著者
樅山 定美 掛谷 和美 柳 久子
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.522-532, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
20

目的:救急看護師がとらえた代理意思決定を行う患者家族に対する看護支援の重要度の認識と実践度の実態を評価し,実践が困難な背景を明らかにすることを目的とする。方法:64施設の救命救急センターに勤務する164名の救急看護師を対象に,無記名アンケート調査を行った。結果:対象者の年齢は35.6±8.1歳であり,救命救急センター勤務年数は5.1±4.2年であった。救急看護師が認識した重要度と実践度には強い相関性を認めた(r=0.89,p<0.001)。 しかし,十分に実践できない項目も存在し,他職種からのサポートに関する項目が上位を占めた。実践が困難な理由には患者に対する救命の看護業務を優先せざるを得ない状況がもっとも多かった。結論:救急看護師の代理意思決定支援は,救急の状況のなかで家族支援に十分に時間を割くことができていない課題があり,さらに他職種との連携や調整の不足と,その体制の整備が必要であることが明らかになった。
著者
笠岡 俊志 大塚 洋平 牟田口 真 熊谷 和美 金子 唯 河村 宜克 鶴田 良介 前川 剛志
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.283-288, 2010-06-30 (Released:2023-03-31)
参考文献数
9

救急隊の活動中には現場や搬送の状況により良質な胸骨圧迫を実施できない可能性が指摘されている。本研究の目的は救急隊による心肺蘇生の質的評価と課題について検討することとし,救急救命士を対象に心肺蘇生の質に関するアンケート調査を行うとともに,蘇生訓練用シミュレーターを用いて胸骨圧迫の質および身体的ストレス度について評価した。アンケート調査では,蘇生活動時間のうち平均27%(中央値5分)は良質な胸骨圧迫を実施できていなかった。シミュレーターによる評価では,2分間の胸骨圧迫のうち約30%は良質な胸骨圧迫ではなかった。救急救命士の血圧・脈拍数・呼吸数で評価したストレス度は,胸骨圧迫実施前に比べ胸骨圧迫後に有意に上昇した。救急隊による心肺蘇生中には良質な胸骨圧迫を実施できない時間が存在し,改善策が必要である。
著者
掛谷 和美 藤田 千春
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.121-130, 2021-05-31 (Released:2021-06-21)
参考文献数
31

This study is aimed at reviewing literatures to examine assistance issues for foreign nurse candidates under the Economic Partnership Agreement(EPA) from the perspectives of providing assistance in “adapting to the educational environment,” “learning nursing practices” and “passing the national examination.” Literature search has been conducted on the Japan Medical Abstracts Society database, CiNii and CINAHL, covering literatures issued from 2008 to 2018 and using keywords “EPA,” “nursing,” “Japan,” “nurse,” “Economic Partnership Agreement,” “Philippines,” “Indonesia” and “Vietnam.” The search was narrowed down to 15 literatures, which were reviewed closely in the matrix approach with a focus on assistance for foreign nurse candidates under the EPA to extract examples of assistance for foreign nurse candidates in line with the main theme of this paper. Required assistance for foreign nurse candidates included enhancing Japanese language learning to gain fluency to pass the national exam, providing public support to establish common consensus about multicultural issues and nursing work differences between countries, and drawing up an educational program and guidelines.
著者
松尾 昭彦 灘谷 和美 中山 充 林 修一
出版者
日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.5, pp.665-670, 1981
被引用文献数
8

苔類に含まれる植物生長阻害活性テルペノイドの研究の一環として,今回マルバハネゴケから4種のセスキテルペノイドが単離され,それらの構造が(+)ニオパリホリエン[1] ,(+)-オバリホリエナロン[2],(+)-オバリホリエナール[3]および(+)-プラギオキリンA[4]と同定された。これらのセスキテルペノイド[1],[2],[3]および[4]はそれぞれ25,250,50および50ppmの濃度でイネ幼苗の生長をほとんど完全に阻止した。その生長阻害効果について詳細な検討を行なった。さらに,生長阻害活性と化学構造の相互関係を研究するために,オバリホリエン[1]から誘導した化合物[5]~[9]の活性試験を行なった。その結果,生長阻害活性はアセチルヘミアセタール部位に依存していることが指示された。α-メチレン-δ-ラクトン[9]は天然産阻害物質[1],[3]および[4]の活性とほとんど同じくらいの活性を有していた。しかしながら,ケトン[2]とγ-ラクトン[8]は低濃度において根の生長を促進した。
著者
有田 博之 熊谷 和美 三沢 眞一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.244, pp.527-533, 2006-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

省力的で持続型農業を実現する農法として深水栽培法に注目し, 適用に必要な農地基盤・施設の整備課題を検討した.慣行農法より深めの湛水を行う深水栽培法は, 障害型冷害の防除手段として普及したが, 近年では省力化・増収・雑草防除等の技術として寒冷地以外でも一部農家が導入している.調査は, 深水栽培を行う東北・北海道地域の農家・土地改良区にアンケートと現地聴取りを行った、結果, 深水栽培を行う上で,(1) 湛水深を維持する畦畔の高さ・幅員の確保,(2) 畦畔の漏水防止対策,(3) 畦畔高の増大に適合するための用水路改修,(4) 地耐力増進のための排水対策, が基礎的・優先的な事項であることを明らかにし, それらの技術的課題を整理した.また, 深水栽培法がもつ新たな環境機能を指摘し, 今後の普及の可能性を示した.
著者
原田 良夫 谷 和美 高谷 泰之
出版者
一般社団法人 日本溶射学会
雑誌
日本溶射学会誌 溶射 (ISSN:09166076)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.5-9, 2012 (Released:2012-09-22)
参考文献数
7

New concept and method of testing for the interconnecting porosity of thermally sprayed nonconductive ceramic coatings is proposed. This process is useful to differentiate the open porosity from the closed porosity. Thermally sprayed ceramic coating with metallic substrate is plated, and the intergranular gaps in the coating are filled by deposited metal. Typically, 304 stainless steel substrate deposited with atmospheric plasma sprayed alumina coating is immersed in copper(II)sulphate bath, and electroplated. Inward of the alumina coating, plating solution penetrates toward the interface of coating/substrate via interconnected porosity, and attains the coating-substrate interface to deposit metallic copper. Deposit of copper is gradually grown up along the coating intergranular. The exposure of deposited copper on the coating surface can be visible. Because these phenomena occur only in the interconnected pore structure, it is easy to differentiate the interconnected porosity from the closed porosity.
著者
田島 照子 栗山 亘代 角谷 和美 上野 脩 小川 幸志 畑埜 義雄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.361-363, 2005 (Released:2005-07-29)
参考文献数
7

腰部脊柱管狭窄症 (lumbar spinal canal stenosis: LCS) による下肢痛の疑いで硬膜外ブロックの依頼を受けたところ, 帯状疱疹による下肢痛と判明した3症例を経験した. 3症例とも65歳以上で下肢痛の既往があった. 当院麻酔科の初診時には皮疹が出現した後であったため, 帯状疱疹の診断が可能であった. 腰神経領域における帯状疱疹の早期では, ほかの疾患との鑑別が困難な症例があり, 注意が必要である.
著者
桑原 直行 越後谷 和美 藤田 正子 鳥海 雄好 湯澤 仁
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.235, 2007

〈はじめに〉災害拠点病院とは、災害に対して24時間緊急対応し、災害発生時に被災地内の傷病等の受入れ及び搬出を行なうことが可能な体制を有し、 被災地外の場合も、被災地からの傷病者の受入れ拠点にもなる病院である。また、災害発生時における消防機関と連携した医療救護班の派遣体制があるのも条件となっている。秋田組合総合病院は平成12年新築移転後、秋田県災害拠点病院としての体制作りと活動を行っている。新潟中越地震が発生した際にも医療救護班を派遣しているが、当時の貴重な経験と現在の当院での災害拠点病院としての取り組みと問題点を報告する〈活動内容〉平成16年10月23日午後5時56分に小千谷市を震源として、新潟中越地震が発生したが、この時から本格的な災害拠点病院としての活動が始まった。秋田組合総合病院は歴史的に新潟大学医学部との関係が深く、新潟県出身の医師も多いため、地震発生当初から支援要請があれば直ちに医療救護班を派遣する準備をしていた。県からの派遣要請のもと、先遣隊の後を引き継ぐ形で、地震発生から10日目にあたる11月1日から医療救護班を現地に送った。当初は現在のように訓練された医療班はなく、すべてが手探りの状態であった。この貴重な災害医療を経験することで、被災地のニーズは時々刻々と変化しており、これを的確にかつリアルタイムに把握し対応することの大切さを実感した。この医療救護班を派遣した実績を認められ、DMAT(災害派遣医療チーム)指定病院となり、現在DMATとして1チームが活動している。DMATとは、災害の急性期(48時間以内)に活動できる機動性をもった、専門的トレーニングを受けた医療チームのことである。大規模災害等での非常時における医療活動を、いかに効率よく行っていくかを4日間の研修で学んできている。秋田空港での航空機事故を想定した災害訓練等にも参加しており、少しずつ、災害拠点病院としての役割をはたせる体制が整ってきた。しかし、病院としての被災地内の災害医療に対応できる体制は十分とは言えない。災害急性期には、特殊状況下で、傷病者が普段と桁違いに集中発生する一時的なニーズに応えなければいけない。つまりトリアージが重要で、これはDMAT隊員だけができればよいというものではない。当院では、事務職も含め、トリアージを実践できるように院内研修会をすすめている。また、 DMAT研修での知識を共有し、さらに、隊員を拡充することも必要である。また、災害時のマニュアルの整備と訓練、食料備品などの事前の準備と備蓄などの問題点も多くあり、一つずつ解決する努力を継続していかなければならない。〈結語〉災害拠点病院として機能するためには、マニュアルを整備することはもちろんであるが、災害急性期に対応するためには、大規模災害は他人事ではないという職員全員の自覚と日頃の訓練によるスキルアップが必要不可欠である。