著者
金子 智樹
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1_202-1_224, 2018 (Released:2021-07-16)
参考文献数
53

日本は長年 「新聞大国」 と称されてきたが, 新聞発行部数は近年になって急速に減少しており, 市民の政治参加に対する影響が懸念されている。本稿は, 新聞の中でも特に地方紙に注目し, 異なるリサーチデザインを用いた2つの分析を行うことで, 「地方紙普及率の低下は有権者の投票参加に悪影響をもたらしている」 という中心仮説を検証する。1つ目の分析では, 鹿児島県の地方紙である鹿児島新報が2004年参院選の直前に突然廃刊されるという自然実験的事例に注目し, 鹿児島新報の普及率が高かった地域ほど, 2004年参院選において投票率が相対的に低下したことを示す。また2つ目の分析では, 2001年以降の6回の参院選における都道府県別投票率と新聞普及率のパネルデータを用いて, 都道府県や時点の固定効果などの変数を統制してもなお, 地方紙普及率が投票率と統計的有意に正相関していることを明らかにする。地方紙普及率が低下することで有権者が政治や選挙に関する有用な情報に接触する機会が減ってしまい, 投票参加が抑制されると考えられる。
著者
見城 勝 大倉 さゆり 任田 美穂 金子 智佳子 太田 尚子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.365-373, 2000-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
15
被引用文献数
5 3

皮脂は皮膚表面に恒常的に分泌されて皮膚表面の保護的作用を果たす一方, 過剰あるいは不十分な分泌による肌状態への影響が懸念されている。皮脂成分と肌状態の関係についてはこれまでも多くの研究が行われているが, 季節変動に着目して検証した例は少ない。われわれは皮脂の分泌量および組成と肌状態評価値について, 個人レベルでの季節的な変動幅 (冬, 春) について検討を実施したところ, 以下に示す興味深い結果が得られた。 (1) 総皮脂量と組成は冬, 春で大きく変動し, その傾向は個人により異なっていた。 (2) 肌状態評価値も季節変動があり, 傾向は個人により異なっていた。 (3) 皮脂成分と肌状態の解析を個人で対応させて実施したところ, 皮脂中の遊離脂肪酸比率の低下に伴い乾燥性の肌荒れが改善すること, 不飽和度 (遊離脂肪酸中の不飽和/飽和比率) の低下により角質細胞面積が増大傾向にあること等が見出され, 皮脂成分の変動が肌状態に影響を与えている可能性が示唆された。 (4) 肌質との関係については, 不飽和度が高く総皮脂量が少ない人たちがやや敏感肌および敏感肌群に属していたことから, 皮脂組成が肌の敏感度にも影響を与えている可能性が示唆された。
著者
金子 智喜
出版者
信州医学会
雑誌
信州医学雑誌 (ISSN:00373826)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.169-172, 2020-06-10 (Released:2020-07-07)
参考文献数
5
著者
坂本 昭彦 金子 智之 金谷 淳志 木村 将貴 高橋 さゆり 山田 幸央 三宅 康史 坂本 哲也 中川 徹
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.65-69, 2021-04-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

(目的) 帝京大学附属病院において,過去10年間にフルニエ壊疽と診断・加療された15例の患者背景,臨床的指標および予後に影響を与える因子を明らかにすること. (対象と方法) 2009年5月から2019年4月までの10年間に,帝京大学医学部附属病院においてフルニエ壊疽と診断・加療された15症例を対象とした.患者背景およびFournier Gangrene Severity Indexを含めた臨床的指標を記述した.生存例と死亡例における臨床的指標の比較を行い,予後に影響を与える因子について検討した. (結果) 15例の年齢中央値は67才,全例が男性であった.糖尿病合併例は9例(60%)であった.14例(93%)に対して外科的デブリドマンが施行された.精巣摘出術を要したのは5例(33%),膀胱瘻造設術を要したのは3例(20%),人工肛門造設術を要したのは3例(20%)であった.死亡例は3例(20%)であった.生存例と比較して,死亡例は有意に高齢であり(p=0.043),BMI低値であった(p=0.038).Fournier Gangrene Severity Index等の予後予測指標は死亡例で高い傾向を認めた. (結論) 当院における過去10年間のフルニエ壊疽15例の死亡率は20%であった.2010年代においても,フルニエ壊疽は死亡率の高い疾患であった.
著者
金子 智則 グェン ミンジュン 高畑 智之 松本 潔 下山 勲
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp._1A2-C09_1-_1A2-C09_4, 2013

In this paper, we report an approach to measure mechanomyogram (MMG) using a MEMS pressure sensor. The sensor consisted of an open cavity and a micro piezo-resistive cantilever, which was placed at the cavity's opening. The sensor was attached on a subject's forearm to measure the emitted MMG when the subject was exerting forces with his/her arm. In the prototype sensor, the cavity had footprint radius of 5.5 mm and the height of 3 mm. The gap between the cantilever and the surrounding walls was downscaled to 2 μm to enable the sensor to measure low frequency sound pressure with high sensitivity. In experiments, we used an electromyogram recorder, a low frequency microphone and an electronic stethoscope, and based on the results taken with these conventional devices to evaluate our proposed sensor. The experimental results showed that the sensor was able to measure MMG with the maximum S/N ratio of 50.
著者
齋藤 宏文 金子 智喜 河野 宜幸 村上 圭司 國井 喜則 友田 孝久 田中 孝治 平子 敬一 中須賀 真一 白坂 成功
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.7, pp.669-672, 2021-07-01

低高度地球観測衛星からのデータダウンリンクの高速化を目的に,シンボルレート300 Msps,64APSK変調,及び256APSK変調,左右円偏波多重方式のデータダウンリンクの軌道上実証実験を行った.64APSK変調にて2.65 Gbit/sec,256APSK変調にて3.3 Gbit/secの低高度衛星からの世界最高の通信速度が確認された.
著者
金子 智太郎
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.185-196, 2015-06-30 (Released:2017-05-22)

American documentary recordist, commercial producer, Tony Schwartz(1923-2008) is best known for the sound producer of a controversial political advertisement, "Daisy"(1964). Since 1940s, he recorded street music, voices of his neighbors, and diverse environmental sounds in Manhattan where he lived, and edit them to produce records. The aim of this essay is to understand how he listened to acoustic environment through his microphone and how his mode of listening was formed, by discussing these works and his texts, and cultural situation in which he was placed. It appears that his explanation about communication through electronic media in his advertisement theory evolved out of the practice of environmental sound recording. This essay therefore examines his documentary recording in detail referring to the theory, and attempts to show the importance of listening to "sound patterns" in acoustic environment for his practice. Sound pattern means sensorial qualities of sound that take on significance only after the listener has received them.