著者
田口 茂 吉田 正俊 西郷 甲矢人 宮園 健吾 谷 淳 田中 彰吾 山下 祐一 西尾 慶之 武内 大 富山 豊
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「意識とは何か」という問題は、現代において哲学と科学と医療にまたがる大問題である。本研究の目的は、この大問題に、以下の三つの方法を組み合わせてアプローチすることである。①第一に、「現象学」を一つの理論的な核として、哲学・精神医学・神経科学・ロボティクス・数学の密接な学際的共同研究を行う。②第二に、「意識変容」という正常な意識状態からの逸脱に焦点を当て、変容した意識と正常な意識とを対比することにより、意識の本質的特性に迫る。③第三に、「圏論」という数学的理論を用いて、上述の諸研究から浮かび上がる関係論的構造を分析する。これにより、意識研究を一段新しい次元にもたらす新たな理論的枠組みを提起する。
著者
国里 愛彦 片平 健太郎 沖村 宰 山下 祐一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.20-036, (Released:2021-08-05)
参考文献数
28

本論文では、計算論的アプローチについて紹介する。計算論的アプローチとは、刺激と反応との間にある脳の情報処理過程を明示的に数理モデルにする研究手法である。この計算論的アプローチを精神医学研究で用いると計算論的精神医学となる。認知行動療法のモデルでは、刺激と反応との間の過程を言語的にモデル化しているが、計算論的アプローチを用いることで、モデルの洗練化、シミュレーションを通した新たな現象・介入の予測なども可能になることが期待される。まず、本論文では、計算論的アプローチについて説明し、その代表的な4つの生成モデルについて解説する。さらに、計算論的アプローチを用いた認知行動療法研究として、うつ病と強迫症に対して強化学習モデルを用いた研究について紹介する。また、計算論的アプローチを研究で用いる際の推奨実践法について、4つのステップに分けて解説する。最後に、今後の計算論的アプローチの課題について議論する。
著者
国里 愛彦 片平 健太郎 沖村 宰 山下 祐一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-10, 2022-01-31 (Released:2022-04-01)
参考文献数
28

本論文では、計算論的アプローチについて紹介する。計算論的アプローチとは、刺激と反応との間にある脳の情報処理過程を明示的に数理モデルにする研究手法である。この計算論的アプローチを精神医学研究で用いると計算論的精神医学となる。認知行動療法のモデルでは、刺激と反応との間の過程を言語的にモデル化しているが、計算論的アプローチを用いることで、モデルの洗練化、シミュレーションを通した新たな現象・介入の予測なども可能になることが期待される。まず、本論文では、計算論的アプローチについて説明し、その代表的な4つの生成モデルについて解説する。さらに、計算論的アプローチを用いた認知行動療法研究として、うつ病と強迫症に対して強化学習モデルを用いた研究について紹介する。また、計算論的アプローチを研究で用いる際の推奨実践法について、4つのステップに分けて解説する。最後に、今後の計算論的アプローチの課題について議論する。
著者
山下 祐一
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.114-116, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
10

計算論的精神医学とは,脳における情報処理プロセスを数理モデルで表現することで神経・精神疾患の病態理解・治療法の開発を目指す,精神医学の比較的新しい研究領域である。高度な数理モデルを含む学際的知識が求められる分野ではあるが,その中でも臨床精神医学の知識は欠かせないと考えられる。臨床経験をもち,精神医学における臨床疑問を理解する精神科医が積極的に参入し,領域がますます活性化することが期待される。
著者
山下 祐一郎
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.79-93, 2018-03-20

2020年度から全面実施が予定されている小学校学習指導要領(平成29年3月公示)では,「プログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」が盛り込まれている。これに伴い,小学校教育養成課程では,プログラミング教育の実施に必要な知識・技能を修得するためのカリキュラムが求められている。そこで,本研究では,プログラミング教育に必要な知識・技能を大学生が修得するための授業計画を開発し,授業実践を行った。この授業実践では,プログラミング言語としてViscuitとレゴマインドストームを利用する。そして,大学2年生2名と大学3年生2名の計4名に対して全15回の授業を行った。授業を受講した学生らの自己評価の結果,4名中3名がプログラミング教育に関する理解が深まったと回答した。また,4名中3名が指導安略案にプログラミングを盛り込むことができた。
著者
山下 祐一郎 中島 平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Suppl., pp.5-8, 2010-12-20 (Released:2016-08-07)
参考文献数
5
被引用文献数
3

本研究では,プレゼンテーションスキルとプレゼンテーションの分かりやすさの関係を明らかにするため,レスポンスアナライザを用いた新しい情報システムを開発し,授業実践を行った.その結果,プレゼンテーションの分かりやすさには,発表者の「話し方」や「動作」よりも,「資料」の作り方や「内容」の充実が重要であることが明らかになった.また,発表者の「熱意」は分かりやすさには関係しないこと,及び,分かりやすい発表が聴衆へ新しい知識を与えるとは限らないことが示唆された.そして,レスポンスアナライザによるプレゼンテーションの評価は,アンケートによる評価とは異なり,利用者の直観的な評価を得られる可能性が示唆された.
著者
海堀 正博 長谷川 祐治 山下 祐一 崎田 博史 中井 真司 桑田 志保 平松 晋也 地頭薗 隆 井良沢 道也 清水 収 今泉 文寿 中谷 加奈 柏原 佳明 加藤 誠章 鳥田 英司 平川 泰之 吉永 子規 田中 健路 林 拙郎
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.49-60, 2018-11-15 (Released:2019-11-15)
参考文献数
10
被引用文献数
8

In July 2018, heavy rain due to Typhoon Prapiroon affected western Japan and caused numerous sediment disasters such as landslides and debris flows in Hiroshima Prefecture. In a southern part of Hiroshima, approx. 8,500 slope failures occurred, and total number of sediment disasters were reported as approx. 1,250. Therefore, members of Japan Society of Erosion Control Engineering and Chuushikoku branch conducted field surveys in Hiroshima City, Aki Gun, Kure City, and Higashi-hirosima City. In Kawasumi area, Aki Gun, large rock which seemed to be core stone and diameter approx. 10 m moved down from the torrent, and at downstream side 6 m diameter rock seemed to hit the house with destructive power. In Aki-Gun, Saka-Cho, Koyaura area, one old stone masonry sabo dam was destroyed. We estimated the flow discharge from the investigation at the upstream of dam and considered the flow process from the flow traces around the dam. The results showed that the dam destroying process was as following. Firstly, the large rocks accumulated at the frontal part of debris flow collided and destroyed the right bank side wing, and then stone masonry product peeled off continuously. Furthermore, debris flows occurred from several streams in Koyaura and 1-1.5 m sediment deposition occurred at downstream residential area. In Higashihiroshima City Kurose-cho, many collapses and debris flows occurred around Hiroshima International University and there were no casualties fortunately. In Kurose-cho, most of the collapses seemed to occur from the top and ridge of the mountains with gentle slope around 15 degrees.
著者
山下 祐一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Suppl., pp.5-8, 2021-02-20 (Released:2021-03-08)
参考文献数
4

本研究では,プレゼンテーション評価の効率化を実現するため,プレゼンテーションにおけるスライド評価と発表評価の一致率を分析した.スライド評価は,プレゼンテーションスライドのみを評価することである.また,発表評価はスライドを使用した口頭発表に対する評価である.本研究の評価では,アンケート形式のルーブリックを用いて,ピアレビューを実施している.そして,例えば,わかりやすさの評価は「わかりやすい」と「わかりにくい」の二極の傾向に分けて一致率を求めた.このように,傾向に分けた場合の一致率は,わかりやすさ,面白さ,タイトルの適切さ,論理構成,目的の説明,情報収集の項目で90%以上を示していた.
著者
村田 真悟 山下 祐一 有江 浩明 尾形 哲也 谷 淳 菅野 重樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.2K4OS04a3, 2014 (Released:2018-07-30)

人間は知覚経験を通して生じた現象の解釈を行い,受動的適応・能動的適応という二つの対立した戦略を動的に選択していると考えられる.我々は,この選択の実現に「予測精度の予測」が重要であると考え,それが実現可能な再帰結合神経回路モデルを提案する.提案モデルをロボットに実装し,適応行動の生成学習実験を行った結果,受動的・能動的な行動を実現する二つの神経メカニズムが同一の神経回路に自己組織化された.
著者
山下 祐一郎 中島 平
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.6, pp.1421-1424, 2012-06-01

分かりやすいプレゼンテーションの作成には,ストーリー構成などを検討する能力が必要とされている.本研究では,この能力の育成を目的とし,新しいワークシートとレビューシステムを開発した.そして,評価実験の結果,これらの有効性が示唆された.