著者
大植 賢治 富永 孝紀 市村 幸盛 河野 正志 谷口 博 森岡 周 村田 高穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.109-114, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
19

〔目的〕本研究では,言語教示によって対象者の能動的注意を自己の身体内部および外部に向けさせて,運動を認識している際の脳活動の違いを明らかにすることを目的とした。〔対象〕右利き健常成人8名とした。〔方法〕機能的近赤外分光装置(fNIRS)を用いて検証した。〔結果〕能動的注意を右手で自己の身体内部へ向けた場合では,右半球前頭前野と右頭頂領域で,左手で身体外部へ向けた場合では,左半球前頭前野と左頭頂領域で酸素化ヘモグロビンの有意な増加を認めた。〔結語〕今回の結果から,運動を認識する際の運動と同側大脳半球の左右大脳半球の機能分化として,能動的注意が右手で身体内部に向かう場合は右半球前頭-頭頂領域が,左手で身体外部に向かう場合は左半球前頭-頭頂領域が担うといった側性化が存在することが示唆された。
著者
宇都宮 健 菊池 直士 横田 和也 高野 祐護 宮崎 幸政 井上 三四郎 谷口 博信 阿久根 広宣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.241-247, 2013-03-25 (Released:2013-06-11)
参考文献数
24

本疾患は1970年Maroteuxが初めて報告した.手指に紡錘形の腫脹・熱感・疼痛を生じるが,数カ月の経過で自然軽快し予後は良好とされる.生後2カ月-15歳に好発し,寒冷期に多い.血液検査では炎症反応は認めない場合が多く,単純X線写真で中節骨に1mm大の小透亮像を多数有することが特徴である.今回本疾患と思われた3症例を経験したので報告する.
著者
大森 敏明 谷口 博 工藤 一彦
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.42, pp.9-18, 1990-02-25
被引用文献数
10

温冷感に大きな影響を与える室内のふく射環境について,窓,家具,人体などの位置や形状,人体の発熱を考慮することのできる汎用性の高い三次元数値解析法を開発した.複雑な形状の室内空間におけるふく射伝熱の解析に際し,実用面への適用性が優れたモンテカルロ法を採用し直接交換面積を求め,Hottelのゾーン法の全交換面積に変換して,対流,壁面熱伝導と複合させることによりエネルギバランス式を導き解くこととした.また,人体各部の局所的な温熱環境を予測するために,皮膚温度と着衣量を与えることのできる分割人体モデルを提案した.さらに,床暖房が施された会議室において,いすに着席した人体を対象とし,室内ふく射環境に及ぼす各種の影響を求め検討した.
著者
中原 崇文 竹内 繁千代 山中 敏彦 谷口 博 小島 晋 工藤 一彦
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.52, pp.p49-57, 1993-06
被引用文献数
3

我々は,地下鉄廃熱を利用したヒートポンプによる道路融雪設備を開発し,札幌市の協力を得て1987年12月より実証試験を行いその有効性を確かめることができた.本装置では,地下鉄の運転していない深夜は廃熱回収を行っていないが,地中の温度実測データを詳細に検討してみると,冬期の深夜の地下構造物は放熱可能な状態にあり,夜間のうちに熱回収可能と推定できた.実測値ベースで推算すると,気温の低い時間帯では2〜3℃レベルの温度上昇が期待でき,ヒートポンプシステムの能力増大・効率向上に役立つ結論を得た.
著者
深谷 孝紀 有薗 信一 小川 智也 渡邉 文子 平澤 純 三嶋 卓也 古川 拓朗 谷口 博之 近藤 康博 田平 一行
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.71, 2012 (Released:2013-01-10)

【目的】 間質性肺炎患者(IP)の運動耐容能と労作時低酸素血症は、予後予測因子である。また、経皮的酸素飽和度(SpO2)や骨格筋機能が運動耐容能に関連があると報告されている。しかし、IP患者における運動中の骨格筋の酸素消費とSpO2の関連については明らかになっていない。そこで、本研究の目的はIP患者における漸増運動負荷時の外側広筋の骨格筋酸素消費の指標と運動中のSpO2の変化の関連性を検討することである。【方法】 対象は全身状態の安定したIP患者、男性20名(平均年齢:65.9±9.7歳、%VC:94.3±19.8%、%DLCO:67.0±21.9%)とした。自転車エルゴメータを使用し心肺運動負荷試験(CPX)を実施した。CPXは0Wで3分間のwarm upを行った後、10watt/分のramp負荷で症候限界性に実施した。CPX中にSpO2をパルスオキシメータにて測定し、同時に近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy:NIRS)を使用し、外側広筋の組織酸素飽和度(tissue oxygen saturation:StO2)を測定し、骨格筋での酸素消費の指標(SpO2-StO2)を算出した。安静時と最大負荷時のSpO2とStO2を測定し、それぞれ最大負荷時の値から安静時の値を減算したΔSpO2とΔStO2を算出した。安静時と最大負荷時の間でSpO2, StO2, SpO2-StO2の比較と、ΔSpO2とΔStO2の比較を対応のあるt検定を用いて検討した。SpO2とSpO2-StO2の関係をピアソンの相関分析を用いて検討した。【結果】 SpO2は安静時の95.8±1.8%に比べ、最大負荷時は88.7±6.0%に有意に低下した(p<0.05)。StO2は安静時の55.9±5.3%に比べ、最大負荷時は53.0±7.3%に有意に低下した(p<0.05)。安静時と最大負荷時の差であるΔSpO2は-7.1±5.5%であり、ΔStO2は-2.9±4.7%であり、ΔSpO2の方がΔStO2に比べ有意に高値を示した(p<0.05)。安静時のSpO2-StO2は39.8±4.7%で、最大負荷時のSpO2-StO2は35.9±9.7%と両者では差を認めなかった。SpO2とSpO2-StO2の関係では最大負荷時で相関関係を認め(r=0.676, p<0.05)、安静時では相関関係を認めなかった。【考察】 StO2は安静時より最大運動時の方が低値を示したが、低下量はSpO2より小さかった。運動時に肺での酸素を取り込む能力が低下しても、骨格筋での酸素を抜き取る能力が補おうとしたと考えられた。骨格筋での酸素消費を表すSpO2-StO2と最大負荷時のSpO2との間に正の相関関係を認めた。これは運動終了時の労作時低酸素血症の程度が、骨格筋の酸素消費に影響することが示唆された。
著者
大石 尚史 野田 康信 権田 秀雄 谷川 吉政 高木 健三 鈴木 隆二郎 谷口 博之 近藤 康博 生田 順也 荒木 信泰
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.877-886, 1997-10-20
被引用文献数
4

気管支ファイバー検査を要する患者とその家族,および医療従事者(自分が患者及び家族の立場になったことを想定して)に対し,肺癌告知・治療に関するアンケートを行い,それぞれの考え方の違いを検討した.その結果より,多くの患者は家族が告知に反対していても告知を希望している.家族は7割近くが患者への告知に賛成しているが,一方では,患者の希望に沿うようにしてあげたいと考えているのは4割弱に過ぎなかった.特に患者が若年者である場合にその傾向が強かった.医療従事者は,告知には必ずしも無条件に賛成ではなく,病状などを考慮してから決定したいとしているが,最終的には患者の希望を第一に優先する傾向にあった.これらの傾向をよく理解した上で,個々の患者にあった方法で告知を行うことが望ましい.そのためにはアンケートは有用であり,また家族にも告知に対して理解を求めることができる.