- 著者
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菅野 重樹
田中 良治
大岡 俊夫
加藤 一郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本ロボット学会
- 雑誌
- 日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.4, pp.339-353, 1985
- 被引用文献数
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これからのロボットは, '力作業'だけでなく'情報作業'をも行う能力をもつ必要がある.そこでこの研究では, 鍵盤楽器演奏可能な人間形知能ロボットを開発することにより, 情報作業に必要となる機能である巧緻性, 高速性, 高度の知的能力などを実現することを目的としている.本論文では, そのためのロボットの4肢構成とその制御に焦点をおき開発した鍵盤楽器演奏ロボット'WABOT-2'の運動系について述ベる.<BR>このロボットは, 5本指をもつ両手と, ペダル操作用両足の4肢からなり, その自由度は合計で50である.このような多自由度ロボットは他に例がなく, その制御法が問題となり, また自律制御を行ううえでは, 楽譜情報から4肢の軌道を決定する方法が重要となる.<BR>以上のような制御問題を解決するために, WABOT-2運動系では53個のマイクロプロセッサからなる3重階層構造のコンピュータシステムを構成した.その上位コンピュータシステムは, 楽譜情報処理を担当し, 3種類に分類した知識, (1) 作業対象物, (2) 作業内容, (3) ロボット機構部仕様をもとに, 視覚系より転送される楽譜データから運指・手首位置の決定, 指・腕・足の各関節角度計算を行う.中位コンピュータシステムは, 上位コンピュータシステムで計算された軌道をもとに, 制御用データを下位コンピュータシステムへ出力し, また必要に応じて各自由度の状態をモニタすることにより協調制御を行う.そして, 下位コンピュータシステムは, 各自由度に1チップマイクロコンピュータが置かれており, ソフトウエアサーボをかけている.このようなコンピュータシステムにより, 50自由度の効率良い制御を実現した.<BR>以上の結果, WABOT-2は電子オルガン中級程度の曲について, 楽譜情報を入力するだけで自動的に演奏が可能となった.