著者
林 修一郎
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.335-345, 2022-10-31 (Released:2022-11-18)
参考文献数
7

新型コロナウイルス感染症の流行を受けて,これまでにないスピードで新型コロナワクチンの開発が行われ,前例のない規模で接種が進められた.新型コロナワクチンの接種事業は,大別すると科学,実務,政策の 3 分野にわたる様々な取り組みの集大成である.まず,科学の分野として,ワクチン開発と審査・承認や,副反応の評価などがあり,ワクチン接種が可能となるためには,有効性とともに安全性を検証・評価することが大前提であった.次に,ワクチン接種には,ワクチン確保・供給・流通から,接種体制の構築に至る,実務的な取り組みのウエイトが非常に大きい.体制の整備には長いリードタイムを要するため,先の見通しを持って準備を進めることが必要であった.これらを基礎とした上で,接種に関する政策が進められた.接種の法的枠組みの整備や接種に関する判断が行われた.更に,接種には,最終的に,国民に理解を得て接種行動をとっていただくことが不可欠であり,広報やリスクコミュニケーションを適切に行うことは極めて重要であった.本稿では,新型コロナワクチンの接種事業の実施に至るまでに,こうした多分野で行われた取り組みの全体像について,具体的な動きを含めて解説する.
著者
小島 ゆみこ アンナ 小林 修一 トマス ジャビエル アコスタ アヤラ 工藤 眞樹子 宮本 明夫 高木 光博 宮澤 清志 佐藤 邦忠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.119-122, 2002-02-25
被引用文献数
1

Microdialysisシステム(MDS)は, 異なる細胞間の内分泌学的解析を分子レベルで行う方法である.今回, 馬の排卵前卵胞液中プロジェステロン(P_4), エストラジオール17β(E_2), アンドロステンジオン(A_4)とプロスラグランジンF_<2α>(PGF_<2α>)濃度を調べた.卵巣から卵胞を取り出し, ホルモン測定のため卵胞液を採取した.卵胞の大きさを大(30mm<), 中(29〜16mm)および小(15mm>)に区分けして, 各々の卵胞液中のホルモン濃度をEIA法により測定した.卵胞の大きさの違いで, P_4とPGF_<2α>濃度に有意差はなく, (A_4)濃度は大と中の卵胞間で差異を認めた.E_2濃度は, 中卵胞より大卵胞が高値であった.卵胞膜の小片にMDS操作を行い, LHを感作した時にP_4,A_4とPGF_<2α>分泌は増加した.PGF_<2α>を感作した時, P_4とA_4分泌の増加は認められたが, E_2の変動は小さかった.今回の結果から, 排卵前卵胞はLH感作により卵胞膜での黄体化とステロイドホルモン分泌を促進した.さらに, 発情周期のホルモン動態は, 他の動物種と大きく異なることが明らかとなったが, 主席卵胞が選択される機序は十分説明できなかった.
著者
中原 一郎 森竹 浩三 半田 肇 小林 修一 長安 慎二 奥野 武彦 中野 善久
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.14-20, 1986-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ビタミンK欠乏性頭蓋内出血6例の臨床分析を行った結果, 適切な治療を行ったにもかかわらず, その臨床神経学的予後は不良であった. 微小脳血管構築の特殊性, 脳血液関門の未熟性など, 本症発症時期における小児脳の発達上の特殊性が, 本症の不良な予後ならびにその特徴的なCT所見に密接に関連するものと推定される. 以上の観点から, リスク児の早期のスクリーニング, ビタミンK製剤の予防的投与など, 本症の発症予防の重要性を改めて強調した.
著者
中山 充 江口 鎮子 松尾 昭彦 林 修一 菱田 真三郎 加藤 義昭
出版者
一般社団法人 日本質量分析学会
雑誌
質量分析 (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.239-247, 1972
被引用文献数
1

Mass spectra of pterocarpan derivatives (I&sim;VII) are recorded in Figs. 1&sim;5 and Tables 1&sim;6. The major fragmentation pathways of these compounds are shown in Scheme1. The results illustrate that the observed fragmentation patterns are of considerable utility in the application of mass spectro metry to structure elucidation in this series.
著者
松尾 昭彦 灘谷 和美 中山 充 林 修一
出版者
日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.5, pp.665-670, 1981
被引用文献数
8

苔類に含まれる植物生長阻害活性テルペノイドの研究の一環として,今回マルバハネゴケから4種のセスキテルペノイドが単離され,それらの構造が(+)ニオパリホリエン[1] ,(+)-オバリホリエナロン[2],(+)-オバリホリエナール[3]および(+)-プラギオキリンA[4]と同定された。これらのセスキテルペノイド[1],[2],[3]および[4]はそれぞれ25,250,50および50ppmの濃度でイネ幼苗の生長をほとんど完全に阻止した。その生長阻害効果について詳細な検討を行なった。さらに,生長阻害活性と化学構造の相互関係を研究するために,オバリホリエン[1]から誘導した化合物[5]~[9]の活性試験を行なった。その結果,生長阻害活性はアセチルヘミアセタール部位に依存していることが指示された。α-メチレン-δ-ラクトン[9]は天然産阻害物質[1],[3]および[4]の活性とほとんど同じくらいの活性を有していた。しかしながら,ケトン[2]とγ-ラクトン[8]は低濃度において根の生長を促進した。
著者
倉林 修一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の成果として,Web動画像・音楽メディアを対象とした感性自動分析・個人化・配信システムを構築し,Web上の実データを対象としたメディア処理機構として公開した.特筆すべき成果として,Web分野における国際会議であるICIW2012 (The Seventh International Conference on Internet and Web Applicationsand Services) において,実現したシステムに関するデモンストレーション発表を行い,Best Papers Awardを2件受賞した.本研究の国際的展開として,スロベニア・リュブリャナ大学,フィンランド・タンペレ工科大学との間において,感性自動分析・個人化・配信システムの国際共同研究を行った。
著者
今井 小帆里 倉林 修一 清木 康
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.88, pp.151-156, 2008-09-14
参考文献数
9

音楽データを対象としたデータベースの実現において,楽曲中の時間軸に沿って表現されたデータの物理的な特徴量や,感性的な印象,構造的な意味を,利用者が検索対象の楽曲を理解しようとする意図や視点に応じて計量する機構の実現が重要である.本稿では,楽曲を特徴づける物理量や,そこから発生する感性的な印象をユーザの要求に応じて分析し,楽曲の内容を対象とした検索やデータの閲覧を支援する機能を有する音楽データベースシステムの実現方法を示す.本システムの特徴は,音楽理論における音楽構造分析の手法や,音楽心理学,および,色彩心理学の研究成果をメディア分析関数群として実装し,それら分析関数を用いて楽曲データの内容変化をデータベースが自動的に解釈する機能を有する点にある.本システムの利用者は,音楽データベース問い合わせとともに,検索対象楽曲を理解しようとする意図や視点として様々な分析・可視化関数の組み合わせを発行し,それらに応じた検索・可視化結果を得ることが出来る.本稿では,クラシック楽曲を対象とした検索・可視化機構の実現方法を示し,本システムの実現可能性,および,有効性を評価する.A large number of music resources are provided in the world-wide scope. In this paper, we propose a novel music database system equipped with a musical knowledge base that assists database processing automatically by providing formal intelligence about music. The musical knowledge base sets appropriate parameters for database processing. It offers an easy and intuitive mechanism for general users to retrieve musical compositions. One of the most significant advantages of our database system is that it supports various combinations of media analysis functions that are stored in the knowledge base. This system makes it possible to express users' intensions to retrieve music data as a combination of query sequence and its interpretation methods. We show several experimental results to clarify the feasibility of our method.