著者
柏本 幸俊 荒川 豊 安本 慶一
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-74, no.31, pp.1-4, 2015-02-23

近年,屋内でのユーザの生活支援に向けた屋内位置手法に関する研究が盛んに行われている.これらの屋内位置推定手法は健康支援システムや高齢者見守りシステムなど様々な応用が期待でき,多数の手法が提案されている.圧力センサ内蔵マットやマイクアレーを用いた屋内位置推定システムが提案されている.しかし,導入コストやプライバシの問題が存在する.本稿では,これら 2 つの課題を解決するため,床に貼り付けた振動センサによる屋内位置推定システムを提案する.提案手法では,一般的な日本家屋の床などの振動を伝搬しやすい床を対象として,床に複数の振動センサを設置し,ユーザが移動した時に床に生じる振動よりユーザの位置を推定する.提案システムでは,振動フィンガプリント及び振動の強度の変化を用いてユーザの位置を推定する.床に伝搬する振動には,ユーザの位置を特定できる振動が含まれる.例えば,ユーザがドアを開閉した時の振動,椅子に着席・離席した時の振動などである.これらの振動とそれぞれの振動が発生する場所の組み合わせ (振動フィンガプリント) によってユーザの位置を推定する.しかし,振動フィンガプリントのみでは,振動フィンガプリントが存在しない場所にユーザが移動した場合や,移動中のユーザの位置推定が困難である.そこで,振動波の大きさ (振動強度) の変化よりユーザの移動方向・移動距離を推定し,この課題を解決する.ユーザの歩行による振動強度が時間経過とともに増加した場合,ユーザが振動センサに近づく方向に移動していることが分かる.従って,複数の振動センサの振動強度の時間的変化より,ユーザの移動方向を推定できる.それぞれの振動フィンガプリント・振動強度の時間的変化によるユーザの移動方向・距離の推定で推定したユーザの位置をパーティクルフィルタを用いて統合することで,ユーザの屋内での位置を推定する.提案システムの実現に向けて予備実験を行った.予備実験では,大学が所有するスマートハウスのフローリング床に複数の振動センサを設置し,振動強度とユーザー振動センサ間の距離に相関が存在するかを確認した.予備実験の結果,振動強度とユーザー振動センサ間距離との間に対数関数で近似できる相関が存在することが分かった.
著者
平部裕子 荒川豊 安本慶一
雑誌
マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.6, pp.77-79, 2013-11-27

スマートフォンやタブレット端末の普及により,タッチ操作はユーザの間で共通の技術となっている.そこで著者らは,このタッチ操作を新たなユーザコンテキストの一つとして着目している.タッチ操作というコンテキストを用いることで,将来的にユーザの感情やスキルといったより取得が難しいとされるユーザコンテキストを抽出できると考えている.本稿では,Android 端末におけるタッチ操作ログを,全てのアプリケーションから横断的に取得し,その操作を分析 (分類),可視化するシステム TouchAnalyzer に関する報告を行う.
著者
赤池 勇磨 金丸 智史 米田 純 久米 由花 荒川 豊
雑誌
研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-8, 2014-05-15

本研究では,現実世界の対話における問題点を緩和し,コミュニケーションの円滑化を目的とした,AR (拡張現実) を用いた対話システムを提案する.提案システムは,没入型 HMD とカメラを組み合わせ,カメラに映る目の前の世界がリアルタイムに HMD に表示される.このとき AR により,対話者の顔の上にアバター (自分の分身となるキャラクター) を,対話者の隣に対話者に関する情報や話題となる情報を表示する.これにより,個人の持つコミュニケーション能力のレベルの差や,人間関係,対話者についての知識量の不足などによって起こるコミュニケーションの問題の緩和を狙う.今回,初対面の人と会話する必要がある代表的なコミュニケーションの場である 「合コン」 に対して本システムを使用し,提案システムの有効性を評価した.
著者
中村仁美 荒川豊 安本慶一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.1-8, 2014-11-13

ピークシフト貢献行動の容易な学習に向けたシリアスゲームの設計を行い実装・評価した結果を報告する.本ゲームでは,電力の上限 (契約電力) が設定された集合住宅において複数の住人が家電を使用して生活している環境で,プレイヤは一人の住人の家電使用予定を変更して,集合住宅全体での契約電力を超えない (ピークシフトに貢献する) ようにする.集合住宅内の電力使用予定は各家電の使用予定を縦が消費電力,横が使用時間のブロックとして表示し,ブロックをずらすことでゲーム内の予定変更を実現する.また,家電の種類や変更時間に応じて減少する快適度を設定し,これによりゲーム内に住人が予定変更の際に感じる不快感をゲームのスコアに反映する.これらの仕組みにより,プレイヤはゲームを通してピークシフト貢献行動を学習することができる.提案したゲームを実装し,被験者実験を通して,ピークシフト貢献行動の習熟度やゲームの熱中度合いを評価した結果を報告する.
著者
酒造 正樹 荒川 豊 下地 貴明 柴崎 望 Masaki Shuzo Yutaka Arakawa Takaaki Shimoji Nozomu Shibasaki
雑誌
DOCMAS = DOCMAS
巻号頁・発行日
no.B302, 2014-03-02

People under chronic stress cannot have appropriate care without self-reported health status. If their mental stress is quantitatively estimated with small sensors and data mining technologies, we can know their variation of mental state in their daily life. Sharing the information with others will help them not get worse. An application for smart phones which can check the variation of mental state as a life log is discussed in this paper.
著者
成冨 隆斗 荒川 豊 川口 賢太 本田 光秀 溝上 琢也 美馬 浩志 原田 薫明 日下部 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.344, pp.121-126, 2011-12-08

ネットワークの高速化に伴いその解析対象となるデータ量は膨大となり,高速な分析が難しくなってきている.著者らはこの課題に対してHadoopを利用した分散処理による大容量パケットデータの解析システムを提案し,設計及び実装を行ってきた.本報告では,同解析システムの評価を通じて明らかとなった性能ボトルネックと,それに対する改善の適用について述べる.さらに,IAサーバ13台からなるHadoopクラスタでの評価の結果,この改善によりデータ解析に要する時間が最大で50%短縮されたことを示す.
著者
北田 夕子 荒川 豊 竹森 敬祐 渡邊 晃 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.1571-1583, 2005-10-01
被引用文献数
8

インターネットに接続点をもたない独立した無線アドホックネットワークでは信頼できる既存の認証局(CA : Certificate Authority)を利用できないため, 各ノードが独自に証明書を発行・管理する公開鍵証明書分散管理方式が提案されている. しかし, この方式は, 各ノードが全証明書を収集するため, メモリ消費量の増加や失効証明書リストの管理などの問題がある. そこで本論文では, 従来方式の課題を解決するために, 各ノードは自身に対して発行された証明書のみをもっておき, 認証要求が発生した時点で, 認証したいノードまでの証明書を収集して信頼の輪を構築するオンデマンド公開鍵証明書分散管理方式を提案する. 証明書の収集には, 被認証ノードにかかわるルーチングテーブル情報を付加してブロードキャストすることで, ブロードキャストが直接届かない被認証ノードも一括して探索することができるアドホック一括ノード探索プロトコル(ASNS : Adhoc Simultaneous Nodes Search)を提案する. 提案プロトコルにより, 提案方式は, 認証に必要な証明書のみを収集するため, ノードのメモリ消費量を削減でき, かつ失効証明書リストの確認処理が不要になる. 計算機シミュレーションにより, 信頼の輪の構築成功率, 信頼の輪を構築するために必要なノード数, 及び信頼の輪の構築に必要な通信量について評価を行い, ノード密度の低いアドホックネットワーク環境に有利であることを示す.
著者
荒川 豊 田頭 茂明 福田 晃
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.50, pp.1-7, 2010-03-19
被引用文献数
1

本研究では,コンテキストアウェアIME実現へ向けて,コンテキストと入力文字列との相関関係を明らかにするために,Twitter (ツイッター) のつぶやきを収集し分析を行った.ツイッターを分析対象とした理由は,位置情報が付加された文字列が大量に得られることと幅広いユーザ層の文字列が得られることからである.2009 年 12 月 15 日から 2010 年 2 月 1 日の位置情報付きの 13590 件のツイートに対して,位置情報から得られるランドマーク情報と,時間情報から得られるテレビ番組情報とのマッチングを行ない,取得したツイートのうち,4.83% が発言した位置を元に得られるランドマーク情報を含み,8.16% が発言した時間を元に得られるテレビ番組情報を含んでいることを明らかにした.また,一致した文字列は,2~3 文字であることや Web 検索結果の上位 10 件に約 45% が含まれていることを明らかにした.The objective of this paper is to clear out the relation ship between user's context and really used words in order to realize the context-aware IME. In this paper, we target public tweets of Twitter, because it includes various user's real sentences with geocode (latitude and longitude). We analyze 13590 tweets that have collected from 15 December 2009 to 1 February 2010 for specifying the relationship to landmark information and TV program. As a result, we show that 4.83% of tweets include landmark words, and 8.16% of tweets include TV program words. Additionally, we bring out that average length of concerted words is about 2.5 words, and 45% of them are included in top 10 of web search results.
著者
中野 達彦 中西 恒夫 田頭 茂明 荒川 豊 福田 晃
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2013-MBL-66, no.11, pp.1-6, 2013-05-16

センサの小型化,低価格化,高精度化に伴うセンサネットワーク技術の発展の影響は農業にも及び,勘と経験の農業技術の見える化と農作物管理の高度化・高効率化を目指す環境情報モニタリング環境が構築されつつある.我々は,他のどのセンサノードともマルチホップ無線通信によるデータ通信ができずに孤立するセンサノードが存在するような農業疎密無線センサネットワークにおいて農業技術の見える化を試みることを想定し,オープンソースハードウェアの Arduino を採用し費用を最小限に抑え,さらに太陽光と風力によるハイブリッドなエナジーハーベストによって電源を確保し,超音波距離センサあるいは 315MHz 無線通信を用いた起床で実現する省電力な Data MULE によってデータ通信を行うセンサノードのプロトタイプを開発した.さらに,稼働時間に関して試算した結果,エネルギー供給は太陽光と風力で,動作に支障なく十分に賄えることがわかった.
著者
徳橋 和将 菊田 洸 石井 大介 荒川 豊 岡本 聡 山中 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.183, pp.49-53, 2008-08-01
被引用文献数
4

我々は,次世代アクセス網として,光スイッチを用いることにより,利用者収容能力の増大と伝送距離の延長を図った,PON(Passive Optical Network)とは異なる新たなアクティブ型光アクセス網アーキテクチャを検討している.本研究では,アクティブ型光アクセス網において,OLT(Optical Line Terminal)とONU(Optical Network Unit)間で光スイッチを介して回線を確立するために必要となるディスカバリ処理方式とレンジング処理方式を提案し,シミュレーションによる評価を行った.
著者
荒川 豊 柏木 啓一郎 中村 隆幸 中村 元紀 松尾 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.79, pp.49-54, 2009-06-04

我々はセンサやアクチュエータにより収集・操作する実世界のデータを蓄積・検索する機構uTupleSpaceの研究を行っている。多数のデバイスからのデータを蓄積し、様々なアプリケーションでこれを共有するため、uTupleSpaceはスケール性を考慮して構築されなければならない。そこで、uTupleSpaceを構成する複数サーバ間で動的に負荷を分散し、また必要に応じてサーバ増設を可能とするダイナミックヘルプ方式を考案した。評価の結果、センサデータを利用する想定アプリケーションにおける負荷に対し、考案方式によりuTupleSpaceは十分にスケール可能となることを確認した。
著者
辻 智博 本間 潤一郎 清水 翔 荒川 豊 山中 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.667, pp.115-119, 2006-03-09

Webアクセス待ち時間を短縮する有効な技術に「プリフェッチ(先読み)」がある.本研究では,ダウンロードに膨大な時間を要するリッチコンテンツの転送にプリフェッチを適用し,体感ダウンロード時間を短縮する.また,複数のミラーサーバを持つリッチコンテンツの実ダウンロード時間短縮を目的とし,応答時間が最短のミラーサーバを自動的に選択する手法を提案する.さらに,最適なネットワークリソース選択やプロトコル変換を用いることで,光バースト転送によるダウンロードなどを実現し,実ダウンロード時間のさらなる向上を目指す.実装システムを用いて評価実験を行い,通常の人間によるミラー選択と比較して,提案方式のミラーサーバ選択時間,ダウンロード時間を約70%改善できることを示す.