著者
中嶋 幹郎 大山 要
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.787-789, 2017 (Released:2017-08-01)
参考文献数
10

ジェネリック医薬品は先発医薬品と治療学的に同等であることが保証された医薬品であるが、医療関係者や患者からは、副作用による安全性への懸念の声があげられる。そこで、副作用の一つである薬剤性肝障害を評価するため、臨床試験とは異なるアプローチでヒト肝細胞キメラマウスとトキシコゲノミクスの手法を用いた新しい手法を開発し、様々な先発医薬品とジェネリック医薬品の薬剤性ヒト肝障害リスクの同等性を評価した。
著者
小嶌 隆史 池田 幸弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.387-391, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
12

近年の医薬品開発においては,様々な機能を持った製剤が展開されている.経口製剤だけを取り上げても,腸溶性製剤,可溶化製剤,持続吸収型徐放製剤,舌下錠,口腔内崩壊錠等,多種存在する.一方,治験初期では,原薬を出品後,治験サイトで溶解,懸濁あるいはカプセル充填して投薬されるなど,簡易な製剤で開発される場合もある.いずれの製剤においても,多くの場合,使用される原薬形態は結晶性の粉末である.結晶は非晶質と比較して物理的・化学的に安定であり,原薬および製剤の品質保持において優位であるだけでなく,製造における堅牢性確保の点からもメリットは多い.これに対し,溶解性の改善などを目的とした非晶質製剤として開発する場合には,品質や製造性の担保のための工夫がなされている.すなわち,高品質な医薬品を安定的に患者さんに届けることを使命とする製薬企業において,医薬品開発を俯瞰的に捉えた開発形態の選定は重要な項目である.過去には,不十分な開発形態の選定が原因による特許訴訟や製造中止の事例が報告されている.企業経営の問題にとどまらず,患者さんや広く社会に及ぼす影響も大きいことから,製薬企業には適切な開発形態の選定が求められている.本稿では,医薬品開発における開発形態選定の現状に加え,物性・原薬製造工程・製剤化工程研究を交えた新たな展開について紹介する.
著者
伊藤 亮一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.450-454, 2017 (Released:2017-05-01)
参考文献数
3

製剤の品質規格に関しては、通常の規格及び試験方法は、ICHQ6Aに基づき、またRTRTは、ICHQ8(R2)において、規定される。有効期間の設定に関しては、ICHQ1Eで規定されている統計学的手法に基づき、「長期保存試験結果から外挿する場合」及び「共分散分析を用いた場合」の設定方法に関して、解説した。また規格及び試験方法・有効期間の変更に関しては、類縁物質のHPLC法(アイソクラティク法)からHPLC法(グラジエント法)へ変更される場合の要求条件及び有効期間の24箇月から36箇月への変更事例を解説した。
著者
村瀬 辰史
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.420-424, 2017 (Released:2017-05-01)
参考文献数
6

医薬品は健康維持に重要な役割を果たす一方で,その品質不良は生命に悪影響を及ぼす可能性がある.そのため,医薬品・原薬の品質管理では,試験による品質の確認だけでなく,深い理解を伴った頑健な製造工程によって,高品質の製品を間違いなく製造すること,すなわち「品質を製造工程で造り込む」Quality by Design(QbD)が重要視されている.本稿では,工程の頑健性を示す方法論の1つとして統計手法に着目し,その活用に向けた環境作りと,当社開発プロジェクトでの実践例について紹介する.