著者
小日山 正剛 兼松 弘 新谷 勲
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.596-600, 1992-07-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

カカオ豆及びカカオ豆を主成分とする食品中のニッケル,鉄,銅,鉛及びヒ素などの重金属含量がどのように異なるかを調べた.試料にはカカオ豆26試料,カカオマス14試料,カカオ脂10試料,市販のチョコレート14試料(ブラック9,ホワイト5)及び粉末ココア4試料を用いた.また,参考試料としてシアナッツ5試料,ボルネオナッツ3試料及びコーヒー豆6試料についても分析した.(1) ニッケル含量はカカオ豆で平均5.12ppm,その胚乳部に相当するカカオマスでも平均4.81ppmとほとんど差がなかった.しかし分離脂肪のカカオ脂にはニッケルは0.13 ppmしか存在しなかった.鉄,銅の含量もカカオ豆(x: 112.4, 24.7ppm)とカカオマス(x: 82.5, 26.7ppm)の間ではほとんど差を示さないが,カカオ脂(x: 0.30, 0.04ppm)では著しく低かった.(2) 市販のカカオ加工食品では,ニッケル含量はブラックチョコートで平均1.09ppmとかなり高いが,ホワイトタイプでは主原料のカカオ脂と同様に微量にすぎなかった.これに対し,粉末ココアでは平均12.7ppmのニッケルが検出され,カカオマスよりさらに高いことを示した.この傾向は鉄及び銅の含量でも同様であり,ブラック,ホワイトチョコレート及び粉末ココアからそれぞれ平均24.4, 0.82及び362.5ppmの鉄及び5.36, 0.16及び43.9ppmの銅が検出された.(3) 参考試料としたハードバターの原料となるシアナッツ及びボルネオナッツからは,それぞれ平均0.58及び0.45ppmのニッケル, 85.4及び137.1ppmの鉄と0.72及び10.8ppmの銅を検出した.また,コーヒー豆からは平均0.55ppmのニッケル, 67.0ppmの鉄及び13.3ppmの銅を検出し,これを風味原料として使用するファットスプレッドではこれらの重金属の給源となり得ることが示された.なお,鉛はシアナッツ,ボルネオナッツ及びコーヒー豆の一部試料から0.1~0.3ppmの微量が検出されたにすぎず,ヒ素は全試料から検出されなかった.
著者
大谷 勲
出版者
日本犯罪学会
雑誌
犯罪学雑誌 (ISSN:03020029)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.112-115, 1971-04
著者
小川 潔 本谷 勲
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 : Wildlife conservation Japan (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-14, 2001-02-28
被引用文献数
2

A follow-up survey of dandelion plants (Taraxacum) in 1990-1992, ten years after the initial survey using the same site designation methods in the southern Kanto district, revealed the following facts. Firstly, in the Tokyo urban area, the occurrence of both dandelion species had little changed; that is, the introduced one dominated there. Secondly, in the suburban areas, the number of lots in the recent survey where the native diploid species dominated had decreased compared with the previous survey, whereas the number of lots where the introduced species dominated had increased. Third, analysis of land-use in the two surveys revealed that a sharp decrease in cultivated fields, which are preferred by the native diploid species, caused a 48.7% drop in this dandelion's occurrence in the suburban areas. The count of the introduced dandelions also dropped by 3.5% in southern Tama, one suburb area. This species decreased in sites such as roadsides and vacant areas that have diminished, and increased on areas such as parking lots and children's playgrounds that have been expanded over the last ten years. These findings clarified the fact that decreases in habitat resulted in the retreat of ranges and declines in the frequency of occurrence for both dandelion species in the urban and suburban areas.
著者
田中 基雄 安本 昌彦 渋谷 勲 川端 康治郎 中村 貴義 橘 浩昭 萬田 栄一郎 関口 辰夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.11, pp.1937-1941, 1989-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

高圧下において中間物とSquaricacidの縮合によりN-オクタデシルスクアリリウム(SQ)色素を合成する方法について検討した。中間物〔1〕または〔3〕とSquaricacidの反応による色素〔2〕または〔4〕の生成反応は,400~800MPaの加圧処理により促進され,常圧下における合成を大きく上回る収率をもたらした。また中間物〔3〕から色素〔4〕を生成する反応はクロロ酢酸,トリクロロ酢酸触媒の存在下でさらに収率向上を示すことが認められた。常圧下において従来得られなかったキノリン構造を有する色素〔6〕および〔8〕を本高圧法により合成することができ,新たに4種のスクアリリウム色素を得た。これら新色素のVIS,IR,iH-NMRスペクトルを測定した結果,〔6〕が〔2〕,〔4〕と同様に1,3-型スクアリリウム環構造に合致するのに対して,〔8〕は1,2-型スクアリリウム環構造の形をとるものと推定された。
著者
木暮 槇太 中島 誠 高橋 幸吉 稲神 馨 須藤 芳三 待田 行雄 林 禎二郎 平尾 常男 五十嵐 三郎 仲野 良男 竹林 克明 吉田 徳太郎 宮内 潔 江口 正治 林 幸之 佐々木 周郁 渡辺 忠雄 近藤 義和 渋谷 勲 須貝 悦治 田中 茂光 小山 長雄 田中 一行 竹田 寛 竹鼻 孝夫 室賀 明義 蒲生 俊興 高橋 保雄 西村 浩 長谷川 金作 森 幸之 永友 雄 梅谷 与七郎 中村 晃三 松本 介 宮沢 正明 加藤 康雄 土橋 俊人 高木 直温 柳沼 泰衛 小野 四郎 村山 隆之 近森 俊哉 辻 辰四郎 小川 敬之 小松 四郎 大岡 忠三 妹尾 計一 森本 宏 梶浦 みち子 萩原 清治 瓶子 まち子 中条 紀三 高木 春郎 飯島 荘資 横内 和多良 清水 滋 堀内 彬明 堀内 ちよし 原田 忠次 木村 敬助 青木 秀夫 後藤 四男 小林 恵之助 皆川 基 皆川 豊作 岡村 源一 小河原 貞二 村山 穰助
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.244-255, 1956-06-28 (Released:2010-11-29)

蚕卵発育中に於けるPhasphataseの組織化学的所見2雄核の接合に関する細胞学的観察カイコガのモザイク複眼の構造とできかた家蚕蛹の頭部が産卵に及ぼす影響家蚕の血組織に関する生理学的研究 (II) 蛹の発育に伴う囲心細胞及び周気管細胞中の遊離アミノ酸の消長家蚕その他数種絹糸虫における誘引物質の共通性と類縁関係に関する研究蚕種の冷蔵障害と水銀塩による沈澱物前胸腺移植後の結紮と絹糸腺の成長家蚕のフラビン化合物に関する研究 (V) 蛹の器官特に中腸におけるフラビン化合物について (予報)家蚕の計量的形質と脳-食道下神経節連合体の機能追加7.白殫病菌の蚕卵への接種試験繭・繊維の部熱風乾燥に関する研究 (II)繭解じよの向上についての研究 (IV) 病蚕成立繭特に硬化病, 軟化病, 膿繭蚕繭の性状繭及び生糸の繊度変異に関する研究 (9) 定粒生糸と定繊度生糸の性能比較について生糸の摩擦係数に関する研究 (7) 精練度と摩擦係数について糸条斑と繰糸管理について生糸の練減率測定に関する2, 3の知見絹の膨潤現象から見た中心層発現の-所見チオ尿素樹脂の還元性について繭層セリシン溶液の粘度吐糸営繭に伴なう繭形の変化 (続)営繭条件と分離細繊維との関係フイブロインの糸条形成について (VIII) フイブロインの溶液中における分散状態について絹糸構造の研究 (I)酵素製糸の研究 (II)酵素精練の研究 (II)追加8. 落緒に関する研究 (II) 落緒形態の出現率とその分布
著者
牧野 稔 松井 千秋 三谷 勲
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.281, pp.71-80, 1979
被引用文献数
4 1

In order to clarify post local buckling behavior and plastic rotation capacity of steel beam-columns, cantilever steel beam-columns of H shape cross section were tested under constant vertical load and alternating horizontal load. The test program was composed of two series; fifty nine specimens of Series I tested at large amplitude of plastic deflection, and thirty three specimens of Series II tested at small plastic amplitude. Main parameters involved in the tests were the width-to-thickness ratios of the flange b/f (2b, f : width and thickness of a flange, respetively), ones of the web D/w (D : depth of a cross section, w : thickness of a web), axial load ratios n (P/P_y, P : a constant vertical load of a specimen, P_y : axial yield load of a specimen), and material pro perties of the steel (mild steel and high strength steel). Values of the parameters b/f, D/w, n are as follows : b/f=6〜16 D/w=17〜65 n=0, 0.3, 0.6 In this paper, the test program and test results are reported. Some observation from the test results are as follows : 1) Not only width-to-thickness ratio of the flange but also one of the web and axial load ratio influence on the post local buckling behavior of the steel beam-columns. 2) Not only with axial load but also without axial load, the members subjected to alternating bending shrink due to unbalance of axial load carrying capacities of the buckled flanges.
著者
岩佐 峰雄 大谷 勲
出版者
名古屋市立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

各種動物唾液および植物抽出液のアミラーゼ活性を測定すると、サルおよび噛歯類動物唾液でヒト唾液に匹敵する活性が、植物抽出液ではわずかな活性が認められた。動物唾液斑および植物抽出液斑について、従来からのアミラーゼ活性検出法であるヨウ素-デンプン反応およびブルースターチ法を実施してみると、ヒト、サル、噛歯類唾液斑は両検査法で陽性を呈し、植物抽出液は、ヨウ素-デンプン反応のみで陽性を呈した。ヒト顎下腺から精製したアミラーゼを家兎に免疫して得た抗アミラーゼ血清をヒト血清と精漿で吸収すると、唾液とのみ反応する唾液特異的抗アミラーゼ血清が得られた。この抗血清はヒト、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応し、他の動物唾液や植物抽出液とは反応しなかった。この抗血清をニホンザル唾液で吸収すると、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清が得られた。唾液特異的抗アミラーゼ血清(ヒト、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応するもの)を用いて、希釈唾液および陳旧唾液斑の抽出液を対向流免疫電気泳動法で検査すると、128倍希釈唾液、3週間経過した唾液斑の抽出液で沈降線が認められた。一方、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清(ヒト唾液と反応し、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応しないもの)を用いて同様に検査すると、8倍希釈唾液、1週間経過した唾液斑で沈降線が認められた。以上の成績から、アミラーゼはヒト唾液のみならず動物唾液や植物にも広く分布し、従来からのアミラーゼ活性検出法によってヒト唾液を特異的に検出することは困難である。一方、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清はヒト唾液とよく反応し、サルも含めた動物唾液や植物抽出液とは反応しないことから、唾液検査において極めて有用であると考えられた。
著者
笠井 久豊 川口 香 村林 由紀 佐久間 隆幸 森谷 勲 清水 敦哉
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.577-582, 2009 (Released:2009-05-28)
参考文献数
14

【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy: PEG) 施行後30日以内の早期死亡を予測できる指標を明らかにするため本研究を行った。【対象及び方法】2003年5月から2005年12月までにPEGを施行した170例につき年齢、術前の血清アルブミン値、トランスサイレチン値および総リンパ球数と早期死亡率との関連を検討した。【結果】PEG施行170例のうち早期死亡例は18例 (10.6%) であった。血清アルブミン値が2.5g/dl以下の症例の早期死亡率は有意に高率であり、特に90歳以上の症例では50%と極めて高率であった。多変量解析では血清アルブミン値が最も予後に相関する因子であった。【結論】PEG施行後の早期死亡の予測には、血清アルブミン値が最も適しており、本測定値が2.5g/dl以下の症例には、PEGの適応決定には慎重であるべきと思われた。