著者
金子 智紀 武田 響一 野口 正二 大原 偉樹 藤枝 基久
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.208-216, 2010 (Released:2010-10-05)
参考文献数
39
被引用文献数
2 4

スギ人工林の林況および立地環境の違いが流出特性に与える影響を明らかにすることを目的に, 第三紀凝灰岩を地質とする3小流域 (秋田県長坂試験地: 上の沢・中の沢・下の沢) において, 3水年の流量観測と林況および土壌調査を実施した。各小流域は, スギの植栽後およそ40年を経過した林分で, それらの成長や立木密度, 他樹種との混交度合いなどが異なっており, 流域全体の被覆度に差が生じていた。各小流域の年間損失量は724 mm (上の沢), 861 mm (中の沢), 548 mm (下の沢) であり, 流域間で大きく異なっていた。この違いの一部分は, 各流域における蒸発散量の違いによって生じていると考えられた。また, 中の沢流域で観測された年間損失量は, ハモン式から想定される可能蒸発散量 (640 mm) を大きく上回り, 同流域では深部浸透が生じている可能性が示唆された。土壌調査から求めた各流域の保水容量は104 mm (上の沢), 132 mm (中の沢), 121 mm (下の沢) であり, これらの保水容量の大きさは流出解析から求めた各流域の貯留量の大小関係と一致した。また各流域の流況曲線の形状は, 主に蒸発散量や保水容量の違いを反映していると考えられた。
著者
金子 智之 西松 寛明 小串 哲生 杉本 雅幸 朝蔭 裕之 北村 唯一
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.35-38, 2008-01-20 (Released:2011-01-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1 5

症例は56歳, 男性. 陰茎腹側の硬結を主訴に来院した. 1歳時と2歳時に尿道下裂に対して尿道形成術を施行された既往があった. 5年前と2年前に尿道結石に対して尿道切石術を施行されていた. 尿道結石再発と診断し, 尿道切石術を施行した. 結石には尿道から発生した多数の毛が含まれており, 形成尿道からの発毛が結石形成の原因と考えられた. 結石再発の予防目的に除毛剤の尿道内注入を行ったが除毛効果がみられなかったため, 半導体レーザーを用いて経尿道的レーザー脱毛を行った. 術後5ヵ月で再発毛を1本認めるのみであり, ほぼ完全な脱毛が得られている. 尿道発毛は皮膚弁を用いた尿道形成術後にみられる晩期合併症であり, 結石形成や尿路感染の原因となる. 経尿道的レーザー脱毛は, 尿道発毛に対して有用な低侵襲治療と考えられた.
著者
大野 孝二 宮田 喜壽 小浪 岳治 弘中 淳市 金子 智之
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.183-188, 2010

精度の高いライフサイクルコスト評価には,初期建設・維持管理・災害復旧などに要する各種費用の算定法が重要になる.本研究では,ジオグリッド補強土壁を道路構造物に適用したケースを想定し,上記コストの算定法について検討した.一連の検討において,初期建設費・維持管理費に関しては,国土交通省の技術報告書や建設物価を参照して検討した.災害復旧費に関しては,全面復旧を行う場合を対象に費用の算定法を検討した.本論文はそれらの費用の標準的算定法を示し,ジオグリッド補強土壁,L型擁壁,無補強盛土における各種費用を比較する.本文の内容は,IGS日本支部技術委員会第4ステージ(2007-2009)の成果の一部である.
著者
安井 学 中野 一史 黒内 正仁 川野 伸一 金子 智
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.862, pp.18-00091, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
23

SU8 is a negative photoresist shows superior characteristics of heat resistance and chemical resistance. And, it is used to make high-aspect ratio micro structures such as master of electroforming. However, it is extremely difficult to remove SU8 from substrate. Researchers have investigated a means of SU8 removal. Therefore we proposed a new SU8 removal method “DI water (H2O) and lithium chloride (LiCl) doped NMP” which promises swelling furtherance of SU8, and we demonstrated that the new method could remove fine SU8 patters from substrate at proper level. The mechanism of SU8 fine patterns removal is presented as follows. A doped NMP broadens the width of SU8 patterns by swelling effect and reduces buckling stress of SU8 patterns. SU8 patterns reducing buckling stress increases the potential of buckling.
著者
狩野 拓也 金子 智紀 西川 宏之 林 秀臣
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.24, pp.212-213, 2010

PET、ポリイミド等のプラスチックに対するプロトンビームの照射効果を調査した。照射効果の評価には、FT-IR等の種々の機器分析を用いて結合状態の調査を行った。さらに最大1MeVのビームエネルギーを有するプロトンビームを数ミクロンサイズに集束し、プラスチック試料上を走査した。その結果、微細な照射部位における表面状態の変化を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等により、着色や形状の変化の様子を確認できた。これにより、試料表面における微細な照射効果の付与を確認した。また、いくつかのプラスチックにおいては、適切な溶媒による現像処理により、数ミクロンサイズ、深さ10ミクロン以上の微細加工が可能であることを確認した。
著者
金子 智行
出版者
一般社団法人日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.312-314, 2001-11-01
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
金子 智行
出版者
法政大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

細胞内に蓄えられた後天的情報を定量化するために、モデル細胞として拍動心筋細胞を用い、細胞に摂動を与えたときの緩和過程を測定した。まず、外部から摂動を与えるための電気刺激プロトコールを改良することにより拍動周期の制御を可能にし、心筋細胞の拍動周期と細胞外電位を同時測定する系を確立した。次に、電気刺激により拍動周期を固定すると、イオンチャネルの活動状態がその周期に依存して対数関数的に変化した。このことから拍動周期という後天的情報の表現型は後天的情報であるイオンチャネルの活動状態を変化させ、拍動周期と相関した活動状態まで対数関数的に変化することが示唆された。
著者
藤本 末美 福間 和美 松山 直美 中島 礼子 園田 美香 末永 貴代 徳永 活子 金子 智美 陣川 しのぶ 吉川 直美
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.21-43, 2004-03-17

地域における保健福祉活動を考えるにあたって,住民の住んでいる地域(地区)における生活や生活を支える地域組織活動が大きく影響していると考える。しかし,日常生活を営んでいる平常時には,当たり前の存在として過ごしていることが多い。しかし,災害等が発生する非常時には,平常時の生活と地区組織がどのような活動をしているかによって,生活の支え方が大きく左右されるものと考える。今回,雲仙・普賢岳噴火災害地域・K地区について災害から10年を経過した現在までの,住民の生活と地区組織活動の再編成過程について,その関連を検討し新たな知見が得られた。この知見は,今後の平常時の生活と地区組織活動のあり方や,さらに非常時である災害発生時の生活と地区組織活動のあり方に応用展開できるものと思われる。