著者
鈴木 宏昭 大西 仁 竹葉 千恵
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.86-95, 2008 (Released:2008-02-21)
参考文献数
31
被引用文献数
1

Many studies on skill acquisition have claimed that improvements in performance follow the power law of practice. However, it is also well-known that during long-term practice there are fluctuations such as plateaus, regressions, and spurts. In order to objectively examine the fluctuations in learning process, we analyzed a long-term learning process in a simple assembly task. We applied a time-series analysis based on the state space method to the task completion time. The analysis revealed that the power law of practice provided only a first approximation, and that fluctuations around the power law line reflected long-term trends. Next, we focused on one of the fluctuations, and carried out cognitive analysis to find what produced the fluctuation. We found that, contrary to the dominant skill acquisition model, the slump was attributable to the mismatch between the level of skills and the environment that the skills are demonstrated in. This analysis suggests that, in order to fully elucidate the processes and mechanisms of skill acquisition, attention should be paid not only to the internal mechanisms, but also to the external environment that the skills are demonstrated in. We discussed the above results in terms of the essential role of fluctuations and environment in skill learning as well as the nature of the data obtained from a single subject.
著者
山本 由紀子 仁科 エミ 大西 仁
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.282-296, 2015-06-01 (Released:2015-12-01)
参考文献数
96

In musicology consonance is defined as the state where two or more tones simultane-ously presented sound pleasantly. Sensory consonance, which is perceived from tones isolated from a musical context, is largely independent of listener’s cultural background and musical experience. Several studies revealed that infants prefer consonant tones to dissonant tones and that nonhuman animals discriminate between consonant and dissonant tones. Since Helmholtz introduced the concept of sensory consonance in the 19th century, sensory consonance has been studied actively. In the 1960s models became able to estimate the perceived consonance of complex tones from the physical properties of the tones. However, sensory consonance still contains a number of problems to be solved and has been studied by multiple approaches. This paper reviews the advances and issues in studies on consonance, especially sensory consonance.
著者
大西 仁 望月 要
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

情報通信システムの応答遅延はシステムの使い勝手を悪くする一因である。本研究では、人間の認知・行動特性に注目し、その観点から(1)通信システムの応答遅延の影響を評価する、(2影響を減じる方法を開発することを目的とし、以下の成果を得た。(1)ユーザが気づかない程度の小さな遅延でもユーザの半ば無意識的な学習のパフォーマンスが低下することを示した。(2)遅延により生じた余計な間を小音量の雑音で埋めることにより遅延の影響を減じることができることを示した。(3)映像と音声の非同期が与える影響は、母語の自然発話とその他では大きく特性が異なることを示した。また、 映像と音声の非同期(ずれ)が与える影響の評価は、閾値(ターゲット)付近のずれで測定しないと、順応(なれ)の影響で測定値がずれてしまい、逆に順応の性質を利用すれば非同期の許容限が広がり、遅延量を減らすことができることを示した。
著者
藤原 康宏 大西 仁 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.125-134, 2007
被引用文献数
7

近年の教育評価の研究では,学習の場面と独立した評価ではなく,学習の場面に埋め込まれた評価が試みられている.その方法の1つとして,学習者同士が評価を行うことが有用であることが知られている.相互に学習コミュニティメンバー全員の評価をすることは,メンバーの人数が多くなるにつれて困難になるため,評価すべき相手を選択する必要が生じる.その選択方法を考えるために,評価する学習者が,評価対象となっている学習者からも評価されるか否かにより評価が変化するかについて実験を行った.その結果,お互いに評価しあう方が甘い評価を行う傾向があり(「お互い様効果」),お互いに評価しあわない方が教員の行った評価に近いことが分かった.そこで「お互い様効果」を除去し合理的に評価すべき相手を選択し,相互評価を容易に実施できるツールを開発し,その評価を行った.学生と教員による評価の結果,相互評価をさせる場合に有効であることがわかった.
著者
鈴木 宏昭 大西 仁
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.154-165, 2009 (Released:2010-06-11)
参考文献数
31

We discussed symmetry from the viewpoint of form and structure of knowledge representation. First we proposed a hypothesis that explains why nonhuman animals do not exhibit symmetry while humans exhibit symmetry. According to the proposed hypothesis, non-human animals form procedural knowledge where an object (the comparison item) and an action are tightly coupled by knowledge compilation through repetitive training. It prevents them from recognizing the object separate from the action so that non-human animals do not recognize the object as the sample stimulus of the inverted task. Therefore the animal does not exhibit symmetry. In contrast, humans make use of verbal description of the training situation. It prompts them to separate the action and the objects, so that the object is easily recognized as the sample of the inverted task. Second we discussed the problem of similarity in reasoning. Many studies showing human symmetric reasoning presume that the truth value of a proposition is either true or false. However we do not always treat a proposition in such a dichotomous way. In such cases, similarity plays important roles. It is well known that similarity is asymmetric and that similarity is computed based on structured representation. We pointed that these two properties of similarity are crucial for understanding human symmetric as well as asymmetric reasoning.
著者
藤原 康宏 大西 仁 永岡 慶三
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Suppl, pp.109-112, 2006-03-20 (Released:2016-08-02)
参考文献数
7
被引用文献数
4

情報処理入門科目において,オンライン個別学習システムを利用した授業実践を行った.今回開発したシステムは,個々の学習者にあった教材の提示及び練習問題と,教師に学習者の理解状況を提供することができる.システムを使って個別に学習し,必要に応じて教員が個別に説明することで,能力のばらつきが大きい集団に対して,学習効果が確認された.しかし,下位の学習者に対しては,学習に必要とされる時間が多くなるため,より効率よく学習できるアルゴリズムが必要であると考えられる.
著者
大西 仁久 田原 宏晃 椋本 政信
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.101-119, 2008-03

Keiko Mukumoto, a 4th grade student at Osaka University of Health and Sport Sciences, participated in the 40th Artistic Gymnastics World Championship in Stuttgart. Here are some observations about the age of the top female gymnasts active now in Japan. Also, from the viewpoint of Mukumoto's development process, and as a coach, we describe some challenges concerning coaching gymnasts.
著者
大西 仁 山崎 聡 望月 要 中村 直人 結城 皖曠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.291, pp.7-10, 2003-08-28

マルチメディア通信における映像・音声の伝送遅延が与える心理的影響を客観的定量的に測定する方法を提案する。提案する手法では、潜在学習の一種である人工文法の学習を課題とし、学習時のフィードバック遅延を独立変数、被験者の学習パフォーマンスを指標として、遅延の与える心理的影響を測定する。実験では、人工文法学習において、フィードバックに300msの遅延がある条件の被験者のパフォーマンスを遅延がない条件の被験者のパフォーマンスと比較した。実験結果は、フィードバックに300msの遅延が入ると、被験者の学習パフォーマンスを低下することを示した。この結果は、被験者が気づかない程度の微小な伝送遅延がユーザに情動的影響だけでなく、認知的な影響を与えていることを示唆している。
著者
大西 仁 田中 健二 近藤 智嗣 近藤 喜美夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

国立大学等教育・研究施設に地球局を整備し、衛星通信を教育・研究交流に活用するスペースコラボレーションシステム(以下SCS)事業が1996年に開始する。SCSでは、放送教育開発センターにHUB局を設置し、回線制御を行うために、他の地球局に無線従事者の資格を持つ者を配置する必要がなくなり、容易に衛星通信を利用することができるようになる。また、各施設で通信費を負担する必要がない。これらにより大学間等での教育・研究交流がより活発に行われるようになることが期待される。しかし、回線数に制限があるために、任意の局間で同時に通信を行うことはできない。そこで、効果的に回線を割り当てるようにスケジューリングを工夫する必要がある。本稿の目的は、SCSの予約管理において考慮すべき問題を洗い出し、予約管理システムと運営法構築のための議論を行うことである。
著者
藤原 康宏 大西 仁 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.125-134, 2007-10-20 (Released:2016-08-04)
参考文献数
18
被引用文献数
7

近年の教育評価の研究では,学習の場面と独立した評価ではなく,学習の場面に埋め込まれた評価が試みられている.その方法の1つとして,学習者同士が評価を行うことが有用であることが知られている.相互に学習コミュニティメンバー全員の評価をすることは,メンバーの人数が多くなるにつれて困難になるため,評価すべき相手を選択する必要が生じる.その選択方法を考えるために,評価する学習者が,評価対象となっている学習者からも評価されるか否かにより評価が変化するかについて実験を行った.その結果,お互いに評価しあう方が甘い評価を行う傾向があり(「お互い様効果」),お互いに評価しあわない方が教員の行った評価に近いことが分かった.そこで「お互い様効果」を除去し合理的に評価すべき相手を選択し,相互評価を容易に実施できるツールを開発し,その評価を行った.学生と教員による評価の結果,相互評価をさせる場合に有効であることがわかった.
著者
伊東 和廣 望月 要 大西 仁 中村 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.191, pp.49-52, 2009-09-03
参考文献数
5
被引用文献数
6

人間は音声言語を使ってコミュニケーションする場合でも,相手の表情から様々な情報を読み取り,それによって音声情報を補うことでコミュニケーションを円滑にしている.特に音声の補完を行う場合には,話者の口唇の動きから聴覚だけで聞き取れなかった情報を補っていると考えられる.本稿は,発話内容の聞き取りにおける,発話者の顔面の視覚情報の役割を実験的に検証したものである.実験では,短文を発話する映像を用いて,「音声のみ」を聞いた場合と「音声+顔映像」を提示した場合とで音声聞き取りの正確さの比較を行った.この時,音量の異なるノイズを音声に重ね合わせることで,聞き取りの難易度と,顔映像の聞き取り貢献の関係を探った.同時に,被験者の視線の動きをアイマークレコーダで計測し,視線の動きと音声補完との関係を調べた.その結果,ノイズを付加しない場合には,顔映像を提示しても音声の聞き取り率は向上せず,被験者は発話者の目元を注視する傾向が認められたのに対し,ノイズがある場合には,顔映像を提示することで音声の聞き取り率が向上し,被験者は発話者の口元を注視することが多いことが明らかになった.このことは,音声言語を主体とするコミュニケーションにおいても,音声情報が劣化した場合には,視覚情報を利用して音声を補完していることを示している.
著者
大西 仁 望月 要
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.155, pp.51-55, 2011-07-16

機械インピーダンス(弾性、粘性、慣性)の質的な感じ分けのモデルを提案する。提案するモデルは、反力の時系列を予測するリカレントネットワークをモジュールとし、複数のモジュールが競合する自己組織化ネットワークからなる。提案するモデルを実装し、弾性、粘性、慣性の認識と機械インピーダンスの定量的予測を試みた。
著者
浅井 紀久夫 大西 仁 大澤 範高
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、三次元仮想物体の操作感覚を向上させて存在感を増すための触覚インタラクション技法を開発し、視覚・聴覚・触覚によるマルチモーダル情報可視化システムを構築した。仮想物体との接触感を提示するデバイスとして振動子付き手袋を利用し、インタラクション・システムに実装するための仕組みを構成した。現実物体を触ることにより仮想物体を操作する手法について被験者実験による評価を行った。その結果、触知インタラクションが仮想物体の操作性向上に寄与することが示唆された。
著者
近藤 智嗣 田中 健二 大西 仁 近藤 喜美夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

放送教育開発センターでは,これまでにも衛星を用いた教育交流実験を実施してきている.これらの実験を通じて経験した問題点には,衛星回線のトラブルに関するものとスタジオ機器等教室システムに起因するものがあった.衛星回線に関する問題点は,HUB局制御のVSATシステムを構築することで利用者には負担がかからないよう改善がなされた.しかし,教室システムに起因する問題点は,利用者自身が教室内のAV機器等を操作しなければならないため,より容易な操作が可能な教室システムを実現しなければ改善はなされない.文部省が平成7年度から開始したスペースコラボレーションシステム(SCS)計画では,操作が容易な教室システムの実現も重要な課題の一つである.
著者
大西 仁 田中 健二 永岡 慶三 松川 正樹 高津 直己 佐々木 正實 鈴木 龍太郎 川村 洋介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.578, pp.33-39, 1997-03-15
参考文献数
4
被引用文献数
1

光ファイバーケーブル等の通信基盤が各家庭まで整備され、各家庭と講師が映像、音声、データを双方向で自由にやりとりできる時代を想定し、その時代における在宅学習のモデルとして、双方向教育番組の制作実験を行った。制作は、放送教育開発センターに講師、通信総合研究所、新世代通信網実験協議会、大阪産業大学に学生を配し、ATMネットワークにより接続し、映像、音声、計算機データの交換を可能にすることにより実現された。番組は、「住空間における断面図」をテーマとし、講師と学生が映像、音声による質疑応答、共有CADソフトを用いての演習等のインタラクションが盛り込まれた。