著者
長野 宏子 粕谷 志郎 鈴木 徹 下山田 真
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

世界中の伝統的な発酵食品から食品に関与しているたんぱく質分解能微生物の探索・保存をペプチドの機能性を検討した。目的は、伝統発酵食品由来微生物の探索・保存とデータベース化を続けることと、その微生物が産生する酵素の機能性への関与を検討することである。特に、プロテアーゼ活性の強いコラゲナーゼ様酵素を産生する微生物(Bacillus属)の産生する酵素の有効性を探ることである。食由来微生物の保存とデータベース化は、生物多様性下において、タイ、ベトナム、中国、カンボジアとMOUを締結でき、公開可能な状況になった。たんぱく質分解能があり、普遍的に存在しているBacillus属を同定し、Bacillus subtilisの16S rDNA結果より、系統樹を作成した。B.subtilis M2-4株の産生する精製酵素の特徴を検討した結果、分子量は、33kDaと推定し、N-末端アミノ酸配列はAQSVPYGISQIKAPAであり、サブチリシンと同じであったが、小麦粉発酵食品からは初めて分離された微生物であった。酸性カゼインに対する分解フラッグメントのC末端は、特に親水性アミノ酸Arg,Gln,疎水性アミノ酸Val,Ile等のアミノ酸であり、ペプチダーゼの可能性がある。牛乳たんぱく質β-ラクトグロブリンに対する酵素作用には、B.subtilis DBの濃縮粗酵素を用い分解能を検討した。β-ラクトグロブリンは、短時間でペプチドに分解され、ペプチドファラグメントのN-terminalアミノ酸配列は、β-ラクトグロブリンアミノ酸配列の23、36と一致し、β-ラクトグロブリンのアレルギーエピトープ部分の分解能があった。この酵素はアレルギー患者にとって低アレルギーなど機能性食品になる可能性をもっているものである。人々の知恵の結晶である「発酵食品」中の微生物が利用される可能性のあるものとなった。
著者
長井 健介 篠原 康浩 津留 英司 石野 まゆ子 鈴木 徹也
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.267-274, 2012 (Released:2012-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

It has been well known that anisotropy in yield stress and the work-hardening rate is induced by pre-strain and aging. However, such an origin has not been adequately understood. In the present study, stress-strain curves in different directions were investigated after 2% pre-straining and post-heat treatment at 150°C in ferritic steel. When the applied strain path was changed to the orthogonal direction of the pre-straining path, the re-yield stress was lowered and the work-hardening rate in the low plastic strain was increased. The heat treatment following 2% pre-straining caused an increase of the re-yield stress in the parallel direction to the pre-strain and caused no change on the re-yield stress in the orthogonal direction. The work-hardening rate was increased in both directions after the heating. Electron back scatter diffraction pattern (EBSP) analysis was also conducted to measure the kernel average misorientation (KAM) value, which corresponded to the density of the geometrically necessary dislocation, on each [hkl]-oriented family grain for the pre-strained and the post-heated materials. The EBSP results indicated that heterogeneous work-hardening behavior among the [hkl]-oriented family grains could strongly effect the anisotropy induced by strain path change and aging.
著者
黒川 忠英 鈴木 徹 岡内 正典 三輪 理 永井 清仁 中村 弘二 本城 凡夫 中島 員洋 芦田 勝朗 船越 将二
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.241-251, 1999-03-15
被引用文献数
32 22

アコヤガイの閉殻筋の赤変化を伴う大量へい死現象の人為的再現手法と, その病理組織学的診断手法の開発を行った。赤変異常貝の外套膜片の健常貝への移植および健常貝と赤変異常貝との同居飼育により, 赤変異常が再現された。よって, 赤変異常は感染症による可能性が極めて強い。また, 外套膜と閉殻筋の病変が, その病理組織学的診断指標として有効と判断された。
著者
豊原 治彦 三上 文三 鈴木 徹 井上 広滋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

貝殻は炭酸カルシウムを主成分とする鉱物であるが、炭酸カルシウムの単純結晶である方解石やあられ石とはことなり、5%程度の有機物を含んでいる.貝殻形成の分子機構については長く不明のままであったが、本研究においては、申請者はマガキを用いて、貝殻中に新たに申請者らによって見出されたクモ糸様タンパク質の貝殻形成における機能ならびにこのタンパク質の産業応用について研究を行い、ナノテクノロジーや水質浄化剤への貝殻の応用の可能性を提示した.
著者
平井 正志 久保 中央 寺林 敏 松元 哲 鈴木 徹
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

アブラナ科野菜の根こぶ病は病原菌(Plasmodiophora brassicae)が長年土壌中に生存し、野菜産地が壊滅的な打撃を受けるほど重要な問題である。抵抗性ハクサイ品種はいくつか発表され、利用されているが、近年これら抵抗性品種の罹病化が問題になっており、新たな抵抗性品種育成のために、抵抗性の遺伝解析が望まれている。本研究ではBrassica rapaにおける、根こぶ病抵抗性遺伝子座の比較解析を行った。ヨーロッパ原産カブSilogaに由来する抵抗性遺伝子座Crr1及びCrr2を同定した。またMilan Whiteに由来する抵抗性遺伝子座Crr3を同定し、これらが互いに独立した座であることを明らかにした。さらにGelria Rに由来する抵抗性遺伝子座を解析した。その結果、最近韓国のグループより発表された抵抗性遺伝子座、CRbとほぼ同一の座であることが明らかになった。以上より少なくとも4座の根こぶ病抵抗性遺伝子座がB.rapaにあることが明らかになった。またマイクロサテライトマーカーに基づいたBrassica rapaの詳細な連鎖地図を作製し、シロイヌナズナゲノムとのシンテニーを明らかにした。それによるとCrr1,Crr2およびCRb座の近傍はシロイヌナズナ第4染色体長腕部と相同性のある部分であり、これらの3つの抵抗性遺伝子座が祖先ゲノムの同一部分に由来するものであることが明らかになった。しかし、Crr3座近傍はシロイヌナズナ第3染色体と相同性があり、他の抵抗性遺伝子座と由来を異にすることが明らかになった。Crr3座近傍を詳しくマッピングするためにシロイヌナズナのゲノム情報をもとにBrassica rapaで利用できるDNAマーカーを多数作成した。これらのマーカーを用いてF2集団(n=800)からCrr3近傍で組み換えを起こしている約80個体を選抜し、マーカーのみによるマッピングを行った。またCrr1付近についても詳細なマッピングを行った