析は,種多様性が高く,相互に同じ質での比較が可能な沿岸性魚類について行った.比較を行った地点は相模灘や屋久島,八丈島を含む南日本の6地点,琉球列島の5地点,および小笠原諸島の12地点である: 1)相模灘, 2)大瀬崎(駿河湾), 3)串本(紀伊半島), 4)神集島(四国), 5)屋久島, 6)沖縄島, 7)伊江島, 8)宮古諸島, 9)石垣島, 10)西表島11)八丈島,および12)小笠原諸島.これらの地点全体で記録された沿岸性魚類について,地点ごとに出現すれば1,出現しなければ0としてコード化し,クラスター分析を行った.その際,生物の分散を妨げる障壁の存在は非出現という共通性にも意味を持たせるとの観点から,距離尺度には単純一致係数を用い,要約手法としてはUPGMAを採用した.その結果,上記12地点の沿岸魚類相は琉球列島とその他の地域に大別され,相模灘は大瀬崎のものと高い類似性を示した.また,串本,柏島,屋久島および八丈島も互いに高い類似性を示した.相模灘と大瀬崎,串本ほか3地点は,西村三郎によって提案された暖温帯区と亜熱帯区にそれぞれ一致し,西村の仮説を支持したが,小笠原諸島については同じ熱帯区の琉球列島ではなく,南日本との類似性を示した.琉球列島とその他地域の非類似性は,トカラ海峡を安定して横断する黒潮が障壁として機能し,南日本から琉球列島への温帯性魚類の分散を妨げていることが原因と考えられた.また,小笠原諸島と南日本の類似性は,伊豆諸島を横断する黒潮の位置が南北に振れることにより,両地域間でファウナの交換が起こりやすくなっていることが原因と推察された.黒潮は生物の分散に寄与すると同時に,障壁として機能する可能性があることが本研究により示された.
著者
篠原 現人 今村 央
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.20-29, 2005-02-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
28

An overview of "scorpaeniform" fish phylogenetic studies is presented. Imamura and Shinohara (1998) reviewed previous phylogenetic studies of the "Scorpaeniformes" and stated that monophyly was unlikely. Since 1998, 4 papers (1 morphological and 3 molecular) have been published, which independently show the polyphyletic origins of this group. The present paper provides an outline of Imamura and Shinohara's (1998) paper, and gives summaries of the 4 subsequent papers. Evidence for polyphyly presented in the 4 papers is discussed. Suggestions for future areas of "scorpaeniform" taxonomic and evolutionary research are presented.
著者
加納 光樹 篠原 現人 渋川 浩一
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.39-46, 2003-03

Juveniles of a rare callanthiid fish genus Grammatonotus are described based on six specimens (18.6-22.8 mm SL) from Tosa Bay, Pacific coast off Shikoku Island, Japan; the occurrence represents the first record of Grammatonotus juveniles from the northern Pacific. Although we could not determine their certain species name, they were most probably identical with G. surugaensis, based on geographic distribution and osteological characters. The characters useful for identification of the juveniles of Grammatonotus are discussed with other Grammatonotus juvenile specimens from other areas.
著者
窪寺 恒己 天野 雅男 篠原 現人 西海 功 天野 雅男 篠原 現人 西海 功
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、大型トロールネットや深海探査艇による大規模な調査とは異なり、日本の先進技術であるマイクロ電子機器を組み込んだ超小型・軽量の水中撮影システムおよび赤色系LEDを用いた照明機器を用い、深海環境への撹乱を最小限度に止めることにより、中深層性大型頭足類のみならず深海性動物の自然状態に限りなく近い生態を撮影・記録し、それらの実態に迫ることを目的としている。平成18~20年度の3年間、後藤アクアティックスと共同で開発した深海HDビデオカメラシステム3台を用いて小笠原父島周辺海域において、地元の漁船を傭船して各年9月から12月にかけて約4週間の野外調査を実施した。水深600~1100mの3層にシステムを降し、延べ120時間を超す撮影を行い、アカイカ、ヒロビレイカ、ソデイカ、カギイカなど中・深層性大型イカ類の遊泳行動や餌を捕獲する行動などがハイビジョン映像とした詳細に記録された。また、ヨシキリザメ、シュモクザメなど大型魚類の遊泳・攻撃行動も撮影された。これらの映像をコンピュータに取り込み、フレーム単位で詳細に行動様式の解析を行い、それら中深層性大型頭足類の行動生態に関する多くの新たな知見が得られた。また、平行して行われたマッコウクジラの潜水行動を探る超小型バイオロガーを用いた調査では、数回にわたりロガーの装着に成功し、マッコウクジラが日中は水深800~1000mに繰り返し潜行し、夜間は500~600mと浅い水深に策餌層を変える行動が明らかにされた。さらに、三次元加速度データから餌を襲う際の詳細な行動様式に関する新たな発見がなされた。