著者
鈴木 孝司 大久保 真人
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.59-67, 1977-02-25
被引用文献数
4

Each lung of the domestic animals, exclusive of the horse, is divided intothe cranial, middle and caudal lobes with an addition of the accessory Robe in the rightlung. This lobation is in agreement with that described by Ellenberger and Baum (1932),but not with that mentioned by Seiferle (1956).The horse has the uniform left and right lungs divided into two lobes, as mentionedby Sisson and Grossman (1954). Regardless of the external difference, the left and rightlungs of the horse have those structures which correspond to the lobar bronchi and lobarblood vessels present in the lungs of the other domestic animals. There are, however, thefollowing differences: (l) The cranial and middle lobar bronchi in both lungs of the horseconstitute a common trunk, as is formed in the left lung of the other domestic animals,and (2) the caudal pulmonary vein in the right lung which is an unbranched vein in theother domestic animals is composed of cranial and caudal branches that enter the leftatrium.From a comparative anatomical point of view there are no fundamental differences inlobar bronchi and blood vessels between the unlobated lung of the horse and the lobatedlung of the other domestic animals.
著者
神尾 次彦 伊戸 泰博 藤崎 幸蔵 南 哲郎
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.43-48, 1990
被引用文献数
16

栃木県下の1牧野において Haemaphysalis longicornisの発生消長を周年調査し, 未吸血若ダニ唾液腺内の Theileria sergentiの感染状況を調べた. マダニの採集はフランネルを用いたハタズリ法及び土壌サンプル採集法を併用して行い, T. sergentiの感染状況は, 若ダニを家兎に吸血させて半飽血状態とした後, 唾液腺を摘出し, メチルグリーン・ピロニン染色することによって行った. その結果, 本牧野に生息する若ダニは, 冬期を含んだ1年を通じてT. sergentiを保有していることが明らかとなった. 放牧期間の5月から10月にかけて採集された若ダニでは, 家兎吸血24時間目に唾液腺内の原虫が検出されたのに対し, 他の時期に採集された若ダニでは検出されなかった. この結果から, 放牧期間中の環境要因が若ダニ唾液腺内の原虫成熟に何らかの影響を及ほしていることが示唆された.
著者
谷村 一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.643-656, 1977-12-25

家畜の眼球について形態学的研究を行った. 採取眼球のうち馬16個, 牛28個, 山羊26個, 豚30個, 犬18個, 猫20個および兎28個の眼球については各部位を計測し,ー方, 残りの馬8個, 牛22個, 山羊14個, 豚18個, 犬20個, 猫26個および兎16個の眼球の各部について走査型電子顕微鏡による観察を行った. 各部位の計測値は動物の種類により特異的なものであった(Table 1). 走査型電子顕微鏡観察の結果では, それぞれの動物の種類において各部位に特徴的な所見が得られた. 虹彩顆粒は馬, 牛, 山羊のほかに, 豚や犬でも小顆粒が瞳孔縁全周に配列することが認められた. 毛様体突起は動物種によりその形態を異にし, 馬や牛では太く, 起始部は分岐しないが, 山羊や豚では高いものと低いものがあり, 犬や猫では低い突起が集まって櫛状を呈する. 毛様小体は種々な太さの線維束から構成され, その伸長径路も動物種間で差が見られ, 硝子体包に終止する部位は特異なV字型(牛, 山羊, 犬, 兎), 楔形(馬, 豚), 馬蹄型(猫)を呈した. 水晶体には動物間による構造上の差はみられなかったが, 水晶体線維面に多数の小孔の存在が確認された. 視神経円板は各家畜により形態を異にするが, 牛および山羊ではこの部位に硝子体突起の存在が認められ, その立体構造が明らかにされた.
著者
添川 正夫 松村 好 伊沢 久夫 長野 豊幸 伊藤 元子 黎 憲祖
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.27-31, 1961
被引用文献数
1

Methyl-bis-(β-chloroethylamine) hydrochloride, Benzyl-bis-(β-chloroethylamine) hydrochloride, Bis-(β-chloroethylamine) hydrochloride, β-Chloroethyl-amine hydrochloride, および類縁化合体 Triethyl-enmelamine を用い, これらの豚コレラ感染血液中の豚コレラ病毒の不活化作用ならびに不活化病毒の免疫原性をクリスタルヴァイオレットのそれと比較検討し, つぎの結果を得た. (1) ナイトロジエンマスタード化合体による豚コレラ病毒の不活化は第三級窒素化合体によってのみならず, 第二級窒素化合体, さらに第一級窒素化合体によっても起る. (2) ナイトロジエンマスタード化合体による豚コレラウイルスの不活化はその窒素置換基たとえばベンジル基等によるものでない. (3) トリエチレンメラミンは豚コレラ病毒を不活化する. (4) ナイトロジエンマスタード化合体による豚コレラ病毒の不活化, ならびに不活化病毒の免疫原性の浮動性について考察を行った.
著者
高鳥 浩介 一条 茂 小西 辰雄 田中 一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.307-313, 1981-06-25
被引用文献数
1

本邦における馬の皮膚真菌症の最近の発生状況については十分検討されていない. そこでわれわれは, 1978年に本邦でも馬の生産地として知られる北海道内での発生状況について, 臨床的ならびに真菌学的検索を行なった. 対象地域は北海道内上川, 日高, 十勝および北見の4支庁管内で, 軽種馬育成牧場と競走用輓馬を繋留している競馬場であった. 7軽種馬育成牧場での発病率は, 21.9〜100%であり, 対象牧場すべてに馬の皮膚真菌症発生を認めた. また, 3競馬場での発病率をみたところ, 8.6〜18.8%であり, いずれの競馬場でも本症の発生を認めた. 発病の時期をみると, 軽種馬では7〜9月の放牧期に多く, 輓馬では7〜10月の競馬開催時に多く, いずれも感染馬や原因菌で汚染された馬具との接触が発病に関係深いものと考えられた. 皮膚病巣の発生部位は, 育成馬では全身各所にわたることが多く, 輓馬ではゼッケンの装着部位である胸部から病巣が始まる例が多かった. すべての発病馬の病巣から共通してTrichophyton equinumが分離され, 本菌が発病の主な原因と考えられた. また一部の発病馬からは, Microsporum canisが分離された. M. canisの本症発生における原因菌としての役割については, 今後の検討すべき問題と思われた. 以上の成績から, 北海道おける馬の皮膚真菌症は定着した疾患となっており, また本病が全国的に認められるものと考えられた. したがって, 今後本病に対する適切な予防と治療対策が重要な衛生上の課題であると思われた.
著者
村上 昇 高橋 清久 黒田 治門 江藤 禎一
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.29-34, 1986
被引用文献数
1

偽妊娠ラットにおいて, 制限給餌のプロラクチンサージおよびコルチコステロンリズムに及ぼす効果を検討した。成熟雌ラットを, 14L:10D (グループ1: 5時点灯19時消灯, グループ2: 19時点灯7時消灯)の条件下で飼育し, それぞれのグループに自由給餌群と, 毎日9-11時のみ2時間の制限給餌群を設け, 23日後の発情前期に子宮頸部刺激で偽妊娠を誘起した。自由給餌群では, ノクターナルサージおよびダイアーナルサージは, グループ1ではそれぞれ3時および18時に, グループ2では15時および6時に認められ, プロラクチンサージがそれぞれの光条件に同調していることがわかった。一方, 制限給餌群では, 両グループともにノクターナルサージは影響を受けなかったが, ダイアーナルサージは消失した。血中コルチコステロンリズムは両グループともに, 制限給餌直前にピークを示した。以上の結果から, 偽妊娠ラットのプロラクチンサージでノクターナルサージとダイアーナルサージの成立には別の機構が存在する可能性が示唆された。
著者
村上 昇 高橋 清久 黒田 治門 江藤 禎一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.29-34, 1986
被引用文献数
1

偽妊娠ラットにおいて, 制限給餌のプロラクチンサージおよびコルチコステロンリズムに及ぼす効果を検討した。成熟雌ラットを, 14L:10D (グループ1: 5時点灯19時消灯, グループ2: 19時点灯7時消灯)の条件下で飼育し, それぞれのグループに自由給餌群と, 毎日9-11時のみ2時間の制限給餌群を設け, 23日後の発情前期に子宮頸部刺激で偽妊娠を誘起した。自由給餌群では, ノクターナルサージおよびダイアーナルサージは, グループ1ではそれぞれ3時および18時に, グループ2では15時および6時に認められ, プロラクチンサージがそれぞれの光条件に同調していることがわかった。一方, 制限給餌群では, 両グループともにノクターナルサージは影響を受けなかったが, ダイアーナルサージは消失した。血中コルチコステロンリズムは両グループともに, 制限給餌直前にピークを示した。以上の結果から, 偽妊娠ラットのプロラクチンサージでノクターナルサージとダイアーナルサージの成立には別の機構が存在する可能性が示唆された。
著者
三枝 順三 上田 雄幹 後藤 義孝 藤原 公策
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.75-80, 1978-02-25
被引用文献数
2

A total of 945 adult dogs, 572 stray and 373 nonstray ones, collected fromTokyo area, were examined for Brucella canis infection and 27 (2.9%) cases were found tohave high titered agglutinin and/or the organism. With the exception of a colony of non-stray dogs showing a positive rate of 12.77., no significant difference in positivity rates wasseen between stray and nonstray dogs. Bacteremia was detected in 12 cases out of 459cases examined, and 9 positive cases had high titered antibodies. In 9 out of 11 autopsiedcases having high levels of agglutinin or positive blood culture, the organism was isolatedfrom the spleen, Nymph nodes, liver and male genital organs with high frequency. Amongthese cases carrying the organism, high titered specific agglutinins were usually resistantto 2-mercaptoethanol treatment, while low titered agglutinins, probably nonspecific, weresensxtuve.
著者
筒井 敏彦 江島 博康
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.581-583, 1988-04-15
被引用文献数
1

雌犬21頭に異なる雄大と2回交配させ,子犬の雄親を判定することによって同期複妊娠の成立状況を検討した. 開腹手術によって観察した卵胞の成熟状態から排卵時期を推定して,排卵36時間前から排卵84時間の間に24〜96時間の間隔で2回交配させ,娩出された子犬の血液型および体型で雄親を判定したところ,2回目の交配を排卵後60時間までに行った場合に同期複妊娠が成立することがわかった.
著者
野村 晋一 茨木 弟介 白旗 総一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.135-147, 1969-06-25

ニジマスの心電図と呼吸運動を無線的に記録し,魚類の生態研究に新しい技術を導入することを企図し,その基礎的な実験を行なった.成績の概要はつぎの通りである.1)脊髄穿刺により不動化した後,開胸し,心表面誘導による波形を記録した.穿刺による出血は,従来の記載に反し,極めて微量であった.静脈洞,心房,心室波の波形はBAKKER(1913),KIscH(1948),OETs(1950),NOSEDA(1963)らの記載とほぼ一致した.この成績に基づき,ラジオ・テレメーターの入力として用いる心電図の誘導方法を決定した.この誘導法は,一種の胸腔内誘導であるが,電極装着後,2ケ月以上を経過しても生存した.波形は唾乳類,鳥類などと同様であったが,まれにBAKKERのV波を確認した.2)水温と心拍数の相関々係はおよそ直線的であった.水温の上下に比例して,心拍数は増減したく水槽内).3)中禅寺湖で水温の垂直分布に従って,計測した心拍数は温度の下降に比例して減少したが,水温の上昇に追従できなかった.実験槽で行った実験結果から考えられる適応時間を与えても同様であった.4) 中禅寺湖に放流したニジマスにつき,水深50m,水温4.3°Cまでの心拍数をFM式ビート・メーターにより計測した.水温の変化による心拍数の変動は,実験室内でえた成績とほぼ同様であった.5)養鱒池に放流したニジマスにつき,心拍数の日周変化を計測した.心拍数は早朝に少なく,午後ないし夜間に増加した.因みに水温は9.5°Cを維持していた.
著者
窪田 宜之 梁川 良
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.p663-672, 1987-08

Corynebacterium renale No.115株の有線毛 (P^+) 及び無線毛 (P^-) クローンのマウス腹腔マクロファージ食菌作用に対する感受性を比較した。オプソニン不在の場合には, P^+菌はP^-菌にくらべて食菌され難かった (P<0.001)。20%の濃度に補体を加えると, P^+菌, P^-菌ともに取り込み菌数が増加 (各々, P<0.001, P<0.005) し, P^-菌はP^+菌よりも多く食菌された (P<0.025)。抗線毛血清の存在下では, 補体の存否にかかわらずP^+菌はP^-菌よりも有意に多く食菌された (P<0.01)。抗線毛単クローン性抗体によっても, 補体の存否にかかわらず, P^+菌はオプソナイズされたが, その効果は多クローン性抗体のそれよりも低かった。抗P^+菌血清と補体の存在下では, P^+菌はP^-菌よりも有意に多く食菌された (P<0.05)。抗P^-菌血清の存在下では, 補体の存否にかかわらず, P^+菌の食菌はP^-菌の場合と同程度まで増強された。
著者
窪田 宜之 梁川 良
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.663-672, 1987

Corynebacterium renale No.115株の有線毛 (P<SUP>+</SUP>) 及び無線毛 (P<SUP>-</SUP>) クローンのマウス腹腔マクロファージ食菌作用に対する感受性を比較した。オプソニン不在の場合には, P<SUP>+</SUP>菌はP<SUP>-</SUP>菌にくらべて食菌され難かった (P<0.001)。20%の濃度に補体を加えると, P<SUP>+</SUP>菌, P<SUP>-</SUP>菌ともに取り込み菌数が増加 (各々, P<0.001, P<0.005) し, P<SUP>-</SUP>菌はP<SUP>+</SUP>菌よりも多く食菌された (P<0.025)。抗線毛血清の存在下では, 補体の存否にかかわらずP<SUP>+</SUP>菌はP<SUP>-</SUP>菌よりも有意に多く食菌された (P<0.01)。抗線毛単クローン性抗体によっても, 補体の存否にかかわらず, P<SUP>+</SUP>菌はオプソナイズされたが, その効果は多クローン性抗体のそれよりも低かった。抗P<SUP>+</SUP>菌血清と補体の存在下では, P<SUP>+</SUP>菌はP<SUP>-</SUP>菌よりも有意に多く食菌された (P<0.05)。抗P<SUP>-</SUP>菌血清の存在下では, 補体の存否にかかわらず, P<SUP>+</SUP>菌の食菌はP<SUP>-</SUP>菌の場合と同程度まで増強された。