著者
大山 ひかり 斉藤 真衣 三上 かつら 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.235-239, 2020-10-26 (Released:2020-11-20)
参考文献数
13

積雪時に視認性を高めるために道路上に設置された固定式視線誘導柱に,鳥類が営巣することが知られている.しかし詳しい調査記録はない.そこで本研究では,2019年6月に北海道七飯町の湖沼「大沼」を囲む道路の固定式視線誘導柱において,営巣している種と巣の数を調査した.調査した218本中89本に穴が空いており,89本のうち14本で餌運びまたはヒナの鳴き声が聞こえ,10本で営巣していると推測される出入りがあった.確認された種は,スズメPasser montanus,ニュウナイスズメP. rutilans,コムクドリAgropsar philippensisの3種であった.
著者
中川 優梨花 飯野 由梨 斉藤 真一 小林 万里 玉手 英利
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

ゴマフアザラシ (Phoca largha)の配偶システムは,一夫一妻型であるとされている.しかし,配偶ペアがどの程度安定して維持されるのか(pair-bond),ペア外繁殖がどの程度起こるのか (mating fidelity)など,配偶行動と実際の繁殖成功度の関連については,観察・遺伝データ共に十分な知見が得られてはいない.そのため本研究では,長期個体観察が可能である飼育集団を対象とし,主に遺伝学的手法を用いて繁殖履歴の調査を行った.また,副次的な課題として飼育個体・集団の遺伝的多様度を測定し,野生集団との比較も行った. 研究に用いた個体は,鶴岡市立加茂水族館と城崎マリンワールドの飼育個体 (母獣・成熟メス計 5個体,父獣候補 6個体,仔 16個体 )である.比較を行う野生個体は,計 30個体 (礼文,羅臼,納沙布各 10個体 )である.体毛 (産毛を含む )・組織から DNAを抽出し,近縁種由来 microsatelliteマーカー5座位 (Han et al., 2010),種特異的 3座位 (小林,2011)を用いて遺伝子型を決定した.得られた遺伝子型から飼育個体の血縁判定を行い,個体の繁殖成功を推定,mating fidelityの評価を行った.その後,ヘテロ接合度・血縁度・近交係数の算出を行い,遺伝的多様性の評価を行った. その結果,特定の個体が繁殖を独占したこと,配偶ペア間で pair-bondが維持されていた可能性が示された.鰭脚類は,集団間で行動に差異が生じている種も少なくない.また,成熟オスは互いに威嚇しあい,少数が繁殖に有利な機会を得るとされる.そのため,成熟個体が同所飼育された場合には優位劣位の関係が生じ,特定の個体が繁殖に関して有利となった可能性が考えられる.しかし,メスは優位オスを必ずしも配偶相手に選ばない可能性も示唆されている (Flatz et al., 2012).今後,さらなる観察データ等の蓄積が必要と考えている.
著者
斉藤 真二 寺前 紀夫 田中 誠之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.9, pp.1363-1366, 1980-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
5

高速液体ク採マトグラフ(LC)にレーザーラマン分光光度計をオンライン接続した測定系(LC-Raman)を新たに開発し, 共鳴ラマン効果を示す物質に対するその有用性について検討を行なった結果,このLC-Raman法が高感度であり,かつ高度の選択性を併わせもつ新しい検出方法であることが判明した。メタノールを移動相とする逆相クロマトグラフから溶出する種々の置換基をもつ4-ジメチルアミノアゾベンゼン誘導体の検出を,発振波長488nm,出力200 mWのAr+レーザーを励起光源として1406cm-1のラマン散乱光を連続的に測定し,クロマトグラムを記録することにより行なった。2'-クロロ-4-ジメチルアミノアゾベンゼンについて検量線を作成したところ, 260ng/μl付近までの範囲において原点を通る良好な直線が得られ,また,この方法によりng単位の検出を行なうことができた。さらに, 対象とする化合物の保持時間で移動相の流れをいったん止め.共鳴ラマンスペクトルを測定し,おのおのの化合物の示す特徴的なラマン線に着目することにより,逆相クロマトグラフィーでは分離されずに溶出し, また, 多波長吸光度検出法でも区別することのできない2'-クロロ-4-ジメチルアミノアゾベンゼンと3'-メチル-4-ジメチルアミノアゾベンゼンの個々の検出を行なうことができた。
著者
湯澤 秀文 斉藤 真子 仲田 恵子 竹内 史央 大林 直美
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 (ISSN:03874761)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.59-80, 2001-11-15

中学3年では広島・大久野島への研究旅行を中心に、国際理解と平和についての総合学習を行なった。様々な企画も織り交ぜながら、年間を通してグループで学習を進め、年度末にはその成果を研究集録とWe bページにまとめた。
著者
室橋 春光 河西 哲子 正高 信男 豊巻 敦人 豊巻 敦人 間宮 正幸 松田 康子 柳生 一自 安達 潤 斉藤 真善 松本 敏治 寺尾 敦 奥村 安寿子 足立 明夏 岩田 みちる 土田 幸男 日高 茂暢 蓮沼 杏花 橋本 悟 佐藤 史人 坂井 恵 吉川 和幸
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

発達障害は生物学的基盤を背景とし、社会的環境の影響を強く受けて、非平均的な活動特性を生じ、成長途上並びに成人後においても様々な認知的・行動的問題を生ずる発達の一連のありかたである。本研究では発達障害特性に関する認知神経科学的諸検査及び、社会的環境・生活の質(QOL)に関する調査を実施した。脆弱性と回復性に関連する共通的背景メカニズムとして視覚系背側経路処理機能を基盤とした実行機能やワーキングメモリー機能を想定し、事象関連電位や眼球運動等の指標を分析して、個に応じた読みや書きなどの支援方法に関する検討を行った。また、QOLと障害特性調査結果の親子間の相違に基いた援助方法等を総合的に検討した。
著者
浅尾 裕信 武田 裕司 斉藤 真一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

閉経後肥満症はヒト乳癌のリスク因子の一つであり、脂肪組織由来のエストロゲンがその主な要因と考えられる。膜型インターロイキン21(IL-21)を発現するマウスでは血中エストロゲンや脂肪組織が増加し、乳腺組織の異形成と乳癌が高頻度で発生する。この病態はヒト閉経後乳癌の発症基盤と共通するものがあると考えた。本研究では、IL-21が脂肪組織の増加を介してエストロゲンの産生亢進に至る機構と、その後の乳癌発生へのIL-21の関与を解明することを目的としている。ヒト乳癌発生においてもIL-21の関与が確認できれば、閉経後乳癌発症の予防法の開発が期待される。
著者
斉藤 真一 浅尾 裕信 中島 修 武田 裕司
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

肥満に起因する慢性炎症は、インスリン抵抗性を惹起させ、2型糖尿病とその合併症(網膜症・神経障害・腎症・動脈硬化・認知症・易感染など)の基盤病態と考えられている。しかし合併症を発症する糖尿病後期は、必ずしも肥満を伴っていない。5-アミノレブリン酸合成酵素遺伝子破壊マウスは、肥満を伴わずに加齢依存的にインスリン抵抗性を発症し、5-アミノレブリン酸投与により糖代謝異常が改善される。このマウスで免疫学的解析により免疫異常(炎症惹起・免疫不全)の不可逆性の有無とその改善の可能性を検討でき、糖尿病合併症の発症制御の可能性を提案できることを期待している。
著者
イザンベール・斉藤 真美
出版者
東海大学出版会
雑誌
東海大学紀要 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.98-88, 2001

This series is aimed at analyzing revolutions and rebellions in the light of the world-system perspective. This article treats so-called revolutionary reign of terror. Violences and genocides after the capture of the state power by revolutionary force. This paper reports that there are many casualties before and after the revolution. And revolutions which occurred in this century did not compensate the victims because they could not realize 'a real democracy'. Then what were the meaning of these victims, how should we consider the 20th century's revolutions?
著者
高橋 正知 高木 香織 川端 淳 渡邊 千夏子 西田 宏 山下 紀生 森 賢 巣山 哲 中神 正康 上野 康弘 斉藤 真美
出版者
中央水産研究所
雑誌
黒潮の資源海洋研究 = Fisheries biology and oceanography in the Kuroshio (ISSN:13455389)
巻号頁・発行日
no.11, pp.49-54, 2010-03

マサバおよびゴマサバの資源研究において、加入量およびその加入機構を解明することは重要であるが、仔稚魚を含む加入以前の個体についての知見は乏しいのが現状である。マサバ、ゴマサバ太平洋系群の当歳魚は、本邦太平洋南岸で発生し、黒潮に移送されて黒潮親潮移行域に広く分散、北上し、その後、道東~千島列島沖合域で索餌、成長後、本邦近海に南下して資源に加入するものと考えられている。そこで本研究では、2007年5~7月の北上期および2007年9~10月の索餌期に行われた調査船調査からさば類当歳魚の分布を明らかにし、得られた標本を用いて、日齢解析により稚魚~幼魚期の成長様式および孵化時期の推定を行うことを目的とした。
著者
杉山 智美 斉藤 真理子 市川 智美 内山 けい子 熊谷 美智世 松葉佐 智子 工藤 裕子 小西 雅子 稲垣 順一 伊藤 隆 渋川 祥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.155, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】近年、土鍋に対する関心が高まっている。その一方で、炊飯や冬期における鍋物のみといった限定的な活用をする消費者も少なくない。土鍋と一般的に使用されている金属鍋では材質や形状が異なり、土鍋独自の特性を有することが予測される。そこで、土鍋のさらなる活用を目的とし、煮物・蒸し物調理における土鍋の加熱調理特性について検討を行った。 【方法】市販されている一般的な土鍋と金属鍋を用い、加熱条件(火力および加熱時間)を同じとし、煮物・蒸し物調理における加熱過程および調理物の仕上がりの比較を行なった。加熱過程は、耐熱内視鏡カメラによる鍋内の煮汁等の観察、サーマルカメラによる遠赤外線量の測定および鍋内部・食材中心部の温度計測を行なった。調理物の仕上がりについては、テクスチャー(煮くずれ、硬さ)および味(調味液の浸透度合い、グルタミン酸量)を機器測定するとともに、官能評価を実施した。 【結果】加熱過程において、金属鍋では煮汁中に不規則に大きな泡が発生したが、土鍋では鍋表面の突起等が沸騰のきっかけとなる規則正しい細かい泡が観察された。加熱時の遠赤外線量は、土鍋のほうが多く、本体および蓋からの放出が見られた。食材の中心部温度は、土鍋では金属鍋に比べ温度上昇が遅く、酵素活性が高い温度帯をゆっくり通過した。金属鍋では消火直後から鍋内部温度が低下したが、土鍋では一定時間温度上昇が継続し高温を維持した。その後の温度低下も緩やかだった。調理物の仕上がりについては、土鍋では煮くずれが少なく、硬さは軟らかい傾向が見られた。また、調味液の浸透度合いが高く、グルタミン酸量も多かった。以上の結果から、煮物・蒸し物調理における土鍋の優位性が示唆された。
著者
斉藤 真奈美
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.10, pp.19-27, 2011-06

1990年代にアメリア・アレナスによって提唱された対話型鑑賞教育は,その後まもなく日本にも紹介され,美術館,学校現場が一体となった取り組みがなされている。この取り組みがそれまでの鑑賞教育と最も異なっているのは,美術の知識を一方的に教えるのではなく,ひとりひとりが作品と向き合い,意見を述べ合い,考察を深めていくところにある。 大学生を対象として,講義の一環として対話型鑑賞教育を取り入れる際には,幼い子供たちに対する場合とは違った配慮が必要となる。小論では,「まなざしの共有」というエッセンスを損なうことなく,すでにある程度の知識を身に着けた鑑賞者をどのように対話型授業に参加させてゆくかについて考察を試みる。
著者
加藤 信吾 関 亙 横井 隆 斉藤 真二 植田 啓一
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.336-339, 2005 (Released:2008-05-19)
参考文献数
1
被引用文献数
2 1

Artificial tail flukes were developed for a bottlenose dolphin that lost most part of the tail flukes due to a serious disease in October 2002. The dolphin named FUJI has been kept in Okinawa Churaumi Aquarium since 1975. A joint project was started to develop artificial flukes in 2003 to recover normal revel swimming ability. At the process of the development, finite element method analysis and towing test in water tank were carried out. The artificial flukes were composed of silicone rubber and inserted FRP reinforcement. FUJI recovered swimming speed and even jumping ability by the artificial tail flukes as she had before.