著者
鈴木 良
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.16-29, 2019

<p>本研究は,知的障害者入所施設の解体を実施した法人Aを取り上げ,職員が1)施設解体を実施したのはなぜなのか,2)小規模分散型の地域生活への移行を目指した計画を修正したのはなぜなのかを質的調査によって明らかにした.この結果,第一に,施設解体を実施したのはまず,「無力化による受容の重視」と「虐待構造への自覚」によって,職員・入居者間の上下関係を可能な限り解消することを目指したからであった.次に,施設内改革や地域移行を実施しても職員・入居者間に生じる上下関係は解消しえないという構造的限界を認識したからであった.第二に,計画を修正したのはまず,補助金や法人運営の観点から町との協力関係を重視したからであった.次に,施設解体を実現させることが重視され,残る施設の解体を視野に入れて,地域に出ることを優先する意識があったからである.本研究は外発的政策誘導と内発的意識改革による脱施設化政策の必要性を示唆する.</p>
著者
穐山 富太郎 伊藤 信之 鈴木 良平 川口 幸義
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.460-464, 1975-12-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
25

We studied on the relation between primitive reflexes and motor development by means of taking movie.Primitive reflexes (Moro reflex, Asymmetrical tonic neck reflex, Crossed extension reflex. Babinshi reflex ete) activate all kinds of automatic movement integrated by higher brainstem, and furthermore these reflexes activate development of righting reaction, parachute reaction, balance reaction and voluntarity.Namely, primitive reflexes activate mainly automatic movement but these reflexes exert too promotive influence on the development in the early stage learning anti-gravitic posture and normal sensori-motor pattern in each motordevelopmental stage.
著者
鈴木 良一 大口 裕之
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.447-452, 2018-09-15 (Released:2018-09-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1

東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所での事故に対応して,一般の住民が生活の中での放射線量を計測するための放射線線量計“D-シャトル”を開発した。この線量計は,小型軽量で,各個人が携帯して必要に応じて表示器で記録を見ることができ,1年以上動作し,ユーザーの電池交換が不要である。本稿では,“D-シャトル”線量計の開発の経緯と機能について紹介するとともに,リアルタイムモニタリングへの応用についても紹介する。
著者
鈴木 良
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.66-78, 2018

<p>本研究では,スウェーデン政府による障害者のパーソナルアシスタンス抑制政策に抵抗する運動団体の主張とは何かということについて質的調査によって検討してきた.まず,LSSは1)理念を堅持しながらニーズは市民権の観点から捉えられ,2)社会モデルに基づいて現代化すべきだと主張された.次に,費用の決定方法は1)社会保険事務所の尺度によるアセスメントはプライバシーや当事者性を侵害していること,2)給付金の支払いは生活に柔軟に応じた方式にすべきことが指摘された.さらに,1)利益追求型企業は利用者が管理・選定でき,2)家族がパーソナルアシスタントを担うことは子の自立を阻害する危険性を認識しつつも容認すべきことが指摘された.最後に,費用は1)権利意識の高まりや支援の質との関係,2)費用対効果,3)労働市場や国内需要への効果,4)人権やジェンダー平等,5)国の責務という観点で検討すべきことが指摘された.</p>
著者
伊藤 幹雄 横地 英治 鬼頭 利宏 鈴木 良雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.419-425, 1981
被引用文献数
2

糸球体腎炎の発症および増悪において,血液凝固系の役割を明らかにするために,liquoid(Liq)を正常あるいは腎炎ラットに反復投与した場合の影響について検討した.正常ラットに Liq 10mg/kg 毎日1回計22回 i.v. 投与(I群)した場合,尿中への蛋白,N-acetyl-β-glucosaminidase の排泄,血中尿素窒素含量は正常対照群と比較して,ほとんど変わらなかった.また,抗ラット糸球体基底膜ウサギ血清(AGS)[0.5ml/150g体重]のi.v. 投与後15日目から Liq を 10mg/kg,3日目毎に計8回 i.v. 投与(III群)しても,毎日1回計22回 i.v. 投与(IV群)しても,これらの生化学的パラメーターは AGS のみを投与した腎炎対照群(II群)との間に有意差を認めなかった.螢光抗体法による糸球体への fibrin あるいは fibrinoids の沈着は弱かったが,10匹中I群およびII群では2匹,III群では8匹,そしてIV群では10匹に認められた.光顕所見ではI群においても係蹄壁とボウマン嚢との癒着,富核,半月体形成や硝子化を示す糸球体が少数例認められた.腎炎ラットに対する Liq の影響に関して,特に硝子化が顕著となり,硝子化を示す糸球体はII群ではわずか17%であるのに対してIII群では14%,IV群では55%であった.他の糸球体変化は富核を除いてII群に比しIII群では変わらなかったがIV群では明らかに増加を示した.しかし富核は逆にIII群,IV群では減少した.糸球体毛細管腔閉鎖はI群でも軽度ながら認められた.また腎炎群においてはII群に比しIV群ではその閉鎖の程度は明らかに強度であった.以上の結果から,糸球体内の血液凝固亢進が,糸球体腎炎の発症,増悪の主要な因子と考えられる.
著者
山崎 秀樹 鈴木 良徳 飯田 貴之
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.124-131, 2008-04-01 (Released:2014-06-30)
参考文献数
9

ミクロンオーダー以下の厚みで制御された積層材料中間層の組成分析を行うために,その前処理として,低角斜め切削法を検討した。その結果,厚み数10nm~10μm以下の中間層について,低角斜め切削法による前処理を行うことで,顕微FT-IRやTOF-SIMSなどの既存の分析機器を用いて,その組成を評価することが可能となった。さらに,斜め切削を行う前に対象試料に染色処理を施すことや,対象試料を冷却しながら切削を行うことが,中間層を適切に斜め切削するための条件として有効であることを見出した。
著者
成田 拓也 鈴木 良平 石渡 利奈 井上 剛伸 鎌田 実 矢尾板 仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第22回全国大会(2008)
巻号頁・発行日
pp.398, 2008 (Released:2009-07-31)

認知症者は,短期記憶障害のために予定を覚えておくことができず,同じ質問を頻回に繰り返す場合がある.本研究では,グループホームでの参与観察により,スケジュールに関わる記憶の問題を分析し,支援機器開発の課題(ニーズ,理解・注意の制約)を抽出した.機器のプロトタイプを作成し,発話・行動分析から,記憶を補うスケジュール呈示手法を探索した結果,提案手法により,頻回な質問が減少し,行動決定が可能になった.
著者
福本 文代 鈴木 良弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.552-566, 2006-03-01
被引用文献数
2

本論文では,人手により複数の分野名が付与された文書における分野名誤りのうち,文書分類の精度に悪影響を与えるものを自動的に検出し,修正する手法を提案する.我々は,誤り検出と修正の手掛りとして三つの点に注目する.1点目は分類に悪影響を与える事例を抽出するために機械学習Support Vector Machines(SVMs)で得られるサポートベクトルと機械学習Naive Bayes(NB)を利用する点である.2点目は誤り事例を検出するために損失関数を利用する点である.3点目は,過剰な修正を抑えるため,分野名をノードとする階層構造を利用する点である.Reuters1996のコーパスを用いて実験を行った結果,誤り検出と修正の精度はそれぞれ0.8391,0.767であった.更に,修正結果を文書分類へ適用した結果,分類精度が0.5〜1.7%向上することが分かり,誤り修正の効果が現れていることが確認できた.