著者
虎谷 哲夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.130, no.11, pp.1453-1462, 2010-11-01 (Released:2010-11-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

Vitamin B12 is produced only by prokaryotes and utilized by animals as an essential micronutrient. Genetic complementation analysis of cell lines from patients indicated that at least eight gene products are involved in intracellular B12 metabolism and utilization. We have investigated bacterial adenosylcobalamin-dependent enzymes and elucidated their structure-based fine mechanisms. They tend to undergo mechanism-based inactivation during catalysis, because they use highly reactive radicals for catalyzing chemically difficult reactions. We have discovered molecular chaperone-like reactivating factors for these enzymes that release a damaged cofactor forming apoenzyme. Methylcobalamin-dependent methionine synthase also undergoes inactivation, because it utilizes cob(I)alamin, a super nucleophile, for catalysis. Methionine synthase reductase is a reactivating partner for this enzyme. Recent studies suggested that activity-maintaining systems for B12 enzymes are present in animal cells as well, and thus hints for designing therapeutic agents for B12-related metabolic disorders might be obtained from the investigations of microbial B12 metabolism.
著者
高谷 哲夫 安心院 純子 長谷川 純 山崎 一
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.516-518, 2003-10-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
11

星状神経節ブロック (SGB) は網膜の血流を増やし, 視神経炎の治療に有効とされている. SGBで, 視神経炎後の視覚障害が著明に改善した症例を経験した. 症例は60歳の女性で, 左眼の視力低下と両眼の乳頭浮腫, および右眼のマリオット盲点の拡大, 左眼の中心暗点とマリオット盲点の拡大を認め, 両眼の視神経炎と診断された. ステロイド治療によって視力はかなり改善したが, 左眼の色覚異常や変視症などの視覚異常が残った. 視神経炎罹患1年6カ月後, 両手のレイノー現象のために当科外来で左SGBを開始した. 7回目のSGBを行った頃より左眼の変視症と色覚異常の改善を徐々に自覚するようになった. 約半年間の計23回のブロック後には, 色覚異常と変視症は著明に改善し, 視力もさらに改善して軽度の小視症を残すのみとなった. 陳旧性の視神経炎でも積極的にSGBを試みる価値があると考える.
著者
谷 哲夫
出版者
群馬パース大学
雑誌
群馬パース大学紀要 (ISSN:18802923)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.597-603, 2007-09

岩田(1984)による失読失書例の報告以来、漢字と仮名の情報処理ルートは別であると考えられてきた。しかし波多野(1985)は漢字と仮名の属性を全く検討していないことを指摘し、複雑さを同一にして比較した場合には両者の音読成績に有意差は生じないという仮説を立てた。しかし、この仮説を検証した報告はわずかである。本研究では、波多野(1985)の仮説を検証すべく患者の読み・書きの能力を検査した。その結果、単語の具体性、心像性、親和性が漢字の読みの成績に影響した。一方で、学習容易性、親和性、画数、頻度、習得学年などが漢字の書字の成績に影響した。画数を統一して仮名1文字と漢字1文字の比較をしたところ、読みに関しては両者の間に有意な成績差が生じた。本症例は、波多野(1985)の仮説に合致しなかった。本例には、仮名の音読・読解には純粋失読が、漢字の音読・書字・読解には健忘失語が合併していると考えられた。
著者
谷 哲夫 天田 稔 清水 倫子 飯塚 優子 荒木 吏江子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.153-163, 2002 (Released:2006-04-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

失語症を伴わない Foreign Accent Syndrome (以下FAS) の 1症例を経験した。 本例は 54歳の左利き女性で, 左半球の被殻から放線冠に梗塞巣がみられた。 本例には構音障害とプロソディーの異常が観察されており, これらが組み合わされて外国語の印象を与えると考えられた。 本稿では, FASが失語や発語失行, あるいは構音障害などの回復過程で生じる症状なのか, それともこれらの障害とは異なる独立した症候群なのかを明らかにするために, 非言語的な構音器官連続運動検査を実施した。 その結果,発語失行例に観察された錯行為は本例と麻痺性構音障害例には観察されなかった。 複雑連続運動では麻痺性構音障害例に比して有意に運動回数が低下した。 また本例は運動課題別の運動回数の変動が大きかった。 したがってFASの要因の 1つが, 構音に至る前段階の運動障害である可能性を示唆した。 本例の場合, 非言語的構音器官運動の編成パターンの違いによって著しく偏った運動麻痺に類似する障害の存在が示唆された。
著者
湯川 智行 塩谷 哲夫 石田 良作 渡辺 好昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.71-74, 1988

ライ麦の2品種を用い, 1985年10月1日から2日おきに11回播種し, 播種期と根雪前生育量及び雪害との関係を検討した。地上部乾物重は, 播種期が遅くなるにつれて急激に減少した。雪害は, 播種期が遅くなるにつれて急激に増加した。これは, 乾物重の急激な減少と乾物重の一定値以下への減少とがあいまっておこると考えられる。地上部乾物率は, 明瞭な品種間差が認められ, サムサシラズが春一番より全播種期を通して高かった。また, 雪害に関与する要因について重回帰分析を行ったところ, 品種間では乾物率が重要となり, 品種内では, 乾物率はほぼ固定的となるために, 生育の量である乾物重や茎数が重要な要因となることが示された。
著者
渡辺 好昭 湯川 智行 塩谷 哲夫
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.67-69, 1988
被引用文献数
1

オオムギの播種期を変えて根雪前の生育と雪害の関係を検討した。10月15日以前に播種した場合, 根雪前地上部乾物重は0.5g以上となり, 越冬茎数は90%以上であった。10月30日以降に播種した場合, 根雪前地上部乾物重は0.1g以下となって越冬茎数は0%となった。そして, 10月15日から30日までに播種した場合, 播種日が遅くなる程雪害は増大して, 地上部乾物重が0.08gから0.57gまでの間では地上部乾物重と越冬茎率との間に高い相関関係が見られた。このことから, 根雪前地上部乾物重が耐雪性を規定する1つの要因と考えられた。秋季の施肥窒素量を増加すると, 乾物率が減少して, 播種期が早かった区でも耐雪性が減少した。したがって, 乾物率もまた耐雪性を規定する1つの要因と考えられた。
著者
石戸谷 哲夫 Ishitoya Tetsuo 東京教育大学 Tokyo University of Education
出版者
東洋館
雑誌
教育社会学研究 = The journal of educational sociology (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.63-77, 1973-10-15

The data for teacher role expectations were obtained from answers to the questionnaire of 34 role items. The respondents were 685 samples of parents and 103 samples of elementary school teachers in a suburban community. The same questionnaire forms were used for the parents and the teachers so as to compaire their expectations to each role item. The parent's subset and the teacher's subset of teacher roles were statistically compaired, and the inter-subset conflicts and the inter-subset conflicts were investigated. The teachers show higher degree of consensus than the parents in terms of teacher roles. The teacher role expectations of parents are more politically conservative and more identical to the teacher-stereotypes than those of teachers. The inter-subset conflicts of teacher roles are greater than intra-subset conflicts. The main sources of intra-subset conflicts are concerned with freedom of teacher and teacher-stereotypes. Intra-subset conflicts are relatively often showed by the older respondents. Thus the greatest contlicts are found between older parents and younger teachers in the role items concerned with freedom of teacher and teacher-stereotypes.