著者
本間 由利子 東 信和 下田 満哉 早川 功
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.572-574, 2004-06-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Some studies have reported the differences of odor quality/intensity for the same odorant between orthonasal and retronasal olfaction. These differences could be caused by moisture in the oral cavity and partition of odorants to saliva and oral epithelium. We have to be aware of these differences to understand the effect of each component to overall flavor perception. In flavor research, gas chromatography-olfactometry (GC-O) techniques are frequently employed, as a valuable technique for detecting odorants in a sample matrix. However, all studies have been performed by only orthonasal olfaction, which detects odorants by “sniffing”. We tried to apply retronasal olfaction to GC-O technique and compared the differences in odor perception with orthonasal olfaction. Therefore, we “puffed” the odorants eluted from the GC into the mouth to make retronasal responses. As results, aromagram by retronasal olfaction generally showed lower sensitivity than by orthonasal olfaction. Furthermore, odor quality of some components was different between retronasal and orthonasal olfaction.
著者
垣江 竜雄
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.389-395, 1974

黄色種タバコの火力乾燥と在来種タバコの空気乾燥におけるグルコース,フラクトースならびにショ糖の挙動と呼吸によるグルコース代謝を知るため,乾燥経過中の葉から採ったディスクに<sup>14</sup>C-標識糖を供与し,その代謝を追求した.<br> 1. 乾燥経過中の葉に供与されたグルコース-U-<sup>14</sup>C,フラクトース-U-<sup>14</sup>Cならびにショ糖-U-<sup>14</sup>Cの挙勤:ヒックスを用いた火力乾燥葉にグルコース-U-<sup>14</sup>Cあるいはフラクトース-U-<sup>14</sup>Cを供与すると,供与糖からショ糖が合成され,とくに黄変期に著しかった.色沢固定期以降では,大部分が供与糖の形態で留まった,ショ糖-U-<sup>14</sup>Cの場合は,乾燥期間を通じて大部分が供与形態で存在した.<br> 一方ダルマの空気乾燥では,両単糖の供与については火力乾燥と同じ現象が認められたが,ショ糖-U-<sup>14</sup>Cの場合にはグルコースとフラクトースへの加水分解ガ起こり,とくに褐変期に,おいて著しかった.<br> 2. 乾燥経過中の葉の呼吸による炭酸ガスの放出とグルコースの代謝:乾燥葉の炭酸ガスの放出は,MCの火力乾燥では黄変末期まで増加し,それ以降は減少した.これに対して,ダルマの空気乾燥葉では漸次減少するが,褐変期においてもなお炭酸ガスの放出が続いた.<br> またグルコース-1-<sup>14</sup>Cとグルコース-6-<sup>14</sup>Cによる放出<sup>14</sup>CO<sub>2</sub>放射活性の比から呼吸類型を調べたところ,乾燥前ではMC,ダルマの両品種ともEMP-TCAとHMP経路の働きがほぼ半ばであったが,乾燥が進むとHMPの役割が高くなる傾向が認められた.
著者
辻村 みちよ
出版者
日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, 1955-06
著者
辻村 みちよ 田部 井菊子 和田 つる
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-13, 1952
被引用文献数
1

ルミフラビン螢光法による海藻中の総ビタミンB<sub>2</sub>の定量の諸条件を検討した後各種の海藻についてTable 6に示す測定値を得た.試料は100&deg;C前後にて速かに乾燥粉砕し(水分8~10%),温水或は30%メタノール浸出法により浸出した濾液はアルカリ性にして光分解2時間を行つた後測定した.<br> 本研究はお茶の水女子大学食品化学研究室及び科学研究所に於て25年度文部省科学研究費を以て行つた.<br> 材料の採集に御便宜を与えられた北大の方々又御協力を頂いた室蘭の海藻研究所の中村義輝博士に厚く感謝する.
著者
辻村 みちよ 高須 英
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.407-412, 1955
被引用文献数
4

On the paper chromatogram of crude tea tannin, fannin, four spots are to be seen, <i>R<sub>F</sub></i> values of which being 0.81, 1.72, 1.67 and 0.52, these excepting 0.72, correspond to tea tannin Itea tannin Itea catechin I tea catechin II, which have been formerly separated by the present author (see Plate 1).<br> The author has recently isolated tea tannin II, the <i>R<sub>E</sub></i> value of which is corresponding (see Plate II). The crystalline form of this tea tannin II is shown in Plate III, m. p. 248_??_9&deg;, [&alpha;]<sup>18</sup><sub>D</sub>=-173&deg;. Its aqueous solution has a hard astringent taste, when heated with dilute separates gallic acid and is converted into a reddish brown substance.<br> The absorption spectra of these four substances are shown in Plate III.<br> From above the newly isolated substance in recognizable as <i>l</i>-gallocatechin gallate.
著者
辻村 みちよ 山西 貞 秋山 礼子 田中 住子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.145-148, 1955
被引用文献数
1

(1) 緑茶を淹れた時の蒸気の中にH<sub>2</sub>Sが含まれていることを認め,且つ,香高い良質の緑茶程H<sub>2</sub>S量の多いことを証明した.<br> (2) 緑茶香気中にthiol類は殆ど認められなかつた.<br> (3) H<sub>2</sub>S発生の母体は茶葉中のシステインが主であること,及び,茶が古くなる程システインは分解していることを認めた.<br> (4) 茶その他10種の植物葉につき,水蒸気蒸溜によるH<sub>2</sub>Sの発生量を測定した結果,柳と茶が著しく多量のH<sub>2</sub>S発生し他の植物の2~20倍にも及ぶことを認めた.
著者
金 三純
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-72, 1966
被引用文献数
1

タカアミラーゼAは水溶液の状態で紫外線によって強く不活性化される.これは主としてシスチンの開裂酸化に伴う活性に必要な酵素蛋白の立体構造の破壊によるものであり,トリプトファン,チロシン,ヒスチジンなどの酸化も共役している.これらのことは光不活性化とこれに伴うアミノ酸の酸化量を定量することにより示される.光照射に伴う酸素吸収量はアミラーゼの場合と構成アミノ酸混合物とであまり差異がない.これは高分子形成およびconformation形成にあまり依存しないことを示すものである.アミノ酸の光酸化反応は励起1重項&rarr;3重項&rarr;溶媒捕捉準位の無輻動遷移によって作られる光電子による水の還元,これに溶存酸素がカップルして生じたHO<sub>2</sub>と母体ラジカルとの酸化反応と考えられる.<br> このため常磁性イオンの共存により, 3重項&larr;&rarr;1重項の遷移確率をコントロールすることにより光酸化反応をコントロ一ルできる.基質の存在は光不活性化反応を保護するが,これは光電子ないしHO<sub>2</sub>に対し基質や分解産物が受容体として働くためであろうと考えられる.
著者
金 三純
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.10-17, 1965
被引用文献数
2

タカアミラーゼAは紫外線照射または生体色素リボフラビンの光増感作用によって有効な不活性化が惹起される.前者の場合には2 hit的に,後者の場合は1 hit的に不活性化が進行する.リボフラビンによる光増感不活性化反応は色素の3重項状態と基底3重項状態の溶存酸素との複合体の解離によって生じた1重項状態の反応性に富む酸素分子種によるアミラーゼの酸化反応によるものと考えられる. N-ブロムコハク酸の熱的酸化によるアミラーゼの不活性化反応におけるトリプトファン残基の酸化と,不活性化との関連性,光不活性反応におけるトリプトファンの酸化と活性との関連及びトリプトファン残基の蛍光収率の変化から,トリプトファン残基は酵素活性に重要な関係を持つものと考えられる.<br>アミラーゼ単独系における光不活性化の作用スペクトルから,紫外線直接照射による不活性化はシスチンによって吸収される光による不活性化の相対量子収率は99.2%で,トリプトファンによって吸収される光によるものは0.8%である.シスチンは励起状態で高能率で-S-S- &rarr; -S<sup>..</sup>S-の開裂反応が起り,またトリプトファン残基は量子収率は小さいが,励起状態で電子放出によりラジカルとなり,溶媒系に放出された電子は水を還元し溶存酸素とHO<sub>2</sub>を作り,これによりトリプトファンは酸化される.これらのために不活性化が起る.チロシン残基もトリプトファン残基と同様の酸化を受けうるが,作用スペクトルからはこのための不活性の量子収率は小さいものと考えられる.
著者
金 三純
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.73-79, 1966

タカアミラーゼAはリボフラビンの光増感反応によって不活性化されるが,これはリボフラビンの3重項状態と溶存酸素との相互作用によって生起した活牲酸素によるアミノ酸残基の酸化反応に基因する. Warburg検圧計による吸収酸素量に対する不活性化および酸化アミノ酸残基の関係から,完全失活はトリプトファン,ヒスチジン,チロシン,メチオニン,シスチン残基が約70%, 45%, 20%, 4%, 17%において起る.タカアミラーゼと同じアミノ酸組成のアミノ酸水溶液では酸素吸収がアミラーゼよりはるか大であることから,高分子形成や特殊なconformation形成の効果力が光増感酸化反応の面に現われているようである.したがって酵素の変性効果やさらに酵素-基質複合体形成の効果も光増感酸化反応に変化をもたらす.リボフラビンの光増感酸化反応機構を調べるために,常磁性金属イオンの1重項&larr;&rarr;3重項禁止遷移に対する摂動効果を酸素吸収,光不活性化,リボフラビンの螢燐光の消光の相互関連のもとで研究し,光増感反応に活性なリボフラビンの状態は3重項状態と推定した.
著者
船津 勝 船津 軍喜
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.461-464, 1959 (Released:2008-11-21)
参考文献数
10
被引用文献数
2

(1) Ricinus communis L.とRicinus sanguineus L.の2種類の箆麻子種実から結晶リシンとリシンTbとの分離を試みたが,結晶は後者から容易に得られた.この事から箆麻子の種類によりリシンの含量が異なる事を推察した. (2)結晶とTbとにつきプロテアーゼ作用と血球凝集作用とを比較した結果,両作用共Tbの方が結晶より強く,毒性とプロテアーゼ作用とは必ずしも並行していない事を確めた. (3)更に結晶リシンのプロテアーゼ作用は不純物である可能性を残しており,プロテアーゼ即リシンの考え方を再検討する必要がある事を認めた.