著者
小倉 都 藤田 健一
出版者
科学技術政策研究所 第3調査研究グループ
巻号頁・発行日
2012-03-15 (Released:2012-08-07)

大学等(国公私立大学・高専、大学共同利用機関、研究開発独法)発ベンチャーの現状や課題等を明らかにするため、2009年度末時点で活動中で所在が判明している大学等発ベンチャー1689社へのアンケート(2011年3-4月実施:有効回答535件)を実施した。 その結果、大学等発ベンチャーの現経営者の45.2%は民間企業出身者となっており、多くの大学等発ベンチャーが教職員や学生が主体となって設立されたことを踏まえると、民間企業出身者がベンチャーの経営に参画する動きが着実に増えていることがわかった。また、設立からの年数が経過しているベンチャーでは、自社で研究開発も特許出願も経験している割合が大きくなっており、さらに民間企業出身者が経営者になっているベンチャーでは、資本金や売上高、研究開発費が大きく、従業員数の増加も大きく、海外展開に意欲的である、など、成長志向の傾向が強くなっていることがわかった。 また、大学等発ベンチャーの経営者は自らのベンチャーへの関与をキャリア形成の面で肯定的に捉えていること、20代、30代の若手を雇用するベンチャーが多く、研究開発では30代が最も戦力となっていること、研究開発に関連する業務では、大学等での研究経験だけでなく企業での職務経験があることを重視していることもわかった。今後、研究開発での増員を予定するベンチャーも多いことから、インターンシップ等による企業での職務経験を身に付けることにより、若手研究者がベンチャーで活躍できる可能性も広がっている。
著者
勝間田 明男 中田 健嗣 藤田 健一 田中 昌之 西宮 隆仁 小林 昭夫 吉田 康宏
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

1998年7月にパプアニューギニアにおいて発生したMw 7.0の地震の後に10mを超える津波が沿岸に押し寄せ、この津波により2,200名を超える犠牲者が出ている(Tappin et al., 2008).この津波は,地震の規模に比べて高すぎること,津波の発生が地震の発生よりも10分ほど遅れているとみられること,海底地形において地すべりを起こしたとみられる場所が確認されていることなどから,海底地すべりが発生源であるとみられている(例えば,Tappin et al., 1999; Synolakis et al., 2002).通常の地震による津波の場合には,地震計で記録される地震波が警戒の最初のトリガとなることが多い.しかし,この1998年のパプアニューギニアのような事例が発生した場合には,地震波から予測される規模の津波には備えるものの,それを超える規模の津波への警戒は通常なされない.もし,海底地すべりが地震計で捉えられるならば,この種の津波に備えることが可能となる.以前の調査(勝間田・他, 2016)に,調査対象の観測点の追加,理論波形の再検討を行ったので報告する. 海底地すべりが発生した地点から900km離れた場所にPMG観測点がある.PMG観測点の地震データをIRISより入手し,0.2秒から50秒までの様々な帯域のフィルターを施して特異な信号有無を確認したが,直前のMw 7.0の地震の後続波の振幅を超える特別な相は確認されなかった.PMG観測点において,海底地すべりに対応した相が確認できないことはSynolakis et al.(2002)によって既に指摘されている.東京大学地震研究所の海半球観測研究センターにPMGよりも更に地すべり地点に近いJAY観測点(約150km)のデータがアーカイブされている.JAY観測点のデータについても確認したが,顕著は相は確認されなかった. Watts et al. (2003)の津波発生源モデルによると,この規模の津波を発生させることができる地すべりは長さ4.5km,幅5km,厚さ760m(半楕円体)の規模のものであった.それが傾斜角12度の下で特性時間32秒の地すべりを起こしたとされる.地すべりが進行している時にはそれまで摩擦力で支えられていた地塊が加速度運動をしていると考えられる.それ以前に地塊を支えていた力が減ずるのでその分の地面に加わる力が変化したと考えられる.その力を,密度(2.15×103kg/m3)×体積(9 km3)×加速度(0.36m/s2)として見積もると7×1012Nとなる.この程度の力が作用したと仮定した場合の理論波形をTakeo (1985)により計算した.震源時間関数として数十秒程度の継続時間のものをいくつか仮定してみた.その結果,理論波形は直前の地震の後続波に比べて同程度以下の振幅にしかならず,理論波形からみても地すべりにる地震波は検知可能レベル未満であると見積もられた(図).海底地すべりによる津波の検知には,沖合い津波計のような別の手段が望まれる.謝辞IRIS及び東京大学地震研究所海半球観測研究センターに保管されていた地震記録を用いた.理論地震波形の計算にTakeo (1985)を用いた.
著者
藤田 健一郎
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.53-55, 2008-09-20 (Released:2010-09-20)
参考文献数
8

Breeding sites of the Japanese Murrelet Synthliboramphus wumizusume are restricted to some small islands off Japan, but its breeding behavior and postbreeding dispersal are poorly known. On May 2003, an observation of a chick was reported in the south of Boso Peninsula, southeast Japan. On 16 May 2006, I observed two adults and two putative chicks of the Japanese Murrelet, on the coast of Tateyama City at the south end of Boso peninsula. This site is c. 70 km away from the nearest islands where this species is known to breed.
著者
南部 久男 徳武 浩司 石川 創 大田 希生 藤田 健一郎 山田 格
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-22, 2009 (Released:2019-12-04)

2005年春に東京湾に出現したコククジラの出現状況を調査した。このコククジラは4月中旬から5月初旬にかけて東京湾内で目撃され、5月11日に千葉県南房総市旧富山町沖1kmの小型定置網で混獲されて死亡した。筆者等は5月5日から10日の間に東京湾の3海域(千葉県袖ヶ浦市沖、同県習志野市沖、神奈川県横須賀市〜横浜市沖)でこのコククジラを観察する機会を得た。いずれの出現海域も沿岸の浅海で、袖ヶ浦市沖(沖合50〜100m、最短20m程)と習志野市沖(沖合10m〜100m)では索餌をしていたと考えられ、横須賀市〜横浜市沖(沖合100〜1400m、水深11〜18m)では沿岸にそって北へ遊泳していた。本個体は東京湾へ迷入したものと思われる。観察結果からは泥底での摂餌嗜好性、北上しようとする意図があった可能性などを窺うことができた。
著者
荻窪 哲也 日高 宗明 奥村 学 藤田 健一 山崎 啓之 浅生 将英 岩切 智美 佐々木 裕美 児玉 裕文 有森 和彦
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.392-399, 2006-05-10
被引用文献数
2 2

In view of the lack of information on the extent to which tea beverages inhibit the activity of human cytochrome P 450 3A (CYP 3A), we investigated their effect on the midazolam 1' -hydroxylation activity of CYP 3A contained in human liver microsomes. "Grapefruit (white)" was used as a positive control, and "Valencia Orange", as a negative control. All the tea beverages tested significantly inhibited the midazolam 1' -hydroxylation activity of CYP 3A in a concentration-dependent manner and inhibition was particularly marked for Katekin 600^[○!R] and Banso-reicha^[○!R] (5.0%, v/v). The potency of the inhibitory effects was similar to that of grapefruit. The inhibitory effects on the activity of CYP 3A were enhanced by preincubation of tea samples (2.5%, v/v) with microsomal fractions for 5 to 30min in a preincubation period-dependent manner. These results suggest that Katekin 600^[○!R] and Banso-reicha^[○!R] contain mechanism-based inhibiting agents. Further, the inhibitory effects on CYP 3A of green tea beverages seemed to be enhanced by catechins with the enhancement depending on the catechin concentration indicated on the label. In conclusion, we found that there were ingredients that inhibited CYP 3A activity in all of the tea beverages, and they were probably catechins.