著者
海老澤 元宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.24-31, 2015 (Released:2015-07-28)
参考文献数
11
被引用文献数
3
著者
針谷 毅 平尾 哲二 勝山 雅子 市川 秀之 相原 道子 池澤 善郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.463-471, 2000-06-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15
被引用文献数
4

アトピー性皮膚炎(AD)は心理的, 身体的ストレスによって皮膚症状が悪化することが臨床の場で知られている.本研究ではAD患者の皮膚症状を2週間毎の外来受診時にスコア化して記録すると共に, 皮膚生理指標や常在菌叢, 心理, 気分指標を患者毎に経時的に測定・検査し, それらの関連性について検討した.心理・気分指標としてはPOMS(profile of mood states)を用い, さらに患者には毎日VAS(visual analogue scale)を用いて疲労やストレス度合い, 主観的な肌の状態などを記録させた.同一患者で2ヶ月以上, 上記について検討可能であった患者18名を対象に各指標間の相関性を中心に解析した結果, POMSの抑うつ-落ち込みや緊張-不安の得点と皮膚症状スコア, 角層水分量, 総菌数との相関性が高い傾向にあり, VASによる患者のストレスの程度とかゆみなどの皮膚症状も相関する傾向を示した.以上の検討からAD患者では抑うつや緊張傾向が高まるなどの心理的なストレスや疲労などの身体的なストレスの有無と皮膚炎の増悪寛解とが互いに関連していることが示された.
著者
長谷川 眞紀 大友 守 水城 まさみ 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.112-118, 2009
参考文献数
10
被引用文献数
2

【背景・目的】化学物質過敏症は診断の決め手となるような客観的な検査所見が無く,病歴,QEESI点数,臨床検査(他疾患の除外)等から総合判断として診断している.診断のゴールド・スタンダードは負荷試験であるが,これも自覚症状の変化を判定の目安として使わざるを得ない.そういう制約はあるが,我々の施設ではこれまで化学物質負荷試験を,確定診断の目的で施行してきた.【方法】当院内の負荷ブースを用い,ホルムアルデヒド,あるいはトルエンを負荷した.負荷濃度は最高でも居住環境指針値とした.また負荷方法は従前はオープン試験によったが,最近はシングル・ブラインド試験を施行している.【結果】これまで51名の患者に延べ59回の負荷試験を行った.オープン試験を行った40名のうち,陽性例は18名,陰性例は22名であった.陰性判定理由は症状が誘発されなかった例が11名,実際の負荷が始まる前に(モニター上負荷物質濃度上昇が検出される前に)症状が出た例が11名であった.ブラインド試験は11名に施行し,陽性が4名,陰性が7名であった.【結語】化学物質負荷試験は現時点でもっとも有力な化学物質過敏症の診断法であり,共通のプロトコールを作成し行われるべきである.
著者
藪原 明彦 下島 圭子 保倉 めぐみ 石田 武彦 川合 博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.494-501, 2004-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

1969年にイネ花粉嘱息について報告されたが,現在はイネ花粉のアレルギー発症への関与は少ないと理解されている.8月上旬に喘息または鼻結膜炎症状を認めた小児のアレルゲン感作状況と居住地を検討し,原因抗原として推測されたイネ花粉に対する特異IgEを測定した.対象は気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎/結膜炎の小児88例(男57例,女31例,8.5±2.9歳)で, 8月上旬に症状を認める群(21例)と認めない群(67例)とに分けて比較検討した.症状を認める群ではカモガヤ花粉に対する感作陽性率が高く(81%,P=0.008),水田地帯に居住する症例が多かった(86%,P<0.001).8月上旬はイネ花粉の飛散時期に一致するため,同時期に症状を認めた8例においてイネ花粉特異IgEを測定したところ,全例が陽性であった.また,イネ花粉とカモガヤ花粉を用いたRAST抑制試験からは両者に一部共通抗原性があるものの,イネ花粉に特異な抗原部位が存在することが示唆された.以上から,水田地帯で8月上旬のイネ花粉飛散時期にみられるアレルギー症状の発現に,イネ花粉が原因抗原として関与していると考えられた.
著者
高橋 大輔 檜澤 伸之 前田 由起子 福居 嘉信 西村 正治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1071-1078, 2004
被引用文献数
8

喘息における抗原特異的IgE反応性の意義を検討する目的で, 喘息患者275名と非喘息健常者265名を対象とし, 血清総IgE値及び複数の吸入抗原に対する特異的IgE値を測定した. 少なくとも一つ以上の抗原に対する特異的IgEが陽性の場合にアトピーありと定義し, アトピーやそれぞれの抗原に特異的なIgE抗体陽性者の頻度などを比較検討した. 若年齢(41歳未満)及び中高年齢(41歳以上)健常者の76.5%, 35.7%, 喘息患者の92.1%, 53.4%が, それぞれアトピーと判定された. ダニに対する特異的IgE抗体価は喘息患者で有意に高かった. 一方, アトピーのない対象者でも健常人に比べ血清総IgE値は喘息患者が有意に高値であった. ダニなどの抗原に対するIgE応答(アトピー)は喘息発症のリスクと考えられる. しかし, 喘息病態に伴った抗原非特異的なIgE反応性の亢進が, 喘息患者に見られる種々の抗原に対する特異的IgE抗体の上昇に寄与している可能性も考えられた.
著者
坂口 剛正
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.394-395, 2021 (Released:2021-07-17)
参考文献数
15
著者
吉村 彩 武藏 学 金子 壮朗 大西 俊介 折戸 智恵子 川原 由佳子 橋野 聡 森松 正美 今野 哲 有川 二郎 石井 哲也 澤村 正也 上田 一郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.1132-1139, 2014-09-01 (Released:2017-02-10)

【目的】北海道大学で発生したマウス咬傷によるアナフィラキシー事例を踏まえ,アレルギー予防対策の構築を目的として,動物実験を実施する学生及び職員の動物アレルギーの感作状況を調査した.【方法】齧歯類等の取扱者で同意を得た555名を対象に問診票と実験動物5種に対する特異的IgE抗体と好酸球数測定によるアレルギー健診を実施した.【結果】特異的IgE抗体陽性率(陽性者数/取扱者数)は,マウス14.1% (62/441名),ラット17.9% (50/279名),ハムスター18.8% (6/32名),モルモット17.4% (4/23名),ウサギ11.3% (12/106名)であった.マウス取扱者においては,動物に接触した時に何らかのアレルギー症状が現れる場合は,抗マウスIgE抗体陽性率が有意に高いことも判明した(38.1% vs 8.8%, p<0.01).【結論】動物取扱者の感作状況を把握するために,特異的IgE抗体検査を含む健診を実施することが有用であることが示された.
著者
出原 賢治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.792-797, 2017 (Released:2017-07-12)
参考文献数
32
被引用文献数
1
著者
水城 まさみ 津田 富康
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-28, 2001-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
4

ホルムアルデヒド(FA)は職業性または室内汚染物質としてしばしば気道を障害し, 多種化学物質過敏症の主要原因物質の一つであることが知られており, 先進諸国では重要な社会問題となっている.解剖実習室でのFA濃度は通常の環境より高いことが予想されるが, 最近実習中に身体の不調を訴える学生が増えてきたため, その原因究明のために本研究を実施した.解剖実習終了後3カ月の時点で, 医学科3年生95名に既往歴, 治療中の病気, 実習中に感じた身体症状, 化学物質過敏に関する問診を行い, 同時に総IgEとダニおよびFAに対する特異的IgE(FA-IgE)を測定した.83%が実習中に眼の刺激感, 鼻汁, 咽頭痛, 倦怠感, 皮膚の痒みなど何らかの異常を感じた.現在までにアトピー性疾患があった者は半数にみられ, ダニ特異的IgE抗体陽性者は58%と高率であった.FA-IgE陽性者は1名のみで特に実習中に症状はなかった.治療中のアトピー性疾患を有する者, 総IgEが高い者, 化学物質過敏に関する問診で症状数の多い者ほど実習中の身体症状数が有意に多かった.以上よりFA曝露が既存のアレルギー症状を増悪させる可能性と, 化学物質過敏の影響が考えられたが, FA-IgEの関与は否定的であった.
著者
木村 五郎 赤木 博文 岡田 千春 平野 淳 天野 佳美 大村 悦子 中重 歓人 砂田 洋介 藤井 祐介 中村 昇二 宗田 良 高橋 清
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.628-641, 2012-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
25

【背景・目的】Lactobacillus acidophilus L-55 (L-55株)には,マウスアレルギーモデルに対する症状緩和効果が認められている.そこでL-55株含有ヨーグルト飲用による,スギ花粉症臨床指標への影響について検討した.【方法】スギ花粉症患者にL-55株含有ヨーグルト(L-55ヨーグルト群, n=26)あるいは非含有ヨーグルト(対照ヨーグルト群, n=26)を花粉飛散時期を含む13週間飲用してもらい,症状スコア,症状薬物スコア,IgE抗体について検討した.【結果】L-55ヨーグルト群の総症状スコアと症状薬物スコアは,対照ヨーグルト群より低い傾向が認められた.特に治療薬併用例(n=23)では, L-55ヨーグルト群の花粉飛散後第5週の総症状スコア,第4週の咽喉頭症状スコアおよび第1週の総IgEの変化比が有意に低値であった.【結語】L-55株はスギ花粉症に対する緩和効果を有し,治療薬の併用により効果的に症状を軽減,あるいは使用薬剤を減量することが期待された.
著者
増田 佐和子 臼井 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.942-951, 2015 (Released:2015-09-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【背景・目的】スギ花粉症の患児が自ら感じている症状やQuality of Life(QOL)障害の程度を把握することは必ずしも容易ではない.また子どもの花粉症が保護者のQOLに及ぼす影響についてもわかっていない.花粉症による症状や支障について,患児と保護者それぞれの認識を検討することを目的とした.【方法】小中学生のスギ花粉症患児とその保護者26組52名に対し,独自に作成した自記式のアンケート調査を行って関連を検討した.【結果】症状の程度について,患児と保護者の認識はよく一致していた.花粉症による問題として最も多かったのは,患児も保護者も「鼻や目をこすること」であった.患児では実際的なことを,保護者では患児の情緒や生活面での支障を気にする傾向にあった.半数以上の保護者が子どもの健康状態に不安を感じており,不安がある保護者の子どもは鼻症状が強かった.【結語】小中学生の患児は症状を適切に示すことができ,患児と保護者では支障を感じる点に差がある.それぞれのQOLを考慮した治療管理が必要であり,患児と保護者用の適切な調査票の開発が必要であると考えられた.
著者
高井 敏朗
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.809-816, 2011-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
52
被引用文献数
1
著者
松原 優里 阿江 竜介 大矢 幸弘 穐山 浩 今井 孝成 松本 健治 福家 辰樹 青山 泰子 牧野 伸子 中村 好一 斎藤 博久
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.767-773, 2018 (Released:2018-07-18)
参考文献数
24

【背景・目的】日本における食物アレルギー患者数は年々増加しているが,食物アレルギー患者数の頻度分布(有病率)は,未だ明らかではない.本研究では,それらを明らかにし,新たな調査方法を検討する.【方法】政府統計等利用可能な資料を用いて,食物アレルギー患者数を推計する.【結果】乳幼児期では「自己申告」で約80万人,「医師の診断」で約30万~50万人,学齢期では「自己申告」で約60万人,「医師の診断」で約35万人と推計された.成人では,消費者庁が即時型症状の受診者数を調査しているが,対象が限定されており,患者数の推計は困難であった.【結語】乳幼児はエコチル調査に症状や診断の有無・血液検査を追加することで,年次変化を把握でき,学齢期では文部科学省の調査が有効である.成人期では大規模調査は少なく,国民健康・栄養調査や国民生活基礎調査などに付随した調査が有効である.一方で個々の情報源の抱える問題点も明らかにした.