著者
久保田 由美子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.447-449, 2003-04-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
2
被引用文献数
3
著者
岡田 唯男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1623-1630, 2012-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
51

学会や専門医の考える理想のアレルギー疾患の診療は,一般的に存在するエビデンス-診療ギャップにより,十分患者に届いていない可能性がある.その理由としてエビデンス・パイプラインにあいた穴としての7つのAが存在し,その穴を塞ぐために様々な工夫と資源投入が必要であり,ジェネラリストとの協働や,ガイドラインの周知度,利用簡便性の向上などへの工夫なくして,その実現は不可能である.
著者
木村 五郎 赤木 博文 岡田 千春 平野 淳 天野 佳美 大村 悦子 中重 歓人 砂田 洋介 藤井 祐介 中村 昇二 宗田 良 高橋 清
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.628-641, 2012

【背景・目的】Lactobacillus acidophilus L-55 (L-55株)には,マウスアレルギーモデルに対する症状緩和効果が認められている.そこでL-55株含有ヨーグルト飲用による,スギ花粉症臨床指標への影響について検討した.【方法】スギ花粉症患者にL-55株含有ヨーグルト(L-55ヨーグルト群, n=26)あるいは非含有ヨーグルト(対照ヨーグルト群, n=26)を花粉飛散時期を含む13週間飲用してもらい,症状スコア,症状薬物スコア,IgE抗体について検討した.【結果】L-55ヨーグルト群の総症状スコアと症状薬物スコアは,対照ヨーグルト群より低い傾向が認められた.特に治療薬併用例(n=23)では, L-55ヨーグルト群の花粉飛散後第5週の総症状スコア,第4週の咽喉頭症状スコアおよび第1週の総IgEの変化比が有意に低値であった.【結語】L-55株はスギ花粉症に対する緩和効果を有し,治療薬の併用により効果的に症状を軽減,あるいは使用薬剤を減量することが期待された.
著者
菅谷 愛子 大口 広美 津田 整
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.472-477, 1996
被引用文献数
5

秋期に飛散するスギ花粉の意義を明らかにするために, 1987年から1995年にわたる通年のスギ飛散花粉を測定し, 秋期(10月〜12月)のスギ飛散花粉数と春期(1月〜5月)の飛散数との関係, および秋期のスギ花粉症発症について検討した. 1. 秋期のスギ花粉数は, その年の春期のスギ花粉数に相関性はなく, 翌年の春期の飛散総数との間に相関係数r=0.877で相関性が認められた. 従って秋のスギ飛散花粉は, 春の花粉の再飛散ではなく, 秋に新しく開花し, 飛散した花粉であるといえる. 2. 11月のスギ飛散花粉数は, 翌年春のスギ花粉飛散数との間に相関係数r=0.909と高い相関性が認められた. 11月の飛散花粉数から翌年スギ花粉飛散の多少が推定できると考える. 3. 秋のスギ花粉飛散期間中にスギ花粉飛散数に対応した花粉症が認められた.
著者
平 英彰 寺西 秀豊 劒田 幸子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.1466-1471, 1992-10-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
3

季節はずれのスギ花粉飛散の現象を明らかにするため, スギ空中花粉の調査を3年間にわたって行うと共に, 10月及び11月におけるスギ雄花の開花条件を検討した. 7月上旬から9月下旬にかけて形成されたスギ雄花から飛散したと考えられる花粉は10月中旬以降認められた. 10月, 11月に採取した雄花を低温処理したあと6℃から20℃の温度条件下で栽培したところ, ごく限られた特定のスギの雄花は, 10℃以上の高温条件下で容易に開花し花粉を飛散させた. 10月から1月にかけての気温を検討すると, 10℃以上の気温の高い日が多かった. 雄花の開花状況は, すべての雄花がいっせいに開花し, 花粉を飛散するのではなく, 全雄花のおよそ1/3程度が開花するだけで, 同じ房の中でも全く開花しない雄花もあり, 枝によっても開花状況が異っていた. したがって, これらの時期に飛散するスギ花粉の濃度は低いが, 豊作年では局所的に高い濃度を示す地域もあると推定され, アレルギー症状を引き起こす場合もあると考える.
著者
服部 和裕 山本 明美 笹井 みさ 谷内 昇一郎 小島 崇嗣 小林 陽之助 岩本 洋 難波 恭子 八重島 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.20-30, 2003-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
27
被引用文献数
1

腸内にBifidobacteriumが少ないアトピー性皮膚炎患児15例を予備的な菌叢の検索から選択し,うち投与群8例に対してビフィズス菌凍結乾燥末(Bifidobacterium breve M-16V株)を経口投与した.腸内細菌叢の変動とアレルギー症状の推移を観察し,対照群7例と比較した.投与群では,ビフィズス菌末投与1カ月目の時点で,腸内のBifidobacterium占有割合の有意(P=0.0173)な上昇と,総好気性菌占有割合の有意(P=0.0499)な低下を認め,さらにアレルギー症状も有意(皮膚スコアでP=0.0176,総合スコアでP=0.0117)に改善した.一方,ビフィズス菌末の投与はアトピー性皮膚炎の症状改善を対照群に比較して有意に促進したが,自然排泄便を検体とした腸内細菌叢の変動と,アレルギー症状の推移の間には,明確な相関を認めなかった.
著者
平 英彰 吉井 エリ 寺西 秀豊
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1187-1194, 2004-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
27
被引用文献数
5

スギは日本の準固有種で, 最も古い化石は秋田県田沢湖の北方, 檜木内川の上流にある宮田のおよそ530万年前の地層から発見されている. このことから, 日本におけるスギの出現は, 他の針葉樹に比べ比較的新しいと考えられている. スギは現在, 青森県から鹿児島県の屋久島まで広く天然分布している. 日本列島に生育しているスギは, 環境に対する適応性が高く, 他の樹木に比べ成長が早く, また, 材は通直で割裂性が高いため, 柱などの建築材やたらい, 桶等の生活品として古くから利用され, 日本の文化を支えてきた重要な樹木である. 万葉集(十巻1814)にも「古の人の植けむスギが枝に霞たなびく春は来ぬらし」と歌われているように, スギの植林は1000年以上も前からおこなわれていた. 商品としての材を生産するための大面積の植林も400年以上も前からおこなわれており, 江戸時代においては, 都市近郊に大面積のスギの植林地があった. そして, 江戸末期から明治年代にかけて, 産業の発展に伴いスギ材の需要が高まり, 全国でスギの植林が盛んに進められた.
著者
福冨 友馬
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.113-117, 2016 (Released:2016-04-16)
参考文献数
42
被引用文献数
1
著者
宮原 聡子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.1305-1310, 1995-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
11

オリーブ花粉は, 地中海沿岸地域における主要吸入抗原の一つである. 著者は, 国内有数のオリーブ生産地である小豆島におけるオリーブ花粉の飛散状況と, オリーブ花粉症の有無について免疫血清学的臨床調査を行った. その結果, オリーブ花粉症と考えられる患者 (15名) を認めた. またオリーブ花粉症患者血清においてカモガヤ (イネ科) 花粉との交叉反応が示唆された. オリーブを含むモクセイ科花粉とイネ科花粉との共通抗原性が報告されており, 今回の結果から国内においてもイネ科花粉症患者がモクセイ科花粉によってアレルギー反応が誘発されていると推測された.
著者
大野 修嗣
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.107-114, 1988-02-28 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

漢方薬「補中益気湯」の臨床的効果とNK細胞活性について35例の慢性疾患々者で検討した.補中益気湯服用前のNK細胞活性は24.6±13.7%であり, 服用後30.4±14.4%となり危険率5%以下で有意の上昇であった.補中益気湯服用にて臨床症状改善が認められた8例では, 服用前19.6±9.6%であったNK細胞活性は, 服用後38.2±15.4%となり, 危険率1%以下の有意の上昇となった.また服用前NK細胞活性が20%以下と低値群も危険率1%以下で有意の上昇が認められ, NK細胞活性高値群では逆に低下する傾向が認められた.リンパ球自体に対する作用を検討すると, 50-500μg/ml濃度の補中益気湯添加mediumで培養したリンパ球では有意のNK細胞活性上昇が認められている.CD4抗体処理後およびCD8抗体処理後の細胞群による検討では, いずれもNK細胞活性高値群に対して補中益気湯が抑制的に作用していることが示唆された.補中益気湯の臨床的効果と, リンパ球に対する影響がよく一致していると考えられた.
著者
田中 稔彦 亀好 良一 秀 道広
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.134-139, 2006-02-28 (Released:2017-02-10)
参考文献数
9
被引用文献数
9

【背景】蕁麻疹の病態・原因は多様であり,これまでに様々な分類法が用いられてきた.平成17年に日本皮膚科学会より「蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン」が作成され,必要となる検査の内容と意義,治療内容,予後の視点を重視した病型分類が示された.【方法】平成15年から17年に広島大学病院皮膚科外来を受診した260名の蕁麻疹患者をこの分類法に準拠して病型を診断し,その内訳を調査した.【結果】物理性蕁麻疹10.0%,コリン性蕁麻疹6.5%,外来物質による蕁麻疹は6.5%であり,残りの76.9%が明らかな誘因なく生じる特発性の蕁麻疹であった.また38.8%の患者で複数の病型が合併しており,特に慢性蕁麻疹と機械性蕁麻疹あるいは血管性浮腫との合併が多く見られた.【結語】多くの蕁麻疹は丁寧な病歴聴取と簡単な負荷試験により病型を診断することができ,それを踏まえて検査,治療内容の決定および予後の推定を行うべきであると考えられる.
著者
平瀨 敏志 竹尾 直子 中村 政志 佐藤 奈由 松永 佳世子 谷口 裕章 太田 國隆
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.48-52, 2020 (Released:2020-02-12)
参考文献数
13

【背景】コチニール色素は赤色着色を目的に食品添加物として様々な食品に用いられている.一方で即時型アレルギーの原因物質として報告されているが,多くが成人女性発症である.今回,8歳男児にコチニールアレルギーを発症した症例を経験したので報告する.【現病歴・経過】幼少期よりアトピー性皮膚炎・気管支喘息・食物アレルギーがあった.7歳頃より2回原因不明のアナフィラキシーを起こしエピペンⓇを処方されている.8歳時に低アレルゲンコチニール入りのフランクフルトを初めて食べて冷汗・口腔内違和感・呼吸苦・全身に蕁麻疹が出現した.プリックテストではフランクフルトとコチニール色素(色価0.1・0.01)で2+と陽性,Immunoblotではコチニールの主要コンポーネントであるCC38Kに相当する分子量のタンパク質と約80~200kDaの高分子量領域のタンパク質でIgE抗体の結合を認めた.【考察】学童期男児に発症,低アレルゲンコチニールでアナフィラキシーを起こしたという意味で興味深い症例と考え報告した.